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    かけはし2019年10月14日号

日朝平壌宣言から17周年集会


9.17

朝鮮半島と日本に非核平和の確立を!


  「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注する」とした、小泉総理大臣と金正日国防委員長による「日朝平壌宣言」から一七周年になる九月一七日、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会が主催する日朝国交正常化交渉の再開を求める集会が、文京区民センターで開催された。会場は入口が立ち見であふれるほどで、三八〇人の参加があった。
 主催者あいさつを行った、総がかり行動実行委員会の福山真劫さんは「日本が国連加盟国のなかで唯一、国交がないのが北朝鮮だ。日本政府による歴史修正と在日への差別は国の責任だが、平和と民主主義を確立できていないことはわれわれの責任だ。差別をただちにやめさせることが重要だ。文在寅大統領は八月一五日に『過去は変えられないが、未来は変えられる』と発言した。韓国市民運動は日本との連帯を求めている。九条改憲阻止、沖縄連帯、東アジアの平和に向けて、大きな集会を政府に叩きつけよう」とアピールした。

和田春樹さんが
包括的な講演
この日の集会では三つの講演を受けた。和田春樹さん(日朝国交正常化連絡会顧問)は、「安倍首相と韓国・朝鮮」という題で、河野談話などの過去への反省や日本人拉致問題などをめぐるこれまでの安倍の政治的スタンスを分析しながら、今日の軍隊「慰安婦」や徴用工問題をどのように評価すべきであるか、また日韓・日朝政府間で抱える諸問題対処のためのいくつかの提言を行った。講演内容は以下のようなものだった。
@九七年二月に安倍は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」をつくり、河野談話に反対し、慰安婦記述を教科書から除去し、若い世代に誇りをもたす歴史教育をせよと主張した。韓国からの慰安婦問題告発に対抗する運動だった。〇六年総理になった安倍は、所信表明で拉致問題解決が内閣の基本課題だと宣言した。一二年九月に首相に復帰して安倍が主張したのは、河野談話の修正をめざすことだった。韓国では朴クネが大統領に就任して、安倍の歴史観を批判した。そして日韓対立にオバマ大統領が介入する。
A慰安婦問題の解決をオバマに約束させられる。そして一五年一二月、安倍は朴大統領に屈服し、国の責任を認めて謝罪し、請求権協定を越えた措置で「慰安婦合意」する。安倍の屈辱感は深かった。
B一六〜一七年にかけて、米朝対立は極限にまで昂進した。安倍は集団的自衛権行使の可能性を確保し、トランプに密着して、北朝鮮に対する制裁の極限化、軍事的威嚇の示威を推進した。一七年に登場した文在寅大統領は戦争絶対反対、同意なき軍事行動反対を表明した。そして五輪休戦から南北首脳会談と米朝首脳会談をとりつけた。これに安倍は二重の衝撃を受けた。文大統領が米朝の仲介に成功したことと、トランプが自分に相談なく首脳会談を即答したことである。
C安倍は文在寅大統領は親北だと反感を高めた。一九年一月の施政方針演説で、韓国を完全に無視する態度を示した。しかし直後の板門店での米朝韓三者外交でメンツを失うことになった。そして七月からの輸出規制措置、ホワイト国からの除外へと進んだ。
Dしかし安倍政権は韓国文在寅政権を「敵だ」と宣言することはできない。政権の意図を先取りしようと雑誌週刊誌が書き始めた。読売新聞の八月一八日号で慶応大学の細谷雄一は、安倍政権の対韓政策を支持した上で、地政学的に韓国は重要ではないと宣言した。大事なのは米国と中国だとして、米国との同盟の一層の強化と日中関係の安定的維持を主張する。このあたりが安倍の考えている表向きの線なのかもしれない。
E日本の国民が安倍政府の政策に支持をあたえているのは、文在寅政府の対日政策が理解できないためである。日韓両政府は日韓条約についてのそれぞれの理解を述べ合って、討論するところから政府間協議をはじめたらどうか。日韓条約は欠陥条約なのである。いまは徴用工問題に集中し、それが解決したら最後に残った問題である、朝鮮人BC級戦犯問題にとりくむべきだ。
F米朝平和プロセスには、北東アジアのすべての国が参加することが求められている。平壌宣言にもとづいて、直ちに大使館を平壌と東京に開き、交渉を開始することに踏み切らねばならない。それができないのなら、安倍は退陣すべきだ。安倍政府は今秋からの「幼児教育・保育無償化」措置からも在日朝鮮人の幼稚園を排除しようとしている。もはや忍耐の限界である。在日朝鮮人と日本人はともに立ち上がり、歩むときである。

共和国から見た
朝鮮半島情勢
朝鮮大学校教員のリ・ビョンフィさんは「朝鮮民主主義人民共和国側から見た朝鮮半島情勢」をテーマに講演した。講演内容の骨子は以下のようなものであった。
@東アジア冷戦構造の出現により、四八年に朝鮮半島に南北二つの政府が成立する。南北相克関係の解消に向けて「朝鮮統一と独立、民主化を妨害する米軍の即時撤退」を要求するなど、反米・反帝、朝鮮統一を主張して、南北総選挙の実施を提案するが、朝鮮戦争が勃発する。米国は停戦協議中に、対日単独講和に踏み切り、停戦後すぐにも韓米相互防衛条約を締結した。
一方ではソ連が主導する平和共存論が浮上する。朝鮮は軍縮措置を先行させるが、五八年に米国が韓国への核配備を開始させる。六一年に朝鮮は中ソ両国と友好協力および相互援助に関する条約を締結する。これは中ソの核の傘に入ることを意味していた。しかし冷戦の終結と米国による「体制転換・先制攻撃論」が現実化するなかで、金正日時代は核の兵器化と対米交渉の併走が、金正恩時代には核武力建設と経済建設の並進路線がとられることになった。
A一八年五月のシンガポールでの朝米共同声明の前提は「新たな米朝関係の構築が朝鮮半島、ひいては世界の平和と繁栄につながる」と確信、「相互の信頼醸成が朝鮮半島の非核化を促進する」との認識に基づく四項目の合意だった。
しかしハノイ会談での決裂後には、北南協調の停滞と軍事指導が再開された。米韓合同軍事演習に対する朝鮮の短距離ロケット実験は、米国へのメッセージだった。そしてボルトンが解任された。
B朝米協議を周辺の四者が後押しする枠組みが必要だ。しかし安倍首相はこうした状況を望んでいない。また日韓・日朝関係や、米中・米ロ関係も厳しいなかにある。それは東アジアをめぐる脱冷戦と新冷戦のせめぎ合いだ。
日本の立ち位置は重要である。朝鮮は「外交圧力をやめろ。過去の清算をしろ。在日への差別をやめろ」と、要求している。朝鮮学校への差別政策の転換が新たな扉を開ける契機になる可能性はあるかもしれない。

韓国市民社会の
高まる「成熟度」
集会はその後、映像「八・一四〜一五ソウル行動の記録」を上映した。この日の最後の講演は「日韓関係の現状から考える朝鮮半島の平和と日本」というテーマで、韓国ゲストのカン・へジョンさん(アジアの平和と歴史教育連帯国際協力委員長/正義記憶連帯運営委員)が、完璧な日本語で行った。カンさんからの問題提起は非常に興味深いものがあった。
「日韓両国市民感覚の違いは、両国社会の変化に対する姿勢の違いからきているのではないだろうか。安倍は『韓国は約束を守らない』と言っているが、これは安倍の主張だけではなくて、市民社会のなかにも同じような考えが存在しているのではないか。『いつまで謝っているんだ』という意識が、市民のなかにもあるのではないか」。
「韓国社会は、市民が何度か政府を変えてきたということがあった。それは『過去より良い今』を実現しようとすることだった。日韓の両国政府を共に批判の対象とするときに日韓市民が連帯できるのではないか」。
「政府や国家の目線からものごとをとらえようとすることは問題だ。国民という立場からの目線で、ものごとを判断しなければならない。歴史問題の発生が、ナショナリズムだ! という考えには違和感を持つ」。
「韓国は八〇年代後半から民主化が進み、それまでの反独裁から社会のいろいろな問題をとりくまなければならない状況になった。それは政治問題だけではない。九〇年代以降になってからは、過去の清算問題(日帝時代の親日派に対する)などが韓国社会の民主化のために繰り返されるのと同時並行して、新しい日本問題も浮上してくる。徴用工問題は民主化を高めるための歴史問題であり、『民族主義をぶつけられている』ということではない。あくまでも韓国民主化のための日本問題のひとつなのだ」。
「『タマネギ男』という報道は、日本ではじめて目にした。『××日報』などの韓国保守情報が、日本のマスコミのベースになっている。そしてそれが日本で受けるように加工されている」。
「不買運動は日本への意思表示だ。代替製品の案内も行い、旅行に行かないというキャンペーンも行われている。ロウソク革命を経験していることが大きいと思う。情報を見極める力だ。不買は見えにくいが、旅行は目立つかもしれない。特に地方への影響は大きいのではないか。そのように直接意思を伝える方法を考える。指導部がいない集団、若い世代が反応する。古い世代は今でも植民地主義の影響が浸透していて、家電なども今でも日本製がいいと信じている。しかし経済格差は一・一倍まで縮まっている」。
「韓国男性による日本人女性観光客への暴力事件や、ソウル市内の区長による『NO JAPAN』のペナント設置に対しても『日本の右翼を利する行為だ』と批判する声が噴出した。状況を判断する能力を身につけているということだ。この時期から運動も『反安倍』になっていく」。
「いまの日本の現状を支配する力はどこにあるのだろうか。マスコミなどの情報源にあるのか、それとも市民の意識のなかにあるのか。それでも共有できるものがあるはずだ。平和・民主・人権だ。韓国市民の安倍への不信は、こうした流れを『邪魔したいのだ』ということを見てしまったからだ」。
「平和のために日本は必要だ。市民がけん引してほしい。平和な日本のためにこそだ。安倍は外部に敵を必要としている。日韓市民は平和のためにたがいを必要としている。市民の中へ!」。
集会はその後、「集会決議案」を朗読採択し、三・一独立運動一〇〇周年キャンペーンの渡辺健樹さんの閉会あいさつで終了した。          (R)

9.26

名古屋で講演集会

止めようペルシャ湾への自衛隊派遣

 【愛知】九月二六日、午後六時半から名古屋市のイーブルなごやで「ペルシャ湾への自衛隊の派遣を止めよう!」飯島滋明さん(名古屋学院大学教授・憲法学・平和学)講演会が不戦へのネットワークの主催で行われ、三〇人が参加した。
 二〇一八年五月、アメリカのトランプ大統領はイラクとの「核合意」から離脱し、イランに対する経済制裁を再開すると発表した。緊迫した情勢の中、アメリカはホルムズ海峡での民間船の安全確保を口実にして各国に有志連合構想「海洋安全イニシアチブ」の結成を呼びかけイラクへの軍事重圧を強めようとしている。同盟国である日本に対してもアメリカは参加を要請している。

海部内閣が
派兵に道筋
主催者あいさつで集会が始まり飯島さんが講演を行った。
「武力行使をめぐる国際法の在り方については、国連憲章では武力不行使が原則で個々の国の判断だけでの軍事行動は、国際法上違法である。過去における多国籍軍と自衛隊の関与では湾岸戦争のとき日本は一三〇億ドル(一兆五五〇〇億円)の経済的支援を行ったが自衛隊は派兵しなかった。クゥエートはこの戦争に参加した各国に感謝決議をした。
この決議が「ワシントンポスト」に掲載されたが日本は感謝の対象にはならなかったという。このころから保守の中から金だけではなく人も出すべきだと発言する者が出てきた。その後、海部内閣(当時)は自衛隊法九九条を拡大解釈し掃海艇派兵を強行し、自衛隊海外派兵の道筋をつけた」。

イラン核合意
から米が離脱
「二〇一五年七月イランとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアとの『核合意』が結ばれたが二〇一五年五月八日アメリカは離脱した。その後ホルムズ海峡でタンカー襲撃などがあり緊張状態になった。イランも合意で決められた核開発の制限を全面的に解除した。だがそれはイランと対立するサウジアラビアも核武装する可能性をよびおこす。アメリカは有志連合を呼びかける際、二〇一八年六月二四日、日本と中国を名指しして『なぜアメリカが他国のためにタダで航路を守っているのか。彼らが自国の船を守るべきだ』と批判した」。
「有志連合参加を主張する政治家や保守論壇も多く出てきた。二〇一五年の安保法制定のとき、安倍首相は集団的自衛権行使の一例に『ホルムズ海峡の機雷除去』をかかげたが現在は海峡封鎖までには至っておらず要件は満たさないとの見方は強い。しかし、安倍政権がアメリカの要求を断れるかどうか? そして『法』を守るのかどうか? 『存立危機事態』を主張しないと言えるかどうかは分からない。今、安倍政権はアメリカの言いなりになっている状態だ」。

有志連合参加で
石油を確保?
「石油確保のために自民党や保守層から有志連合への参加を主張する声が多くなっているが有志連合に参加すれば石油を確保できるのだろうか? イランが有志連合に参加した国を敵対行為とみなす危険があるし、『アメリカに守ってもらうため』というが一九八二年四月二一日アメリカ上院議院でワインバーガー国防長官はアメリカ軍は日本を守るために日本に駐留しているわけではないと発言している。アメリカは軍事目的のために日本を利用している」。

トランプの言い
なりになる安倍
「『日本のため』に活動するのであればドイツのように外交手段を模索することが求められる。安倍首相がイランのロウハニ大統領と会談したとき日本のメディアは好意的に報じたが中東情勢を不安定に追いやったトランプの言いなりになる安倍首相を批判することができない」。
「テレビでは韓国の汚職問題の報道であふれているが日本の政治家たちの汚職や疑惑は追及しない。日本の御用メディアに代わり有志連合の自衛隊派兵の危険性を社会に提起することが市民運動に求められている」。

有志連合参加
を阻止しよう
講演が終わり、質疑応答と討論が行われた。有志連合の実態と危険性を広く訴え、戦争法発動、有志連合参加を阻止するための闘いに全力をあげよう。(越中)



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