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    かけはし2018年11月26日号

企業寄りの歩みを露骨化する政府に対抗し闘争すべき


民主労総の政策代議員大会が流会になった後、経済社会労働委員会への参加は何が問題なのか

キム・ヒョン労組事業特別委員長


社会的対話機構への参加ではなく大衆闘争の拡大・強化が切実だ

 今年10月17日に開かれた全国民主労働組合総連盟政策代議員大会(以下「政策代大」)が成員割れとなった。経済社会労働委員会(以下「経社労委」)の参加決定がどのように下されるかによって及ぼす影響が少なくないため、多くの社会的関心を集めたが、結局どのような結論も下せなかったのだ。

政策代議員大会の流れを見つめる視線


 全国民主労働組合総連盟(民主労総)がいかなる決定も下せなかったことに最大の衝撃を受けているのは韓国労働組合総連盟(韓国労総)だ。金柱栄(キム・ジュヨン)韓国労総委員長は「労使政代表者会議は(経社労委)準備機構としてその役割を果たした」とし「社会的対話の一つの主体として早期に労使政代表者会議の招集を求め、社会的対話を進める方針だ」と述べた。
 使用者団体も公式の立場を示してはいないが韓国労総と似たような立場であることが確認されている。
 政府側の立場は、今のところ慎重だ。政府関係者は「すべての主体が参加すればいいというのが基本原則」だとし「今も労使政代表者会議をはじめ各種協議体が構成され議論が進められているだけに成果を出してほしい」と述べた。
 一方、全国民主労働組合総連盟(民主労総)執行部は政策代大の流会に困惑しつつも、来年1月の定期大会まで待ってくれと政府側を説得している様子だ。金明桓(キム・ミョンファン)委員長は「開門発車などの不必要な論争よりは労使政がともに心を一つにまとめ、労使政代表者会議体制で議題別・業種別委員会を運営し、新しい社会的対話機構である経社労委の発足を準備してほしい」と主張した。
 上記の発言でも明らかなように、現在民主労総執行部は来年1月までに現場を説得して、経社労委への参加を貫徹させることを流会に対する収拾対策として立てたようだ。このような基調と方向は、最近開催された全国民主労働組合総連盟の「常任執行委員評価案」にそのまま反映されている。
 評価案は大会日程についての事前疎通、全体大会に対する企画、議決案件の事前疎通の側面に問題があり大会が不発になったと診断する。
 これについて「ゼネストを前に経社労委への参加の件を政策代大の案件として想定したのが根本的な問題だ」という事務局構成員と各幹部による問題提起があちこちから相次いでいるという。

多数の中執構成員の反対にもかかわらず執行部独断で「経社労委」上程

 今年初め文在寅(ムン・ジェイン)政権は労働基準法を改悪したのに続き労使政代表者会議を進めている最中、両労総の意見を無視し、最低賃金法を与野党合意で通過させたことがある。これに対して両労総は労使政代表者会議の参加を中止し、強く問題提起した。
しかし、最低賃金委員会で最低賃金をめぐる労使政間の対立が激化した時期「弱者の涙をぬぐってあげなければならない」という言い訳と共に、韓国労総は最低賃金委員会と労使政代表者会の復帰を決めた。
時期が異なるだけで、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の歩みも韓国労総と別段違わないように展開された。
民主労総は8月16日、中執で激論のすえ、労使政代表者会議の復帰を決めた経緯がある。ただ、反対世論を考慮して政府の信頼回復措置の圧迫のための労政交渉を並行するという前提が敷かれたのだった。
しかし、このような決定は最低賃金法の改悪以後、いかなる前向きな政策変化や政府の措置もない状況の中で労政交渉や協議の情勢的不可避性を強弁する立場の変化だった。
このような問題のため8月22日の中央委でも労使政代表者会議復帰反対意見が強硬に表われた。 何よりも、労基法と最賃法改悪以後政府の立場や政策の変化がなく、ひいては追加的な改悪の意図まで感知されているという点、下半期のゼネスト総力闘争を控えて現場組織化に撹乱要因として働くという点、交渉と闘争の並行という方向そのものが具体化されず交渉成功に偏り、闘争との有機的結合もなかなか見えないという点などの憂慮だった。
一方、8月16日中執では経社労委関連の案件の上程は「組織内の十分な討論が不十分」という点を認め、9月に予定されている政策代大を1カ月ほど延期し案件上程の有無も後になって論議している。
その後9月28日に開かれた中執で多数の中執構成員はゼネストを控えており、組織内の討論が十分でないことを重ねて指摘し政策代大で経社労委関連案件の上程を留保しようと提案したが委員長が職権で政策上程を決定したのだ。

経社労委の参加に反対する流れの結集

 民主労総・政策代議員大会を控え、「経社労委参加反対」を掲げ、左派政治組職、そして現場組職の組織的結集が行われた。
変革党をはじめとする左派連帯は「民主労総指導部は労使政代表者会の復帰ではなく、文在寅政権の親企業政策に立ち向かって闘争に取り組むべきだ」と題するビラを配布し、27の政治組織と現場組織名義の連名署名を組織した。また、代議員大会直前の代議員や組合員らに対する連名署名を拡大したところ、当日まで100人の代議員や現場幹部184人、組合員451人の署名を組織した。
一方、代議員大会には現場発議案で金属労組中心の審議保留案が提出されたりもした。 これらの立場は、左派連帯組職と多少違っていた。労使政代表者会議を認める水準で傘下業種別委員会や議題別委員会に集中するとともにそれにもかかわらず民主労総内で経社労委関連の組織的討論が足りない現状を考慮し、十分な組織的討論を通じて近づくという主張が提起された。
中執で経社労委への参加に反対した中執委員や左派連帯、そして現場での発表を準備していた金属労組の案には、内容的に相違点があることは明らかだ。しかし共通点も存在した。
第一に、文在寅政権の積弊清算の意志が日増しに弱まり企業寄りの動きを続けているという点に対する共通的な問題意識だ。文在寅政権が公約から就任以降まで「圧倒的世論ではない」という口実で正面突破をしなかった全教組法外労組撤回の件が代表的だ。
全教組の法外労組化は依然として足踏み状態だが、政府は二大労総が一貫して反対した労基法の改悪を筆頭に、最低賃金法の改悪や、とうとう規制フリーゾーン法まで財閥の好みに合わせて成立させた。
第二に、民主労総幹部や組合員のトラウマが解消されない限り、経社労委の参加は簡単に決定してはならないということだ。
1998年に労使政委員会で整理解雇法と派遣勤労者法の成立、2006年には労使政代表者会議などで非正規職法の改悪を、2009年には複数労組の猶予と専従者への賃金支払いの禁止などを合意した歴史がある。労政交渉が漂流し、最小限の信頼すら確認できない条件の下で、経社労委への参加は多くの幹部や組合員にとって、もう一つの難題に過ぎない。
第三に、下から圧迫を強化するための闘争に集中しなければならないという点だ。11月21日のゼネスト総力闘争は、その規模がどのように展開されるか分からないが、新しい民主労総執行部の結集力と勢いを示す重要な時期だ。
このような重大な闘争を控えて、民主労総の内部が分かれる恐れのある「経社労委」の参加に、一つで反対の声を出さざるを得ない理由でもある。

経社労委の参加を懸念するもう一つの問題


政策代議員大会がスタートする前の9月10日に公共病院労使政で合意した「公共病院の派遣用役職正規職への転換に伴う標準賃金体系ガイドライン」は手続き上、内容上の深刻な問題を抱えている。
この問題がもつ波及力をよく知っているため民主労総の中執でも激論が起り、第19回中執で次のように決定することになる。
3.保健医療労組の標準賃金体系は、職務価値中心の差別的賃金体系である政府の標準賃金体系(案)の問題点を内包していると、公共運輸労組と民主一般連盟が提起している。
政府の標準賃金体系(案)の問題点を内包しているかどうかは、民主労総や公共非正規特委への参加組織、政策担当者と3つの組織(公共運輸、民主一般、保健医療)で推薦した賃金政策の専門家と行うワークショップ進行の後に判断する。
さらに、保健医療労組は当該非正規職労働者の正規職への転換において、現在争点となっている子会社転換問題を突破し、号俸制に基づいた新しい賃金体系の導入とともに職雇用を勝ち取ったと自らを評価している。
しかし、既存の正規職との賃金差別を温存させる賃金体系を容認することはできず、公共部門全般の賃金体系の改悪に突破口を開く決定が労使政委員会で合意された。にもかかわらず、大衆運動の求心となり資本と対立しなければならない民主労総の中執が職務級に対する判断すら留保したということは、その後の経社労委への参加がどれだけ危険な決定にならざるを得ないかを物語っている。
文在寅政権が何のために経社労委をするのかその理由が保健医療の労使合意にそのまま含まれているのだ。
先月、イ・ヘチャン民主党代表は、韓国社会が中長期的な低成長時代に突入し、これを打開するための突破口が社会的大妥協だとしながら、韓国労総と会った席でも「賃金水準が上がれば社会的大妥協をしなければならない」と述べた。
経社労委の目標がどこにあるのかを党代表が率直に告白したもので、経社労委の参加が労働者たちにどのような結果を生むかを予見させる。(社会変革労働者党「変革政治75号」より)

民主労総政策代議員大会が流会し深まる混乱

ゼネストを目前にして冷水を浴びせた最悪の結果

「交渉と闘争」というキム・ミョンファン執行部の核心的戦略が行き詰まる

 民主労総政策代議員大会が流会となってから二週間になる。流会の責任をめぐって現在、民主労総内では激論が交わされている。形式と手続きの評価はさて置いたとしても、激論の根底には「闘争と交渉の並行」という路線を維持するのか、それとも変更するのか、あるいは廃棄するのかという路線対立がある。意見をひとつにまとめるのは容易ではないようだ。それでもゼネストを目前にして冷水を浴びせたということだけは確実である。

経使労委参加議論のために「付添人」に転落

 一方で、今回の政策代議員大会があまりにもお粗末で、十分に準備されたうえで行われたわけではなかったということも注目する必要がある。政策代議員大会の役割は、本来の組織の革新課題をはじめ中長期的な事業を論議することである。また当面する懸案を論議しなければ、代議員の関心を引き付けることは難しいことになるだろう。したがって事前の十分な議論を通じた組織的な合意形成を先行させなければならず、そしてそのためには十分な準備期間を確保する必要があった。しかし今回の政策代議員大会は、そのような十分な事前の準備の上で開かれたのであろうか。
今回の政策代議員大会の位置づけは、初めから極めて曖昧なものであった。形式的には長期的戦略課題を議論するための「政策代議員大会」としながらも、その内容は「経使労委参加」という懸案の議決だったからである。キム・ミョンファン執行部は(中央委員会が開かれた)三月から、九〜一〇月頃に政策代議員大会を開催するとしてきた。その時期は労使政代表者会議の様々な議題別・業種別委員会が本格的に動き始めて、経使労法案が立法化されるなかで、経使労委参加をめぐって組織的に議決するしかない時期でもあった。キム・ミョンファン執行部は、実際に最低賃金改悪をはじめとするムン・ジェイン政府の様々な右傾化政策が吹き荒れるなかでも、労使政合議体を存続させようと努めてきた。そして最終的には中執のなかから反対意見が出ていたのにもかかわらず、一〇月の政策代議員大会に「経使労委参加の件」を職権で議案としたのであった。

組織力だけが傷つけられた最悪の結果

 臨時大会を通じて経使労委参加について結論を出そうとする方法や、あるいは戦略的な課題だけでも十分に議論するという方法もあったが、キム・ミョンファン執行部は無理をして二匹のウサギを捕まえようとした。結果的には二匹とも取り逃がしてしまい、流会という事態になり、組織力だけが傷つけられるという最悪の結果をもたらした。
戦略議論のための準備もずさんだった。三月の中央委員会で決めておきながら、八月になってようやく政策代議員大会戦略議題討論文が配布され、現場で十分に討論されていたのかきちんと確認もされなかった。文書があまりにも難しいとか、どう議論すべきかわからないという意見が殺到していたのにもかかわらず、政策代議員大会が強行され、現場の懸念は代議員大会当日になって噴出した。
結果的に最悪だった。資料と実際の議論の内容は、互いに形式的な一般論に終始した。さらに議論の主題とは関係のない話も飛び交った。適切な議論の争点さえ形成されなかった。それでもどうにか議論できたのは、厳しい状況のなかで最善を尽くした代議員たちの苦労のおかげであった。要するに、産別加盟の異なる代議員たちが互いに交流できる席を作ったということ以外は、何も成果が残らなかった政策代議員大会であった。
代議員大会流会という初の事態を迎えて、民主労総指導部に対する不信が広がっている。「交渉と闘争」という核心的な戦略の行き詰まり、中長期の課題を組織的に合意することに失敗し、組織運営の非民主性など理由は様々だが、指導部への不信は鮮明となった。今後キム・ミョンファン執行部は、考えてきた通りの方針でやっていけるのだろうか。我々はどのようにすれば、ぐらつき、よろめく第九期民主労総を明確な階級闘争の主体として立て直すことができるのだろうか。(社会変革労働者党「変革政治75号」より)


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