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    かけはし2018年12月10日号

反ファシズム抵抗を不退転で貫徹する!


ブラジル

高度な抑圧の始まり

街頭での民衆的決起軸に対抗

原理は連帯

マルセロ・ラモス

 PSOL(社会主義と自由党)メンバーであるマルセロ・ラモスは、二〇一八年一一月六日にロンドンで開催されたソーシャリスト・レジスタンスの集会で、ボルソナロ――「熱帯地方のトランプ」――選出後のブラジルにおける危険と抵抗の展望について語った。以下は、彼の発言記録。

高度な抑圧のサ
イクルが再始動


 ブラジルは今日、その歴史上もっとも悲しむべき時期の一つを通過中だ。ブラジル民衆の歴史は基本的に抵抗の歴史だ。欧州人による植民侵入以来、われわれの地で生き延びることは極めて困難なことだった。しかしわれわれは闘い、抵抗している。
 あなた方は分かっているかもしれないが、わが国における資本主義的発展は、その歴史を貫いて血が染み込んでいる。ここには、一九六四年から一九八五年にかけてブラジルには軍事独裁があった、という事実が含まれる。
 しかし、一九八〇年代の労働者階級による民主主義を求める諸闘争は、重要な社会的達成成果を確保することに成功した。その成果は、一九八八年に承認されたブラジル連邦憲法を通じてもたらされた。われわれは、私有財産に社会的機能を含める必要、全員にとっての教育と無料の公的医療の必要、労働者の諸権利と諸決定に対するより大きな民衆参加の必要、これらに対する承認に成功した。
 現在の憲法は選択的に適用されているとはいえ、それは依然として、ブラジルの従属的民衆により歴史的に獲得された諸権利のほとんどを擁護している。ボルソナロの選出によって今日賭けられているものは、まさに一九八八年憲法で始まった共和政体のサイクルの終わり、ということだ。資本主義は三〇年経って、ブラジルを再び高度な抑圧のサイクルへと投げ込んでいる。
 われわれは、そこにあらゆる問題や矛盾があるとしても、ルラとPTの階級協調政権が、いくつかの貧困緩和方策を取り入れ、社会的権利に以前の全政権よりも多くの力を注いだ、ということを認めている。そうであれば、ブラジルがファシストの大統領を選出するということがどのようにしてあり得たのだろうか? 何しろこの大統領は、軍事独裁を擁護し、諸労組の運動と土地なき者たちの運動から生まれた政党の一三年におよぶ政府の後になって、左翼への迫害を擁護しているのだ。

ボルソナロ出現
には二つの根拠


 ボルソナロはどことも分からないところから出てきたわけではなかった! われわれは二つの基本的な問題を思い起こさなければならない。つまり、ポスト独裁の民主主義的移行の問題、そして二〇一三年からずっと続いたPTの人気低落だ。
 最初の点だが、ブラジルはアルゼンチンとは異なり、軍部それ自身によって行われた民主主義への移行、を経験した。彼らは、彼らが犯した人道に反する犯罪に対し自らにある種の恩赦を与え、初期の大統領たちが彼らの政策を確実に継続するようにし、住民の多数には軍事独裁への否定的な記憶をもたせないようにした。彼らは保守的な常識を助けた。それは、独裁を経済的進歩と社会的秩序の時代と持ち上げ、そこで起こった人権侵害と迫害に対する評価を引き下げる、という常識だ。ボルソナロのような将校たちは、どのような社会的反撃にも遭わずに、独裁の政策を擁護し続けた。
 二点目だが、ブラジルに深刻な影響を及ぼした国際的な経済危機の時である二〇一三年から、PTの諸政権は、何百万人という民衆を街頭に連れ出した民衆的決起により幅広い異議を突きつけられた。PTに近い知識人たちは、これらの抗議運動は保守的なものだった、そしてブラジルにおける新たなファシストの波を出発させた、と主張している。
 しかし私の見解では、それは不正確かつ正直ではない。いわゆる二〇一三年六月の日々は、ワールドカップ準備を背景に解き放たれた民衆による諸々のデモだった。それは、公共交通料金引き上げ反対の抗議で始まった。そして、二〇一四年ワールドカップと引き換えにした医療や教育に対する投資の取り止めへと、諸々の批判が拡大した。

PTの誤った対
応が反PT導く


 ここでの問題は次のことだ。まず一方で、これらの抗議行動の指導部に形をとった若い社会活動家の新世代がいた。そしてブラジルの大都市の一つの周辺を出身とする若い大学生である私自身その一例だ。しかしそうだとしても他方で、極右が街頭に出てきて、主な要求として腐敗反対の闘争を主張しつつ、それらのデモに加わった。
 PT政権の全体的対応は、デモに対する幅を広げられた抑圧だった。つまり、新たな威圧的な立法、そして新たな国家強制力、ファベーラの軍事的占領と大規模デモへの使用に向けてルラがつくり出した軍事的強制力、こうしたものの利用だ。
 当初、政府と統治に向けたPTの構想に疑問を突き付けたこれらの行動の方向は、左翼的観点からのものだった。左翼の伝統的な諸組織に対しては大きな疑問突き付けがあったとしても、全般的基調は、最貧困層の生活改善の防衛、つまり医療、教育、レジャーへのもっと多くの投資だった。
 しかしながら、大規模なデモの抑え込みによって、左翼への組織的な傾きはほとんど起こらなかった。PSOLやMTST(活動的家なき労働者の運動)のような諸運動の幾分かの成長があったとしても、PTを取り除くという考えが高まり続ける中で、その後の年月は、ほぼ極右の成長と組織化だった。
 腐敗を理由に現在獄中にある議員たちにより議会で進められたディルマ・ルセフ弾劾過程を通して、さらにルラの投獄を通して行われたことは、一人の判事(セルジオ・モロ)によって組織化された。この者はこれを政治裁判にし、彼の使命をまさに十全に果たした。それは、ルラの大統領選出を妨げるということであり、結果として彼は先週、ボルソナロの新司法相になった。

左翼的危機対応
の不在が根底に


 今日ブラジルで起きようとしていることは、資本をその危機から回復させる過程における極度に暴力的なやり方の結論だ。ブラジルは今日、史上最大の金融危機を前にしている。この危機の原因と解決に関する争いは二〇一三年を起点に始まった。ブラジルにおけるこの間の民主主義が抱えた脆い基盤、PTの構想に対する代わりとなる極をつくり出す点における急進左翼の無能さ、そして組織化の点で極右が確保してきた大きな能力(ブラジルでまた世界で)が、ブラジルでボルソナロが選出された理由を理解するための基礎を与える。
 私の家族は、ボルソナロに勝利を与えた貧しい労働者の一例だ。彼らにとってボルソナロは変化を意味しているのだ。暴力の程度がイラクやアフガニスタンのような戦争のそれをしのいできた一つの国の中でボルソナロは、「良い無法者は死体になった無法者だ」という彼の演説によって安全を意味している。私の親類にとって、ボルソナロは腐敗に反対する闘いを意味している。
 あらゆる伝統的な諸政党が腐敗にひたっている国で、PTですらこれまで伝統的諸政党との腐敗した関係を通してその政権に対する議会の支持を獲得し、そしてメディアから腐敗政党の最大事例とされてきた国で、ボルソナロと彼の党もまた腐敗しているという証拠があるかどうかということは、ほとんど問題ではなく、大事なことは、PTから政権を取り上げることになっているのだ。
 ボルソナロの驚くべき選出は、大メディアによって、またそれだけではなく極右が世界規模で与えられてきた組織的飛躍によっても扇動された、反PT主義によって説明されている。ソーシャルネットワーク内フェイクニュースの広範な利用は、しばしば正規のキャンペーン資金の外部で企業から資金を与えられている――ブラジルでは犯罪――が、それがボルソナロの場合、今日ブラジルファシズムの基盤となっている熱烈な活動家の部隊を組織する主要な方法だった。保守的なクリスチャン家族に安全と繁栄を約束しつつ、LGBTグループ、キロボラス(逃亡奴隷の末裔)、先住民、土地なき者たち、さらに家なき者たちを敵視するヘイトスピーチを彼が利用するやり方には、トランプとの類似性が数多くある。
 しかし、トランプとの間には大きな違いもある。ボルソナロと彼の新経済相が社会保障と国有企業を廃止し機能を発揮させたがっている新自由主義の課題、そしてまた左翼に対する憎悪のこもった攻撃性という、両者の点だ。ボルソナロは、公立大学と労働者の権利を終わりにすることに加えて、彼の政府はこの国から「赤」すべての逮捕と駆逐をやり遂げるつもりだ、と選挙キャンペーン中も公言し、選出翌日にそれをあたらめて確認した。そしてその「赤」としては主にPTとPSOLを指名した。
 彼は、軍事独裁が行った迫害を再開するつもりになっている。彼は前から、三万人を殺害するつもりであり、共産主義と左翼からブラジルを解放するためにはすべてがオーケイ、「無辜の人々」が死んでもかまわない、とまで言明してきた。彼はまた、ベネズエラ、エクアドル、ボリビアといったラテンアメリカの民衆的政権すべてに攻撃をしかけるとも誓った。
 彼はここに向けて、幅広い支持のネットワークを確保している。ブルジョアジーのほとんどは彼の側にいる。保守的な福音派指導者のほとんども彼の側にいる。一例は、「~の王国万物教会」(英国内に三〇の教会をもっているUCKG)の所有者であり、ブラジルで二番目に大きな通信ネットワークを保有しているエディル・マセド司祭だ。そして軍指導部も彼と共にある。司法の頂点はすでに、それに対抗する意志はないと示してきた。

幅広い連帯基礎
に抵抗組織化へ


 しかし疑問の余地なくわれわれは抵抗する! 今日PSOLのわれわれは、オルタナティブは民衆的決起、そして街頭におけるそれだ、ということに何の疑いももっていない。われわれは、これから来るものに対する恐れに屈服しないだろう。
 われわれは、ボルソナロの諸方策に街頭と議会で対抗する、幅広い民主的かつ反ファシストの戦線形成に期待している。そこには、伝統的にブルジョアジーに結びついているがボルソナロの構想を支持していない部分や政党、への期待も含まれる。われわれは、ボルソナロとブラジルファシズムに反対する民主派すべてを求めている! われわれは、民主主義を擁護する幅広い戦線だけが、ブラジルでファシズムが獲得した力に対抗できる、と理解している。
 われわれの党であるPSOLは、成長を遂げ、これからの年月に抵抗を行う民衆運動組織化における極としての強さを指し示した。われわれは、連邦議会と主な州に対する今回の選挙で大きくなった。われわれは、ブラジル左翼で最良の新しい要素となっている家なき労働者運動と先住民運動との間で、一つの連合を築き上げた。
 われわれは、ファシスト支配の正統性に限度を押しつけることは可能だ、と確信している。ブラジル人の七〇%はあらゆる年金改革に反対している。他方ボルソナロ政府は、福祉を終わりにし、預金システムをチリのピノチェトに似たものにすることを欲する、超自由主義的改革を適用しようとするだろう。ちなみにピノチェトのシステムは、銀行家のポケットを満たし、今日退職者たちを飢えさせているのだ。
 現時点は恐るべきものであり、一ヵ月でファシストの準軍事グループによって一〇人の死者が出ている。われわれの抵抗は知的でなければならない。われわれはこれ以上の殉教者を欲していない! このためには連帯が原理となる! われわれは、ボルソナロに対するわれわれの糾弾が可能な限り広げられることを必要としている。われわれは、このもっとも困難な時期にあなた方の保護を必要としている。われわれは、ブラジル内部の運動に対する支援の国際的ネットワークを必要としている。
 われわれがあきらめるつもりがないのはなぜか! われわれの希望は終わっていないからだ! 一〇月二〇日に街頭に繰り出した何百万人というブラジル人の情熱は、ファシズムの影に反対する民衆の抵抗が存在している、ということを示すに違いない。これがわれわれの強さだ!
 マリエレ、マオ・ド・カテンデ、さらにこの数カ月でわれわれの民衆を守るために殺害された何十人という社会的戦士の記憶にかけて、われわれには後退する権利などない! われわれの先住民衆の祖先や黒人ブラジル人やカボクロス(先住民と欧州人入植者の混血ブラジル人:訳者)の流した血にかけて、われわれは後退しない!
 同志たち、かつて以上に国際主義が必要だ。われわれはあなた方の連帯を必要としている! (「ソーシャリスト・レジスタンス」より)(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一一月号)
 

米国

騒ぎ、興奮、そして中間選挙

しかし危機の現実はそのまま

デイヴィッド・フィンケル


 以下は、米中間選挙結果に対する当地同志による短評。下院における民主党多数奪回や民主党内進歩派の前進、マイノリティや女性の議員増大などに、日本でも注目が集まっているが、ここではむしろ、その限界が強調されている。(「かけはし」編集部)
 多くの議論が行われている米中間選挙結果は、本記事筆者の観点では、「変革力」を宿した何かというよりも、むしろ「均衡揺り戻し」を表している。もちろん、議会両院に加えて大統領職に対する極右共和党の縛りが下院における新たな民主党多数により切断されることになることは、意味のあることだ。しかし、騒ぎと激しい興奮の後では、いくつかのはっきりした限界を理解することもまた重要だ。選挙結果は黒板に手書きされた、いつでも消せるものにすぎない。

トランプ政権の
悪政への直反応
まずはじめに、二〇一六年の大統領選挙がドナルド・トランプに僥倖的な選挙人団による勝利をもたらさなかったとしたら、というシナリオを想像してみよう。その場合われわれは、不人気なヒラリー・クリントン大統領のよどんだ新自由主義の二年に続いて、連邦議会と州議会の圧倒的多数を固める共和党の大々的な「赤い波」(赤は共和党のシンボルカラー:訳者)を見つめていたと思われる(特に、ニダース以上の民主党上院議席が危うくなって)。
代わりにこの一一月の鍵となった要素は確かに、トランプ政権の異様な実績――彼の基盤は好んだが、それ以外のほとんどには不快感を与えている見せ物――に対する大量の嫌悪だった。重要なことは、将来に対する進歩的な潜在的可能性を保持している印象に残る若者たちの出現と並んで、レイシズム的な投票抑圧およびトランプの反移民の悪逆に対抗する、アフリカ系米国人とラティーノの投票参加が拡大したことだ。社会保障、メディケア(六五歳以上の高齢者を対象とする医療保障制度:訳者)、またメディケイド(低所得者のための医療保障制度:訳者)を「改革する」(破壊する)という、またオバマケアの下での医療ケア保護の中でまだ残っているものを一掃するという共和党の計画は、彼らの今回の敗北では、明らかに巨大な要素だった。
もちろん、その比率がもっとも「先進的な」諸国およびいくつかの「第三世界」諸国をも含んだ基準に比較し哀れな水準のままであるとはいえ、議会に選出された女性が増加したことは前向きだ。しかしながら、変革力があると理解されてよい選挙結果として基本となると思われることは、強力な社会的動員という背景だ。そしてそれこそが、今回の選挙で起きていなかったことなのだ。
トランプのムスリム入国禁止に反対するヒロイックな決起、女性行進と♯MeToo、ブラック・ライヴズ・マター運動、移民擁護の諸行動などにもかかわらず、これまでこれらはほとんど時折起きる高揚にとどまり、まだ強力な自立的に持続するキャンペーンをつくりだしてはいない。教員の諸々のストライキ、腐った契約に対するUPS(米国最大の世界的宅配企業:訳者)労働者下部による拒絶、広範な「一五ドル要求闘争」、さらに他の組織化努力がたとえ極めて有望で非常に重要な兆候になっているとはいえ、もっとも重要なこととして、そこには大衆的な労働者の戦闘性という背景がないのだ。
白人労働者階級の相当な層がトランプ陣営に今もとどまっているという事実は、酔いを覚ます政治的現実のまま残っている。そしてその現実に対し、企業を推力とする民主党は意味のある代わりとなるメッセージを何ももっていない。

投票抑圧の認識
全般化は重要だ
他方、まさに久しくレーダーにはかからない低空飛行が続いた後で、投票抑圧が今や認識されているという事実は、筆者の見解では大きな展開だ。本記事執筆時点で、一つの主要選挙――ジョージア州知事選――が、数万もの黒人市民が有権者登録から詐欺的手法で取り除かれたことにより、成功裏に盗み取られた。この華々しい公衆への暴露の下では、投票権法の最高裁による骨抜きがあるとしても、このあからさまな騙しのレベルを繰り返すことは、もっと困難になるはずだ。
フロリダでの僅差となっている結果が今回どう出ようと(最終的に共和党の勝利となった:訳者)、元囚人に対する投票権の回復は、この州の有権者人口構図を変えることになるだろう。筆者の出身州であるミシガンでは、投票参加を確実にし、選挙区割りの恣意的で党派的なゲリマンダー化を終わりにする投票提案が、大差で承認された(レクリエーションとしてのマリファナ公認同様)(米国では、総選挙に合わせ各州で多数の住民投票が実施されている:訳者)。実にひどかったウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事の敗北が、そこでの投票抑圧の問題化に扉を開く可能性があるかどうかは、今後分かることとして残されている。
この中間選挙による均衡揺り戻しという全体的な現実は、二〇一六年に民主党の戦略家たちが愚かにも頼った有権者――幾分か「郊外に住む大学教育を受けた白人女性」と戯画化されて描かれた――が、トランプの見せ物の二年を経て今年は民主党に急転回した、ということだ。二〇一八年に跳ね返ったものは、もちろん次にも跳ね返る可能性がある。しかしまさに今、二〇二〇年のシナリオについて考えることは、筆者の胃が消化できることを超えている。
この混じり合った中間選挙結果に対する鋭い概要とそれが予示するものに関しては、ジャコバン誌掲載のマット・カルプによる有益な論考が参考になる。

民主党内左翼は
何かを変えるか
今回の選挙での左翼はどうだったのか? 残念ながらわれわれは、ニューヨーク州知事に対する社会主義者の緑の党候補者、ホーウィー・ホーキンスが党の投票用紙記載資格を維持したことで称えられてよいとはいえ、緑の党は成功しなかった、と認めなければならない。
米民主的社会主義者(DSA)から出ている評価は、一ダース以上のDSAメンバーの勝利として、つつましく0突破を称えている。そこには、ニューヨークにおけるアレクサンドラ・オカシオ・カルテス、ミシガンにおけるラシダ・トライブの国会進出、さらに州と地方自治体のDSA実質承認リストが含まれている。
相当な数になる左翼傾向のリベラルと並んだ少数の自称民主的社会主義者の存在は、民主党の「進歩的な翼」がこの党内に確かな適地を確保することになる、ということを意味する。彼らは、この党の投票基盤の一部に対し、魅力的な顔を提供するだろう。そして、もっとも意味のない文書である二〇二〇年党政綱起草において、それなりに重要な役割を許されるかもしれない。
しかしこの誰一人として、民主党が企業権力とウォールストリートの従者であり、その一道具である、という現実は変えないだろう。社会問題に関するその相対的に進歩的な立場(つまり、宗教的原理主義右翼に迎合する悪意のこもった共和党の諸政策との関係で相対的な)は、底に潜む事実を偽装するものにすぎないのだ。
われわれは、進歩的な民主党議員および修正第一条をまじめに考える他の政治家すべてが、係争中の「イスラエル反ボイコット法」反対で反乱することになるのかどうかを見守る必要があるだろう。ちなみにこの法は、大学構内とコミュニティ内のBDS(ボイコット/投資引き上げ/制裁)活動の無力化と犯罪化を狙いとしている。

持続的決起と
大衆行動こそ
この選挙の後には疑いなく、ホワイトハウスの大ボラツイートという日々の茶番劇をめぐる不協和音の高まり、同西棟内の内戦、ムラー捜査を終いにしようとの試み、弾劾に関わる空虚な騒音、さらに残るすべてが続くだろう。忘れてならないことは、投票の再集計がいつあるとしても、投票翌日も、新議会が招集される来年一月も、基本的な危機は残り続けている、ということだ。
気候変動の影響が追い打ちをかけた惨害の下で、カリフォルニアは今も焼かれ続け、フロリダとカロライナの町々は今なおハリケーンの破壊によりよろよろとしている。それはプエルトリコ全島の民衆と同じだ。米国の国境では、ICE(米移民・関税管理局)のテロ支配が移民コミュニティに猛威をふるっている中で、拘留キャンプに収用された難民申請者に対し、世界級の犯罪が犯されている。イエメンの子どもたちは、米国が供与したサウジアラビアの爆弾と航空機の下で、毎日何百人と飢えで死んでいる。大学生は債務で沈められ、家族たちは住宅の担保流れと水の停止で途方に暮れ、賃金は、公式の失業率が「記録的低さ」に達し、企業利潤は舞い上がっているのに、停滞している。
選挙はこれらの現実を変えるものではない――確かに自動的には――。変えるためには、持続的な決起と大衆的行動が必要だ。(二〇一八年一一月一七日)
▼筆者は米国の社会主義組織であるソリダリティが発行する「アゲンスト・ザ・カレント」誌編集者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一一月号)




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