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    かけはし2020年1月1日号

 平和と人権の東アジアを作ろう
香港・韓国・沖縄の人びとと共に


労働者・市民の闘いで安倍を倒そう!

2020年の闘いで改憲にとどめを

21世紀の社会主義への扉を開け


政権の足もとが揺らぐ


 安倍首相の首相在職日数は二〇一九年一一月二七日で、第一次と合わせて二八八七日となり、「大正デモクラシー」運動で政権の座を追われた長州閥の軍人政治家・桂太郎の記録を塗り替えることになった。安倍の自民党総裁としての任期は二〇二一年九月までだが、もちろん安倍の悲願は、「首相在任最長記録」を更新することではなく、自らの手で九条改憲を実現することである。
 安倍の思惑が、新天皇の即位、そして東京五輪の開催とセットにして現憲法に代わる「新憲法」を制定・施行することにあったことは間違いない。もともと「生前退位」反対の伝統的天皇主義者であった安倍は、敢えて二〇一九年の「代替わり」儀式を大々的な国家イベントとして演出することで、「新しい時代」=「新しい憲法」を掲げた戦争国家への道を切り拓こうとしたのである。
 トランプのアメリカの強い要請に基づく中東・ペルシャ湾への自衛隊派遣は、地球大のレベルでの自衛隊の実戦参加の可能性を大きく切り拓くものである。また急速に悪化した日韓関係は天皇制日本帝国主義の朝鮮植民地支配を肯定的なものとする、安倍首相自身の歴史観が重要な要因であることを忘れてはならない。
 しかし二〇一九年の間に、衆参両院の憲法審査会で九条改悪を中心にした改憲案の審議に入り、あわよくば衆参両院三分の二を上回る賛成で、国民投票に持ち込む手続きを完了させようとした安倍政権の目論見はついえ去った。それどころか、二〇二一年の総裁任期切れ前に、「改憲発議」と国民投票の実施に踏み込もうというプログラム自体が、このままでは危うくなる事態になっている。
 改憲強硬派で固めた第四次安倍改造内閣の発足直後から、菅原一秀経産相が地元選挙区有権者への贈答・香典問題、河井克行法相が妻の参院選立候補にあたっての公選法違反といった不祥事で辞任した。さらに萩生田光一文科相の親の所得と教育機会の差別を結びつける「身の丈」発言によって次年度の大学入学共通テストで導入される予定だった「英語民間試験」が延期されることになった。改憲発議を想定した「安倍お友達」内閣は、傷だらけとなってしまった。
 こうした事態に危機感を隠しきれない安倍派の幹部や「読売」「産経」などの親安倍の右派メディアからは、党規約による三期までの自民党総裁任期を延長して、四選まで認める、というアドバルーンも上げられようとしている。しかしそれは、自民党内で安倍派の求心力を急速に削ぐ結果をもたらしかねない。
 さらに安倍首相夫妻自身による「桜を見る会」のスキャンダルは、自民党内部の安倍首相への支持を低める要因となるだろうし、憲法改悪のプログラムそれ自体にも重大な影響を与えることになった。

「韓国叩き」をやめよ

 長期政権の末期につきもののこうしたスキャンダルの発生は、安倍政権の政治的体力の限界・低下を象徴する事態である。それは決してたんなるエピソードではない。
一連のスキャンダルは、ブルジョア議会政治で繰り返される、よくありがちな出来事であったとしても、労働者・市民にとっては「長期政権の終わり」を印象付ける契機となりうる。それは安倍政権の「終わりの始まり」という感覚を人びとの間にかきたて、安倍首相の悲願である改憲プログラムを破たんさせる流れを生み出すことになるだろう。労働者・市民の側はそのために全力をあげなければならない。
「改憲プログラム」をめぐる攻防における安倍政権のつまずきは、議会政治にとどまらない人びとの意識における「転換」の力学を解き放つことになるだろう。
それは構造的な矛盾と危機を抱え込んだ今日のグローバルな資本主義システムの中で、新しい労働者・民衆運動の再構築のための土台を形成する契機となる可能性があるだろう。その意味でも、労働者・市民の安倍改憲阻止の闘いは二〇二〇年、いよいよ決定的な局面に入る。
改憲阻止の闘いは、九条を中心とした条文改悪阻止に限定されたものではない。改憲阻止・安倍政権打倒の闘いは、それ自体、国家・社会のあり方を根本から問い直すものでなければならないし、そうであるからこそ、東アジア、そして全世界の民衆的闘いとの重層的なつながりを持って作り出されねばならない。
われわれは、そのためにも労働者・市民の多様で、自発的な運動の広がりとの連関で改憲阻止の広範な闘いを構想する必要がある。そのためにも九条改憲反対の国際的展望と意義が問われることになるだろう。
とりわけ中国共産党の強権支配と暴力支配に対して自由と民主主義を掲げて持続的に闘い、一一月の区議選で圧倒的勝利を勝ち取った香港の若者たちの運動、さらに朝鮮半島の統一・平和・民主主義・人権を求める韓国の長期にわたる民衆運動、そして沖縄の辺野古新基地建設に反対する「島ぐるみ」の闘いに見られる、東アジアの闘いとの結合こそが、日本における新しい政治のための要件となるだろう。改めて東アジアの民衆的闘いを学び、交流し、その訴えを人びとに届けるところから始めて、自らともにつながろうとする闘いをつくり出そう。
今日、われわれが注意しなければならないのは政府・右派メディアが駆り立てている、おぞましいまでの韓国への差別・敵意をむき出しにしたキャンペーンである。極右勢力は、韓国のムン・ジェイン政権にターゲットを絞ってあらん限りの罵倒を繰り返しているが、それはたんにムン政権批判にとどまらず韓国人という存在そのものへの否定にまでエスカレートしている。
われわれは今こそ朝鮮半島、沖縄、そして香港を射程に入れた東アジアのスケールにおいて労働者・民衆の相互的交流、共同の闘いを作りだそうとする取り組みを強めていく必要がある。二〇一九年の東アジアは、そうした情勢を改めてわれわれに突き付けている。
そして二〇二〇年、われわれはこうした東アジアレベルの「交流」から始まる共同の闘いのプログラムを共に作りだす作業に挑戦していこうではないか。

STOP気候変動


この一年間、労働者・市民はどのように闘ってきたか。まず第一にあげなければならないのは沖縄の闘いである。二月二四日に行われた沖縄県民投票は、有権者の過半数を超えた五二・四八%の投票で辺野古埋め立て反対が七二%、賛成が一九%、どちらでもないが九%という数字で、七割以上の県民が辺野古新基地建設に反対していることをあらためて明らかにした。大学院生の元山仁士郎さんを代表とした若者のイニシアチブであらゆる妨害をはねのけて実施された県民投票は、この上なくハッキリと新基地NO! を確認することになった。
沖縄県民投票での勝利は、参院選にも引き継がれ、「オール沖縄」の高良鉄美候補が圧勝した。安倍政権は「辺野古埋め立て強行」に固執しているものの、その目途は全く立っていない。
今日のグローバルな社会運動において、最大の注目を集めてきたのが地球温暖化への危機感に発する切実な訴えだった。日本が地球温暖化対策で、いかに世界の水準からかけ離れた現実にあるかは、一二月の第二二回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)での小泉進次郎環境相の演説が、日本の石炭火力発電推進政策を正当化するものだったとして二回目の「化石賞」が「授与」されたことに示されている。ちなみにもう一人の「化石賞受賞者」はアマゾン川流域の森林火災の原因を先住民の責任に転嫁した悪名高きブラジルのボルソナロ大統領だった。
この点では、グテーレス国連事務総長の警告にも関わらず「いまだに大量にCO2を排出する石炭火力発電所が二〇カ所以上、建設中もしくは建設計画のある日本の状況に、世界から厳しい目が向けられている」(『世界』二〇一九年一二月号、国谷裕子「若者たちの厳しいまなざしのもとで」)という指摘を、社会運動にたずさわるすべての人びとが、繰り返し胸に刻み込む必要があるだろう。
昨年、九月から一〇月にかけて東海、信越、関東、東北などに豪雨による甚大な被害をもたらした台風15号、19号、21号の襲来は、新自由主義的資本主義システムが地球環境にもたらした破壊的作用(海水面上昇含めて)の直接的結果であることを誰も否定できない。詳しくは今号をふくむ本紙に掲載した関連論文を読んでいただきたいが、いまや温暖化・環境破壊にかかわる論議は、世界的に最も真剣な政治課題になっていることを改めて確認すべきである。
スウェーデンの一六歳の高校生グレタ・トゥンベリは、毎週金曜日、学校を休み(一人からの気候スト)街頭に出て気候変動阻止を訴え続けてきた。グレタは大人たちに向かって訴えた。
「あなたたちがこの問題から逃れることは許しません。ここでたった今、私たちは一線を引きます。世界は目覚めています。変化がやってきます、あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず」(『世界』二〇一九年一二月号、宮前ゆかり「気候変動VS若者たち」)。
彼女の訴えは確実に人びとの心を捉え、若者をはじめとする世界の人々の意識を変えていったのである。日本でも、いまだささやかなものだとは言え、変化の兆しが見え始めている。九月二〇日に日本でも行われた「グローバル気候マーチ」は世界的に見れば小さな規模であるとはいえ出発点を画したと言えるだろう。

れいわ新選組の登場


同時にいま改めて注目すべきなのは、今回の参院選で登場した山本太郎氏の「れいわ新選組」の主張と運動についてである。われわれは「消費税の廃止・あるいは大幅削減」を訴えた「れいわ新選組」の登場と、それが当初の予想を超える支持を集めたことに不意を打たれた。「れいわ」の評価、その「左派ポピュリズム」的性格については、参院選直後のアジア連帯講座での寺本勉さんの報告(本紙九月九日号「参院選・統一地方選の結果をどう見るか」――大阪の視点から考える)などから論議が始まっている。もっとも山本太郎自身は、「私は右派、左派それぞれのいい部分を取れるフリースタイルでいたいという気持ちでいます」と語っている。(週刊金曜日臨時増刊号「まるごと山本太郎 れいわ新鮮組」二〇一九年一一月二八日号)。
このテーマについては、安倍改憲を阻止する野党共闘を支える労働者・市民の議会内外での闘いの一翼を担いながら、われわれもまた共に討議と運動を進めていかなければならない。本紙上では「七月参議院選挙議論のために 左派ポピュリズムの登場に潜在する社会主義の復権」(小林秀史 本紙九月二日号)、長野のたじまよしおさんの投稿「七月参院選へのつぶやき れいわ新選組への共感と疑問」(九月一六日、二三日、三〇日号)、林一郎さんの投稿「山本太郎の挑戦と背景にあるもの 『ポピュリズム』の今日的意味」(一〇月二八日号)などの論考が寄せられた。
それ以外でも、欧州における現代の「ポピュリズム政党」論をテーマにした水島治郎『ポピュリズムとは何か』(中公新書)(12月16日号)や薬師院仁志の『ポピュリズム 世界を覆いつくす「魔物」の正体』(新潮新書)(11月18日号)が本紙上で取り上げられた。
一つの政治組織、あるいは一つの政治概念をめぐってこれほどの多様で、ある部分では対立をふくんだ論議が交わされるようになったのは、最近ではあまりなかったことだろう。それは今まで政治や選挙に格段の関心を持っていなかった人びと、とりわけ若い世代に関わる課題で政治的論議が開かれる可能性をつくり出したという点で大きな意味を持っている、と言うべきである。
「左翼ポピュリズム」という規定・概念についてわれわれにとって肯定的なものとして取り扱われたことはなかったと思うが、そのような点を含めてオープンな討論を行うことが、今後の政治討論の活性化にとって重要な課題となるだろう。

「天皇代替わり」との闘い

 二〇一九年は、前天皇明仁の退位、新天皇の即位・大嘗祭を中心にした一連の天皇式典に明け暮れた一年間だった。一九八九年の昭和天皇裕仁の死に伴う「代替わり」と大きく様相を異にしたのは、言うまでもなく明仁天皇の「生前退位」が要因であるが、そこでは「昭和代替わり」の際の「悲しみの強制」に貫かれた儀式はなかったものの、「天皇国家国民」としての「喜び」の「自発的強制」を伴っていたことは「昭和代替わり」と同様であった。マスメディアもまた、この「喜びの強制」という役割を忠実に果たすことになった。
天皇制に反対し、祝賀の強制に反対する運動は、大嘗祭に至る一年以上の長丁場の闘いをつくり出し、重要な成果を残すことができた。それは何よりも、天皇制に反対することの意味を改めて問いなおし、人びとと共有し、討論を続けていくプロセスに裏打ちされたものであった。「令和」天皇制に対する批判、闘いにはどのような内容が込められるべきか、といったテーマも討論していかなければならない。

排外主義宣伝
を許さない!
二〇二〇年は、憲法改悪を阻止する闘いを軸にして、日本の労働者・市民にとって劇変する情勢に立ち向かうことが要請される。安倍政権は、ペルシャ湾危機に備えてトランプ米大統領の要請に従い、自衛隊を中東に派遣することを決定した。自衛隊が海外で現実の戦闘に参加する危険性が高まっている。
朝鮮半島の軍事的緊張も予断を許さない。われわれは今こそ韓国の労働者・民衆とともに朝鮮半島の平和と人権を作りだすための闘いに全力をあげよう。朝鮮・韓国へのあらゆる排外主義をはねのけよう。
香港の学生・市民・労働者と連帯し、自由と人権、民主主義、原発のないエコロジカルな社会を! 憲法改悪阻止・安倍政権打倒へ! 二一世紀の社会主義のための闘いに共に挑戦しよう! 
(平井純一)

12.7

おわてんねっと集会・デモ

今すぐやめよう天皇制

1年間の闘いを集約


不当逮捕・弾
圧はねかえす
 一二月七日、終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク(おわてんねっと)は、千駄ヶ谷区民会館で「終わりにしよう天皇制2019 12・7大集会&デモ」を行った。
 開催あいさつが京極紀子さん(おわてんねっと)から行われ、「『おわてんねっと』は、この一年、天皇制『代替わり』儀式に反対し、この際、天皇制を廃止しよう、終わりにしようと運動を積み上げてきた。四から五月にかけて、前天皇の退位、新天皇の即位などに対して反天ウィークとして五日間の連続行動、八・一五反『靖国』行動、天皇『代替わり』のイベントである一〇・二二即位式、一一・一四の大嘗祭に対して抗議行動を取り組んできた」ことの成果を全体で確認した。
 とりわけ「一〇・二二デモに対して権力は、デモ規制を強化し、三人の不当逮捕を強行した。ただちに救援会を作り、一人は拘留を許さず奪還、二人は一〇日の不当拘留がついたが、九日目に奪還された。勾留理由開示裁判など獄中内外にわたって果敢に反弾圧を取り組んだ。この弾圧も含めてこの一年間を振り返り、反天皇制運動の展望を議論していこう」と呼びかけた。

「権威」を笑い
飛ばす姿勢で
おっちんズの「元号やめよう」の唄が始まり、参加者とともに「元号やめよう 今すぐやめよう やめてしまえ」の大合唱だ。
反天皇制コントの主演は、井上森さん(おわてんねっと)。テーマは、インチキ「大嘗祭」をパロディー化して演じた。そのワンシーンは、こうだ。クマザワナルヒコは、なぜか怪しげなスナック「大嘗屋」に入る。アマテラス・ママによって「インチキ儀式」に誘導される。腐りかけた米「とちぎの星」を食べろと強要され、まずい白酒を飲んで悪酔いへと没入するという流れ、結果は「夢」だったという流れだ。
井上さんは、「この間、コントを三回やってきた。天皇制は覆い隠すところが多いが、それでも笑っちゃうところがある。権威に対して笑い飛ばすような姿勢を現わしたかった」とアピール。

天皇いらない!
渋谷の街をデモ
「スライド あの『11・9国民祭典』を見たか!?」の上映が行われ、解説批判を桜井大子さんが行い、「一一月九日、皇居前で行われた『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』(約三万人)の主催は、天皇陛下御即位奉祝委員会、天皇陛下御即位奉祝国会議員連盟、公益財団法人日本文化興隆財団だ。露骨な『代替わり』賛美キャンペーンイベントだ。『嵐』などの芸能人などのパフォーマンスを押し出し、国会議員や経済、スポーツなど各界の有志が参加している。意識的に民間参加の祭典を装い天皇賛美を演出した。こんな式典をやらせてしまったことはくやしいが、このような形で開催せざるをえないことこそ脆弱性の現れだ」と強調した。
「舞踏 リュウセイオー龍」は、身を委ねたり抗ったりしながらの身体性表現のパフォーマンスだ。あたかも天皇制という空間に潜むグロテスクなところに切り込んでいく踊りだ。その迫力によって参加者は、引きずり込まれていったと言える。
「スライド&トーク 代替わり反対行動をふり返る」は、おわてんねっとの通史を映像で共有化した。「おわてんねっと」の起ち上がりから現在までを映し出した。とりわけ一〇・二二デモに対する機動隊の不当な規制、逮捕弾圧などは、天皇賛美戒厳下と連動した「天皇制暴力」として現れていることを示した。あらためて参加者全体で権力の不当弾圧を糾弾し、同時に反弾圧シフトを強化していくことを意志一致した。
集会の最後は、おっちんズが再登場、「天皇に平和語る資格なし」「天皇制はいらないよ」の大合唱。
終了後、渋谷デモに移り、「天皇いらない いますぐ辞めろ 終わりにしよう天皇制」などのシュプレヒコールを響かせた。(Y)

 


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