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    かけはし2020年1月27日号

反動的ブルジョア政治と
限界示した進歩政治



チャン・ヒェギョン┃政策宣伝委員長

 2019年の政治のキーワードは何か? 「ファーストトラック(選挙法、検察改革法案などの迅速処理案件指定)」と「チョグク対戦」である。巨大両党である民主党と韓国党は今年の一年を通して、チョグク事態とファーストトラック法案をめぐり闘った。その結果、国会は、ほぼ開店休業状態だった。
 次に、労働者民衆の観点から、2019年の韓国政治のキーワードは何か?「ブルジョア政治の反動化」ではないかと思う。「反動」の辞書の意味は、「いかなる作用に対しても、その反対に作用すること、または進歩的で発展的な動きに反対して強圧的に立ちはだかること」だ。2019年の韓国政治を表現するのに、この言葉ほど適したものはないようだ。3年前のキャンドル抗争は「パク・クネ退陣」を越えて「私の人生を変え、韓国社会を変えよう」という闘いだったが、2019年の韓国政治は、この変化の道に反する状態にあるからだ。

ムン・ジェイン政府、キャンドル支持加速


 2018年にはすでにむき出しとなっていた政府の右向け右は今年に入ってさらに加速した。最も代表的なのが、経済・労働分野だ。政府は昨年よりも露骨に親資本―反労働の歩みを進めた。
 それでは、民主党が総力をあげている公捜処(高位公職者の犯罪捜査処)の設置や「検察改革」は、真の改革なのか? 結局は公捜処ももう一つの権力機構になるということだ。検察の「被疑事実公表禁止」は、権力型不正に対する国民の知る権利を遮断することができる。根本的な問題は、政府の検察改革案が司法機関のランク偏向を全く問題にしないということである。毎年2千人の労働者が労働災害で死んでも、企業が産業安全保健法違反で実刑を受ける事例は1%にも満たない。
 現代車鄭夢九(チョン・モング)会長と道路公社イ・ガンレ社長は明白な不法派遣犯罪者なのに、検察の捜査も押収捜索も起訴処分も受けない。民主党が言う「検察権力からの保護対象」に労働者はいない。さらに、チョグク事態で、民主党は韓国党に劣らない既得権勢力であることを赤裸々にさらけ出したのではなかったのか。
 もちろん、選挙年齢を下げた連動型比例代表制を導入する選挙法改正は、一定の改革性を持つ。しかし、群小野党との協力で韓国党を包囲しながら「20年執権」を実現するために、選挙法の改正に同意したこと、そして、真の政治改革と言える国家保安法撤廃については、何の動きもないという点で、再び民主党政府の問題を確認することになる。政府の改革性は、国家保安法を見直そうとした盧武鉉政府よりもずいぶん後退したものである。
 サード配置ですでに明らかになった政府の対北朝鮮外交政策の問題点は、今年も再確認された。政府は今年の初め、米国との防衛費分担金交渉で1兆ウォンを超える引き上げをつきつけられた。より大きな問題は、交渉の有効期間を従来の5年から1年に短縮し、毎年米国で引き上げられた防衛費をつきつけられるということを譲った点である。日本の経済報復措置に対するGSOMIA(韓日軍事情報保護協定)終了カードも、米国の圧力に押され撤回した。米国の顔色をうかがって、国連の制裁措置に該当していない金剛山観光も再開しなかった。来年の国防予算は今年より7・4%も上げた50兆2千億ウォンを策定し、昨年の南北首脳会談で合意した「段階的軍縮」に逆行する措置も取った。つまり、米国に追従する外交と北朝鮮に対する対決的軍備拡張から一歩も抜け出せないだろう。

極右政治に復活した韓国党

 パク・クネ弾劾政局で「すっかり死んだように」なっていた韓国党はムン・ジェイン政府の失政とチョグク事態に起死回生した。今年の初め黄教安を党代表に選んだ韓国党は距離と絶食政治という型破りを見せ、極右保守の色彩を明らかにした。韓国党は、所得主導の成長廃棄と資本のための革新的な規制改革という露骨な親資本経済ビジョンを提出した。それは虚構として終わったが、2012年の大統領選挙でセヌリ党のパク・クネ候補が掲げた「経済民主化」公約と対比される。
さらに韓国党は院内代表ナ・ギョンウォンが労働組合の権利をなくす「労働自由契約法」を導入しようとしたし、ファン・キョアンは外国人労働者に差別賃金を与えなければならないと述べた。GSOMIA延長を主張すると、9・19南北軍事合意を破棄するとし、北朝鮮との対話を「従北」だと責め立てる従北没政治をそのまま駆使した。所属国会議員の口から5・18光州民衆抗争とセウォル号遺族への蔑視発言も日常的に上がっている。

民主党の補完物に転落

韓国政治を牛耳る両ブルジョア政党の歩みは、ろうそくの願いに反する反動政治の流れを示している。したがって2019年には両政党の流れに対抗して、ろうそくの願いを政治的にまとめ上げる「代案政治」が真剣に求められた。しかし、いわゆる進歩政党の中で最も大きな力を持つ正義党は、その役割を果たしていなかった。端的な例がチョグク対戦で民主党の側に立ったことだ。その結果、民主党の政治(既得権政治)に失望した国民の政治的願望をまとめ上げて、両党の政治と質的に異なる政治的ビジョンを提示する機会を失った。結局、正義党政治は民主党政治の補完物に転落した。
2019年の政治はブルジョア政治勢力が大衆の願いに反する反動政治の道を歩くことをもう一度確認させてくれた。また、今の進歩政治が反動的なブルジョア政治と民主党政治の影から抜け出せないことを示した。そのため2019年の政治が労働者民衆に投げかけているのは、「私の人生を変え、韓国社会を変えていく新しい代案政治」、すなわち社会主義大衆政治の模索である。
(社会変革労働者党「変革と政治」第98号より)

2019年を熱くした女性の闘争

チ・ス┃社会運動委員会


 「女性たちの闘い」で勝ち取った「堕胎罪ノ憲法不合致決定」

 ざっと66年ぶりだった。2019年4月11日は憲法裁判所で堕胎罪の憲法不合致決定を引き出した歴史的な日であった。社会的烙印と処罰を甘受して、自分の経験を表明して闘った数多くの女性、そして女性の体を統制の対象として扱ってきた国家に対抗して共に闘った多くの人々の成果であった。憲法裁判所の判決で堕胎罪の違憲性を確認したが、これは始まりに過ぎない。刑法上の堕胎罪規定の完全削除、即時的流産誘導剤の導入、安全に妊娠を中止するための医療手続き、避妊手続きと包括的性教育など残された課題は山積である。「処罰基準の変化」ではなく処罰と烙印を完全に撤廃する闘いは、国家統制に置かれた女性の性と再生産の権利を取り戻す闘いは休むことなく続けられなければならない。

安全な職場、質のよい仕事を作り出した「女性労働者たちの闘い」

 2019年蔚山ではキョンドン都市ガス顧客サービスセンター安全点検員の女性労働者のストライキ闘争が100日以上、行われた。ガス安全点検を担当した女性労働者が監禁と性的暴行を受け自殺まで試みた事件は、女性労働者をこれ以上沈黙させることができなくなった。「2人1組」安全点検システムの導入を要求したこの闘争は「世帯訪問労働者」の安全な職場の権利を社会的に刻印させ、顧客のセクハラを防止する「安全な労働環境の構築」が事業主の義務であることを認識させた。
料金所(トールゲート)の労働者の闘争は2019年の最も熱い女性労働者の闘争だった。この闘争はムン・ジェイン政府「非正規職対策」の欺瞞性を暴露する闘いであり、女性でも非正規職ではなく、良い仕事を働く権利があることを宣言する「女性の仕事の質を変える闘争」だった。青瓦台経済首席が「料金所収納業務はなくなる仕事」云々する姿を見ながら、「なぜなくなる仕事は、すべての女性の仕事なのか」、「性差別的な構造調整の犠牲はなぜいつも女性労働者でなければならないのか」再び問わなければならなかった。

「業務上威力」による性暴力を認定、もう脅迫ではなく、「同意の可否」だ!

 2018年Metoo運動が触発した女性の叫びは2019年前忠清南道知事アン・ヒジョン性暴力事件の最高裁勝訴を引き出した。「威力は存在したが行使されなかった」、「被害者らしくない」は、1審の歪曲された偏見を破って「業務上の威力による性暴力」であることを認めた。しかし、加害者中心の判決でいっぱいの司法の変化は、まだ遠い先にある。この社会の構造を変更するには、これからもより多くの先例が必要である。
その意味で、「強姦罪改正」は必ず行われなければならない最小限の条件である。2019年「暴行または脅迫」を条件とした現行の強姦罪成立要件を「同意可否」で改正する運動が活発に展開された。現行の規定では「被害者はいるが加害者はいない」といった矛盾した状況を量産している。今、被害者に「どのように必死に抵抗したのか」を問うのではなく、加害者に「どのように同意を求めたのか」、「何を根拠に同意だと判断したのか」を問わなければならない。
特に今年の女性芸能人たちの相次ぐ死を、性を商品化するこの野蛮な資本主義がどれだけ女性に暴力的なのか、性犯罪に苦しむ被害者がどのように耐えて生きてきたのか、あまりにもすさまじく確認することになった。性差別的な構造で、業務上の威力と性別による権力を同時に握られた社会、その社会が作り出してきたからくりの中を行き来する性暴力の脅威から自由な女性はいなかった。

介護・家事労働の国家責任と家事労働の価値の認定へ

 介護サービスを政府・自治体が直接運営して介護労働者の労働権もまた直接とりまとめると宣言したムン・ジェイン政府の構想は2019年の「社会サービス院」設立につながった。しかし、現実の変化はあまりにもわずかである。社会サービス院は、直営施設自体があまりにも少なく、介護労働者の処遇改善の規定すらない。社会サービス院を正常軌道に上げるための最小限の条件(社会サービス員の公的責任と権限を明示した法制定)すら、国会保健福祉委員会法案は超えなかった。制度と予算の裏付けのない有名無実な社会サービス院が国の責任で介護サービスを実行することなど絶対にできないのだ。介護労働者の労働条件の改善もまた一歩も進まなかった。
勤労基準法の埒外に置かれた家事労働者の状況はさらに悲惨である。最近、家事労働斡旋する派遣企業が登場し、彼女たちの労働は、より細分化されて、労働強度はさらに強化された。2年前に発議された家事の労働者の労働権保障法案が国会で眠っている間に、政府は、家事サービス派遣企業の「ホームストーリー」が申請した「規制順守実証特例」の申請を受け入れて、勤労基準法の適用の例外を条件として家事労働者の雇用を許可した。勤労基準法の適用という最低限の条件さえ許可しない政府と資本の態度は、女性が行う家事労働を無価値なものとして扱う資本主義の再生産構造とひとつながりしている。家事労働者の労働権争奪闘争と家事労働の価値認定闘争は一体のものだ。
いま介護・家事労働の公共サービスへの移行と、介護・家事労働者の国家による直接雇用責任を要求しよう。介護・家事労働者の労働基本権争奪闘争といっしょに、家事労働の価値認定闘争を進めよう。労働を可視化して、再生の責任は、家族(その中でも女性)ではなく、国家と資本であることを明らかにしよう。
(「変革と政治」第98号より)

コラム

吹いてくる風に

 ゆく年は、ゴーン逃亡劇で幕が降りた。無実の罪で執拗に追う刑事から必死で逃げる「逃亡者」という米国テレビ映画は、最後に真犯人を見つけ出すという筋書きだった。出国審査もなく「豪華」なプライベートジェットで優雅に「さらば!」と大金持が飛び立つ。
 そして、もう一人。一昨年と昨年はモリカケ問題、今年の春は統計不正問題、この秋は「桜を見る会」と語り「政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれている」と表明。全く「盗人猛々しい」語りだ。
 首相夫妻、首相秘書官、政治家が犯した様々な疑惑。口裏合わせ、改竄、証拠隠滅、記憶喪失、虚偽答弁等で逃げる安倍首相一派! 極めつきは「各界の功績、功労者を招き幅広く招待」したという「桜を見る会」だ。
 近親者、後援者優遇は桜を見る会参加費無料、ただ酒を飲ませ、食事、手土産を振る舞う。国民が収めた税金が「首相支持者」にバラ撒く行状に怒る。「開いた口が塞がらない」。安倍を支える面々は「税金の私物化」とは思ってもいないのでは?「首相のお声がかり」の「箔」をつけ詐欺集団は「業績向上」に繋げ「安倍ブランド」に感謝の意。「公私」は曖昧に「敵と味方」は厳格に峻別する。街頭演説でヤジったら警官が強制排除し逮捕。強権的な安倍政治の姿だ。
 二〇二〇年元旦。「香港の自由を守る!」と一〇〇万人を超える人々が街頭に繰り出し、全世界の人々に「生きる」という意味を問うた。
 日本ではアベノミクスから始まり一億総活躍社会、働き方改革等々、目先を変え、浮かんでは消え浮かんでは消える「政治の約束」に翻弄され、国民の切なる願いは放置する「口先」だけの「やっているふり内閣」。国民の恐怖を煽りたて、現代の治安維持法、戦争法案を次々と成立させてきた安倍内閣は任期中の「憲法改悪」に焦点を合わせる。
 地方でも国政選挙でも投票率は年々低下し先の参院選では五〇%を切った。強固な安倍支持層を塗り固め小選挙区制の下で「議員」を取り込むことに「桜を見る会」の意味はあるのだろう。正月が過ぎ空いた時間に日本国憲法(前文)と自民党の日本国憲法改正草案(前文)を改めて読んでみる。彼らの国家観には人間や民主主義に対する欠片もない。香港から吹いてくる風は、私たちに自由で民主主義な空間の存在を運んできている。
 米国によるイラン革命防衛隊司令官の殺害で一挙に中東の軍事的緊張が高まっている。根拠のない言いがかりをつけ「核合意離脱」を宣言し「原油全面禁輸という制裁」を課した米国トランプ政権。トランプにとって協定があろうがなかろうが「米国の利益」に叶わないとなれば難癖をつけ、反米や左派政権を攻撃してきたのが米国外交の歴史だ。
 自衛隊機が中東海域に向け飛び立つ。希薄な根拠と情勢認識のなかで軍事行動に参加する。大統領再選のためだけの戦争を「対テロ戦争」で括り、それにいとも簡単に乗っかる日本外交の危うさ。新聞の片隅に「福岡市、自衛隊に名簿提供へ」の記事が載っていた。二〇二〇年から「紙」と「電子媒体」で防衛省に提供するという。昨年、安倍首相が「六割以上の自治体が協力を拒否している」の発言を受け所属国会議員が「募集対象者名簿(18歳、22歳)」の提供を地元自治体に圧力をかけて来た。未来を担う青年に「国家」を背負わせ、命を捨てる国家を持てと迫る行為ではないのか! 自由と民主主義、香港から吹いてくる風は未来世代に代償を残すなと伝え来る。    (朝田)


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