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    かけはし2020年1月27日号

公共サービス切り捨てるな


都立病院の地方独法化阻止

利用者と共に権利守ろう

社会的労働運動の再生を

 昨年一二月三日、都議会定例会に先立ち小池都知事は都立病院の地方独立行政法人化へ向けて準備を始めると公表した。都立病院の地方独法化は築地やオリンピックで何ら成果を上げられないまま二期目を狙う小池都知事が実績作りのために急遽打ち出したものである。
 公共サービスの切り捨てと公務員の削減が有権者への実績としてアピールしてしまう政治情勢が日本では未だに続いているということである。このような政治情勢を転換させるきっかけとして、都立病院の地方独法化を一大争点として都知事選を闘う準備を整えなければならないし、何よりも公務労働運動の再生が問われている。

追いつめられた
小池東京都知事
二期目を狙う小池都知事は追い込まれている。なぜなら一期目になんの実績も残せなかったからである。任期中になんの実績を上げられなかった自治体の首長はいくらでもいる。
しかし都議会自民党と対立関係にあり、都民ファーストの会がジリ貧状態にある小池都知事にとって頼みは世論の支持である。前回当選時には、「都民ファースト」、残業ゼロや満員電車ゼロを掲げた「七つのゼロ」を掲げて圧倒的な支持を得ることができた。
しかし次期は何を訴え都民の支持を獲得しようとするのか。築地とオリンピック問題で問われていたのは、巨大開発と大企業優遇の都政の転換だった。しかし小池都知事はこの都民の希望を裏切り続け、追及されると「私はAIだから」などと居直ってきた。本来極右政治家である小池都知事には、都民に訴え支持を獲得する言葉を持ってはいない。
都知事選で実績の検証がなされれば二期目は困難になりかねない。「残業ゼロ」を掲げながら都立墨東病院を退職した薬剤師から在職中の不払い残業代を請求する裁判を提訴されていることに明らかなように「七つのゼロ」は選挙のためだけの口約束でしかなかった。そこで出てきたのが都立病院の地方独立行政法人化である。
公共サービスなど必要としない富裕層と、生活に苦しみ不安を抱える労働者の両極に、公共サービスの切り捨てによる税金の節約と公務員七〇〇〇人のリストラを訴え支持獲得を狙う。小泉以来の使い古された手法である。

政権にすりより
「医療費抑制」
都立病院の地方独立行政法人化は、安倍政権が強行しようとしている病床医削減による医療費抑制政策に積極的に応えることにより安倍政権にすり寄り支援を取り付ける狙いがある。
医療費抑制のために病床を削減する。これがこの間、国の基本政策となってきた。二〇〇七年の夕張市の財政破たんを最大限利用し、新旧公立病院改革ガイドラインで地域医療を支えてきた公立病院の統廃合を進めてきた。そして公立病院だけではなく民間病院も含めた再編統合を進めるために地域医療構想の策定が行われた。そこでは現在の医療ニーズを無視して将来の人口減を見越した病床の削減が義務付けられた。
しかし地域の実情を無視した病床削減がスムースに進むわけもなかった。一向に進まない病床削減にしびれを切らした国が突然に発表したのが全国公立・公的病院四二四の再編・統合リストである。現在、全国でこの再編・統合という自治体病院潰しの政策に対して反発の声が広がり、自治体病院を守れという運動が始まっている。都内では都立神経病院や奥多摩町国保奥多摩病院が名指しされた。先にも触れた「七つのゼロ」には「多摩格差ゼロ」が掲げられていたにも関わらず、多摩地域で地域医療を支える奥多摩町国保奥多摩病院が名指しされたことに小池都知事は黙認している。
このような情勢下で行われる都立病院の地方独立行政法人化は、オリンピックを行うほど豊かな都でさえ都立病院を手放すのに全国の小規模自治体が自治体立病院を持つのは贅沢だという強力なインパクトを持つ。よって都立病院の地方独立行政法人化をストップさせる運動は、全国の自治体病院を守る運動と結びついて展開される必要がある。

「財政問題」では
ない民営化強行
先行して行われた自治体病院の地方独法化や指定管理者の導入など公共サービス解体の大きな理由とされてきたのが自治体病院の赤字だった。今回の都立病院の地方独法化に際しても日経は「都内八カ所の都立病院は一般の医療機関では対応が難しい不採算の医療も担っており、慢性的な赤字が続いている。独法化により柔軟な病院運営を可能にし、経営基盤の強化につなげる」と報道している。
日経が指摘している赤字とは都立病院会計への一般会計からの約四〇〇億円の繰り入れのことを指している。ところが実際にはこの繰り入れは、法令に基づくものであり赤字の補填ではないと都立病院を運営する病院経営本部が都議会で答弁している。実際都立病院は非常に健全に運営されている。そこで小池は、都立病院は毎年四〇〇億円の赤字と世論をミスリードして都立病院の民営化を強行しようとしているのである。
しかし一般会計規模が七兆円を超し、東京オリンピックを主催するほど豊かな都にとって四〇〇億円は予算規模の一パーセントにも満たない金額である。したがって都が四〇〇億円を問題にするのは財政的目的ではなく政治的目的がある。
その政治的目的とは、公共サービスの一切を大企業へ売り渡し、都は大企業優先の政治を行う戦略本部へと純化していく都政にさらに踏み込んでいくことである。実際今回の地方独立行政法人化の計画では、本来都立病院だったが運営を東京都保健医療公社の六病院も含まれている。
その中には新宿区にある大久保病院などがある。このような好立地の病院を医療法人に売却することなどが狙われているはずである。特区制度を利用すればそれこそIRとセットで「医療ツーリズム」でアジアからの富裕層を呼び込み利潤を追求することが可能である。そのために築地も潰したのである。

社会的労働運動
の再生切り開け
七〇〇〇人の大リストラにもかかわらず労働側の動きは極めて鈍い。都の公務員を組織している都庁職はまだ具体的な反対運動を提起していない。ここ二〇年ほど都庁の労働組合運動は、公務員バッシングを恐れ労使交渉ですべてを決着させる内向きな運動に終始してきた。この運動を大きく転換させ都民との共同の運動を創り出すことができれば地方独立行政法人化を止めることは十分可能である。
本来公務労働者の要求と住民の要求は対立するものではない。広がる貧困の真の解決策は公共サービスを充実させることであり、サービスを安定的に供給するためには公務労働者の労働条件を安定化させる必要がある。
全国で先行的に行われた自治体病院の地方独立行政法人化では、患者負担の増大と共に労働条件の切り下げが行われた。大阪府立病院の地方独立行政法人化では初年度患者負担増により一三億円の黒字となった。医療は診療報酬による公定価格なので同じ医療を提供していたのであればこのような一気に黒字化することはあり得ない。分娩料やセカンドオピニオン料金など様々な患者負担を強制することにより成し遂げたのである。自治体病院であればこのような料金の値上げは地方議会での議決が必要となる。
しかし自治体とは別法人そして切り離された地方独立行政法人では数名の理事の決定でこのような患者負担増を決めることが可能になる。このように地方独立行政法人化は、公務員のリストラだけでなく、住民サービスの悪化と地方自治の形骸化を進行させる。住民にとっても無関心ではいられない問題である。
都立病院が地方独立行政法人化されれば、様々な患者負担増が実行されることは確実である。だが組合幹部が訴えて回るだけでは都民との共同を創り出すことは困難である。草の根から組合員一人一人が行動するような運動が必要である。組合運動とは組合幹部の退屈な話を聞かされることだと思っている「階級闘争を経験したことがない」組合員が自らの問題として行動を開始すれば都立病院の地方独立行政法人化は止められる。都立病院の地方独立行政法人化を止める運動を日本における社会的労働運動の再生の第一歩に。
(矢野 薫)

1.13

日雇全協 総決起集会

寄せ場を結び社会運動の前進を

全国から150人が参加


 一月一三日、山谷・玉姫公園で「佐藤さん、山岡さん虐殺弾劾・追悼!寄せ場を結び社会運動の前進を!日雇全協総決起集会」が行われ、全国で越年闘争を闘った労働者や支援者が結集した。参加者は約一五〇人。
 一〇時過ぎより始まった集会では冒頭に国粋会金町一家に虐殺された映画監督の佐藤満男さん、山谷争議団の山岡強一さんに対して黙祷を行った。
 発言の最初は争議団連絡会議から明大生協労組。大学当局の生協潰しによって解雇されてから一八年闘い続けている。続いてたんぽぽ舎、反原発運動のセンターとして活躍するたんぽぽ舎だが結成の前から三八年間にわたって山谷の越年闘争へのカンパを続けている。反原発運動の今年の重要な課題として東海第二原発の再稼働を阻止しようと訴えた。
 沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの仲間は辺野古の新基地建設について「一昨年一二月の最初の土砂投入から一年たつが、工期が一二年と大幅に延長され、それでも完成するかどうかわからない」ともはや完全に破綻した新基地建設を直ちに止めさせようと熱烈に訴えた。
 被曝労働ネットワークの仲間は原子力産業とは労働者使い捨てを前提とした産業であるとして、福島第一原発の事故収束の現場での作業で被曝し、白血病となった「あらかぶさん(仮名)」の裁判への結集を呼びかけた。
 続いて反天連の仲間は天皇代替わりの昨年一年間の闘いを総括し、普段の反天皇制の運動に比べて多くの参加者(約三〇年ぶりに五〇〇人を超えるデモへの参加など)があったことや、不当な弾圧に触れ、「終わ天ネット」は解散するが、闘いは続いていくと発言。差別排外主義に反対する連絡会の仲間は安倍政権を支持しない人々の中にも韓国敵視政策を支持する人々がいるという世論調査を引き合いに闘いの困難さと決意を表明、さらに殺された佐藤さんの人となりについて語った。
 続いて各地で越年を闘った仲間からの発言。
 まず釜ヶ崎センター開放行動の仲間、釜ヶ崎の「あいりん総合センター」は建て替えのため昨年三月三一日を持って封鎖された(医療施設だけは約二年間存続)。その三一日の日に封鎖に反対する労働者と支援者が集まった際に労働者がシャッターの下に寝そべるなどして封鎖を阻止し、それからセンター一階の部分を四月二四日に警察に追い出されるまで自主管理した。その後も封鎖されたセンターの周りには約四〇人がテント生活を送っている。そのテントを撮影していた監視カメラに軍手をかぶせたとして、脚立を抑えていた人も含めて三人が逮捕されている。「センターがなくなれば労働者の行き場がなくなってしまう」と訴えた。
 次に横浜へのカジノ誘致に反対する寿町介護福祉医療関係者と市民の会。市民の九四%が反対する中で、誘致を表明した林市長をリコールしてカジノを止めよう!と訴えた。続いて三多摩で生活保護の切り下げに反対する「生存権裁判」を闘うNPOさんきゅうハウスの仲間、生きることが闘いだ!のスローガンで越年を闘った渋谷越冬実と発言が続き、日雇全協各支部の発言。
 釜ヶ崎日雇い労働組合の仲間は越年の報告の後、センター建て替え問題について資料を配布し、老朽化し、耐震基準も満たしていないセンターは建て替えるしかなく、労働者の意見を反映させていくことが重要だ、と発言。先ほどの開放行動の仲間とは意見が真っ向から対立する立場である。釜ヶ崎で古くから活動している団体は釜ヶ崎合同労組以外はほぼすべて大阪府の商工労働部が主催する「労働施設検討会議」に参加している現状がある。封鎖されたセンターの建て替えについては、いまだにどのようなものになるかは決まっていない。そんな中での封鎖であり、近隣には星野リゾートのホテルが開業予定であり、再開発の中で資本にとっては日雇い・野宿の仲間の存在は邪魔でしかないことは言うまでもなく、検討会に参加にている団体も、参加せずに闘っている人々も含めて今後厳しい道のりを覚悟しなければならないであろう。
 名古屋・笹島は約一〇〇人の野宿者の内、五〇人ほどの結集で越年を闘ったことを報告。横浜・寿日雇労働者組合の仲間は第四六次の越冬を闘ったことを報告。続いては山谷労働者福祉会館の仲間が越年闘争の報告を行い、最後に山谷争議団の仲間が日雇全協の結成から間もなく四〇年を迎え、歳も取ってしまったが二〇〇〇万人を超える非正規の仲間と結びつく闘いをやっていこうと訴えた。参加者はシュプレヒコールをあげ、山谷一周のデモを力一杯に闘った。   (板)

朝鮮半島通信

▲第二次世界大戦中に日本企業に徴用工として強制労働させられたと主張する韓国人の訴訟を支援する弁護士団体と市民団体は1月14日、光州で記者会見を行い、元徴用工や遺族の計33人が日本企業6社を相手取って損害賠償を求める訴訟を光州地裁に起こしたと明らかにした。
▲国政介入事件に関連して収賄罪などに問われた韓国の前大統領・朴槿恵氏の差し戻し審の初公判が1月15日、ソウル高裁で開かれた。朴氏が出廷しなかったため審理が行われず、公判は約5分で終了した。
▲韓国のソウル東部地検は1月17日、前法相の゙国氏を在宅起訴した。容疑は前釜山副市長の収賄事件に関連した不正に関する情報を持ちながら、もみ消した職権乱用。


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