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    かけはし2019年12月2日号

変革求め決起した民衆に連帯を


チリ

ピノチェト体制継続ノー

2019年11月8日 第四インターナショナルビューロー


ピニェラ政権
孤立が全面化

 一〇月一八日以来われわれは、チリにおける人民連合の時代(一九七〇―七三年)以後ではもっとも強力な民衆的な高潮を見続けてきた。新自由主義、権威主義、腐敗に反対する大規模な運動によってけいれんさせられている世界的背景――ここ数ヵ月には、フランス、プエルトリコ、香港、レバノン、チリ、エクアドル、ホンジュラス、ニカラガ、ハイチ、イラク、スーダン、アルジェリアで反乱が起きてきた――の中では、チリの民衆反乱には巨大な重要性と象徴となるものがある。
非常事態宣言と夜間外出禁止令、加えてピノチェト体制のものをしのばせるテクニックを持つ軍の動員を基礎にした、ピニェラの残忍な政府による弾圧は、決起を止める代わりに、それに油を注ぎ、この国における憤りと政府の孤立を全般化するにいたった。チリの反乱は、二、三週間前の先住民の大衆が先導したエクアドルにおける民衆的決起の勝利と並んで、再びラテンアメリカを、新自由主義に対する衝突における前衛の位置に置いている。

運動の口火は
若者が切った


 この運動は、セバスティアン・ピニェラの右翼政権による一〇月四日の地下鉄料金値上げに対する返答として始まった。一〇月七日に高校生が、「踏み倒せ、払うな、それが闘うもう一つの方法」とのスローガンの下に決起し、無賃乗車を敢行した。反逆のこの姿勢が、何年かの社会的不穏を経て、しかしまた民衆諸層の忍従と意気消沈の年月の後で、導火線に火をつけた。「覚醒」はこの決起の中に最も数多くあるスローガンの一つだ。われわれが強調しなければならないことは、若者の急進化における、および現在の運動をもって孵化するにいたった社会的決起復活の分子的進展過程における鍵になる役割を、学生の闘争――特に二〇〇六年と二〇一一年に起きた――が果たした、という事実だ。
 一〇月一四日、交通利用「踏み倒し」は早くも大規模になり、地下鉄駅は閉鎖された。同一八日には、国家警察隊との最初の衝突、最初の鍋叩きをもって、政府部隊との直接衝突が勃発した。同日ピニェラ(この国の最も裕福な者の一人でもある)は、さらに勇気を燃え上がらせたものになった地下鉄駅といくつかのスーパーマーケットにおける火災への対応として、移動と集会の自由を制限する非常事態を宣言した。その時点でサンチャゴは麻痺状態になり、運動は各地に広がった。次いで政府は夜間外出禁止令を課した。大衆はこの禁止令を守らず、残酷な弾圧が解き放たれた。

残虐な弾圧が
決起を強める


 チリ全国人権調査機関のデータによれば、この僅か一五日間で、一五七四人が負傷で入院した。そこにはプラスチック弾を受けた四七三人、識別不能な小火器による負傷者三〇五人、実弾による負傷者四〇人、さらに目の負傷者一五七人が含まれている。政府機関は、ホモ殺人五件、性暴力一八件を含む、一七九件の起訴状を提出した。加えて、これまでに全国で四二七一人の逮捕が記録されている。それ以上のこととしていくつかの情報源は一〇月二七日に、抗議行動の中での四二人の死者と一四一人の行方不明者をすでに数え上げている。これらの数字は、弾圧の激しさに対する一つの像を与えるものだ。
 それにもかかわらず、民衆の怒りは決起を強める一方であり、それは一〇月二三日と同二四日のゼネストを受けて、一一月一日の行進の中でもう一つの頂点を経験した。

新自由主義の
最初の実験国


 憤激、不満、苦悩は多年にわたって蓄積した。平和的な抗議行動は無視された。チリは、新自由主義モデル適用における草分けの国であり、その体系的な結果によって特徴づけられている。その結果とは、国民所得(他方ではOECD諸国に近い)の高度に退行的な配分の結果としての圧倒的な社会的不平等であり、IMFと自由貿易協定により課せられた諸条件に言いなりであること、そして世界市場と多国籍企業の利害に対するこの国の従属的統合に向け選択された道だ。それは、破壊的な環境的結末すべてを伴った、地下資源採掘依存とアグリビジネス依存を深刻化したモデルだ。
 チリは何年にもわたって、「発展したいと思っている国に対し新自由主義が行う善行」の一例として挙げられた。何千人というラテンアメリカ人が、消費の天国への統合という希望をもってチリに移住している。
 新自由主義の体制は、命とその再生産を可能にするあらゆる社会的権利と要素を私有化し、商品に変えた。医療、教育、住宅、社会保障、道路交通、電力、水その他がそれだ。すべてが私有化され、市場論理の下で動いている。不十分な俸給という背景の中では、消費者としてこの拡張的市場に統合され、必要な商品を得るためには二つの方法しかない。一つの方法は同じ懸命さで二倍働くことであり、他は借り入れに頼ることだ。どちらの方法もいわば時限爆弾だ。

民主主義移行の
偽制度が危機に


 ピノチェト軍事独裁の終焉と民主政府によるその置き換えは、新自由主義に終止符を打つことはなかった。コンセルタシオン(協定)、ヌエバ・マヨリア(新多数派)、および右翼の各政府は、独裁の時期に制度化された社会的、経済的、憲法的体制の基本を維持してきた。勤労民衆、学生、女性、年金生活者、先住民衆は、ものごとのこの体制を終わりにするために何年も闘ってきた。民衆の票によって選出される目的で変革を約束した者たち――コンセルタシオンと新多数派――は、独裁が取り去った権利を民主主義の中で回復するという、民衆が抱いた期待をあらゆる点で裏切った。
 民主主義への移行を率いた諸政党と民衆間の距離は日毎に開いた。今日、両者を深淵が分け隔てている。限定された民主主義のモデルは、民衆と政治的エリート間の分離を深めるメカニズムをあらかじめ折り込んでいたのだ。
 今日人々は、新自由主義とその結末に反対するだけでなく、一九九〇年に発足した政治体制にも反対して立ち上がっている。その後者の体制は、ピノチェトの軍部がもつ政治権力を変えないまま維持したのだ。
 今日、富裕層を豊かにし、人々を消費と麻薬の中で、原子化、断片化、疎外化が続くままにとどめるために考案された、こうした民主主義の三〇年に対する憎悪が明らかになっている。人民という主体の断片化は、独裁から引き継がれた法的な仕組み、および労働の諸関係によっても力を与えられている。階級闘争の発展を可能にする諸勢力の接合を妨げることが、支配階級の戦略的な目的になっているのだ。
 汚職と専横が国家機構、ビジネス、カトリック教会を横断して広がり、諸々の福音派教会、国家警察、軍部、上院議員、下院議員は何十億ペソをもすでに盗み取り、事業家たちは議員にカネを払って彼らの利益になる法案を起草させる。そしてこれらが気付かれることになった。教会の重要人物は、子どもたちを性的に虐待してきた。そしてこの国は真実を知ることになった。
 あらゆる諸機構に対する不信と憤激が高まり続けている。「理由は、三〇ペソではない、三〇年だ」は、一九八九年憲法を変えるための国民投票の中での諸政党と軍部の取引を通じた「民主主義への移行」の三〇年対地下鉄料金三〇ペソ値上げ、に注目を向けさせ、ソーシャルメディア上でウィルス的感染力をもつ内容を主張している。
 この国で今なお有効なピノチェト主義の憲法内に恭しく規定されている独裁の諸支柱が支える、この合意によるまた絶えず監視を受けた民主主義こそがまさに、抑制された巨大な不穏の理由の一つだ。そしてこれがまた、民衆運動の広範な層内部における、憲法制定会議を求める要求の拡大がもつ重要性をも説明している。

民衆的レベルで
自己組織化開始


 疑いなく、この数年の民衆的闘争がチリにおいて、民衆の自己組織化がその上で発展し続けている基礎的地層を準備してきた。二〇一一年の公教育に対する権利を求めた学生反乱(「ペンギン反乱」)、地下資源採掘依存反対の社会的・環境保護の諸闘争、自らの権利を求めた先住民衆の諸闘争、差別と虐待に反対した大学生と高校生の反乱、二〇一八年と二〇一九年の三月八日における女性の組織化とストライキ、これらが現在の社会的爆発に向けた客観的かつ主体的条件をつくり出すことになった。そしてその爆発は、労働者諸階級、現場と地域の諸々の委員会に組織化された女性たち、貧困に突き落とされた中間諸階級、さらに最も貧しくされた諸層によって先導されている。それはあたかも、この数年闘争に入った各層の独自の諸経験が、抑圧的で搾取をもっぱらとする体制に反対する一つの国民的運動へと流れ込むことになった、かのようだ。
 ピニェラは、何らかの効果があるような策謀もないまま彼の内閣のかなりの部分を解任したが、大部分は議会野党の極めて広範な部分の受動性によって、その地位を保っている。しかし進行の急進化と最高権力に対する高まる一方の敵意が、居住域と現場の自己組織化の力学に扉を開き続け、ここにこそいわゆる「カビルドス・ポプラレス(人民議会)」がある。
 抗議の持続期間と規模の大きさが、前述の自己組織化力学と一体になって、チリの労働者運動と民衆運動の共同した再構成に向け諸々の基礎を据え続けているように見える。ちなみにそれらの運動は、独裁の恐るべき打撃や新自由主義の原子化、またそれに伴っている不安定な労働の諸関係から、未だ自らを再建することができていないのだ。今回の日々の激しい政治化が、民衆内部で以下の考えを成長させている。それは、現憲法は終わりにすることが必要だ、しかし必要な憲法制定会議は民衆的であるべきだ、つまり、それは民衆の自己組織から切り離された代表に限られてはならない、という考えだ。したがって、民衆的憲法制定権能は、労働者間の、現場の諸総会や居住域内の、先住民衆、女性組織、若者、諸労組内部の、国民的論争を基礎にしなければならない。

政治変革に向け
ピニェラ打倒へ


 われわれは第四インターナショナルから、チリの民衆運動にわれわれすべての連帯を送りたい。そしてピニェラの残虐な抑圧を糾弾し、チリにおける実体のある政治的変革に向けた前段として、彼の辞任を要求する。われわれは、民衆的動員が独裁の遺産に対する本物の決裂を可能にしつつあるということ、そしてそれが、新自由主義が初めて適用されたこの国における、新自由主義諸政策を阻止し克服する中心的支点であるということ、を確信している。
 われわれが特に支持するのは、自己組織化の最も進んだ進行を力づけつつあり、進行中の展開に戦略的な展望と方向性の諸要素を提供できる、急進的であるとともに統一した、一つの明確に区別されたブロックを明瞭に表現できる反資本主義的で革命的な綱領を掲げるために闘争中の、チリ民衆運動の反資本主義、エコ社会主義、フェミニストの諸部分だ。

チリ民衆に連帯を!
抑圧を止めよ!
ピニェラ打倒!
自己組織化と民衆権力に向け前進を!
民衆の自己組織化を基礎にした民衆的憲法制定会議を!
チリの反資本主義的、エコ社会主義的、フェミニスト的左翼に対するわれわれの全面的支持を!
(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年一一月号)  

 


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