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    かけはし2020年10月19日号

共同の対応議論に出る時だ


自動車産業の現場活動家座談会(上)

未来車への転換、全体的な業績不振の二重の危機の中



 6月、大邱素材自動車部品メーカーの韓国ゲイツが一方的に廃業を通知した。継続的な経営危機に苦しんでいた双竜自動車も親会社であるヒマンドラが正式に投資中止の意思を明らかにした。電気自動車をはじめとする未来車への転換、そして全体的な業績不振という二重の危機は、完成車・部品メーカーを問わず切迫してきている。この波に出くわす現場労働者の考えはどうか、今すぐにもどのような実践から始めなければならないのか、悩みを共にする自動車産業現場の党員たちの座談会を行った。


座談会参加者

キム・ソンミン ユソン企業領東工場
ソ・ヨンウ 現代車全州工場
オム・ジョンフム トゥウォン精工
チョ・ナムドク コンチネンタル
ハン・ジョンウ 甲乙オートテック(現KBオートテック)

どのような変化が起きているか

Q:直接感じたことを踏まえて、自動車産業の不況や未来車への転換と関連して現場でどのような変化が感じられるか。

キム・ソンミン:ユソン企業はエンジン部品を作る事業場だが、労組破壊事態が解決されていない。そんな中で組合員は、この問題が解決後に、他のことを議論しなければならないと考えているようだ。ユソン企業は元々工場が4カ所あった。アサン、領東、仁川、大邱工場だったが、大邱工場はすでに閉鎖され、仁川工場もなくなった。この2工場の規模は小さかったが、私は構造調整だったと見ている。会社が工場をなくしても解雇はできないので、労働者はアサン工場に移動させたという。
会社の関係者に「未来車に関連して、会社で準備していることがあるのか」と聞いた。すると「ひとつもないが心配だ」と言っていた。現在アサン工場は物量がなく、領東工場は現代車GV80のような車がたくさん出ていて、一定の残業・特別勤務がある。会社は休業措置をしようとしたが、一度覆し、今回またしようとする試みがみられる。

オム・ジョンフム:トゥウォンは生産品自体が斜陽産業に属していて、すでに以前から厳しい状況が予想された。機械式エンジンがコモンレールエンジンに変わり、機械式を生産していたトゥウォンは物量が急減した。現在は国内で使う物量はなく、100%輸出用である。主に第三世界に輸出するが、近頃はここもコモンレールに変わってきていて、物量はより減っている。トゥウォンも休業・休務を進めている。9月には会社から2週間休務する案があった。労働部から休業手当を受けている状態だ。そのほか金属労組京畿支部事業場でも休業するところがある。例えば、これまで休業したことがなかったケピコが初めて休業に入った。

ハン・ジョンウ:甲乙もとりあえず物量の問題がある。ところがこれは、以前の労組破壊闘争の時に代替生産が進むにつれて発生した問題で、未来車関連として組合員が実感することはほとんどない。「未来車に変われば、われわれの事業場からなくなるものは何か」程度の関心はあるが、どうしても労組破壊問題からの回復がまだできていない状態だ。
ただし私は昨年から関心を持ってずっと監視をしてきたが、実際の変化が感知されるのである。甲乙は主に商用車のエアコンシステムを作って、現代車全州工場に納品するのだが、労組破壊闘争の後、昨年から現代車が甲乙の入札を受け始めた。ところが最初に受けた物量が、全部バッテリー車または水素車だった。昨年までは未来車への切り替えは「30年くらい先の話」だと思っていたが、予想よりも速度が凄まじく速い。

チョ・ナムドク:世宗にある部品社のボッシュ電装は、ボッシュ社持分が100%だが、昨年別途に大邱に合併会社を作った。その大邱工場で電気自動車の駆動モジュールを量産することになった。先週ぐらいにボッシュ電装労組と少し話を交わしたのだが、労働組合も悩んでいるという。政府も「グリーンニューディール」を掲げながら、電気自動車と水素車で行くとしているが、その主導権と物量割り当てを現代車が握っており、「労組が中を腐らせている事業場」には物量を与えないので、労組にこっそり別の法人や工場を作るなどしている。他人事だと思っていたが、すでにわれわれの地域のボッシュ電装の事例もあり、深刻だという思いがした。

ソ・ヨンウ:現代車全州工場は商用車、2・5トンのトラックからバスまで作っている。ところが6年ほど前から物量が大きく減少した。エンジンは作れない状況であり、観光バスは4年前からとっくに物量が減っていたし、今ではコロナのためにまったくなくなっている。それでもちょっと出たのが一般バスと市内バスぐらいだ。また輸出ができないことで、先月も1週間休んだ。ヨーロッパから水素自動車46台の注文を受けて出荷したが、まだ明確に水素車をいつからラインに乗せるのかという計画は出ていない。蔚山工場は私が知っている限りでは、これまでは電気自動車と内燃機関車を一緒に生産していたが、1工場で来年1月から電気自動車専用のプラットフォームで完全電気自動車を量産するという。その工事が今年の夏に終わる。その過程で、会社が内燃機関の工程を外注に回そうとして、現場との摩擦をもたらした。

働く仲間の認識はどうか

Q:産業の変化と危機に対して、共に働く仲間(組合員)の認識はどうなのか。

キム・ソンミン:最大の問題は「何とかなるだろう」と思っていることだ。現場労働者の高齢化もかなり進んだ状態で、「少なくとも10年は続かない」と考えている。そして「変化に対応する適当な方法がない」と断定していて、大っぴらには言っていないが、他の事業や株式、不動産を調べるなど、他の方法を見つけることもある。一度「電気自動車に変われば、われわれはどのようにしなければならないと思いますか」と、尋ねたことがあったが、「時の流れだから答えがないんだ、もう10年前にやらなければならなかったが、われわれは労働組合破壊のために、こうなっているんだからどうにもならないんじゃないか」と答えた。

チョ・ナムドク:私が仕事をしているコンチネンタルは車のダッシュボードを作成する事業所であるが、今後それがなくなる。弊社ではソフトウエアを開発しているというのに、会社が具体的なことを話してくれない。現場の雰囲気は「すぐに大きな変化に誤らないこと、私も末っ子が40歳を過ぎたので会社に通う間はたいしたことはないか」という感じだ。
問題は現在コンチネンタルの世界雇用人員が26万人だが、昨年本社で今後10年間で2万人ほど構造調整して、いくつかの工場は閉鎖しながら、その代わりに未来車に投資すると明らかにした。どの国の工場が廃業対象に引っかかるのかわからなくて、交渉するたびに使用者側はその話を取り出して「賃上げが過剰になれば閉鎖することもある」と、労組を圧迫する。数日前に複数労組事業場会議に行って、このような話を聞いた。おそらく内燃機関関連事業場だということのようだが、日に日に物量がなくなるのがわかるので、使用者側に「物量を取って来い」と話しているのだ。肌に触れる事業所は真剣に感じている。「労組が譲歩を強要される構図になっている」そんな感じもしている。

オム・ジョンフム:われわれも同様に高齢化していて、平均年齢が54歳くらいになるだろう。今年も20人定年退職して、この5年間で100人を超える。それとともに漠然とした不安がある。それは対案がないということが最大の問題だ。トゥウォンはすでに斜陽産業で売り上げが急減し、賃金も4分の1切り下げにされた。
それで副業をたくさんしようとする。物流センターにはたくさんの仕事があり、午後4時に退勤して夜間走るのだ。そしてトゥウォンは休業が多いので、また物流センターは勤務時間の調整が可能なので、そのたびに行って働くのだ。代行運転をする人、建設現場に行く人もいる。首吊りをする人々は死の境地に追い込まれる。共働きも多く、配偶者が非正規職で収入がいくらにもならないのに、お金は一番多くかかる時期だ。私も大学生の子供が2人だが、1年に学費に部屋代、小遣いで少なくとも3千万ウォンかかる。共働きも難しい。

ハン・ジョンウ:甲乙もトゥウォンと年齢が似ている。53〜54歳くらいだ。われわれはこの問題について、昨年から準備して事業計画と報告書も出した。金属労組忠南支部の教育もして、昨年事業をいくつか拡げた。ところが、このようなことを第一線で一番最初に接する幹部の場合、これは30〜40年先の話だと思えば「私には関係ないね」と、このように受けとめたりもする。これは逆に言えば、われわれには準備する時間が十分にあることを意味する言葉だ。
一番心配に思うことは「自分がしなくてもできること」という考えだ。10年、20年後のことは後輩たちがやることという態度だ。ただし若年層が大挙核心幹部として上がってきた。これらはすぐ自分たちがぶつかる問題であるだけに、心配も大きく、早く準備しなければならないという問題意識もある。

ソ・ヨンウ:完成車では定年退職予定者が多くて、来年から2千人ずつ10年間、人員が減る。さらに現代車のユン・ヨチョル副会長が「新規採用を要求しないで、現在の正規職は定年まで保証する」という話までした。だから「自分の席は残った」と安堵する心理がある。
しかし蔚山第一工場の場合、電気自動車が入ってきて、組合員の仲間たちが闘っているが、それは元々900人程度で作っていたラインに対して、会社が「200〜300人程度減らさなければならない」と話したからだ。このようにもうすぐ来年にも、電気自動車が入ってくることで闘いが起こった。このような闘いが完成車で、より多く行われなければならないと思う。活動家が、正規職定年退職の席に正規の新規採用を要求する闘いを続けなければならない。
(次号へつづく)
(社会変革労働者党「変革と政治」第112号より)

朝鮮半島通信

▲朝鮮労働党中央委員会第7期第19回政治局会議が10月5日、党中央委員会本部庁舎で開催された。会議には金正恩党委員長が参加した。会議では来年開催予定の党大会に向けた「80日戦闘」を行うことなどが決定された。
▲10月8日午後11時過ぎ、蔚山市の33階建て住宅兼商業複合施設から出火し、高層階を中心に広範囲に延焼した。

コラム

新幹線客への説得活動

 一〇月四日現在、全国四七都道府県の中で、コロナ・ウイルスの感染者が二四人と一番少ないのは岩手県だ。二位は鳥取県の三六人、三位青森県の三七人、以下四位秋田、五位山形と続く。こうして並べてみると大都市から離れている地域だ。一位の岩手県は七月初旬まで一人の感染者も出ていない全国で唯一の県であった。
 九月の末、この時期岩手県はどの様な対策が行われていたのかを追求したテレビ番組が特集された。多くの対策は、全国ですでに行われているもので、街から県外ナンバーの車を締め出し、空港では県外からの訪問者にレンタカーを貸さないなど、全国ですでにやられている対策と変わらなかった。
 びっくりしたのは新幹線対策であった。県庁所在地の盛岡だけではなく、花巻、一ノ関、北上など岩手県内の新幹線駅に早朝から最終便まで特別対策員を配置していたことだ。彼らの役割は新幹線が停車して降りて来る客に対し下りの場合、当駅で下車しないで青森や函館方面まで乗っていくように説得すること。上りの場合は仙台・東京方面に行くように説得する。この対策員に県庁や市役所の職員は公務員であるため使えず、当事者のJRも職員は出せない。そのためその人員は地元の商工会や観光協会の職員の役割になっており、すごいことに改札の反対側でそれぞれの上司が見張っているのだ。まるで刑事ドラマか戦争中の「特高か自警団」ドラマである。
 リアス式が美しい三陸の海岸部ではこの役割をガソリンスタンドの従業員がやらされていた。その中の一人がテレビのマイクに向って、「3・11の津波の時は、県外からの訪問者に助けてもらったのに、今度は来るな!か。やってられないよ」と発言した。この一言がこの仕事の本質を言い表している。
 もう一つびっくりしたのは、こうした地域をあげた「排外主義」的動き・圧力に抗する動きである。それは毎週のように東京、大阪、仙台などに従業員を出張させていた企業の中の話であった。「感染者は東京や大阪に出張している者の中から出る可能性が高い。もし出たら感染者は『殺人者』のレッテルをはられる。その上、家族は村八分になる。それは企業も同じだ。これを防ぐ対策が必要だ。そのため、考えられる限りの対策チームをつくろう」と動き出すのである。
 テレビで取り上げられたのは、送迎班とマスコミ対策班であったが、みんな必死にがんばっていた。岩手県だけではないと思うが、3・11以降東京や大阪のデパートでは毎週のようにどこかで「物産展」が開かれ、ここに農協や漁協の職員が派遣される。出張者が多いのは民間の企業だけではなく農協や漁協も多いので、こうした動きが地域全体に波及していく。
 岩手県の一人の感染者も出さない動きは、地域をあげた反動的な「排外主義」的動きとそれと反発する人びとの力があったのだ。この二つのベクトルが一人も感染者を出さない力であることをテレビで知らされた。
 現在、旧来から日本社会に深くはびこる保守的な排外主義的力だけでなく、それに抗するあたらしい「反発力」も社会の中に育っているのだ。これは大きな声をあげて対抗する程ではないが、深く静かにの段階だが。
 私たちはこの新しい「反発する新しい力」をどう大きく育てるかが問われている気がする。これは今始まっているワクチン問題でも同じだ。日本でもオリ・パラを口実にワクチン・ナショナリズムが台頭している。コロナウイルスのパンデミックは世界中にワクチンが行き渡らない限り終息しない。次はワクチンナショナリズムとの対決だ。次から次へと生まれる排外主義とナショナリズムとの闘いに全力を傾けよう。      (武)



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