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    かけはし2020年2月17日号

既成政党の特権防衛姿勢こそが問題


選挙法改正の欠陥が醜態招く

ナム・ヘサン(ソウル)


  韓国では四月一五日に国会議員選挙の投票が実施される。それに先がけて行われた選挙法の改正では、これまで満一九歳だった投票権が満一八歳に引き下げられた。また選出方法も、小選挙区が二五三議席、政党名簿比例代表が一七議席、準連動型比例代表が三〇議席に改正された。この中の準連動型比例代表とは、当選者数の多い第一党と第二党を除く第三党以下に議席を配分するというシステムだ。しかし、これに目をつけた保守系の自由韓国党は、自党の「ダミー政党」として「比例自由韓国党」なるものをデッチ上げて選挙管理委員会に政党登録した。(「かけはし」編集部)

 準連動型比例代表制を骨子とする選挙法改正の過程で取り上げられていた「比例自由韓国党」が、実際に結党準備委を選挙管理委員会に登録し、これに対して、1月13日、選管委は「比例○○党」の名称を使用することはできないと決定した。選挙法の改正をめぐって登場したコメディのようなことが言葉だけではなく、実際に行われているのだ。比例自由韓国党が現実なものとなれば、おそらく比例民主党も登場するだろう。韓国の政治で、なぜこのようなコメディのようなことが起こるのか。自由韓国党勢力の体たらくといえる保守式非常識だけがその原因だとすることができるのだろうか。
 「比例自由韓国党」を堂々と推進する自由韓国党の強引さはどこに由来するのだろうか。彼らの主張は、今回国会を通過した準連動型比例代表制で自分たちの議席数が削られるので、それを補うために、比例自由韓国党が避けられないというものだ。ところが、民主党と正義党を含む与党陣営(4 + 1)で作成された準連動型比例代表制が自由韓国党のこのような主張に口実を与えているのも事実である。比例代表制は、少数者や階級(職能)の代表権を高めることができるという政治的な意味を持っている。ところが、与党陣営が合意した準連動型比例代表制は比例代表議席を一議席も増やさないことで少数者や階級の代表権を高めることとは何の関連もなくなってしまった。さらに比例代表制の割り当て基準である3%の得票率を下げる問題も議論の対象とされていないこと、少数政党の政治的権利を拡張するという趣旨も生かされなかった。ただ既得権を持っている政党間の議席をどのように分割するのかの問題だけが残された。このような状況だから自由韓国党が彼らの議席を守るために、「比例自由韓国党」というペテンを使っても全く恥じないのである。

教師・公務員に
政治活動の自由を
既存の政党間の議席をどのように分割するのかが、今回の選挙法改正の目的だから、有権者の政治的権利を拡大・強化するために必要な、より重要な問題はなおざりにされた。韓国の選挙制度と政党制度で長年の課題である教師・公務員の政治活動の自由を保障する問題もなおざりにされた。政界で選挙法の議論が白熱していた2019年2月にもILO(国際労働機関)の専門家委員会は、教師・公務員の政治活動を一切禁止する韓国国家公務員法65条などが「政治的見解に基づく差別」であり、これを禁止するILO 111号条約違反だと明らかにした。ILOは、過去、民主労働党の後援金を出したという理由で教師を懲戒した事件に関連して、「政治活動に参加した教師に対するいかなる懲戒も、この条約に反しているので、教師が政治的意見に基づく差別から保護されるよう、即刻措置をとること」を韓国政府に要求した。このような状況でも、与党陣営(4 + 1)全体はもちろん、進歩政党だという正義党も教師・公務員の政治活動の保証を実質的に改革課題として取り扱わなかった。
政治と思想は切っても切れない関係である。思想を理由に政治活動の自由を弾圧する国家保安法撤廃も、既存の政治勢力からなおざりにされた。貧富の格差による政治的差別を撤廃し、政治的平等を拡大することも重要な進歩的価値である。お金がなければ、大統領候補出馬さえ不可能となる3億ウォンの寄託金制度など、少数政治勢力の政治活動を妨げる悪法の廃止も論議されるべき事案であった。

労働者民衆の政治的権利の拡大を
今回の選挙法改正の過程で、既存の制度圏政党間での騒がしい操作とは別に、その実質的な政治的関心事が何であるのかを確認させた。政党と選挙を含む政治制度で生かされなければならない重要な進歩的価値がこれに組してはならないということを改めて確認することができた。のどが渇いた人が井戸を掘るということわざがあるように、労働者民衆そして少数者の政治的権利争奪は、その当事者たちが闘いに立ち上がるとき可能になる。それは既存の政治勢力が引き受けることができない部分である。
韓国の政党と選挙制度によって政治的権利を剥奪されている諸勢力の政治的連帯と闘争が必要である。教師・公務員の政治活動争奪、国家保安法撤廃、少数政治勢力の政治活動を妨げる悪法制度の撤廃などを共同の要求に掲げて連帯闘争を展開しなければならない。
韓国社会主義政治勢力は、政治制度として守られるべき進歩的価値を擁護してきたし、自らが抑圧的政治制度の被害の当事者である。したがって、この闘争に韓国社会主義政治勢力が先頭に立たなければならない。民主労働党を後援したという理由で、教師たちが懲戒されたが、当時の民主労働党は、積極的に闘争していなかった。国家保安法に基づいて政治的攻撃を受けたが、進歩政党は積極的に対応していなかった。韓国社会主義政党は、既存の進歩政党が無視した重要な政治的価値を守り、その被害の当事者が主体として立ち上がることは正当だとしなければならない。社会変革労働者党が、現在議論している社会主義大衆化計画には、韓国社会の構造変革案が含まれている。このなかの最後で「労働者民衆が主人となる民主社会」で政治制度の進歩的価値と労働者民衆の政治的権利を拡大するための課題を提出することだ。今回の選挙法改正の過程で、既存の政党が無視して投げ出してしまったこれらの価値と権利を勝ち取るために、まず2022年の大統領選挙まで力強く闘争していくだろう。(社会変革労働者党「変革と政治」99号より)

青少年の政治と選挙法

政治的な経験の蓄積を保障せよ

サンホン(ソウル)

 今回の選挙法改正で満18歳の青少年の選挙参加が可能となった。青少年運動を経験した当事者と教師それぞれの目で、今回の選挙の年齢引き下げ問題を見てみた。

 昨年12月27日公職選挙法改正案が可決されると、2018年6月の地方選挙後、再び青少年参政権が人々の話題に上がった。マスコミが注目した争点は、連動型比例代表制だったが、今回の選挙法改正には選挙参加年齢を満19歳から18歳に引き下げる内容も含まれた。
 青少年は韓国現代史の太い流れのなかにいつも登場した。1987年12月19日、ソウル地域の高校連合会所属の高校生60人が「軍部独裁打倒」と「民主教育争奪」を掲げて明洞聖堂座り込みに突入した。学生の意識が「政治の領域」にあることを見せてくれた代表的な事例だ。2002年に米軍装甲車に中学生二人が犠牲になったとき青少年は対策委を設け闘争し、2015年、朴槿恵政府が韓国史国定教科書を強行しようとしたときも、青少年たちは、「大韓民国の歴史教育は死んだ」と、まず街頭に立った。
 しかし、青少年はブルジョア民主主義体制の選挙では排除された。憲法裁判所が2012憲マ287決定文で明らかにしたように、「独自的な政治的判断をすることができるほど、精神的・身体的な自律性を十分に備えていると見ることは困難」という理由だった。青少年は「政治の領域」から追い出され、「国の未来」でもある蜃気楼のような存在に転落した。結局青少年は、自分の人生を主体的に決定できない選挙シーズンごとに繰り返される欺瞞的で恩恵的な言辞の中にただ放置されるだけだった。
 青少年に「未成熟」という烙印が押されたが、「未成熟」を脱して「成熟」するためには主体に成長する政治的な経験が蓄積されなければならない。その経験はどこでできるのか。代表的な政治・社会への参与の手段として選挙と政党活動などを挙げることができる。
 今回の選挙法の改正は、選挙年齢の引き下げだけが行われただけで、18歳未満の青少年は、政党加入と活動、被選挙権、憲法訴願などの分野ではまだ排除されている。「成熟」のために、生活の主体として立つために、今回の選挙年齢引き下げは、青少年の完全な参政権獲得の足がかりにならなければならない。同等な変革の主体となるため、可能な限りの経験を勝ち取っていこう。

学校を政治の場に!

キム・ジン(京畿・全教組組合員)

「私は私の主人!」

 これは2019年の学生の日、全教組のどの支会でも記念品として製作したボタンに刻まれた言葉だ。政治とは「私は私の主人」だということを確認して行動することである。青少年は「明日」ではなく、「今日」を生きる人で、政治の主体となるのは当然である。しかし、韓国の青少年たちは、自分の身体の主人になることすら困難だ。このような状況で、選挙年齢引き下げに何の意味があるのかと考えてしまうこともある。選挙権を既に保有している多数の労働者もまた政治で疎外されている現実を考えるならば懐疑感はより高くなる。
しかし、黒人、奴隷、女性がどのように参政権を獲得したのか、その過程を思い浮かべるならば、選挙年齢引き下げ運動は投票権獲得が目的というよりも、青少年も「人」であることを認めさせる運動である。そして不十分ではあるが20代国会で選挙年齢を満18歳と定めた公職選挙法改正案が通過した。
その後、歓迎と憂慮の反応が交差している。このなかで「学校が政治の場」になるという攻撃は、政治的に青少年を差別して排除することを目的としているので、憂慮というよりも、青少年嫌悪の表現に近い。ところで、本当に学校は政治の場であってはならないのだろうか。これに対して、「キャンドル青少年人権法制定連帯」は「学校は今よりもより政治的な空間がなければならず、最も生活の近くで学び、実践する過程が必要だ」と主張した。
全国の市・道の教育庁は選挙権拡大関連対策として高校生対象の政治教育(選挙教育)を拡大するという。京畿道教育庁は2019年、京畿道選挙管理委員会と共に選挙体験活動と将来の有権者研修プログラムなどを推進した。ソウル市は模擬選挙教育計画を持っており、16の市・道に提案する予定だ。一方、政治教育を担当する教師は「政治的中立性」を誓約して、その原則を設けようという動きも見られる。ところが、このような一回限りのプログラムや教師の「中立」宣言が学校をより政治空間にすることができるか疑問である。
学校ではまだ学生は主体というよりは客体である。評価で等級が付くだけでなく、どのような等級が付くかどうかが最優先関心事であるところが今の学校だ。そんなところで一回限りの教育や教師の「中立」誓約が真の政治教育、私の体と生活の権力を完全に私に取りもどす教育を作り出すことができるだろうか。依然として「後のための」教育、猶予された政治教育は永遠に青少年を主体として立てない。
今、私たちには学校をより政治的な空間にするための企画が必要だ。青少年が学校運営と授業の主体となる実質的で実践的な教育で学校を変えなければならない。さらに、これらの変化を青少年と一緒に導きながら、社会の現実を正しく語り、学生と話をすることができるように、教師の政治基本権保障が必要である。
(社会変革労働者党「変革と政治」99号より)

朝鮮半島通信

▲韓国企画財政部は2月4日、マスクと手指消毒剤の買い占めや売り惜しみ行為の禁止、処罰などに関する告示を5日午前0時から4月30日まで施行すると発表した。また同部は5日、マスクと手指消毒剤の大量の国外持ち出しを防ぐ方針として、1000枚または200万ウォン相当を超えるマスク、手指消毒剤を韓国国外に搬出するケースについて、簡易輸出手続きを正式輸出手続きに切り替えると発表した。
▲韓国銀行は2月3日、マレーシア中央銀行と結んだ通貨交換協定を3年間延長すると発表した。また同行は6日、豪州中央銀行と韓国ウォンとオーストラリアドル通貨スワップ契約を20%拡大し、3年延長したと明らかにした。



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