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    かけはし2020年10月19日号

菅政権の改憲強行方針鮮明に


10.6

「学術会議」会員候補任命拒否

民主主義破壊に怒りが広がる

首相官邸前抗議行動に700人

 


菅政治の反民主
主義的本質明瞭


日本学術会議が推薦した会員候補一〇五人のうち、菅新政権が六人の任命を拒否した暴挙に対して、総がかり行動実行委員会は一〇月六日午後六時半から首相官邸前で緊急の抗議行動を行った、行動には七〇〇人が参加した。
この問題は決して「学術会議」人事に止まるものではない。政権に都合の悪い批判的な学者・研究者を排除し、自由な言論を押しつぶすという菅新政権の民主主義破壊の強権性をはっきりと示したものだ。安倍前首相に仕えた菅新首相の政治がどういうものであるかが、よくわかる。
総がかり行動実行委共同代表の藤本泰成さんが主催者を代表して訴えた。「気に入らない学者は排除しろ。これが菅新政権のやり方だ。しかし批判のないところに民主主義はない。日本の社会をまっとうな社会にするために学問の自由を守る責任がある。われわれは権力の鳥かごに入るのを拒否する」。
続いて参加した国会議員が呼びかける。「沖縄の風」の高良鉄美参院議員は「私は昨年まで大学で憲法を教えてきた。菅新政権の憲法違反の体質が明らかになった」と強調した。立憲民主党の黒岩宇洋参院議員は「中曽根内閣でさえ、学術会議が推薦した人を拒否するようなことはなかった。こんなことはあり得ないし、法原則を踏みにじるものだ」と語気強く批判した。「不利益をこうむっているのは、任命を拒否された学者だけではない。国民全体だ。国民に責任を負えない政府は学問の世界まで踏みにじっている」と黒岩議員は厳しく菅政権を糾弾した。
日本共産党の井上哲士参院議員も「日本学術会議への人事介入は勧告される側が勧告する人を拒否するというあり方だ。学術会議は戦争目的の研究はやらないことを明確にしている」と強調した。

連続した闘い
に結集しよう


集会では、任命を拒否された六人の一人である慈恵医大の小沢隆一教授も発言。「九月末に学術会議事務局から任命しないと伝えられた。これは私個人の問題ではなぃ。国民全体の問題だ」と強調した。小原隆治早大教授は「アカデミズムの危機であるだけではなく民主主義の危機だ」と呼びかけた。「なぜ任命を拒否したのか、政府の側はまともに答えていない。加藤官房長官は『人事については言えることと言えないことがある』と説明責任を果たそうともしていない」と批判した。
東大名誉教授の小森陽一さんは「行政権力が『学問の自由』を踏みにじっている。多くの学者たちが戦争法体制に反対している。いま政権はこうした学者たちに攻撃を強めている。市民と野党の共闘に対する真っ向からの攻撃だ。反撃を!」と呼びかけた。
「改憲問題対策法律家六団体」の米倉洋子弁護士は「今回の政府の任命拒否は日本学術会議法に反する明瞭な違法行為だ。任命に対する裁量権も拒否権も内閣にはない。学術会議からの要請がなければ解任はできないのだ。ついに学会にまで手を出してきた菅政権を許さない」と訴えた。
一〇月一九日の衆院第2議員会館前集会、一〇月二六日の国会開会日集会、そして一一月三日の国会正門前集会に結集し、菅政権の暴挙を許さない意思を示そう!       (K)

アピール

日本学術会議会員の任命拒否を撤回
し、6名のすみやかな任命を求める

戦争させない9条壊すな!総がかり行動実行委員会
               2020年10月6日

 日本学術会議総会が推薦した新会員105名の内の6名が、菅首相によって任命を拒否されました。これに対し、日本学術会議は菅義偉首相に、理由の説明と新会員候補6名の任命を求める要望書を送付するというこれまでにない対応を行いました。
 菅首相は「法律に基づき任命した」と強弁し、加藤官房長官は「会員人事で一定の監督権行使は法律上可能」と従来の政府見解と異なる説明を行い、政府の担当部署も「義務的に任命しなければならないというものではない」と開き直るという許しがたい対応です。
 多くの市民、学者、学生が抗議の声を上げています。「菅首相に日本学術会議会員任命拒否の撤回を求めます」とのネット署名は5日時点で10万人をこえて賛同が寄せられ、「#日本学術会議への人事介入に抗議する」とのツイッターは短時間で20万件以上に広がるなど、抗議の声は急速に高まっています。

 任命を拒否されたのは芦名定道京都大学教授、宇野重規東京大学教授、岡田正則早稲田大学教授、小沢隆一東京慈恵会医科大学教授、加藤陽子東京大学大学院教授、松宮孝明立命館大学大学院教授の6名で、多くの方が安保法制・戦争法、特定秘密保護法、「共謀罪」などの違憲法制や辺野古新基地建設に反対する見解を表明されました。
学問的、専門的な見地からの政府方針の批判が今回の任命拒否の理由だとすれば、それは憲法第23条に規定される学問の自由への国家による露骨な侵害にほかなりません。

 日本学術会議は1949年1月、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献することなどを使命として設置された「政府から独立して職務を行う『特別の機関』」です。独立性を担保する目的で、会員210名の任命は「(日本学術会議による)推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(日本学術会議法第7条2項)とされ、仮に会員に不適当な行為があっても学術会議の申し出がない限り退職させることができない(同法第26条)など、首相の人事裁量の入り込む余地を排除しています。戦前の学問、言論への公権力の介入が軍国主義と戦争への道を開いたことへの痛切な反省があるからです。
日本学術会議もその立場を堅持しつづけ、2017年度に軍事応用できる基礎研究への防衛省の助成制度の増額が行われた際、「再び学術と軍事が接近しつつある」と危機感を示し「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」と表明しました。

 日本学術会議法改正によって会員の公選制が内閣総理大臣の任命制に改変されたのは1983年ですが、その際にも日本学術会議の独立性が問題となり、政府は「学会の方から推薦していただいたものは拒否しない」と国会答弁しています。
今回の任命拒否は、従来の政府見解にも反する解釈変更を内閣が独断でおこなったことも大きな問題です。安倍政権では、集団的自衛権行使容認の閣議決定という解釈改憲や、東京高検検事長の定年延長にかかわっての検察官への国家公務員法適用での解釈変更がおこなわれ、法のルールを捻じ曲げる事態が続いていきました。
安倍政権の下で、人事権を恣意的に乱用して官僚などに政権への隷従を迫る手法の中心にいた菅首相が、日本学術会議にも同様の手法で隷従、忖度を迫ったのが今回の任命拒否であることは明らかです。
このようなことが繰り返されることでは、法治国家の根本が揺らぎます。立憲主義や民主主義が根元から腐り、空洞化し、広く市民の人権を脅かすことが懸念されます。

 総がかり行動実行委員会は、菅首相に対し、6名の会員任命拒否の経過と理由を説明し、速やかに任命するよう強く求めます。
民主主義のこれ以上の後退を許さず、物言えぬ社会を拒否するには、立憲主義を守る政治に転換するしかありません。自公政治に代わる政権の実現にむけた全国での取り組みの強化を心からよびかけます。

 

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『草(くさ) 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』を読んで

SM

 『草(くさ) 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』【キム・ジェンドリ・グムスク 著/都築寿美枝、李ヤ京(り・りょんぎょん) 訳/原正人、吉見義明、梁澄子(ヤン・チンジャ) 解説/笠原十九司 翻訳監修/ころから 発行】を読んだ。
 「草」は、日本軍によって性奴隷生活を強いられた女性の一人である李玉善(イ・オクソン)さんについて描かれた社会派漫画(グラフィックノベル)だ。
 「人間が美しいと言えるのは、おぞましい傷と苦痛の記憶の中でも治癒の努力と生きつづけようとする熾烈な意志があるからだろうか」(キム・ジェンドリ・グムスクさん)。「次世代を生きる人々に同じようなことが起きてはならない、そのためにはまず知らなければならない」(梁澄子さん)のだ。
 「草」は、とても美しい。「草」を読んで、私はまるで映画を観ているような気がした。「草」は「タイタニック」のようでもあり、「シンドラーのリスト」のようでもある。映画化されたら、ぜひ観てみたい。日本に住んでいる多くの人に「草」を読んでほしい。私がNHKやテレビ朝日だったら、「エール」や「仮面ライダー」ではなく「草」を放送するだろう。
 ハルモニの幸せと従軍「慰安婦」問題の真の解決がもたらされることを。そして「日本軍国主義の打倒」「日米安保の解体」「天皇制の廃止」を。願っている。
  (2020年9月8日)




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