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    かけはし2020年10月26日号

郵政20条裁判 最高裁で勝利判決


10.15

すべての非正規労働者に均等待遇を

あらゆる差別をなくす闘いへ


原告の要求を
すべて認める


一〇月一五日、郵政20条裁判で、原告一一人の手当、休暇制度の是正を求める案件で、最高裁は被告郵政会社の要求をすべて棄却し、原告の要求をすべて認める画期的な判決を言い渡した。
郵政労働者三八万人のうち一八万人が非正規労働者であり、この非正規労働者のあり方が違法とされた。今後、差別を是正する闘いに入る。今回、夏・冬期賞与については是正を認めなかった。
一〇月一三日、大阪医薬大、東京メトロコマースの非正規労働者が賞与、退職金の是正を求めた裁判で、高裁判決で認めたものを、格差があることは違法ではないと却下する反動判決を最高裁は下した。手当の差別を是正するが、格差の最も大きい本体部分の差別を容認するというのが最高裁の姿勢だ。根本的な是正に向けた闘いが始まる。

画期的勝利を
広げるために


最高裁判決に向けて、前段集会が午後一時半から、最高裁南門前で行われ、二時から傍聴に並び、午後三時からの判決に備えた。佐賀、東日本、西日本の三つの訴訟について、判決が午後三時から言い渡された。
午後三時半過ぎに、正門前で待ち構える郵政ユニオンや支援の仲間たちに、原告たちが大きな丸を手で表しながら、満面の笑みを浮かべて歩いてきた。「勝った!」大きな拍手が沸き上がる。「勝訴」の垂れ幕ではなく、勝ち取った手当・休暇制度を書いた垂れ幕を掲げ、報道陣のカメラに収まった。
郵政ユニオンの家門副委員長が「大きな勝利を勝ちとった。働かせ方が違法であったことが認められた。二次訴訟・一五四人の集団訴訟を闘っている。非正規雇用の待遇が変わっていく。社会を変えていく。さらに闘いを進める」と力強く発言した。
大阪訴訟の川村弁護士が「すべての労働条件で勝利した。画期的なことだ。格差是正に向けて大きく前進した。しかし、一〇・一三最高裁判決は不当なもので、賞与・退職金差別を容認した。基本給を含めた是正を勝ちとるように闘いを進めてほしい」と述べた。
原告が喜びの発言をした。
「受けた恩を勝利で返した。正社員も証言し、それが裁判所に届いた。正規・非正規とも同じ人間だから、同じにせよということだ。よりよい社会を作りたい」。
「二三年働いている。誇りをもって働ける社会を。最高の判決でよかった」。
「一〇・一三判決は苦しい気持ちになったが郵政で仇をうった。アルバイトだからいいかげんな仕事をしているわけではない。非正規でも責任をもって仕事をしている」。
「時代の扉を開いた。子どもたち、明るい未来をつくりたい」。  
引きつづき、記者会見と衆院第一議員会館で報告会が開かれ一一四人が参加した。
弁護団から判決の意義について説明(資料・声明参照)、共産党・社民党の国会議員、全労連、全労協からの連帯のあいさつが行われた。
大阪医科薬科大学原告が「私への判決はびっくりするようなものだった。働いていたことに対する対価としての賞与を何としても出したくない、経済界の方を向いた判決だった。困難ではあるが闘いは続けていきたい」と悔しさをにじませ、しかし、負けないという強い意思表示の発言。
東京メトロコマースの原告は「住宅手当、報奨金、残業代割増金は自分たちも認められ、今日勝った郵政の人たちと同じぐらいの金額だ。根源の差別を崩していかなければならない。裁判だけに頼ってはだめだ。郵政の人たちに教えられ、みんなで闘いぬいてきた。そういう組合であることが希望だ」と今後も闘い続ける決意を述べた。
金子副委員長が「@この勝利判決を宣伝し、広げていき、組織の前進に結び付けたいA全社員に支給しろ、就業規則を適用しろ、と会社に要求書を出していく」と今後の取り組みを示し、閉会のあいさつとした。郵政20条裁判の勝利を全労働者のものとしよう。            (M)

資料
日本郵便(株)有期雇用社員格差、是正最高裁判決にあたっての声明

          2020年10月15日
郵政産業労働者ユニオン
東・西労契法20条格差是正原告団
東・西労契法20条格差是正訴訟弁護団

 本日、最高裁判所第1小法廷(山口厚裁判長)は、有期雇用社員と正社員との労働条件格差の不合理性に関して、福岡高裁判決(一審原告1名)、大阪高裁判決(西日本訴 訟一審原告8名、)及び東京高裁判決(東日本訴訟一審原告3名)について、扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間における祝日給、有給の病気休暇制度及び夏期冬期 休暇制度の正社員との格差が不合理で違法であるとして、日本郵便株式会社(会社)に対して、旧労働契約法20条に反する不法行為として損害を認める判決を言い渡した。本件は、会社における有期雇用社員と正社員との間の労働条件の相違が旧労働契約法20条が定める不合理な労働条件の相違にあたるか否かを判断したものであり、上記手当及び休暇制度の格差を違法と最高裁が判断したことは、非正規労働者の均等・均衡待遇実現への道を一歩進めたものと評価することができる。
最高裁は、扶養手当について、「扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的」によるものと考えられるとし、「本件契約社員についても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な職務が見込まれるものであれば、扶養手当を支給することとした趣旨は妥当する」として、扶養手当の支払いを命じた。
また、年末年始勤務手当については、郵便の業務を担当する正社員の給与を構成する特殊勤務手当の一つであり、「12 月 29 日から翌年 1 月 3 日までの間において実際に勤務した時に支給されるものであることからすると、同業務についての最繁忙期であり、 多くの労働者が休日として過ごしている上記の期間において、同業務に従事したことに対し、その勤務の特殊性から基本給に加えて支給される対価としての性質を有する」とした。そして、年末年始勤務手当の性質や支給要件及び支給金額に照らせば、これを支給することとした趣旨は、時給制契約社員にも妥当するものとし、不合理とした。
次に、夏期冬期休暇について、時給制契約社員に与えないことは不合理であるとする原審を是認した上で、1審原告らに損害があるとして、損害がないとした原審を破棄して、損害額を確定させるために原審に差し戻した。
そして、有給の病気休暇について、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障を図り、私傷病の療養に専念させることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられるとし、この目的に照らせば、時給制契約社員についても、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、その趣旨は妥当するとして、病気休暇について有休と無給の相違を設けることは不合理とした。
また、最高裁は、会社が引っ越しを伴わない配置転換を命じる新一般職の正社員に支給する住居手当を有期雇用社員に支給しないことは、不合理な労働条件であるとした東京高裁、大阪高裁の判決について会社側上告を受理せず、この住居手当の格差の違法性も確定させた。
一審原告らが求めた夏期・年末手当(夏期・年末賞与)の支給格差を不合理な格差ではないとした東京高裁及び大阪高裁の判決を是正しなかった。
先の10月13日、最高裁は、大阪医薬科大学事件及びメトロコマース事件において、賞与及び退職金の格差を不合理と認めなかった極めて不当な判決を言い渡した。この最高裁二判決は、格差是正の立法の趣旨を軽視し、非正規労働者の待遇を改善し格差を是正していこうというこれまでの流れに逆行するものである。ただし、本日の本最高裁判決では、賞与等の是正を図られなかったものの、住居手当、扶養手当、年末年始勤務手当、年始期間中の祝日給、一定の休暇制度の格差を不合理なものとして違法とした点では、 非正規の格差是正に向けた道を開いたものといえる。日本郵便で働く正社員は約19万人、有期雇用社員は約18万人にのぼる。また、日本全体で見れば、非正規労働者は2120万人を超え、非正規雇用率は38%に達しており、これからも均等・均衡待遇の実現と格差是正は喫緊の課題である。
現在、本件一審原告らと同じく格差是正を求めて、会社に対して有期雇用社員154人が提訴し、全国の地裁で集団訴訟がたたかわれている。会社はこの最高裁判決に従い、 直ちに上記手当及び休暇制度に係る損害を支払うべきであり、また、提訴していない有期雇用社員全員についても就業規則の改正等の格差是正措置をとるべきである。
また、一審原告及び郵政産業労働者ユニオン、同弁護団は、今後も法廷の内外でのたたかいを進め、多くの労働者及び労働組合と連帯して、新たなパート有期雇用労働法の均等均衡待遇の完全実現を求めるたたかいを強める決意である。

10.13

大阪医薬大・メトロコマース事件

最高裁不当判決許すな

労働条件の差異は不合理ではない?

 一〇月一三日午後、最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)で大阪医科薬科大事件「労働契約法二条裁判上告審判決」が、それに続いて同小法廷(林景一裁判長)でメトロコマース事件「労契法20条違反事件上告審判決」が言い渡された。メトロコマースは東京メトロ各駅構内の売店・コインロッカーなどの管理・運営にあたっている企業だ。
 大阪医科薬科大事件は、同大学研究室の「有期雇用・時給制」の助手として勤務してきた女性が賞与・夏季休暇、そして病気休職中の給与保障を求めて提訴したもの。大阪高裁で「一〇九万円の損害補償」を命じる一部逆転勝訴判決(二〇一九年二月)を勝ち取ったにもかかわらず、この日の最高裁判決は「有期雇用労働者への不合理と認められる相違を設けてはならない」という改正パート労働法八条を踏みにじる不当極まるものだった。
 最高裁判決は、「賞与及び夏季休暇、私傷病休職中の給与保障等に関する労働条件の相違を不合理とし大学に対し一〇九万円の損害補償を命じた大阪高裁判決」(二〇一九年二月一五日)を変更し、賞与及び私傷休職中の給与補償等についての原告の請求を退けた。
 次に「メトロコマース事件」についてである。(株)メトロコマースは、正社員に対し退職金を支払っているにもかかわらず、「契約社員B」の四人の女性がいずれも「一〇年前後の勤続期間を有している」ことを認めながら退職金の支払いを拒否してきた。最高裁第三小法廷(裁判長・林景一、裁判官・戸倉三郎、宮崎裕子、宇賀克也、林道春)は「退職金の支給の有無に係る労働条件の差異があることは、不合理であるとまで評価することができるものとはいえない」と、あからさまな不当差別の判決を行ったのだ。

参院議員会館で報告集会

非正規労働者は人間だ!

 この日、午後五時五〇分から参院議員会館で両判決の合同報告集会が行われた。社民党党首・参院議員の福島みずほさんは、メトロコマース、大阪医科薬科大の二つの判決を批判。「正規・非正規」という雇用形態の相違が、賞与を含む賃金・権利・労働条件の差別・相違を正当化するものであってはならない、と強調した。そして「格差・差別を認めて何のための最高裁なのか、非正規全体の待遇改善を行わないかぎり経済はまわらないし、『同一労働・同一賃金』は言葉だけのものになってしまう」と批判した。
大阪医科薬科大の当該女性は、「いったい最高裁の裁判官は非正規労働者を人間でないと思っているのか、ずさん極まる判決だ」と厳しく糾弾。「メトロコマース」の当該女性は、「どんな判決が出てもこの運動を続けていきたい。頑張ってくださいではなく当事者になってほしい。そしてこれから声を上げる人たちの支えになりたい」と語りかけた。
日本共産党の山添拓参院議員も激励にかけつけ、菅新内閣の「規制改革」という名の労働者の生活・権利を破壊する流れに対決しようと語った。最後に郵政労働者ユニオンの日巻直映委員長が連帯のあいさつ。「郵政労働者の四八・八%が非正規労働者だ。不当な分断をはねのけ闘おう」と強調した。
差別・分断をはねのけ闘おう。       (K)

 




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