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    かけはし2020年2月10日号

マクロン追いつめ 闘争第二幕へ


フランス

反年金改悪運動

レオン・クレミュー


 一月二〇日以後、マクロン―フィリップの年金改悪提案撤回を求める運動は第二幕に入った。この二、三日でSNCFとRATPのストライキ終了があったという事実にもかかわらず、決起が終わるにはほど遠く、一月二四日の何十万人というデモは、さらに数週間闘い続けるという彼らの決意をはっきり見せた。

マクロンの
圧倒的孤立


 実際、一月二四日に向け労組共闘が呼びかけた行動日は、あらゆる都市で参加の純増を伴った、一月一六日を一・五倍以上上回るずば抜けた動員の表現だった。これがたとえ昨年末の二つの大デモより少なかったとしても、また交通労働者の総力をあげたストライキが終わったにもかかわらず、空気はどこでも、活気と戦闘性と強い決意がみなぎるものだった。そこには、鉄道と教育の部門からの圧倒的な参加があり、またその他の市民サービスやエネルギーの部門、港湾労働者、文化関係……の参加があった。そして多数の弁護士たちも。
 政府とそのメディアの追随者たちはできれば、その改悪への異議申し立てというエピソードは終わった、かのようにふるまいたいと思っているだろう。この二、三日、政府と雇用主は、運動の指導者たちに敵対する警察と雇用主の弾圧を入念に練り上げ続けてきた。そして運動の急進的な表現に敵対する彼らの声を高め続けている。しかし、政治的空気も、彼らが計画中の「改革」の実体的内容に関する新しい情報も、彼らには僅かの平穏をも与えていない。
 マクロン自身はもちろんだが、どの閣僚もこの間、民衆的な敵意に会わずに公的な発表イベントや落成イベントに参加することができなかった。エマニュエル・マクロン夫妻それ自身が一月一八日、ある上演を鑑賞していたパリ劇場から逃げ出さざるを得なかった。彼の改革への反対者数十人がこの劇場正面に集まったのだった。同様に、共和国前進(マクロンの政党:訳者)議員のいくつかの事務所は、一年前の黄色のベスト大決起の時のように、この数週間見張られてきた。
 改悪への敵意は衰えていない。逆に、世論の中でそれは高まり続けている。いくつかの世論調査機関は、人口の三分の二がマクロンの構想の完全な撤回を強く求めているということ、また改革の結果に関する懸念が高まり続けているということ、を示している。新制度に関する新たな要素が暴露されるにつれ、この拒否感は高まっている。はっきり言って、マクロンと彼の政府はこの政治的戦闘で全面的に敗北している。つまりこの計画は今や十分に知られ、そして全面的に不人気なのだ。

早期退職めぐる
恣意的な不公正


 この不人気はもちろん、仕事の困難さが認められていないことに苦しみつつ、額がどうなるか分かっていない年金を受け取るためにさらにあと二年か三年働き続けなければならないと思われる人々すべてに関係している。労働相(フランス軍需企業のダッソーをはじめとする大企業経営に関与してきた:訳者)は、二〇一七年に雇用主の求めでマクロンが外した困苦労働に関する基準の復活には反対だ、とはっきりと示した。これらの基準は、重い荷物を扱う者、諸々の厳しい条件の職、機械的振動にさらされる者、危険な化学薬品にさらされる者、に早期退職を認めていた(ついでながら、非常に注意深く選んで)。
 これは中でも、工業部門の労働者と技術者、医療要員、建設労働者に関係している。この二、三日では市民サービス相も、法執行要員、関税職員、消防士には早期退職を認めつつも、下水労働者のような、公共サービスにある「現行区分」(現在まで早期退職を認めている)を例外なく単純に廃止しようとしている、と明確に公表した。ちなみに下水労働者の場合、若年死亡率は極めて高く、期待余命は労働者平均よりも七年(管理職よりも一七年)も短いのだ。
 誰もが失うものをもっている。承認拒否は弁護士の中でも圧倒的であり、それは、ある種の象徴的な示威行動である数十件の「外套脱ぎ捨て」に映し出されている。そして司法相自身が一月はじめにそれに遭遇した。工具や衣類や仕事のシンボルの投げ捨てというこれらの示威行動は、病院労働者、労働監督官、教員などの部分で積み重なった。多くのデモの中では、「バラ色のリベット工」(第二次世界大戦時の米国軍需工業労働者を示すイメージ)をなぞった衣類を着けた女性の一団が、女性の年金に関し計画された切り下げを糾弾するために、突発的な暴徒劇を組織し、ATTACに引き継がれた一つの歌を歌っている。

「身内」からも
批判が続々と


 完全に別な流れとして、この計画に対する正面からの批判が、人の期待がほとんどなかったと思われる出所、軍という出所からまで現れた。
 軍事職務最高評議会、当該省庁に対する助言のための、この正真正銘の公的機関が、つい先頃断定的な文書を送り出した。兵士と憲兵は「普遍的な」制度で害を受けないように見えるが、この評議会は、この計画に対し好意的な見解を与えることはできない、「もはや最終六ヵ月ではなく、軍歴全体を基礎にする計算方式の導入は」彼らの計算によれば二〇%にまで達する「冷酷な年金引き下げに導くだろう」、と単純に言明している。
 政府に対する新たな平手打ちとして、提案されたあらゆる法案に対し助言の見解を示さなければならない最高位の法管理機関、コンセイユ・デタ(国務院)がこの年金法案について、非常に否定的な見解を公表したばかりだ。それは、「うさんくさい財政予測に基づき」、そして結果として今までのところまだ書かれていない数十の布告を頼りにしているとして、法案を正面から批判している。
 しかし実質上それが示していることは、新制度は「普遍性」と処遇の平等など主張できない、ということだ。それが異なった五つの制度(公務員、治安判事、軍、船員、農業労働者と農民)、およびこれら五つの制度の中に早期退職に向けた多くの規則、を規定しているからだ。
 加えてそれは、政府の庭に二発の爆弾を投げ込んでいる。この評議会は、教員の俸給引き上げに関する別の法内に後の日付けで採択される、そのような条項をこの法が規定することはできない、と思い起こさせている。さらにまた、法案は船員補足年金基金への補助金支給を規定することはできない、とも言明している。最後のこの二点は、政府の心許ない足場の二つの支柱、教員と海事要員を静めることを狙ったもの、を掘り崩すものだ。
 さらに加えれば、現行の集団的補足年金制度の管理機関(ARRCO―ARIRC)も、高給取り(年収一二万ユーロ以上)からの拠出の停止に基づく将来の制度は、一五年間にわたって年当たり三七億ユーロの不足を作り出すだろう、と計算したばかりだ。実際それは、現役の高級管理職が彼らの拠出分全体をこれからゼロにする中で、退職した高級管理職に高額の年金を払い続けることが必要になるのだ。

今や完全な
メッキ剥落

 こうして政府は、彼らにとっては社会的勝利になると思われた課題の最短での解決を欲しつつも、一息つくことにはならなかった。
自分自身のために設置したもう一つのワナもまた急速に近づこうとしている。すなわち、孤立を打ち破り、CFDTとUNSAの承認を得るために一月はじめに見つけた策謀、資金手当に関する会議という策謀だ。
われわれは早くも一つの逆説を前にしようとしている。すなわち、政府は大規模な運動に直面し続けているのに、この決起には関わっていない二つの労働組合とだけ交渉する……意志を前面に出しているのだ! しかしそのワナは今にも急速に締まろうとしている。この会議ができることは、「六四歳受給年齢」を枠組み内に戻し退職を二年遅らせること、あるいは退職に必要な労働期間年限(現行は四三年)の延長だけになる、と予想されるからだ。まさに、二〇二二年以後に退職する労働者には、身に迫る危険が二つもある。
要するにわれわれはしたがって、社会的公正として飾り立てている政府の宣伝とはかけ離れたところに、「四二の特別な制度」の廃止に限定されたところに置かれている。

巨大動員貫徹し
改悪全面撤回へ


しかし、この政治的な孤立、マクロン構想に対するこの多数の拒絶、数十万人の労働者と社会運動活動家のこの決起も、マクロンを降伏させるに十分な力関係をまだつくり出していない。この戦闘に向けた九月の準備不足は今、SNCFとRATPで現実になったこととは逆に、多くの職種部門で報いを受けている。
先頃まで、この改革がもたらす悲惨な結末に関する自覚の広がりはまったくなかった。そこには、市民サービスやエネルギー部門、あるいは自動車、航空、化学工業の大企業における状況も含まれる。そしてこれらの部門は、力関係に相当な影響を及ぼす可能性をもっているのだ。ここにきて数多くの港湾とエネルギー部門が運動に参入した。しかし、国鉄とパリ圏の交通における決起との関係では、実質的格差を抱えている。
これからの週の挑戦課題は、数知れないめざましい行動、封鎖、デモを通して、政府の政治的孤立を維持し、深め、最大限の政治空間を占めることだ。そして、可能な限り最大限の統一的なやり方で、悲惨な年金に導く不安的で劣悪な賃金を終わりにする絶対に必要な解決策を推し進めることだ。これは、ストライキ労働者の部門横断総会や労組共闘委員会の現場に存在し、この運動の実体的政治的前衛になっている、数万人の活動家により遂行される系統的な活動だ。
しかし誰もが、諸々の部門、特に公務部門でストライキを発展させる必要をも自覚している。これらの部門はこの間の週、多くのストライキ行動日という同じ重みを負ってこなかったのだ。
動員と力関係の強化に関し、オリビエ・ブザンスノーが先頃、この改悪撤回という民衆の意志を押しつけるために、一つの全国動員、国のあらゆる都市から組織されたパリにおける大衆デモ、を組織することに労働運動全体が一致しなければならない、との提案を行った。おそらくこの提案はうまく進むだろう。(一月二五日)(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年一月号)   



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