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    かけはし2020年2月24日号

労働者の連帯広げ春闘勝利へ


2.14

経団連抗議 けんり総行動

差別許すな 生活できる賃金を

能力主義・成果主義の横行止めよう



経団連前で団結
の力をアピール
二月一四日午後一二時一〇分から日本経団連前で20けんり春闘全国実行委員会主催の下、同連合会に対する抗議・要請集会が行われた。非正規差別や同連合会加盟企業による数々の不当解雇やハラスメントなどの諸権利抑圧行為に抗議しその是正を求めると共に、特に、八時間働けば暮らせる最低賃金の確立を強く求める行動だ。さらに今年は、同連合会が、「経労委報告」(経営労働政策特別委員会報告)の形で、一律の賃上げを拒否し経営の査定による差別賃金推進を加盟企業に勧告するなど、春闘と集団的労働契約を露骨に否定する意志を示したことに対する断固とした抗議も加わった。
この行動は、この日朝の総務省要請(公務災害申請妨害の不当解雇に対する是正指導要請)を皮切りに一二の争議職場に対する抗議・要請をつないで終日展開されたけんり総行動の一環、いわば中間集約としての行動でもあり、午前の行動を終えた各争議団と支援の仲間も結集、主催者発表で二〇〇人の労働者が経団連に対する断固とした闘争を宣言した。

差別・格差を
許すなの意思
集会は、20けんり春闘全国実行委員会共同代表の一人である渡邉洋全労協議長の主催者あいさつで始まった。渡邉さんは、この日の朝東京地裁に提訴された郵政産業労働者ユニオン(以下郵政ユニオン)の労契法20条集団訴訟(東京を始め全国七地裁、原告一五四人〈四人は後で追加予定〉)を紹介、まず、けんり春闘の柱として差別を許さず格差をなくす闘いへの決起を呼びかけた。その上で先に触れた統一要求を否定する経労委報告を取り上げ、その春闘否定はおろか労組の否定をも内包する内容を厳しく糾弾、むしろけんり春闘は生きるための賃金としての統一要求を軸に積極的に仲間を増やすことで反撃しよう、春闘解体を許さない闘いを果敢に展開しよう、と訴えた。
次いで郵政ユニオンの日巻直映委員長が決意表明。前述の集団訴訟について、二〇一四年に提訴した労契法20条裁判で高裁(東京、大阪)が不当と裁定した格差の全組合員に対する是正を日本郵政が拒否している事態に対する反撃として提訴に踏み切った、と報告した。その上で、日本最多の非正規労働者を抱える職場に恣意的差別を許さない新しい権利を確立する闘いを推し進める、その意味で非正規化が進行する一方の雇用状況に楔を打ち込む役割をも自覚して、二〇一四年提訴の最高裁における闘いと並べて総力をあげて闘い抜く、と力強く決意を述べた。

外国人使い捨て
に怒りの訴え
中小企業労働者を代表する発言は全国一般全国協の渡辺書記長。まず、八時間働けば暮らせる最低賃金を確保する闘いとして、各団体と協力を広げ最賃キャンペーンに力を注ぐと共に、統一スケジュールで集中した闘いを追求し、非正規を含んだ企業内最賃の確立を追求すると決意を述べた。同時にこの最賃問題に関して、引き上げがコンビニ経営者を苦しめているなどと語るコンビニ本社経営者がいると指摘し、問題の根源はフランチャイズ制による本社の強欲、苦しんでいるのは労働者だ、と本社への徹底した闘いの必要を強調した。さらに労基法36条を使った時間規制、人権を守る職場づくりの闘いをも訴えた。この最後の点では、ハラスメントに抗議する同労組の上智大学分会の大きなのぼり旗が目立っていた。
さらに神奈川共闘の仲間は、外国人使い捨ての政策がなお続いていること、日本経団連がその大元であることに強い抗議を表明した。そして、春闘形骸化を許さないとして、ここに来られない労働者が圧倒的多数であることを心にとどめて連帯を求める闘いの展開を追求しようと呼びかけた。
大阪からも大阪ユニオンネットの垣沼陽輔さんが発言。まず、働き方改革と言いながら、副業で稼げとして長時間労働を推進するデタラメな日本経団連の姿勢が厳しく糾弾された。さらに大阪都構想もデタラメだといくつか例を挙げ、デタラメが横行する支配層に社会の奥底から反撃をつくり出そうと力説し、関西生コン支部の踏ん張りを紹介、共に闘おうと訴えた。
20けんり春闘全国実行委員会発言の最後は中小ネットの鳥井一平さん。外国人労働者の闘いの中心をになってきた鳥井さんはまず、最賃は特に外国人、非正規労働者にとって本当に切実、時給一五〇〇円でも暮らすには不十分でありその実現は待ったなしだと力説した。そして今も技能実習生がどんどん増えているとして、建前とは真逆が公然化しているデタラメ極まる技能実習制度を温存し、日本支配層が今も使い捨てできる労働力に依拠していることを厳しく批判、差別に苦しむ人としっかりつながり、この場に来られない人と連帯できる闘いを何としても作り上げよう、と呼びかけた。
集会は最後に、JAL争議団の山口宏弥乗員原告団長、およびユナイテッド航空争議団の仲間から決意表明と支援要請を受け、間島勝重全港湾委員長の格差が広がる社会に対抗できる春闘を作り上げようとの結びを、同委員長の音頭による団結ガンバローで確認して終了し、結集した労働者は午後の行動に向かった。なお同日午後には、郵政ユニオン集団訴訟に関する記者会見、院内集会も開催され、翌日の各紙には同集団訴訟関連の記事がかなり大きく掲載された。

労働組合の存在
意義が問われる
今春闘では、春闘の意味どころか労働組合の存在意義自体が文字通り問われる事態が起きている。前述の「経労委報告」がその第一だが、もっと深刻なのは大企業労組に、自らそれに追随迎合する動きが表面化したことだ。三菱東京UFJ銀行労組とトヨタ自動車労組が、全員共通の賃上げ要求を取り止め、「能力と成果」を反映させた賃金方式を採用するよう労組から経営側に提案したと報じられている。これは労組自ら集団的労働契約を否定し、労働者各自に経営の要求に応じる競争を通じた生活の自力救済を求めたこと、つまり事実上、労組自ら、労組に団結することは無意味だ、と宣言したに等しい。
多くの民間大企業労組が労働者の生活と権利を守る役目を果たさず、組合員からの信用も経営者に対する信頼以下、と評されて久しい。その意味で先に見た事態は、労働者の要求とは無縁の存在になった労組が来るところまで来たことの結論かもしれない。しかしそれでも大企業労組は労組の看板を絶対に手放さないだろう。そこには厳然と、本当の労組組織化を邪魔し困難にする機能があるからだ。その意味でこれらの大労組は経営の付属物として、文字通り労働者の要求と権利に対する敵対物としての性格を一層純化することになるだろう。そしてその場合、それらの労組を傘下に抱える連合自体、その存在意義を深刻に問われることにならざるを得ない。
労働者の独立した結集体、自己組織化としての労働者運動再建があらためて焦眉の課題として明確になっている。非正規化、雇用によらない働き方の推進も含めて、日本の支配層の労働組合のない世界、労働法のない世界を狙った攻撃が加速される中、そして結果として民衆の分断と格差が深刻になっている今、その必要性はかつて以上に切実になっている。
労働者民衆の新しい団結への挑戦に真剣に向かわなければならない。さまざまな試行錯誤が求められるだろう。平等と連帯に基づくけんりと生活の集団的向上を追求してきたけんり春闘は、まさにその一翼を担う存在であり、率先して新しい団結創出に挑むことがいよいよ最重要課題になっている。      (神谷)   

 




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