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    かけはし2020年1月1日号

 赤緑連合の回答は何か?


デンマーク

ゾーレン・ゾンダーガードへのインタビュー

気候危機が政治形作る情勢


 現在コペンハーゲン郊外、グラトサクセ選挙区選出のデンマーク国会議員である元金属労働者のゾーレン・ゾンダーガードは、急進左翼政治の中で長い経歴を持っている。一九八〇年代、彼は、デンマークでは統一リスト―赤緑、として知られている、赤緑連合(RGA)の創立三組織の一つである社会主義労働者党の常任指導部の一人だった。
 ソンダーガードは一九九四年から二〇〇五年までデンマーク国会議員、二〇〇六年から二〇〇七年にはグラトサクセ町議会議員であり、またEU議会メンバーをも務めた。
 二〇〇七年、ゾンダーガードは、「反EU民衆運動」を代表してEU議員に選出された。彼は、二〇一四年にその地位を辞任した後、二〇一五年にグラトサクセからRGA議員として国会に選出された。そして今年六月五日の総選挙で再選された。
 バルセロナに拠点を置く「週刊グリーンレフト」の欧州通信員、ディック・ニコラスが、一〇月五―六日にコペンハーゲンで開催されたRGAの三〇周年大会後に、彼にインタビューした。

総選挙の結果は
政治的前進か?


――六月五日の総選挙は、デンマークで「赤ブロック」と呼ばれるもの――社会民主党、社会主義人民党(SF)社会自由主義の急進自由党、およびRGA――の、「青ブロック」――自由党(ヴェンストレ)、デンマーク国民党(DF)、保守党、自由主義連合――に対する勝利を見た。定数一七九の議会で「青」から「赤」へ一五議席が移動したことによる。六月二五日、社会民主党は、赤ブロックの他の政党からの支持に基づき政府を作るだろう、と公表した。社会民主党が外国人排撃と前ヴェンストレ内閣の差別的移民政策を取り入れたことを前提としたとき、この結果は本当に進歩的な政治に向けた前進だったのか?

 社会民主党は確かにDFの姿勢の本質を引き継いでいる――言葉遣いは異なっているが中味は実際上同じだ――とはいえ、この結果を移民や難民の政策それだけで理解してはならない。それこそが、六月五日にDFが最大の敗者になった理由だ。この立場の変更により社会民主党は、デンマーク政治における第一課題として、移民を立ち退かせることを助けた。とはいえ、移民の課題は今も、多くの民衆にとってはそのようなものとしてある。
それでも社会民主党によるその移行は、それだけで彼らに勝利をもたらしたとは思われない。全体としての赤ブロックにとってはなおのことそうだ。最も重きをなしたものは、この選挙での最大の二課題をめぐる民衆的決起だった。つまり第一は気候危機に関し緊急に行動する必要であり、第二は、わが福祉システムにおける最弱点の一つ、幼児のためのデーケアに関するわれわれのシステムを改良する必要だ。
これらの決起が、政治協定〔「デンマークのための公正な方向」〕の中で気候と子どもが第一優先項目となったという結果に基づき、右翼諸党を守勢に立たせた。そして赤ブロック諸政党は、社会民主党政府〔メッテ・フレデリクセン首相主導の〕の形成を可能とするためにその協定に署名した。

気候押し出しで
RGAが力発揮


――気候はどのようにしてデンマーク政治の第一課題になれたのか?

 気候運動はここでは、五万人のコペンハーゲンデモをもって約一年前に爆発した。次にデンマークでは記憶に残る限りでは最長の乾期が到来し、北極海の氷の前例にない減少があった。これが住民全体に気候変動のメッセージを深く悟らせた。そしてその時点で気候が、世論調査における人々の第一懸念として浮上した。

――政府形成をめぐる交渉は一九八八年以後では最長になった。なぜか?

 第一に、デンマークにおける温室効果ガス排出の五〇%削減〔一九九〇年基準比〕を選挙でキャンペーンしてきた社会民主党は、他の赤ブロック諸党が提案していた七〇%目標を受け入れざるを得なかった。社会民主党の七〇%受け容れなしには、そして彼らは最終協定署名以前に受け容れたのだが、彼らが政府を作ることはできなかっただろう。
抵抗の他の主要点は、移民・難民政策だった。社会民主党は、デンマークの福祉制度を持続可能に保つためには、厳しい移民統制が必要だ、との主張を維持した。彼らは最終的に、一定数の二次的な項目で譲歩した。つまり、無人島のリンドホルムは、難民申請者向け収容所としてはこれから使用されることはないだろう。そしてデンマークは、国連の割り当てシステムの下で難民を再び受け容れ始めることになる。
最終協定は、六月五日の選挙結果を映し出したものだ。つまり社会民主党は、特別議席を拾い上げたとしても、票を僅かに失い、他方七〇%目標および福祉制度の回復と改善を約束したと見られたSFと急進自由党は、彼らの間で一五議席を拾い上げた。

――それでもRGAは一議席失い、一四議席から一三議席になった。それにもかかわらずあなた方の大会は楽天的だったのだが……

 それはまさに、赤ブロックの他の諸政党と共に達した政府に関する理解――RGAの全員はそれを前進への大きな一歩と理解している――のゆえだ。デンマークは今世界で最も野心的な温室効果ガス排出削減目標をもち、協定はさらに政府に、福祉制度の強化と不平等との闘いをも委ねている。他の目標は、中央集権化傾向との闘い、教育における平等の引き上げ、社会的統合を進めること、国連の持続可能な開発目標達成を助けること、だ。
われわれが勝利を得たか、一、二議席を失ったかに関わりなく、RGAはこの結果達成において鍵を握る役割を果たした。われわれの「気候プラン2030」は、すべての人が受け容れている統計を基礎に、二〇三〇年までの温室効果ガス排出の七〇%削減は達成可能であること、を示し、その支持へと世論を移行させることを助けた。それこそが、社会民主党の環境問題スポークスパーソン(今の環境相)のリー・ヴェルメリンが先の目標を「ユートピアン」と呼ぶことをやめざるを得なかった理由だ。事実上、デンマークの政党ではただ一つだけが今も七〇%に抵抗し続けている。

左翼と緑の党
勢力変動継続

――しかし、RGAメンバーが気候運動で果たし続けてきた中心的役割を前提としたとき、有権者による認知の欠落は少しばかり失望になったに違いないのだが……

 もちろんだ。しかし一議席喪失は、視界全体の中にとどめておこう。二〇年前RGAはデンマークの少数政党の一つだった。そして時として、二%の閾値〔議席獲得条件〕を満たすために闘った。今や党は、自由党と社会民主党の次に位置する中規模政党の一つとして打ち固められている。
この選挙でわれわれは確かに、二〇一四年に彼らを打ち破った後に、急進自由党とSFに再び先を越された。しかしこれもまた、全体的視野の中にとどめられなければならない。SFは二〇一四年に、学校の教員にロックアウトをかけ、国有エネルギー生産企業の一部をゴールドマンサックスに売り払った社会民主党政権に参加したことで、思い罰を受けた。当時元SF支持者の多くは、彼らの党の実績に対する抗議としてわれわれに向かった。
しかしながら、特に政治を執拗に追いかけるわけではない住民の大群の中では、記憶は薄れる。SFはこの選挙で、デーケアシステムの欠点に抵抗を続けてきた両親を最も支援している政党として、また全体として社会政策に関し社会民主党を誠実にさせ続ける上で最も実際的なツール、と見られた。二〇一四年に抗議した多くは、今回はSFに戻ったのだ。
結果として、RGAは議会内四位の政党から六位の政党に後退し、議事次第を組織する議会議事運営委員会の席を失った。さらにメディアも、赤ブロックの他の政党からコメントを得た後になってはじめてわれわれのところに来る傾向もある。しかしこれらは、RGAにとって極めて前向きなシナリオの中では小さな痛みだ。

――SFに向かった票の喪失は、オルタナティブ〔緑の党〕の元支持者の支持を勝ち取ったことにより相殺された、ということか?

 そうだ。オルタナティブは、赤ブロックに対し自らを「グリーンブロック」として押し出すという大きな間違いを犯した。つまり彼らは、いかなる環境でも社会民主党政府を支持しないだろう、そして彼らの指導者が第三の首相候補になるだろう、というものだ。それを前提としたときこれは、オルタナティブへの投票が今や自由党の復帰を助ける可能性がある、ということを意味した。そして今回の選挙では、オルタナティブがその九議席の内四議席を失うという形で、その支持者の多くがRGAへと移ってきた。

社民党の統制へ
民衆動員に集中


――フレデリクセン政府が「デンマークのための公正な方向」の実行に向けて動く、とあなたはどの程度期待しているか?

 この文書は、デンマークの新政府が議会への表明として公表する、そうした立法措置からなる伝統的なリストではなく、むしろ目標およびそれらの達成に向けた広範な方策からなる一つの声明だ。それは、特に気候に関し、政府がその実行との関係で問題に巻き込まれる場合はいつでも、政府に策謀を凝らし、ぐずぐずする余地を与え、不十分な資金やビジネス部門の抵抗を弁解に使う能力を与えている。
同時に私は、この協定の困難さがより小さな約束の実行では政府が素早く動くと期待するだろう。しかしそれは、今興奮を巻き起こしている一つの計画のためにこの方向で社会民主党が信用を得ることになる、ということが理由ではまったくない。
もちろん政府の行動は、その動員が政府協定に反映されている運動の強さに大きく依存するだろう。RGAメンバーは、自由党が政府にいない今気候運動と他の運動が確実に緩まないようにするために、断固として努力し続けるだろう。

――RGAは、同意できない政府の政策の諸要素に対してはどう対応するのか?

 われわれは、環境の状況、あるいは福祉に関する勤労民衆と人々の状況を悪化させるすべての方策に関しては、われわれの票を期待はできない、ということをこれまで政府にはっきりさせてきた。われわれの約束は協定に対してであり、協定が扱っていない多くの課題に関し必然的に政府を支持することではない。
最も重要なことだが、もし協定の目標を深刻なリスクにさらす対立が政府との間に持ち上がったとすれば、われわれは躊躇なく、問題を人々の投票にかけるよう呼びかけるだろう。協定について基本的な亀裂が生じた場合は人々に決めさせよう。

――上述の立場は、二〇一八年の大会で強調されたRGAの展望とどう関係しているのか? そこでは、社会民主党と自由党間で選択肢がまったくないように見えることに対するオルタナティブとして、デンマーク政治における第三の急進的な極を生み出す努力が強調されていた。

 われわれの中期的目標は依然として、SF、RGA、オルタナティブを軸に一つの急進的な極の打ち固めを助けるというものだ。しかしそれは明らかに、政治サイクルの現時点では日程に上っていない。
その目標が何らかの現実性の機会をもつためには、SFが社会民主党を誠実にさせるというその基準的姿勢から離れるという移行を必要とするだろう。今それが起きそうにはなっていない。この路線が今政府に向けた協定の形態で一定の成功に達したばかりということを前提としたとき、短期的展望として第三極を検討することは素朴にすぎるだろう。それを即時の目標として日程に戻すためには、社会民主党自身の危機を必要とするだろう。

EU内での
国際連携へ

――毎年のRGA年次大会は、当今の政治におけるいくつかの中心的問題に関し詳細な立場を採択している。二〇二一年にはEUに関する立場を再考する予定だ。そしてそれに関しRGAは現在まで、国民投票によるデンマークの離脱支持、となっていた。また、五月二六日のEU議会選でRGAは、「反EU民衆運動」の候補者支持を継続することに加えて、はじめて自分自身の名前で立候補した。RGAが自身の反EU姿勢を軟化させつつあると主張する中、党の候補者のニコラジ・フィルムセンは議席を勝ち取ったが、他方で民衆運動の候補者、リナ・ロンジャ・カリは当選できなかった。EUに関するRGAの路線に何が起きているのか?

 二つの傾向が、EUに対する党の向かい方を再考するよう圧力をかけ続けている。第一はブレグジットをめぐる大立ち回り、第二は、気候をめぐる超国家的行動の必要性だ。
ブレグジットはここにトラウマになるような影響を及ぼすことになった。それが、特に合意なしにそれが行われた場合、EU離脱には予想できない、潜在的に悪い結末がある、という事実を劇的に突きつけたからだ。「われわれが今すぐ離脱すれば」デンマークの暮らし向きはもっとよくなるだろう、とのかつて共有された姿勢は、大きくそこなわれている。ブレグジット以前、EU離脱国民投票に関し、世論調査は約四〇%の支持を示し、RGAもそれを支持した。しかし最新の世論調査によるそうした国民投票に対する支持は、一九%にすぎない。
同時に、気候運動に関わっている多くの候補者は、われわれの気候プランでわれわれが進めている類の方策は欧州規模で取り入れられなければならない、と気付いている。そして、真剣な大陸的広がりをもつ行動をとるよう、EU諸制度の中で介入する必要を強調している。
結構であり健全だ。しかしEUの本性は変化を遂げたのか? それは今なお、マースリヒト条約とリスボン条約を生み出した同じ新自由主義の怪物であり、大資本、特にドイツとフランスのそれの利益という観点でメンバー諸国に規律を押しつけようと活動している。
われわれはここデンマークで、効果抜群のその事例を経験したばかりだ。政府の気候プランにおける交通部分は、ディーゼル駆動とガソリン駆動に関する禁止を見込んでいる。しかしわれわれの環境相に対するブリュッセルからのメッセージは、それはEU規則の下では違法、というものだ。理由は、そうした規制はEU規模で採用されなければならない、とされている。それはもちろん、ドイツとフランスの自動車産業による圧力の結果だ。
したがって私は、EUは変わっていないのだから、EUに関するわれわれの分析を変えるべきだとは考えない。しかしながらわれわれは、進歩的な方策を取り入れるよう、またそれらを提案している者たちがもつ経験を学ぶことに参加するよう、EUに強いるためのあらゆる努力をも平行させなければならない。そしてRGAは自身のためにも、EUに対する民主的なオルタナティブがそれに反対する諸闘争を基盤に、どのようにして実際に実体的に構築されるようになり得るか、を明確にすることを必要としている。それゆえ討論を行おう。

社会的課題軸に
政治的動員維持


――RGAが新しいところで突きつけられている最も重要な挑戦とは何か?

 RGAは、その急進的な性格を失うことなく、近代化することを迫られている。

――近代化?

 そうだ。一つの調査がRGAに関し人々が何を考えたかについて行われ、われわれは多くの興味ある回答を得た。例をあげれば、RGAは普通の人々のためではなく、規範的でない人々のためにのみ、マイノリティのためにのみあった。彼らは暴力……そうした要素すべてを好んでいる、と。 われわれはこれらの印象のいくつかを除こうと懸命に努力した。そしてそれは、人がこれまでその綱領の中で革命を欲すると三八回も書いてきたとしても、それをすっかり片付け、いまやそれを一回で済ます、ということを意味する。
これは、われわれが近代化について話している場合、われわれは急進的な変革を欲していない、「近代化」という言葉の背後で、われわれは右翼的移行を導入しつつある、との誤った印象を与える可能性があると思われる。しかしわれわれが極めてはっきりと語ったことは、右に向かうことのない近代化を欲した、ということだ。
確かにもちろん、いくつかの右派傾向が、例えばEUに関して、近代化のレトリックの中に自らをくるもうと当てにする、という危険はある。もちろんわれわれは、普通の人々が理解できるように話さなければならない。もちろんわれわれは、人々が学ぶことを助けることのできるある種の戦術をもつ必要がある。しかし同時にわれわれは、われわれの基本的選択肢をどれだけ変えるべきだろうか、あるいは隠すべきだろうか? その課題は今もRGA内で解決されていない。

――その上で今最大の挑戦は?

 われわれの前にある最大の挑戦課題は、他の諸政党と合意した共通の政権政綱が確実に実行されるようにするために、気候の課題と社会的課題をめぐる大決起を維持することだ。あるいは、もしその戦闘が敗北した場合、社会民主党の左での幅広いオルタナティブ構築に確実に向かわせること、だ。それがわれわれの前にある決定的な試練だ。(一〇月一四日)(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年一一月号) 



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