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    かけはし2020年3月23日号

健康・人権を取り戻す闘いへ


新型コロナウィルス問題で問われる課題

特措法反対! 労働者民衆のための医療・衛生充実を

支配者が手にした「武器」

 三月一三日、衆院本会議で改定新型インフルエンザ特別措置法が、自公・維新ばかりでなく、立憲・国民民主なども賛成し可決成立した。前号でも指摘したが、特措法は曖昧な要件で国会の承認もなく緊急事態を宣言でき、容易に基本的人権を制限することができ救済も規定されていない。またメディアの報道にまで介入できることが答弁で明らかになった。この危険な特措法を発動させないようにしなければならない。
 特措法成立を受けて同一四日に行われた安倍の記者会見は、翌日の朝刊のトップを飾ることもできないほどの無内容なものだった。検査体制の不備のためクルーズ船も含め感染者は約一五〇〇人である。この数字では安倍が緊急事態宣言を出したくても不可能だろう。しかし、安倍政権にこのような危険な「武器」をもたせてしまった。警戒を怠ってはならない。

医療・衛生政策の破綻


 イタリアでは一日の死者数が一〇〇人を超え、「感染者数は一一八カ国・地域で一二万五〇〇〇人に迫り」、WHOは一一日、新型コロナウイルスが「パンデミックとみなせる」と発表した。イタリアでは国内移動を制限した。オーストリアはイタリアの国境を事実上封鎖した。アメリカはヨーロッパからの入国を三〇日間禁止することを発表した。TVでは白い防護服を身に着けた労働者が街を消毒する映像が流れてくる。
 しかし、新型コロナウイルスが世界的に流行することができたのは、病原性が低いからである。鳥インフルエンザは鳥にとっては致死的な感染症であり群れ全体が全滅したりすることがある。ウイルスの病原性が強ければ、鳥インフルエンザと同じで他の群れに感染が拡大する前に感染した群れが絶滅することによって感染は広がらない。新型コロナウイルスがこれだけ短期間で世界的に広がったのは病原性が低いからである。つまり感染しても元気なままで普段通りに過ごせてしまう。
 日本でも感染者がスポーツジムに立ち寄ったことが明らかになり大騒ぎになった。つまり感染してもスポーツジムに行きたくなるほど元気なのである。元来健康な人は怖がる必要はない。一方で高齢者や慢性病を持つ人には脅威になる。しかしこの脅威は平等に人々を襲うわけではない。そこには明らかな階級差が生じる。医療へのアクセスが平等に保障されていなければ階級差は命の問題に直結する。
 新型コロナウイルスの病原性は低い。しかしこのウイルスがまるで人類への脅威のように感じられるのは、未知なる新型コロナウイルスが、あまりにも脆弱な公衆衛生体制・医療体制の実態を感染拡大によって暴き出したからである。イタリアで一日の死者が一〇〇人を超えた。
 その背景には、「財政健全化に向けて行われた医療費削減政策だ。仏紙レゼコーによると、イタリアでは過去五年間に約七六〇の医療機関が閉鎖。医師五万六〇〇〇人、看護師五万人が不足している」。(1)それでも人口当たりの医師数は日本よりイタリアの方が多い。イタリアでは、六〇代以上の患者が重症化した場合人工呼吸器はつけないと判断した。おそらく病床が不足している中、医療崩壊となり重症化した患者を優先的に治療につなげることができなくなったのだろう。
 たった一%が重症化しても感染者が多ければ削減された医療機関は受け入れることができない。だからイタリアでは、徹底的に封じ込めようと移動を制限し街を消毒しているのである。効果があるかどうかはわからないけれど。しかしイタリアは検査ができているだけまだ良いともいえる。おそらく日本でもただ新型コロナウイルス肺炎と診断がされていないだけで多くの持病を持った人が突然の肺炎で多数亡くなっている可能性がある。

危機の責任はどこに?

 このまま政府が無策のまま検査体制も拡充せず放置を続ければ、新型コロナウイルスの病原性は低いので人口の五〜七割が感染して免疫を持てば自然に収束するという予測がある。政府もそれを狙っているかのようである。その場合、東京都を例にとると約七〇〇万人が感染する。しかしほとんどが無症状か軽症化で済んでしまう。しかし感染者数があまりにも多いので、その〇・一%が重症化したとしても七〇〇〇人である。もちろん一時期に七〇〇〇人が発症するわけではない。しかし東京都の指定感染症病床は僅か一一八床しかない。重症者が増え続ければ医療崩壊につながる可能性がある。
医療崩壊を避けるためには都内の毎月の重症者が三〇〇人程度、無症状の者も含めて感染者が三〇万人程度に収まる必要がある。実際にはこのようなことはなく、ある時点で重症者は指数関数的に増加するので、あっけなく東京の医療体制は崩壊する可能性がある。その時点で感染が確認されても症状のない人は自宅待機となり、重症者だけが入院となるだろうが、その数毎月数百人に上るかそれを上回る。都内の医療資源を集中しても、全員を受け入れ高度な治療を行うことは不可能になるだろう。
まさにイタリアのように命の選別が行われ、人工呼吸器の不足などから望んでも六〇歳以上の人は最後まで治療を受けることができなくなる可能性がある。医療資源に乏しい地方はより悲惨な事態に陥る可能性がある。このような最悪のシナリオを避けるために実効ある対策を実施させなければならない。
しかし、中国のように病院を急遽建設しても、医療を提供できるのはあくまでも訓練された資格者である。医師の養成を抑制し、看護師を使い捨ててきた日本では、残念ながら短期間にできることはあまりないかもしれない。このような時に小池都知事は、東京都の指定感染症病床の約七〇%を占める都立・公社病院の地方独立行政法人化を強行しようとしているが、即刻撤回すべきである。

健康に生きる権利を

 世界的バブル経済が破たんして恐慌が姿を現しつつある。特措法で、それに抵抗しようとする労働者の集団的抵抗が、集団であるという理由だけで弾圧される可能性が出てきた。非常事態が宣言されなくても、同調圧力が強まり、安倍政権による感染防止策に生活が破壊された人々の怒りが、集団的に抵抗しようとする労働組合や市民団体に「わがままだ」などといって向けられる可能性がある。
コロナ不況ではない。新型コロナウイルスに対する対処を間違ったために引き起こされた安倍による不況である。安倍不況を前に経営にすり寄ったトヨタ労組が惨めな姿をさらしたように資本は世界同時不況を前に労働者に対し一ミリも譲歩する気はない。そして「惨事」はこれで終わるとは限らない。全世界を金で結び付けた市場は、今までだったら一部地域の風土病に終わっていた感染症を世界に広げるだろう。そして温暖化による気候変動は様々な災害をもたらすだろう。だからこそ、公衆衛生、医療をまず何よりも充実させる必要がある。
真の敵は新型コロナウイルスではなく、安倍政権である。#特措法反対、#医療を無償に#消費税減税 #生活苦しい時は声上げろ、#で繋がろう。そして、集団的抵抗の第一歩をふみだそう!   (矢野薫) 

 (1)JIJI.comより
https://www.jiji.com/jc/
article?k=2020030800279&g=int

 


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