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    かけはし2020年2月24日号

左翼の連帯した抵抗の構築へ


英国

右翼に傾斜する保守党

政治の右翼的漂流打ち砕く

イアン・パーカー

 英国総選挙の保守党大勝は、英国政治に強い右翼的圧力をつくり出している。特にそれは保守党に顕著に表れているようだ。以下がその実情を伝えている。(「かけはし」編集部)

 英国総選挙の保守党大勝は、英国政治に強い右翼的圧力をつくり出している。特にそれは保守党に顕著に表れているようだ。以下がその実情を伝えている。(「かけはし」編集部)
 ボリス・ジョンソンの首相選出と労働党左派が抱いた期待の苦い敗北は、英国の保守党とユニオニスト党(アルスター統一党、北アイルランドの英国統合維持を党是とする北アイルランドの右翼政党:訳者)の政治における深い文化的、また制度的な移行を表している。彼らは、愚か者でも、党を率いる名うてのならず者集団でもなく、この選挙とその余波は、EUメンバー国であることに関する二〇一六年の国民投票により強化され推進力に転化された外国人排撃的反動の波に乗る、いくつかの抜け目のない動きを見せることになった。

愛国主義感情を
意識的に操作し


 等式の一方には、愛国主義的内向き感情への意識的な訴えがあり、その中で、党の強硬右翼が外国の諸大国による干渉に対する敵意の波に乗ることに成功した。これは、ジョンソン自身の言い逃れ、二つの論評の悪名高い書きぶり――国民投票への前段における一つはEUに好意的な、もう一つはその逆の――があるとしても、どちらの者が彼ら自身の経歴と党内策動を賭けてうまく勝負すると思われるか、を理解させるものだ。
 彼らの頭目としてジョンソンを抱えた保守党右翼は、以下のことを十分に分かっており、しかもそれを気にしていない。それは、外国の諸大国に対するこの指さしは、可能な限りもっとも幅広い範囲の偏執症的、陰謀論的(彼らはいいではないか、と言うと思われるが)諸テーマが含まれるよう考案された、両義的に取れるレイシズム的攻撃扇動、ということだ。ちなみにそれらのテーマとしては、一時はブリュッセル、次には、イスラム、そしてそれほど見えないわけではない説得力のある背後の意味として、隠された力が経済を支配しているとの疑い、といったものだ。
 あるがままの資本主義経済が問題なのではなく――それとはまったく違って――それに対する外国の操作が問題なのだ、という考えを防衛する者たちを力づけ、彼らに迎合する政府が、今や英国で選出されるにいたったのだ。
 これは、保守党の側にある反ユダヤ主義に関して、労働党右派の側にいる仲間および報道界内の彼らの仲間と並んで行っている偽善的な悲嘆に暮れるふりが、自分にはね返ってくるところだ。彼らはこれまで、イスラエル国家に対する言うところの反ユダヤ主義的批判に不平を言うこととまさに同時に、反ユダヤ主義を含むあらゆる種類のレイシズムが成長する諸条件に燃料をくべてきたのだ。そして、われわれの病に責任があると想定される外国人の影響力を探し求める類の、もっとも特有のレイシズム的レトリックの毒を含んだバージョンが、政治主張に送り込まれてきた。
 ロンドン北部における近頃の反ユダヤ主義攻撃は単なる偶然ではなく、大西洋を貫く、トランプが元気づけた外国人排撃かつ陰謀論的政治的反動を映し出している。これには実体的効果が、この三年以上における右翼的宣伝の実体的結晶化がある。そしてジョンソンの選挙における勝利はその最新表示だ。ジョンソンは次のことを十分に分かっている。つまり、たとえば子どもの移民の権利を守るという約束を止めるのは今だということ――選挙前の施政方針演説の中にはあったが、選挙勝利後には目立つ形でなくなった――、そして次に、イスラム排撃に対する彼の党の内部調査をも放棄するのは今だ、ということだ。

英国人第一こそ
保護主義の本音


 等式の他方には、党の指導部にいる保守党右翼が推し進めそれにふけっているこの民族主義的燃え上がりと並んで、閉鎖的な内向きの、そして民族主義的保護主義がある。それは、そこから利益を受けるかもしれない者たちの支持を下支えする一方で、誰がその中に含められるべきかに関し、厳格な限定を設けるものだ。
 これには対外的「安全保障」と国内の「安全保障」向けの資金増額が含まれている――これは想定上のことだが、それは、テレサ・メイの警察力酷使をも扱っている――。しかしそれだけではなく、NHSを守るための、もちろん不十分だが、冷笑的な資金注入も含まれている。ところがそれは、新政府発足の最初の僅かの週で、早くもNHS契約を私的入札者にさらに拡大するという、密かなブレア流の私有化と同時的な政策なのだ。これは、NHSを英国人のためのサービスとして再設計することであり、居住資格や定住資格をもたずにここで暮らしている人々に対し新たな高い料金を導入することで、部外者――低俗な新聞がとりつかれている「医療ツーリスト」――にシャッターを下ろすことだ。

保守党は今や
極右の受皿に


 極右は保守党のこの移行から彼ら自身の結論をすぐさま引きだし、これは今や彼らのための政党だということをはっきりさせた。トミー・ロビンソンは党に加わり、「英国防衛同盟」と「フットボール・ラッズ・アライアンス」にいる彼の支持者に彼にならうよう勧めた。明らかなファシストの「英国人ファースト」グループの指導者、ポール・ゴールディングは、入党申請は承認されたと主張し、彼が言うところでは、党内に「モメンタム型の」運動をつくり出す公言済みの目的に基づき、「英国人ファースト」のメンバー五〇〇〇人が加わった、とも主張している。
 ゴールディングの公表された言明は、イスラムとブルカをまとった女性に関するジョンソンの否定的コメントに直接言及した。そしてゴールディングは、これは、これが彼のための党であり、「ボリスはわれわれに似ている」ということを示している、と語ったのだ。
 総選挙への助走期間では右への漂流に関し吐き気を感じていた者たちである中道派は、事実上押しつぶされた。「無所属」として立候補する者が一人もいないことで、あるいは議席を維持しつつも面白おかしく「無所属グループ」と呼ばれている者たちと彼らのためにキャンペーンした者たちの多くが、早くも保守党に潜り込み始めた中では、そう言わざるを得ない。
 かび臭く無礼な右翼の人物たち、ヤコブ・リーズ・モッグやイアイン・ダンカン・スミス――給付に関し障がいをもつ人々に悪質な攻撃を加えつつも今やナイトの称号を叙された――のようなキャンペーンの中で悪い評判をもたらしたと思われる者たちは、脚光を浴びて戻っている。保守党右翼が確保している目立つ立場は、党機構の内部的な形状を十分に映し出している。

権力保持目的の
民衆攻撃許すな


 このすべてに対しわれわれはこの敗北の本質について明確にする必要がある。保守党は、支配階級の一派にブレグジットが提供したものを利用する目的で必要としたがゆえに、右翼を取り込んだ。しかしそれは、その親EU部分が今脇にどかされている分裂した階級の、一派にすぎない。
 そして選挙におけるジョンソンの明確な勝利に対する過大視や焦燥感が覆っているわりには、その勝利もむしろ中空のものであり、二〇一七年総選挙比で得票数上昇は僅か一・三%でしかないのだ。完全小選挙区制が保守党を権力に投げ込んだのであり、本当の危険は、彼らが権力にしがみつくために今やるつもりのことにある。そこには、彼ら自身の支持者、「愛国者」を活性化するための、半ファシスト的基調の動員、そしてそれらに反対する者たちへの弾圧が含まれている。結果として、これから存在するのは英国中でのイスラム排撃促進、および反ユダヤ主義のヘイト犯罪だ。
 ファシズムの権力への到達は、支配階級の勝利を通してではまったくなく、労働者階級と被抑圧層の敗北の上に起きた、ということを思い起こそう。われわれが今英国でファシズムについて見つつあるものは、同じパターン、同じ論理にしたがっている。ボリス・ジョンソン下のレイシズム化した保守党を再び道具にした新流行型は今、まさにわれわれが喫した敗北を理由に勝ち誇っている。そしてそれをひっくり返す唯一の道は、自主的活動の高まりと左翼の自信をもった集団的決起を通すものだ。一つまた一つと、また次いでここで生きるすべてにとってのよりよい生活を求める、また国境の外で未来のために今闘っている人々との連帯の中での、結合された運動として、われわれは緊縮に対するあらゆる抵抗の行動を築き上げる必要がある。われわれは、全国民向けに話しているというボリス・ジョンソンの主張は嘘だ、保守党はかつて以上に一つの階級に向けて、支配階級の民族主義的、単一国民主義的一派に向けて話している、ということをはっきりさせる必要がある。(二〇一九年一二月三〇日)

▼筆者はソーシャリスト・レジスタンスの一員。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年一月号)


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