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    かけはし2020年2月3日号

五輪と重ね合った憲法改悪


安倍施政方針演説を批判する

「積極的平和主義」看板に戦争国家体制への道進む



 二〇二〇年の通常国会(予算国会)が一月二〇日に始まった。安倍首相による恒例の施政方針演説の内容は全六節のうち@の「初めに」とA「復興五輪」、そしてBの「地方創生」、Cの「成長戦略」、D「1億総活躍社会」、E「外交・安全保障」、F「おわりに」に至るまで、すべてにわたって「オリンピック・パラリンピック」が何らかの形で言及されるという、まさに「オリ・パラ施政方針演説」とでもいうべき形式になっている。
 たとえば「成長戦略」の項の冒頭では「『東洋の魔女』が活躍したバレーボール。そのボールを生み出したのは、広島の小さな町工場です。その後、半世紀にわたり、その高い技術を代々受け継ぎ、今なお、五輪の公式球に選ばれ続けています」と語られているように。
 さらにDの「1億総活躍社会」は「本年のパラリンピックを、世界中の人々に夢や感動を与える、素晴らしい大会とする」「障害のある皆さんが、世界で最もいきいきと生活できる国・日本を、皆さん、共に、作り上げようではありませんか」で結ばれている。
 Eの「外交・安全保障」でも、嘉納治五郎が「オリンピック精神」と出会った時の興奮を紹介しつつ「オリンピック・パラリンピックが開催される本年、我が国は、積極的平和主義の旗の下、戦後外交を総決算し、新しい時代の日本外交を確立する。その正念場となる一年であります」と締めくくられる。
 この間の、改憲派政治家の言葉では「積極的平和主義」とは、「平和のためには軍事力の行使もためらうべきではない」とする「侵略的介入主義」と重なり合ったものとして使われてきた。嘉納治五郎の「オリンピック精神への理解」が、どのようなものなのかを別にしても、ここで安倍が主張している「積極的平和主義」の中身は「平和のための武力行使」を正当化・合理化する意味合いを含んだものであることに注意しなければならない。

正念場迎えた
安倍改憲戦略
安倍「施政方針演説」の最後の項(7 おわりに)は次のように強調されている。
「令和の新しい時代が始まり、オリンピック、パラリンピックを控え、未来への躍動感にあふれた今こそ、実行の時です。先送りでは、次の世代への責任を果たすことはできません」。
「国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないのでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか」。
まさに「オリンピック」でかもしだされる「高揚感」を「新憲法」制定への絶好の機会としてとらえようとする安倍政治の意図が全面開花した「施政方針演説」と言うべきだろう。
われわれはこの「東京五輪施政方針演説」を「オリンピックの政治利用」などと言うべきではない。オリンピック自身が持つ政治的機能にこそ、注意すべきなのである。一九三六年のヒトラー独裁政権の下でのベルリン五輪は、その最も極端な例であったが、オリンピックは「政治利用されるために存在している」ということこそ、明らかにすべきなのだ。

石炭火力依存
の温暖化対策
安倍「施政方針」演説のもう一つの特徴は、国際的にもきわめて重要な「全人類的課題」となっている「温暖化対策」についての取り組みを、事実上放棄していることである。安倍「施政方針」演説の中で「温暖化対策」についての言及が全くないわけではない。「我が国は、五年連続で温室効果ガスの削減を実現いたしました。二〇一三年度比で11・8%の削減は、G7の中で英国に次ぐ削減量です。長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、ゼロエミッション国際共同拠点を立ち上げます。……」
しかし、昨年一二月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)での小泉進次郎環境相の発言が、日本の石炭火力発電への依存を正当化するものであったということが、事の本質を浮き彫りにしている。

自衛隊中東派兵
と改憲国家戦略
安倍「施政方針演説」は、オリンピックという政治的イベントを最大限に利用しながら、憲法改悪へと向かう狙いを鮮明にしている。
「いかなる事態にあっても、我が国の領土、領海、領空はかならず守り抜く」「この春から、航空自衛隊に『宇宙作戦隊』を創設します。更には、サイバー、電磁波といった新領域における優位性を確保するため、その能力と体制を抜本的に強化してまいります」。 「中東地域における緊張の高まりを深く憂慮します……エネルギー資源の多くをこの地域に依存する我が国として、こうした外交努力と併せて、自衛隊による情報収集体制を整え、日本関係船舶の安全を確保します」。
その結論が憲法改悪になることは言うまでもない。
「国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共にその責任を果たしていこうではありませんか」。
安倍は、「さくらを見る会」をはじめとした自らと自民党のスキャンダルへの「お詫び」などに一切ふれず、「知らぬ存ぜぬ」で居直りを続けるという姿勢を示した。
中東海域への自衛艦派兵を強行した安倍内閣は、まさに全力を挙げて悲願である「9条改憲」の強行を宣言した。そうであればこそ労働者・市民は、職場・学園・地域などあらゆる生活の場から、自らの闘いを構想していく必要がある。多様な課題と闘いをベースにした結集によってこそ、改憲の企図そのものを打ち砕くことが可能となる。職場、地域、そして学園から対話と討論、そして行動の一歩を。        (純)

1.20

201通常国会が開会

9条改悪の道断ち切れ

500人で国会前行動


 一月二〇日、第二〇一回通常国会が始まった。安倍政権は、自らの悲願である「憲法改正」を実現するための「待ったなし」の正念場として二〇一国会に臨もうとしている。しかし昨年秋に首相としての在任期間を最長としながら、相次ぐ閣僚の辞任、「桜を見る会」に見られる政権の私物化とその隠ぺい工作やIR問題など、連続的なスキャンダルに見舞われている。
 労働者・市民は、安倍首相の改憲の悲願を最終的に葬り去り、二〇一国会を自公政権を打倒する闘いの場にしていくために、全力をあげよう。
 寒風が吹くこの日、正午から衆院第二議員会館前の路上で、「自衛隊の中東派兵反対!『桜を見る会』徹底追及!権力私物化反対!安倍改憲阻止!共謀罪廃止!安倍内閣退陣! 1・20第201回通常国会開会日行動」が行われた。戦争させない・9条を壊すな!総がかり行動実行委員会、安倍9条改憲NO!全国市民アクション、共謀罪NO!実行委の三団体が共催し、五〇〇人が集まった。

カジノ汚職を
追及するぞ!
集会は、「カジノ汚職を徹底追及、税金私物化許さない、権力私物化許さない」のシュプレヒコールで始まった。同時に「調査・研究」を名目にした中東海域での自衛艦派遣に抗議し「ジブチが自衛艦の出撃基地になることに反対」「中東で自衛艦と米艦艇が共同作戦をすることに反対!」を前面に押し出す行動となった。
最初に社民党の福島みずほ参院議員が発言。「安倍首相は『私の手で憲法を変える』と繰り返し語っている。憲法を私物化する安倍は一刻も早く退陣を!」と呼びかけた。福島さんは、さらに「韓国は、トランプの中東派兵要求を断った」「IR(統合型リゾート)問題については中国利権だけではなく、すべての利権を追及せよ」と強調した。
日本共産党の山下芳樹参院議員(党筆頭副委員長)は、一月に開かれた共産党28回大会について報告するとともに、野党と市民の共闘をさらに前向きに発展させる体制をつくり出したと語った。山下さんは、カジノ疑獄で逮捕される議員が出ても「ダンマリ」を押し通す安倍政権を厳しく批判した。
「沖縄の風」の伊波洋一参院議員は「宮古や石垣でも座り込みの闘いが行われている。政府がこれまで言ってきた工法では辺野古の埋め立てはできないことがはっきりした」と語り、同じく高良鉄美参院議員も「自ら憲法を破壊する政治家が憲法を変えるなどと言うのはとんでもないことだ」と訴えた。
立憲民主党の熊谷裕人参院議員は、「公務員の労働者から『公文書の改ざんや破棄などということは絶対にできない』、という悲痛な声を聞く。今国会は六月一七日が会期末だが、その後に都議選のスケジュールが入っているので会期延長は困難だ」と述べ、野党が団結すれば、改憲阻止は可能だ、と強調した。

辺野古新基地
断念させよう
野党議員の発言に続いて共謀罪対策弁護団の萩尾弁護士が、共謀罪廃止法案を提出するプランについて紹介した。
さらに中東海域へ護衛艦一隻、哨戒機二機の「調査・研究」目的で派遣命令が出されたが、それが「海上警備行動」に変わることもあると紹介された。さらに国会の関与なしに閣議決定だけで派遣期間の延長も可能なのだという。こうした点から言っても「調査目的」の自衛艦の中東派遣が、実戦参加に変わる危険性は高いのだ。
最後に「止めよう辺野古埋め立て」国会包囲実行委から発言。政府は埋め立てが一%しかできていない状況の中で、工期工法の大幅変更を余儀なくされている、たとえ変更したとしても工事が完成するか「闇の中」という現実を明らかにした。そうであればなおのこと、「辺野古断念」を強制する運動の力が求められている。
集会は最後に二月六日に東京・北とぴあ(JR京浜東北線王子駅下車)で開催される「安倍退陣市民集会」(午後六時半)への結集を呼びかけた。安倍政権の改憲プログラムを断念させる闘いを、今こそ!  (K)

1.24

東京五輪は「おことわり」

6カ月前反対行動

国家主義キャンペーン反対

 一月二四日夜、東京五輪開催日まで六カ月となったこの日に、東京都が記念式典を開催した。お台場海浜公園では「五輪のマーク」を浮かびあがらせたモニュメントに点灯され、多数の花火が打ち上げられる式典が行われた。
 当日、「オリンピック災害」おことわり連絡会(おことわリンク)は、「国家祝典」としてのオリンピックそのものに反対し、中止を訴える立場から、この「半年前」キャンペーンに反対する行動を行った。厳しい寒さの中でこのイベントを見物に来た人びとの前で、莫大なカネを浪費して繰り広げられる、企業と政治家の利権のためのイベントへの批判。そして国家主義を煽り立てるキャンペーンへの批判が続く。

福島の人びとと
連携した行動
「おことわリンク」の仲間たちは、寒さの中この「花火イベント」を見に来た外国人をふくむ多くの人びとに向けて、原発事故被災者を切りすて、「災害」などなかったことにしようとする「東京五輪」キャンペーンを批判した。
この日、福島県郡山市でも黒田節子さんたち三人の女性が、原発事故からの「復興」を印象づける「五輪聖火リレー」に抗議する行動を行っている。
「復興」キャンペーンで、東電福島原発事故の責任を忘れさせようとする怒りを、黒田さんは携帯電話を通して人々に訴えた。
さらに当日、別の行動を行ってきた「反五輪の会」の仲間も合流し、「オリンピック批判」の声を人びとに訴えた。この日のキャンペーンは、とりわけ日本に住み、働く多くの外国人にも反対運動の存在をアピールする上で、大きな意味があった。 (K)


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