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    かけはし2018年12月10日号

民主労総が強いからではなく軽いから攻撃される


経済社会労働委員会への参加問題をめぐって

キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯常任活動家)

  韓国では全国各地で、11月21日ゼネストが闘われた。経済社会労働委員会(経社労委)への参加問題が大きな焦点になっている。キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯常任活動家)が問題点を指摘している。(「かけはし」編集部)

困苦逃れる移民
と連帯示す民衆


 「青年失業無視」、「過剰な威力」、「乱闘場」、「怪物」、「経済を壊すガンのような存在」、「法律の上に君臨」……。 誰を指す言葉だと思うか。
 ここ1週間、記事のタイトルで「民主労総」を指した単語を検索した結果だ。
司法の積弊により「労組でない」との通報を受けたが、未だに労組ではなく全教組を社会的弱者ではないとし、苦しんでいた非正規職が集まってきちんと正社員への転換を行い、労組を作る権利がほしいと叫んでいる中、これが「君臨」となった。無制限の労働を強いるなと言うと「がんのような存在」となった それこそ「怪物を作る」マスコミだ。
 ところが民主労総との決別を求める朝鮮日報、中央日報、東亜日報ら一部メディアを除けば、これらの記事の結論は「民主労総がこれ以上闘争ばかりせず、対話と妥協に乗り出せ」ということだ。
 この政府が青年と非正規職のために努力しているのだから、民主労総は正規職の狭小な利益のために闘うことを考えず、青年と非正規職のための議論のテーブルである経済社会労働委員会(以下経社労委)に参加するようにという注文だ。しかし、経社労委に入らないことが本当にそんなに非難されることなのか?

政府は本当に民主労総と対話したかったのだろうか


 11月22日、経社労委は民主労総の参加なしに公式発足する。2018年5月の「労使政委員会」に名称を変更した経社労委は、労働界と使用者代表、そして政府と公益委員、計18人の委員が労働政策および産業・経済・社会政策について議論する社会的対話機構だ。
 しかし、民主労総が経社労委に参加しないことが対話をしないということなのか。上記の記事だけを見ると、民主労総がいかなる議論機関にも入っていないように見えるが、今も民主労総は、政府の複数の委員会で様々な議題について議論している。
 民主労総は2018年1月31日に発足した「労使政代表者会議」に参加し、社会的対話の正常化案と議題について協議してきた。
 ところが2018年5月、韓国労働組合総連盟と全国民主労働組合総連盟は「社会的対話不参加」を宣言する。最低賃金の算入範囲の拡大など、最低賃金法を一方的に改悪したためだ。最低賃金を少し上回る賃金を受け取っていた低賃金の労働者たちに悪影響を及ぼすことだったので、労働界は受け入れられなかった。
 一方で社会的対話をしようと言いながら、もう一方では一方的に労働改悪を貫徹させたのだから、抗議せざるを得なかった。韓国労総はその後、労使政代表者会議に復帰しており、民主労総は代議員大会の議論を残している。
 話し合いが必ずしも「経社労委」だけで行われなければならないわけではない。 民主労総はこれまで産別交渉の制度化を求めてきた。しかし、これに対して政府と財界がきちんと反応したことがない。また、労働基本権の保障と関連して、民主労総は労政交渉を提案した。
 労働基本権は憲法上の権利であり、それを制約する法律と施行令は政府が乗り出して解決すればいいため、「労・使・政」が会う理由はないということだった。ところが政府は「労・使・政の対話」だけにこだわった。社会的会話機構がなぜ必ず「経社労委」であるべきかについて政府はまだ答えずにいる。

経社労委は、「青年や非正規職の議題を扱うのか」


 国際労働機関(ILO)は社会的対話の基本条件として「結社の自由と団体交渉を含む労働基本権が尊重されなければならない」と語る。労働基本権の尊重は社会的対話の前提であり、交換の対象にならないという意味だ。しかし、この労働基本権がやりとりの対象になっている。
 労使政代表者会議傘下の「労使関係制度・慣行改革委員会」はILOの中核協約を批准するための議論を議題として取り上げた。その委員会の公益委員最終案は、労働者の団結権に関する立法事項は曖昧かつ抽象的に扱い、団体交渉や争議行為を制限する内容が含まれている。経営界の要求を反映して労働基本権制限を議論するという意味だ。
 また経社労委は発足と同時に弾力労働制を議論する別途の委員会構成に取り組んでおり、これが最初の全体会議で審議される案件だという。
 与野党協議体では、現行法上、最長3カ月の弾力労働制の単位期間を6カ月に増やすと発表し、経総は、李在甲(イ·ジェガプ)雇用労働部長官の招請懇談会で、弾力労働制の単位期間を1年に延ばすよう要求している。経社労委は、延長労働手当てなしに長時間労働をするよう強制する案を話し合う委員会を設置するという。
 経社労委には青年と非正規職のための特別委員会も設置される。 おそらくそこで多くの政策が議論されるであろう。しかし、企業に譲歩を求める政策に合意がなされるだろうか。
財閥請負立法である銀産(銀行資本、産業資本)分離などの規制緩和法は労働界が反対しても、与野党の合意で国会で処理されるが、非正規労働者の切実な要求である「元請使用者責任制度化」などは議論すらされていないからだ。

「正規職の利己主義」と
規定して無力化をねらう


 政府は、民主労総が社会的対話に参加しなかったため、雇用問題など多くの問題を決定していないように主張しているが、すでに政府は多くのことを一方的に処理した。
 最低賃金法と規制緩和法も一方的に処理したが、いわゆる「光州型雇用」も民主労総が低賃金の不安定な雇用だと批判すると、民主労総を除くまま韓国労総と協約を締結した。民主労総の反対のために政府が実行できなかった政策はない。
 しかし、なぜ政府は、民主労総の「経社労委」不参加にこのように不満をぶつけるのか。それは「参加して一緒にしよう」というより「反対するな」と読める。経済状況が悪化し、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「所得主導成長論」を事実上廃棄し、企業成果に再び依存し始めた。支持率に依存する政治をする文在寅政府としては、労働政策の迂回戦を批判する民主労総を不満に思うだろう。そのため、経社労委の地位に戻って政府政策に対する批判を抑えるか、民主労総の声を「正規職の利己主義」と規定して無力化させようとしているとみられる。
 民主労総を批判するのは、民主労総が強いからではなく、弱いからだ。正規職が自分の利益を守るために強硬闘争をしていると言うが正社員の組合員はむしろ闘争に文句を言う。あえて闘わなければならない理由がないからだ。
 今闘争する労働者は、最低賃金の算入範囲の拡大で手当てを削減された低賃金労働者、弾力労働制で長時間労働に苦しむ小規模の事業場の労働者、団結する権利さえ持っていない非正規労働者たちだ。
 11月12日から大統領府、最高検察庁、国会の前で絶叫した彼らは非正規職労働者だったが、いざマスコミは「民主労総が非正規職を考えず、強硬闘争をしている」と批判しているが、歪曲されたレンズだけで見ているようだ。
 労働者の生活と財閥の利益をやり取りしてはならない。
 1998年、労使政委員会は整理解雇制と勤労者派遣制を受け入れた。その見返りとして得たのが民主労総の合法化だった。財閥は、何も譲歩せず、非正規労働者の拡大で莫大な利益を得て、支配力をさらに拡大した。
 民主労総が合法化されたものの、リストラを恐れた正社員は、自分たちだけでも生き残るために非正規職に背を向けた。20年の歳月が流れた。青年らは、質の高い働き口がなく、競争し、絶望する。非正規雇用はさらに増えた。社会的対話と妥協を語る今、1998年の労使政委員会の前轍を踏むかも知れない。
 経社労委に参加して譲歩するよう民主労総に要求する。すでに強行処理された最低賃金の改悪と弾力労働時間制のほかに、何をさらに出さなければならないのか。「光州型雇用」のように正社員が賃金を大幅に譲歩すべきか。譲歩するとしよう。では、政府は労働者に何を与えるのか。

全教組の合法化や非正規職の労働基本権


 利益共有制もできないと言い、下請けに対する社会的責任も負わないという財閥が何かを出せばいいだろうか。いや、財閥に何かを出すように強制する力と意志はあるか。正規職の譲歩が、非正規職の労働条件の改善と青年労働者の良き雇用創出につながるのか。
 元請けの使用者責任を問う産業安全保健法改正案は、企業の反対で成立しなかった。パワハラ禁止法も国会に係留中だ。公職社会の不正撲滅のために闘った解雇者たちがまだ現場に戻っていない。 司法積弊で弾圧を受け、解雇された彼らはまだ街頭にある。
 「正規職への転換は偽物だった」と叫ぶ公共部門の非正規職労働者たちがいる。企業に対して「約束を守れ」と求め、1年を煙突で送る労働者もいる。違法に非正規職を使い、労組を弾圧した財閥トップらは、まだ処罰を受けていない。労働者たちにこの政府を信じろと言えるのか。
 「非正規職」と「青年」が引き続き持ち出されるが、経社労委の議論が非正規職と青年たちの暮らしを変化させるとは信じがたい。文在寅政権の公約は虚しい。「労働尊重」を放棄し、財閥の要求を受け入れる経済政策を選択しておきながら、それを隠す政府に絶望する。
 労働者全体のためだと主張しながら、いざ、まともな闘いができない民主労総に失望する。その状況で非正規職たちが「絶叫」する場合、それを「乱闘場」と表現するメディアに憤りを感じている。
 「道路絶望の社会」にならないために誰が乗り出さなければならないのか。

労働党と社会変革労働者党が懇談会開催

左派政党作りを模索

 11月19日午前10時、労働党と社会変革労働者党の懇談会が開かれました。この日の懇談会は、労働党非常対策委員会が社会変革労働者党の事務所を訪問して行われました。両党とも次期執行部選挙を準備する状況についての経過を共有し、両党の共同活動および左派連帯をはじめとする主要関心事について虚心坦懐に話し合いました。
 羅道源(ナ・ドウォン)労働党非常対策委員長は「文在寅の政権の限界が続々と現われ、あちこちで闘争が起きている状況だが、こういう時、大きな枠組みで左派政党が力を集める必要があると考える」とし「労働党と社会変革労働者党を始めとする左派の同志達が一緒に集中できる契機をつくれる」と明らかにしました。
 これに対し、金泰淵(キム・テヨン)社会変革労働者党共同代表は「連帯と共同活動は中央だけでなく地域でも重要だ」とし「地域によって連帯の経験に差があり得るが、今後連帯活動を拡張していくことが必要だ」と答えた。
 30分余りの間、歓談を交わした両党懇談会の出席者らは、今後の闘争の現場で、「もっと頻繁に会ってコミュニケーションしよう」という言葉で、懇談会を終えました。
 同日の懇談会には社会変革労働者党のキム・テヨン共同代表、カン・ドンジン共同代表、ペク・ジョンソン執行委員長、イ・ジュヨン政策宣伝委員長、イム・ヨンヒョン機関紙委員長が参加し、労働党からは羅道源政治非常対策委員長、チャン・シジョン非常対策委員長、チヨン・ジンウ非常対策委員会執行委員長、リユウ・ジュンヒ代表人が共にしました。(労働党のフェイスブックより)

朝鮮半島通信

▲朝鮮中央通信は1日、金正恩朝鮮労働党委員長が軍傘下の5月27日水産事業所、8月25日水産事業所、1月8日水産事業所の3カ所などを視察したと報じた。視察の日時は不明。視察には朝鮮労働党中央委員会の黄炳瑞第1副部長、趙甬元副部長、国務委員会幹部のキム・チャンソン、馬園春の両氏、人民武力省の徐紅燦第1次官らが同行した。
▲韓国大法院は11月29日、三菱重工業に対し、第2次世界大戦中に三菱重工業の軍需工場で労働をした韓国人の元徴用工らへの1人あたり最大で1億5000万ウォンの支払いを命じる判決を下した。
▲韓国と朝鮮の鉄道連結に向けた共同調査のため、韓国の鉄道車両が11月30日、ソウル駅を出発して朝鮮入りした。設備や施設更新のため、18日間にわたって朝鮮の線路などを調査する予定。調査は、朝鮮の黄海側の京義線と日本海沿いの東海線で行われる。東海線を韓国の鉄道車両が走行するのは、南北朝鮮の分断後初めて。
▲セヌリ党の羅卿ウォン議員ら与野党議員8名と独島相の運動本部の関係者や記者など計26名で結成された独島訪問団が11月26日早朝、竹島・独島を訪問した。韓国の国会議員の竹島・独島訪問は5月23日、10月22日に次いで、今年で三回目。
▲韓国が初の純国産宇宙ロケットとして開発中の「ヌリ」号に搭載する75トン級液体燃料エンジンの性能を検証するための試験用ロケットが11月28日、全羅南道高興の羅老宇宙センターで打ち上げられた。韓国の科学技術情報通信省はロケットの発射後、エンジンの性能の検証に成功した、と発表した。
▲韓国銀行は11月30日の金融通貨委員会で、1年ぶりとなる利上げを決定した。▲朝鮮の金日国体育相は11月27日午後、五輪関連の国際会議に出席するため来日した。
▲韓国軍は12月1日、江原道で、朝鮮人民軍の兵士1人が軍事境界線を越えて韓国側に入ったと発表した。





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