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    かけはし2019年9月16日号

市民がクーデターに不服従表明


英国

労働党、反ブレグジットへ

憲法的危機を右翼のもくろみ
を大衆行動で粉砕する転機に

アンディ・ストーウェ



 議会での審議を封じ、一〇月三一日の期限切れ、取引なしのブレグジット、という既成事実を国民に押しつけようとしたジョンソン首相のもくろみは、保守党内の造反を含んでとりあえず議会で押しとどめられたが、英国政治はさらに混迷を深めている。以下は、この状況の背後にある民衆の不服従抵抗を現地から伝えている。それ以前に書かれた、ジョンソンのもくろみへの大衆行動での反撃、およびそれに向けた労働党の決断を呼びかけた訴えと合わせて紹介する。(「かけはし」編集部)

抵抗運動のギア明確に変化

 ジェレミー・コービンは、議会を閉じようとのボリス・ジョンソンの企てに反対するため八月三一日に街頭に繰り出すよう、人々を励ました。大勢の群集がホワイトーホール(シティ・オブ・ウェストミンスターを南北に貫く通り:訳者)を満たしダウニング街(首相官邸がある:訳者)を封鎖、保守党極右によるクーデターと広く認められているものへの反対を、声に出して見せつけた。
コービンはグラスゴーでのもう一つの行動に姿を見せたが、ロンドンにはドーン・バトラー(影の青年担当閣僚)、ダイアン・アボット(影の内相)、ジョン・マクドネルが労働党指導部として姿を見せた。このロンドンの行動は、親残留、親コービン支持者で圧倒された。この行動は、労働党が自身を街頭における反ブレグジット運動の先頭におき、同時にその支持者にこれからものすごい選挙キャンペーンになるものに向けてエネルギーを注ぎ込んだ日になった、というようなような感じを与えた。
デモは、通常は急進的な政治行動のリストに載る呼び物にはならないいくつかの町や市でも、たとえばウィンザー(ロンドン西部の離宮所在地)、ボーンマス(イングランド南部の有名なリゾート地)、クリザーローを含んで行われた。いわば全国的な抗議運動が誕生したのだ。
このできごとのテレビ報道は、英国のデモ、そして感激を呼び一層戦闘的となっている香港で起きている抗議行動、この二つの間を行ったり戻ったりした。それはよい並列だった。両方の場合で民衆は、彼らが腐敗し反民主的と見なしている政府に反対する彼らの権利を守って街頭にいた。香港の抗議行動が現にあるようにより激しくなるとまさに同時的に、英国の諸々の集会もまたギアを変えることになった。ロンドンでは、市民的不服従、直接行動、そして毎日の抗議への呼びかけが、鳴り響く歓呼で迎えられた。

行動のテンポを一切緩めるな

 このデモの組織者の一人であるミカエル・チェサムは群集に、「われわれは彼(ジョンソン)に手を引かせるためにここにいる。それは、市民的不服従、そしてものごとを粉砕することもいとわないということ、を意味する」と話した。
現れようとしていることの暗示は、静かな抗議がロンドン中心部を貫く即興的行進へと半ば自然発生的に転換したことだった。イクスティンクション・レベリオン(「絶滅への反逆」運動、絶滅をも内包する総体的崩壊の危機への無策に抗議する運動:訳者)はこれまでこの種のことを行ってきた。しかしそれは今や、労働党と反ブレグジット活動家にとって一つの新しい戦術になっている。人々は、情勢は新しい方策を必要としている、と理解している。
緑の党を代表してはシアンベリーが発言した。発言者の後ろにあるスローガンが「民主主義のために闘おう、移民を守ろう、クーデターを止めよう」であったことを前提とすれば、アンナ・スーブリ(保守党を離党し独立グループを形成:訳者)、チェカ・アマナ(自民党:訳者)、といった人びとがそこにいなかったことは、仰天するようなことではなかった。
これは、彼らがまさに理解できない類の政治だったのだ。彼らが「もう一つの欧州は可能だ」のアレナ・イワノワ(労働党内モメンタムの活動家:訳者)のような組織者が、「われわれは移動の自由を擁護する組織化を進め、移民の防衛として街頭に出ることが必要」と語るのを聞くならば、あるいはロンドンのデモが「ベラ・シアノ」を歌い始めているとき、そこが彼らのいる場所ではないと悟るのだ。
したがって、われわれは保守党を分裂させている彼らの仕事の点で彼らに感謝するとはいえ、われわれには彼らが不必要だと分かっている。八月三一日は、労働者運動がジョンソンのクーデターに街頭で応じ始めた機会となった。また彼には、彼は彼が選挙について考えているよりもはるかに脆い、ということも示されている。
今基本的なことは、離脱派の底に潜む弱さを暴き出した一つの憲法的危機を利用するために、イングランド、スコットランド、ウェールズにおける行動のテンポを落とさないことだ。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年九月号)

英国

クーデター阻止の階級闘争を

カギは労働党

アンディ・ストーウェ

 保守党首相のジョンソンによる議会棚上げは「英国におけるクーデターそのもの」と、影の内閣のジョン・マクドネルが言ったことは絶対的に正しい。極右イデオローグたちの政府は、主権者でなければならないと彼らが力説したことそれ自体を打ち壊そうとしている。
 これは、英国労働運動全体に対する深刻な挑戦であり、情勢を新たなレベルに引き上げている。それは、ほとんど政府による反乱と言える方策であり、その政府は、その途上にはどのような反対派も現れてほしくないと思っているのだ。トランプとプーチンはその厚かましさを賞讃するに違いない。
 労働党は、この動きを止め、一〇月三一日の取引なしブレグジットを阻止する鍵だ。幸いなことに、コービン指導部がこれまで長い間鮮明な親残留の立場をとることに言葉を濁してきた中で、これは昨日変化した。その日コービンは、今後の数週間に向けた議会戦術を話し合うための野党指導部会合を呼びかけることで、反ブレグジットキャンペーンの指導性を発揮したのだ。
 ジョンソンの決定においてこれが一つの要素であったのかどうか、それはわれわれには決して分からないだろう。しかしそれは、諸々の職を破壊し、NHS(国民医療サービス、税金を財源に国民すべてに無料の医療を保障する英国の制度:訳者)という大きな肉切れを米企業に引き渡すという強硬右翼の計画、に対決するあらゆるレベルの闘争を導く上で、労働党を強力な位置に置いている。
 労働党はひょっとするとエリザベスのウィンザー宮に何らかの会釈を送らなければならないと感じているかもしれないが、これは階級闘争であり、階級闘争の方法で――すなわち、議会内外で、また街頭と職場で――対応が図られなければならない。もしジョンソンがこれに勝利するならば、われわれは深刻な苦難に陥ることになるだろう。
 一方には、エノク・パウエル(一九六〇年代後半に英連邦諸国からの移民流入を問題視し、有名な「血の川」演説など、差別禁止法採択に強硬に反対した保守党議員。これらが理由で影の国防相を解任された:訳者)の相続人、アイン・ランド(ロシア系米国人作家、最小国家と自由放任資本主義を個人の権利を守る唯一のシステムと擁護し、今も米国のリバタリアンと保守主義者に大きな影響力を維持:訳者)の称賛者、イギリス民族主義者、そしてDUP(民主統一党、北アイルランドの極右地方政党:訳者)から成る連合を率いるリーズ―モッグ(保守党の超保守派議員)とジョンソン、ファラージが立っている。他方には、われわれがいやしくも確認できたように、反ブレグジットの諸々のデモ、移民労働者、進歩派と国際主義者が立ち上がっている。これらは、五億人の自由な移動に対する支持者であり、気候変動への反対者だ。
 近年の最大のデモはブレグジット反対のデモだった。英国政治に対し何らかの理解力を持つ事実上すべての者は、それは大失策の路線であり、ブレグジット阻止が、イングランド、スコットランド、ウェールズの街頭に何十万人も集めるスローガンになっていることを分かっている。今や、何十万人という党員に巨大な抗議行動とデモを組織させることが、労働党の肩にかかっている。
 ジョンソンのクーデターは労働党にとっては一つの好機だ。保守党のブレグジットに対する抵抗はまた、今や幕を開けた選挙キャンペーンの切り離せない一部にもなっている。政府に向けた急進的な綱領と大衆行動に基づくブレグジット阻止が、われわれがクーデターを止める方法だ。
 八月三一日の抗議行動の全国的波に合流しよう。(「ソーシャリスト・レジスタンス」より)

▼筆者は「ソーシャリスト・レジスタンス」編集委員。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年八月号)

西パプア

国際共同声明 2019年9月4日

インドネシアは弾圧をやめろ

すべての拘留者を釈放せよ

 南アジア地域の左翼組織は、活動家や抗議行動参加者への厳しい取り締まり、弾圧に抗して以下の共同声明を発した。

 インドネシアの独立記念日である八月一七日、同国の武装警察、兵士、過激派イスラム武装勢力は、インドネシア・ジャワ島スラバヤ市で、西パプアの学生たちが住む寮を襲撃し、四三人を逮捕した。学生たちがインドネシア国旗の掲揚を拒否したことを理由に、この弾圧が行われた、と報じられている。インドネシアは一九六二年、西パプアに侵略し、それ以来残虐な占領を続けている。
これは西パプアの独立勢力を狙い撃ちにしたという装いで、市民の居住地域で行われた軍事的攻撃である。西パプアの旗(独立のシンボルである「明けの明星」が描かれている)を掲揚することは非合法とされている。
人権侵害、超法規的殺害、拷問、追放が広がっている。
西パプアの人びとは、恒常的に民族差別の下にあり、目撃情報によれば、八月一七日の攻撃において、学生たちは拷問され、「猿」「豚」「犬」などと呼ばれていた。
この攻撃に続いて、西パプアにおいては抗議行動が継続しており、幾千幾万もの人びとが街頭に出てインドネシアの体制的な人種差別に抗議し、自由と独立をめざす住民投票を求めている。
インドネシアのメダン、バンドンといった都市でも学生たちへの支援がある。
こうした抗議への回答として、インドネシア当局は一二〇〇人以上の軍隊を西パプアに派遣した。その中には悪名高い八八分遣隊も含まれている。同部隊はオーストラリアで、米国やイギリスも関与したかたちで訓練を受けており、今回のスラバヤでの襲撃にも加わっていると報じられており、西パプアでは治安弾圧部隊として定期的に使われてきた。この部隊は、西パプアの独立運動指導者ケリー・クワリク殺害の責任者だと報じられている。
抗議行動の参加者や活動家は、インドネシア軍に弾圧されている。インターネットはカットされ、ジャーナリストは同州に入ることを妨害されている。西パプアからの情報を妨害するためだ。「西パプアのためのインドネシア民衆戦線」のスポークスパースンであるスリャ・アンタも八月三一日に逮捕された。

 アジア太平洋地域の左翼組織を代表したこの声明は、以下のことを要求する。

1 西パプアの活動家、抗議活動参加者に対する弾圧をやめ、スリャ・アンタを含め、拘留されている人びとをすべて釈放せよ。
2 国際的な監視の下で合意された独立国民投票を通じたパプア人民の自決権を尊重せよ。
3 西パプアからの軍隊の即時撤退を。
4 パプア民衆に対するレイシズムと系統的な人種差別をやめろ。
5 西パプアでのインターネットアクセス修復を。
6 西パプアへの国際ジャーナリストのアクセスを認めよ。

署名組織

社会主義連盟(オーストラリア)、マレーシア社会党、インド共産党(ML・解放)、勤労大衆党(PLM フィリピン)、国際連帯のための韓国の家(韓国)、国境なき欧州連帯(フランス)、アジア・モニター・リソースセンター(香港)、社会主義労働者(タイ)、セデーン労総資料センター(LIPS インドネシア)、カソリック学生アジア太平洋国際運動(IMCS AP)、バングラデシュ社会党、ラディカル社会主義者(インド)、レフトボイス(スリランカ)、ファイトバック・アオテアロア(ニュージーランド)、アオテアロア連盟党(ニュージーランド)、オーストラリア・アジア労働者連携、社会主義オルタナティブ(オーストラリア)、反資本主義新党(フランス)、アシュ・ブレナン(オーストラリア、自由西パプアキャンペーン)、軍事紛争防止グローバル・パートナーシップ(GPPAC)南西アジア、国際対話のためのイニシアティブ(IID)、南西アジア紛争研究ネットワーク、社会主義アオテアロア(ニュージーランド)、民衆エンパワーメント財団(タイ)、左翼21(香港)、ワーカーコム(香港)、国境なき運動(香港)、インド共産党ML(レッドスター)



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