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    かけはし2020年1月20日号

脱核とエネルギー転換のため
の基本課題と労働運動


ナム・ヨンナン (釜山)

全地球的生態系の危機と
資本主義

 核発電による人類の危機と当てもないままに積もる核廃棄物、地球温暖化と気候災害、生物絶滅と生態系撹乱などに示される生態系の危機は、資本主義的生産と消費によって引き起こされた。絶え間ない利益の追求と資本主義的成長は、産業革命以来、化石燃料の使用を急速に増やしてきたし、「安くてクリーンなエネルギー」という外皮を着けて、核発電所を増やしてきた。
 その結果、発生した生態系の危機はすべての国とすべての人に同じように影響を与えるわけではない。温室効果ガスの排出に責任が最も低い国と周辺地域、そして大多数の脆弱階層に最も厳しく現れる。生態系の危機は世界的な社会の不平等と生活の危機を伴っている。
 全地球的生態系の危機が臨界点に近づいているという警告に対して環境税や、炭素排出量取引制度などの市場原理の解決策が採用されるなかで、炭素排出削減とクリーン消費などを通じて、二酸化炭素を減らす個別的な実践を展開する。このような解決策が災害など気候危機の根本的な解決策にならないことは明らかである。その原因が、資本主義体制にあるのならば、システムの変革なくして根本的に問題が解決されるはずがないからだ。
 エネルギー変換のための原理と方向がシステム変革という根本的な解決策に向かって進んでいるのか、そして、より多くの人々がエネルギー変換の主体として生産と消費、そして社会的統制の主体として自らの運動を構築することができるのかが、今回の社会運動活動家フォーラムを通し扱おうとしていた重要なテーマである。

ムン・ジェイン政権のエネルギー変換とは


 2030年までに風力と太陽光を中心とした再生可能エネルギーを20%まで引き上げるというムン・ジェイン政権のエネルギー転換計画がどのようなものなのか明らかにする必要がある。目標値が低いのはもちろんのこと、再生可能エネルギーの拡大のための資金確保策を通じて、民間企業の参加に道を開いている。すでに再生可能エネルギー市場は投機によって過熱しており、この市場を制御する方法は見えない。
 石炭と核発電を減らし、2030年までに新規設備はLNG発電を拡充する計画だが、すでに建設されたLNG発電の半分以上が政府の規制を受けない民間発電所だ。また以前、政府が承認した新規の民間石炭火力発電所について見直しするとしたが、最近では、これをそのまま許容しようとしている。発電産業の民営化計画は、以前とは異なり、所有と運営権を分けて売却したり、新規の発電所を建設する場合、発電所と企業が共同企業を構成して進行する方式が成立している。国の管理・統制の下に置かれたかのように見えるが、実際には、企業が所有する発電所である。
 民間企業の再生可能エネルギー市場への参入はどのような結果をもたらすのか。エネルギー変換過程で発生する莫大な利益は、企業が懐に入れて、変換コストは、そのまま国民に転嫁することになるだろう。再生可能エネルギー変換のための財政を確保するためには、二酸化炭素を大量排出する企業とエネルギー多消費企業に対して転換費用を強制徴収する措置などが不可欠である。同様に、エネルギー変換で電力使用の意味のある変化の実現は、産業用電力の需要管理なしには不可能である。
 電力取引の問題はどうか? 韓国電力が管理している発電所を子会社に分割しつつ、以前は内部的に取引していた電力を、今は「電力取引所」という市場を作って取引するようにした。電力の需要と供給の不一致により、電力取引市場を歪曲する可能性が高くなるだろう。
 発電設備がエネルギー財閥企業に流れていって、エネルギーの公共性が破壊されることは自明であり、再生可能エネルギー拡大のコストよりも、民間LNG発電取引コストを精算するために、より多くの費用が支出される可能性が大きい。電力の生産―送電―配電を網羅する電力構造システムは、分割するのではなく一本化して統合的な構造を作らなければならないのだが、韓国は逆に向かっている。

いくつかのエネルギー転換か?


 それでは、我々が提示する変革的エネルギー転換はどのようなものでなければならないのか。
 まず、炭素と核というエネルギー源から太陽と風力などの再生可能エネルギー源に転換しなければならない。
 第二に、エネルギー変換は、サービスとエネルギーを脱商品化する過程と結合されるべきである。生活賃金、医療、保育、住宅、食品、水、エネルギー、公共交通、健康な環境、そしてすべての他の商品を国家が保証することにより、基本的なサービスをすべて普遍的に提供しなければならない。
 第三に、主要なエネルギーシステムと資源に対する統制を社会化する必要がある。様々な方式で民営化されているエネルギー産業を再公営化しなければならない。化石燃料依存的な産業を社会化して規模を縮小したり、化石燃料のない工程に移行できるようにする。エネルギー変換の過程で、地域共同体と労働組合が、エネルギーシステムとリソースの制御の主体に立てるように再構築しなければならない。
 第四に、再生可能エネルギー、有機農業、土壌と生態系復元などの重要な分野での雇用を公共的に作り、労働者の権利が生きたものにし、同じように持続可能なものに作り上げなければならない。
 「気候変動ではなく、システムを変えよう!」は、すでに国際気候行動の日のイベントで広く叫ばれるスローガンとなった。エネルギー変換は、生態系の危機の根本的な原因である資本主義体制を変革する問題に進むしかなく、進まなければならない。そして、まさにこのような理由のために、労働組合がエネルギーの転換運動の主体でなければならず、より広い社会的運動と同盟を結び運動を押し広げなければならない。

エネルギー変換と労働組合

 エネルギー変換の問題は、関連エネルギー産業労働者だけの問題でもなく、環境団体だけの問題でもない。エネルギーは、すべての労働組合の関心事である必要がある。すでにこの国でも労働運動と環境運動は重要な時期に闘争で出会い結合した。1993年、現代重工業、産業廃棄物焼却場反対運動から2010年代の密陽送電塔反対闘争まで地域レベルで行われた具体的な闘争で共闘してきた。
一方、電力産業の民営化、水の私有化反対、公共部門の私有化阻止、鉄道・地下鉄の安全性と公共性の強化等のための全国レベルの政策ネットワークでもともにしてきた。労働組合は、現在のエネルギー変換のための対案を提示することを自分の課題としなければならない。広がる気候危機、エネルギー変換の問題に対する立場は一貫性が持てるようにしなければならない。そして複雑で困難なエネルギー争点を組合員に持ちよって討論し、論争する必要がある。
エネルギー変換の時代に対応するための赤・緑同盟を発展させていかなければならない。エネルギー変換の方向と原則をめぐる社会的議論ができる土台を形成しなければならない。利益の論理に基づいて、民間企業を中心に行われる従来のエネルギー変換ではなく、社会的運営と統制に基づいた公共的なエネルギー変換を主張しなければならない。この過程を通じて、公共的なエネルギー変換の具体的なイメージを作っていかなければならない。
これまでの労働運動の主要闘争テーマである労働時間の短縮と良質な雇用増加、労働組合の権利などがエネルギー変換の移行にともなう欠かすことのできない重要な共同の要求として提示されるべきである。また、事業所単位で団体協約の要求などを具体化し、自治体や政府に対して何をすべきか提起していかなければならない。
脱核・脱石炭エネルギー転換は、資本の利潤の論理によって支配された個々人の労働、職場、生活の場をただ守るのではなく全体的に変えることを要求している。だからエネルギー転換は、個人ではなく集団としての運動で、大衆的な運動として推進されるべきである。だから労働組合が気候危機とエネルギー問題を重要な社会的課題に設定し、個別次元から全国レベルまで、このテーマについての声と行動を積極的に組織しなければならない。(社会変革労働者党「変革と政治」97号)

朝鮮半島通信

▲朝鮮中央通信は1月1日、金正恩朝鮮労働党委員長が12月28〜31日に党中央委員会本部庁舎で開催された朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会で演説したと伝えた。
▲朝鮮中央通信は1月2日、金正恩党委員長が党幹部と共に、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝したと伝えた。
▲朝鮮中央通信は1月7日、金正恩党委員長が平安南道順川市に位置する「順天肥料工場」建設現場を現地指導したと報じた。
▲韓国法務部は1月8日、大検察庁(最高検)の尹錫悦検事総長の側近をはじめとする幹部ら32人を1月13日付で交代する人事を発表した。
▲元徴用工であったと主張する韓国人や遺族ら63人が三菱重工業に損害賠償を求めた訴訟でソウル中央地裁は1月9日、事実証明の不足や手続き上の不備を理由に、62人の請求を棄却・却下した。また原告1人について、同社に1千万ウォンの支払いを命じた。

コラム

AI通訳機

 年末に年賀状を作って印刷しようとしたのだが、長い間ブラック以外を使っていなかったからだろうか、青インキ補充のサインが出てしまった。さっそく自転車で一〇分ほどの所にある大手電機店に向かった。店内は年末だというのに客がまばらで、日本の不景気を象徴しているかのようであった。
 買い物を済ませてから店員を捕まえて「テレビで宣伝しているポケット翻訳機は置いていますか」とたずねると、「はい、こちらにあります」と案内してくれた。大きさはガラ系携帯電話より小さくて、重さも若干軽いようだ。値段は二年間のインターネット利用料一一〇〇〇円込みで三二七八〇円。一番気になっていたのはその翻訳能力だった。普段から自動翻訳による韓国語の日本語訳を目にしてきたが、これが思っていたよりも良くなかったからだ。文法は一緒なのだが、漢字熟語の使われ方や形容詞・副詞での表現方法の違いが意外と多いために、翻訳度は八〇〜八五%といったところだろうか。それを辞書を引きながらきちんと翻訳すると、原稿は赤入れで真っ赤になってしまうほどなのだ。
 「当製品はスマホなどと違い、翻訳に特化していますので翻訳精度は格段高くなっています」「またAI(人工知能)による学習機能がありますので、使っただけ精度も高まります」。とりあえずパンフレットをもらって帰宅することにした。
 どうもこいつは思っていたよりもすご者かもしれない。「七四言語で双方向に翻訳」(五五言語は音声と画面に)。アムハラ語、カンナダ語、グジャラート語…どこの国の言葉なのでしょう。さらに「カメラ翻訳機能」というものがあり、撮影すると画面に自動翻訳される。これ一台あれば世界中どこにでも行けそうな気になってしまうのである。もう通訳いらずになってしまうのだろうか。
 イギリスで保育士をしながら面白いエッセイなどを発表してきたブレイディみかこさんは、毎日新聞のインタビューでこんなことを話していた。自動翻訳の能力が進化したために、翻訳はほとんど稼げない仕事になってしまった。そのために日本語に翻訳して紹介すべき本も出版されなくなっていると…。それはたぶん日本語に限らず、世界中がそうなっているということなのだろう。これはこれで困った問題だ。
 私も仕事をリタイヤしてから英語の勉強と、忘れない程度でだが韓国語にも取り組んできた。いろいろとやるべきことが増えたということもあって、一年間で終わらせる予定でいた英語のテキストは、昨年の一一月に二年四カ月もかかってようやく終わらせることができた。そして今、AI通訳機と出会ってしまった。たぶん買うことになるだろう。
 あとは「堕落しないように」勉強は勉強として継続しなければならないと考えている。自分の意志を信じるしかないのである。       (星)
 



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