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    かけはし2018年11月5日号

資本主義の向こうに向かわなければならない


新自由主義10年、アメリカトランプの登場をどうみるか

ペク・ジョンソン(党執行委員長)

 資本主義各国に見られる極右の進出は、資本主義の危機を越え、その向こうの世界――社会主義の社会を提起する。しかし極右の登場を許しているのは運動の弱さでもあるからだと主張する。(「かけはし」編集部)

米国と中国が貿易戦争の真っ最中だ


今年7月6日、米国は340億ドル分の中国産輸入品に対して25%の追加関税を課し、中国も340億ドル分の米国産輸入品に25%報復関税を課す措置で対抗した。米国は圧迫を止めなかった。2018年7月10日、米商務省と貿易代表部は2千億ドルの中国産輸入品に追加関税付加措置を発表した。この措置は9月17日に10%で発効され、来年初めに25%まで高まる。
もちろん通商葛藤は昨日今日のことではない。米国はすでに14年間中国を知的財産権の優先監視対象国に指定している。問題はその全面化の様相だ。すでに米国の貿易戦争の対象は中国だけではない。その対象は主な牽制対象の中国はもとより、欧州、メキシコ、カナダ、日本など米国の伝統的な友邦まで包括している。
トランプ政権は発足後一貫した保護貿易政策を貫いてきた。就任3日で環太平洋自由貿易協定TPPから脱退し、北米自由貿易協定NAFTAの再交渉や韓米FTA再交渉はもとより米国に不公正だという理由で、世界貿易機関やWTOからの脱退を繰り返し言及してきた。
IMF、世界銀行、WTOが同じ声で自由貿易体制守護を要求しているにもかかわらず、米国は自分が作った自由貿易体制を自ら解体しているのだ。
2008の危機の産物であるG20首脳会談が毎年決議したのがほかならぬ保護貿易の排撃、自由貿易体制の守護だ。
危機を総合的に克服しようという10年間の決意がはかなく消え、資本主義世界秩序は国家間の闘争の全面化に進んでいる。米国が保障する単一国際市場内での自由貿易、それを通じた同伴発展という長年の神話を米国自らが破っている。米国主導の資本主義世界秩序の亀裂と再構築をめぐる闘争が激化している。危機は現在進行形だ。

極右勢力の浮上

 保護貿易主義の浮上は各国の極右主義、国家主義勢力の浮上とその軌を一にする。極右政治勢力は2008年の金融危機後急激に成長し今も成長している。誰も予想できなかったトランプ政権の登場、2017年のドイツ総選挙で反イスラム・反移民を掲げた極右政党「ドイツのための選択」(AfD)の第3党登場、2017年オーストリア総選挙の結果極右派自由党FD?の第3党登場と連合政府構成など、新自由主義を支えていた2大勢力として機能していた中道左右の持ち分を右翼ポピュリスト達が蚕食している。
極右勢力の成長は、大衆運動に基づいている。 右翼ポピュリズムが急激に勢力を拡大することができた背景には、2008年の危機後に蓄積された大衆の憤りがある。大衆生存の危機にもその危機の解決にも全く無能力な主流政治に対する幻滅が右翼の浮上を生んだのだ。
トランプは選挙過程で海外軍事紛争不介入、移民統制、反自由貿易、金融資本批判など保護貿易主義と不介入主義(孤立主義)を掲げ、これを雇用に対する大衆の要求と連動して「米国優先」とした。トランプは積もった大衆の怒りを政治エリートたちに回した。
4兆ドルに達する量的緩和、すなわち米連邦準備委員会の発券力を動員した債券買い入れプログラムが破産すべき資本を救済したにもかかわらず、大衆には賃金削減や福祉縮小、不安定労働を強要したところ大衆はその過程を通じて積もった怒りをトランプ支持として表現した。
欧州極右は資本と労働の対立を内部と外部、すなわち欧州人と非ヨーロッパ人の対立に置き換える。欧州労働者が貧しいのは、「ほとんどが犯罪者であるムスリムの移民者らが、欧州労働者が受けるべき社会保障の恩恵を奪っているためだ」ということだ。欧州の極右勢力によると、ムスリム、自由貿易を固守する欧州連合、自由主義エリートが危機の主犯だ。

彼らが言うことと実体の乖離


しかし、右翼ポピュリズム勢力の歩みは矛盾している。 彼らが動員する言葉と実際の行動の間には深い乖離が存在する。彼らは「平凡な人民」を強調するが、実際は資本の側に立っているだけだ。2017年、トランプ政府は、企業と高所得層に対し、今後10年間、1兆5000億ドルに達する税金を減免する大々的な減税措置を発表し、2018年大幅な金融規制緩和案(ドッド・フランク法・改正案)を可決させた。

不介入主義も同様だ

 トランプは選挙当時「米国はもはや世界警察になれず、同盟国は防衛費を分担するか、さもなければ自ら自分を防御しなければならない」との言及とともに、NATO脱退と在韓米軍撤収など国外駐留米軍の縮小を暗示している。
さらに、「イラクを侵攻すべきではなかった」と主張したりもした。しかし、2017年4月の米中首脳会談の時に突然のシリア爆撃、2017年8月にアフガン駐留軍の増派、2018年の国防費史上最大増額(10%、540億ドル)、エルサレム・イスラエルの首都だった。
欧州の極右も言うことと実体が矛盾するのは同じだ。 オーストリア人民党と自由党は、大幅な失業給与の削減や労働時間の延長計画を発表した。ドイツAfDも同様だ。かれらは「ムスリム移民者が蝕むドイツ福祉制度」を言うだけで、実際には税金緩和など資本親和政策を指向する。彼らはただ「人民」に言葉として訴えるだけだ。

社会主義の代案がいる

 危機に対する完結的な綱領と一貫した路線を欠いているにもかかわらず右翼勢力が浮上した現象は危機に正面からぶつかり合う社会主義勢力の不在とまたその必要性を示す。救済金融を通じた資本の回生と緊縮を通じての大衆の犠牲は必然だったのだろうか。 十分に異なる経路は可能だった。
欧州で、ギリシャの緊縮を受け入れるかどうかは、2008年の恐慌以降、階級闘争の重要な分かれ道だった。2015年のシリザの執権に続く緊縮の受け入れは、階級闘争の莫大な後退を引き起こした。当時、シリザのユーロ圏残留という選択は、結局欧州連合の中で欧州連合を改造できるという思考の発現だった。周知のようにシリザはデフォルトという破局の代わりにユーロ圏の残留を選んでおり、周知のようにシリザの次の選択は緊縮の受け入れと執行だった。

トランプの浮上も同じだ


ウォール街占領運動―トランプ現象で明らかになった大衆の怒りが、民主党の新自由主義を圧倒するほど組織化されていない結果がほかならぬトランプの登場だったという点を記憶しなければならない。トランプ政府の「喝采」の歩みその裏には米ミレニアル世代の間で社会主義が主要イデオロギーとして浮上している現実がある。
米国の好況の裏には由来のない資産価格の拡大がある。 そしてその後は、2008年の危機を克服するために実施した量的緩和がある。恐慌、再び安定的資本蓄積のための「創造的破壊」が行われなかったということは、次の危機がさらに巨大なものとなるということだ。2008年以後10年、資本主義の向こうの対案を探すべき時だ。(社会変革労働者党 「変革政治74号」より)

GMの目標は、「韓国GM正常化」ではない

8千億ウォンの血税の
対価が韓国GM解体か

韓国GM分会(仁川)

 1年前の2017年10月16日に、韓国GM2大株主である産業銀行が経営牽制装置であったいわゆる「ビート権」(注1)を喪失し、韓国GM撤退説に火がついた。撤退説事実無根と言われ韓国GM側は年末から非正規職労働者を解雇し、人員削減に乗り出したところ、今年2月に群山工場閉鎖を通報し電撃的な構造調整を発表した。労組との交渉が最終段階に至った4月には、法定管理を申請するとして、会社のドアを閉めるように脅迫して、労働組合を屈服させた。ムン・ジェイン政府はこの脅迫に同調し、8億ウォンの血税をGMにそそいだ。韓国GMを負債比率8万5000%の悪性不良企業にしておいたGM本社の負債転嫁とコスト転嫁など略奪的経営構造は問題にもされていないまま、政府とGMは5月にプライベート合意を結んで経営正常化を宣言した。
 産業銀行のビート権喪失から1年が経過している2018年10月19日に、韓国GM株主総会が開かれる。そして、ここではGMは再び構造調整の布石を敷いている。GMが株主総会に上程した案件は、まさに韓国GMの研究開発部門を切り離し、別の法人にするというものである。このようにすると、韓国GMは、研究開発能力を喪失したまま、単なる下請け生産基地に転落する。売却も、撤退もより容易である。韓国GM側は昨年撤退説が浮上した時と同じように、今回も「過度な懸念」と線を引いている。しかし、事情を見てみると、GMの策略は非常に一貫していている。そして、その先端は韓国GMの空中分解だ。

GMの目標は、「韓国GM正常化」ではない

 完成車メーカーである韓国GMは現在、研究開発、生産、整備部門をすべて包括している。ところがGMは今、この3部門の両方を分離させるという計画である。研究開発部門は、別途法人にはがし、整備部門はまったく外注化すると通知して整備事業所の労働者の怒りを買っている。生産部門では、過去5月に群山工場が完全にドアを閉め富平・昌原工場が残っているうち、7月には、富平2工場が物量縮小を理由に2シフトで1交互に切り替えていた。新車を割り当てて投資を増やすどころか、会社を細かく裂き一つずつ取り除いたり縮小しているのである。
研究開発部門を独立法人にはがし出すというのは、過去7月に突然発表された。政府とGMが、いわゆる「経営正常化」を合意し、2カ月ぶりに会社を分割した。産業銀行は10月19日に株主総会の開催を禁止仮処分申請をかける一方、株主総会が開かれる場合、拒否権を行使するという立場を明らかにした。(注2)
ところが、今回の国政監査で明らかになったところによると、GMはそもそも過去4月に政府と交渉しているときから法人分離を提起した。10月10日に産業部の国政監査で、自由韓国党ジョンユソプ議員が発表したプレスリリースには、当時のGMが法人新設議論を提案したが、産業銀行が難色を示したと記載されている。もちろん、これらの事実は、政府がGMとの交渉を繰り広げた当時も、合意後も全く開示されなかった。つまり、GMは政府と合意書にいたる、その瞬間にも韓国GMの寸断構想を持っていた、今その計画を実行に移しているのだ。

裂いて殺す

 韓国GMの分割が実現する場合、事業部門別の売却や縮小はさらに簡単になるだけでなく、GMが閉鎖や撤退を断行すれば、その後の独自生存さえ不可能になる。研究開発能力のない生産ラインでも、生産能力のない研究所でも、独立した自動車メーカーで存続することができない。要するにGMは韓国GMを解体しGM本社に完全に依存していなくては何もできない完全な下請け基地に転落させ、今後の政府と労働組合がGMの略奪的要求にさらに依存するようにするものである。
GMが4月にすでに法人分離を提起したことは、当初から労働組合の譲歩と政府支援のみを受け入れ出そうとしただけで韓国GMの安定的な運営は、一瞬間も考慮していないことを表わす。GMの一抹の期待も虚しい幻想にすぎないということだ。この点では、過去7月に富平2工場1のシフト切り替え合意を防げなかったのは痛恨の間違いだ。過去2014〜15年群山工場で1シフト切替合意に非正規職労働者を整理解雇した後、最終的に工場の閉鎖にあった前例を目撃したにもかかわらず、再び非正規職を整理解雇する合意がなされた。しかし、昌原と富平工場の両方で相次いで不法派遣判定が出てきた、非正規職労働者たちは粘り強く闘いを続けている。最近では、事務職労働者が法人分離に反対し富平工場本館前座り込み闘争に突入した。過去の間違いを乗り越えて、この闘争の火種を一つ集めるとき、私たちは、GMのリストラに対抗し新しい闘いを作り出すことができるだろう。

(注1)2002年大宇自動車をGMに売却し、産業銀行は大株主であるGMが韓国GM資産を売却・処分・譲渡することを拒否することができる権限を確保し、これを「ビート権」と呼んだ。これで韓国GMの閉鎖や撤退を防ぐことができるというものであった。2002年当時、この拒否権の期限を15年に設定することにより、2017年の期限満了に産業銀行は拒否権を失った。
(注2)2017年喪失ビート権とは別に、産業銀行は韓国GMの株式17%を握っている2大株主として、同社定款に基づいて株主総会の特別決議事項の拒否権をまだ保持している。
(社会変革労働者党 「変革政治74号」より)

朝鮮半島通信

▲朝鮮の申紅哲外務次官率いる代表団が10月27日、ロシア訪問のため平壌を空路出発した。
▲韓国与野党の国会議員らは10月22日、「竹島・独島」を訪問した。
▲朴槿恵前政権の退陣を求める市民らによる「ろうそく集会」の初開催から2年を迎えた10月27日、「キャンドル2周年記念大会」がソウルの光化門広場で開かれた。大会は民主労総、韓国参与連帯などにより開催された。同日、ソウル駅前広場では、朴槿恵元大統領の弾劾無効などを主張する保守団体「釈放運動本部」の主催による集会も開かれた。
▲韓国の大法院(最高裁判所)が朴槿恵前大統領の意向によって元徴用工の民事訴訟の進行を遅らせた職権乱用などの容疑で、韓国検察は10月27日、前法院行政処次長の林鍾憲氏を逮捕した。

 


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