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    かけはし2020年10月5日号

北海道を核のゴミ捨て場にするな


神恵内村も文献調査応募の動き

「応募ドミノ」に抗する闘いを

何よりも原発廃止の世論と行動を

 【札幌】九月一〇日、神恵内村(かもえないむら)の商工会が村議会に村の応募検討を求める請願を提出していたことが分かった。その後一六日の村議会の審議において請願の採決を見送り継続審議になった。また、寿都町は一五日に住民説明会を終えたが、町長は応募判断時期については明らかにしていない。

自主財源の乏
しい神恵内村


神恵内村は泊村の北に隣接する人口八〇〇人余りの寿都町同様の水産業が主な産業の村である。北海道電力泊原発がある泊村、共和町、岩内町とともに北電、道と安全協定を結ぶ立地自治体。したがって電源立地地域対策交付金の対象となっている。交付金や固定資産税は四町村で最も少ない四〇億円。また二〇一二年に停止した原発の再稼働が見通せない中、原発立地による経済効果は年々低下してきていた。
八月、村の商工会は会員に臨時総会の議案書を送付し、そこにはただ一行「地域振興について」と書かれていた。九月七日の臨時総会は処分場の簡単な説明の後、文献調査への応募を求める議案に大半の出席者が賛成し、質問もないまま約二〇分で採決されたという。
また総会で配布した資料を終了後に回収するなど反対論が噴出するのを予め封じ、村民に対しても秘密裏に準備を進めていた。
今年初めごろ、商工会は処分場誘致を検討する委員会を設置し、一部会員だけで処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)職員との勉強会をしていたようだ。
商工会会長は「処分場を誘致したい」と強調し、村長は「議会の議論を見守りたい」と述べている。しかし応募の可能性を否定していなかった村長との連携プレーは明らかだろう。

安倍前政権か
らの選別攻撃


前政権は地方創生を打ち出し、市町村を選別して補助金を交付する手法によって、地方分権とは名ばかり、逆に地方を疲弊させ地方自治体に対する支配を強めてきた。
二〇〇〇年以降の三位一体改革で地方交付税の削減を進め、国の財政再建が優先された結果、自治体財政が悪化してきたのだ。
コロナ禍によりさらなる財政悪化にみまわれる地方自治体は、こうした政府による罠のような処分地選定方法に取り込まれることになる。道も財政難から行財政改革を進め、市町村に予算を配分する力が弱まり、求心力が低下した。
梶山経済産業相はそれを見透かすかのように、文献調査から概要調査に進む前に国に示す知事らの判断が反対だった場合、概要調査には進まないと言いつつ、その効力について「恒久的なものかは言えない」と曖昧にしている。つまり首長の交代や説得工作による翻意により同意が得られれば、国は次の段階に進むということである。
また、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第6条2項には、機構は「文献調査の対象となった地区(「文献調査対象地区」)の中から概要調査地区を選定しなければならない」という規定がある。したがって文献調査と次の段階と独立しているという経産省の説明は虚偽である。まさに二枚舌と言わざるを得ない。
また寿都町長は「道は(文献調査)を止める権限はないのだから、知事も寿都にある程度任せてほしい」と述べ、道、道民の頭越しに国との直接的な交渉を考えている。

ジレンマを抱え
る鈴木道知事


秋田の農家出身を強調し「たたき上げ」という菅首相。「自助、共助、公助」と真っ先に自分の身は自分で助ける「自助」を第一に掲げる。まずは努力せよと自己責任を強い、国民にさらなる犠牲を求めるのだろう。
その菅は鈴木知事の後ろ盾である。親交は二〇一一年の知事が夕張市長の時代からであり、家族ぐるみの付き合いだという。また知事は自民党総裁選の告示前に菅に支持を伝えた。
今後、安倍前政権の継承を打ち出している菅は知事に強く翻意を促すだろう。
今後を予想しただろう知事は調査絶対反対ではなく、あろうことか本格的な調査を行う候補地を数十程度の市町村に絞り込むよう国に求めている。交付金だけを貰おうとするモラルハザードを招く巨額な交付金狙いの『応募ドミノ』を懸念しているのだが、もちろん国はあくまでも道内の動きが全国的に応募検討の呼び水になると期待し、知事の提案を受け入れないだろう。
また、この知事の提案は国による選定の動きを加速しかねないものであり、道の責任を放棄するものだ。

不適地が大半
の神恵内村


神恵内は約二五〇万?二〇〇万年前に火山活動があった積丹岳(しゃこたんだけ)の半径一五キロにほぼ全域が入り、最適地は南部の一部にしかないが、「沿岸海底下処分」が可能となれば「隠れた適地」があることになる。
一六年に資源エネルギー庁は研究会の取りまとめ骨子案を示している。「沿岸海底下を想定した地下施設の設計・建設、化学場・水理場の影響を考慮した安全評価のいずれについても、必要な基本的な技術は概ね整備されていると考えられる。このため、沿岸海底下においても地層処分は技術的に実現の可能性があると考えられる」。
具体的には海岸から一五キロ以内の「沿岸海底下」に処分場を建設し、核のごみを搬入する施設は陸上に造り、海側へ斜めに坑道を掘るものだ。
それに対して原子力資料情報室の伴英幸氏は、地下水の塩水化と坑道への海水の漏出による核のごみを包む粘土の閉じ込め機能の劣化の可能性を危惧している。また寒冷化が進み、海岸線が沖合へ移動した場合処分場が陸域となる可能性があり、その過程で波による浸食や河川による浸食が起きれば処分場の長期安定性に影響を与える恐れがあるとも指摘している。
そして「有望地提示段階で全国的に使用できる資料はなく、また次の文献調査段階に入っても文献資料がないことだ。結局、沿岸海底下を検討するための資料は概要調査段階以降でないと整えられないことだ。科学的有望地として沿岸海底下を含めて考えることはとてもできない」と結論づけている。

矛盾だらけの
政策にNOを


使用済み核燃料「ごみ」を核燃料サイクルで再利用できる「資源」と言いくるめる。資源を有効活用し、ごみも減量できるなどと、事実上破綻している核燃料サイクルの夢物語を語る政府と原子力ムラ。
そもそも処分場問題はこれ以上原発を続けず、ごみを排出しないという政策を決定した上で議論すべきである。
北海道は条例で核のごみを「受け入れがたい」と曖昧な宣言をしているが、「受け入れない」と同時に泊のごみを「持ち出さない」と明確に宣言すべきだ。
「気候危機が人類に突きつけているのは、採取主義と外部化に依拠した帝国的生活様式を抜本的に見直さなくてはならないという厳しい現実にほかならない」(『人新世の「資本論」』斎藤幸平より)。
経済至上主義の政府からの補助金をあてにせざるを得ない市町村。まさに資本主義の外部化が現実化しているのだ。
一連の核燃料サイクルにおける、ごみの処理過程による二酸化炭素の排出、処分場建設に伴う環境破壊など数え上げたらきりがない。
リマ・エコ社会主義者宣言の結語にあるように「気候を変えるのではなく、システムを変えよう!」(エコロジー社会主義/ミシェル・レヴィーより)

(白石実)

9.18

さようなら原発首都圏集会

1300人で都心デモ

コロナ危機下で原発やめろの声

 九月一八日午後六時から、東京・日比谷野外音楽堂で「さようなら原発首都圏集会」が行われた。反原発の行動としては久しぶりに屋外で一〇〇〇人を超える集会・デモとなった。参加者は一三〇〇人に達した。主催は「さようなら原発」一千万署名・市民の会。戦争させない・九条壊すな・総がかり行動市民の会が協力団体となった。
 オープニングライブ(歌:西川郷子)の後、ピースボートの松村真澄さんの司会で開会。
 主催者あいさつを行った落合恵子さんは、「コロナ危機が続くこの状況だからこそ、原発をなくそう、の声を挙げなければならない」と強調。佐高信さんは「なんで内閣が代わると支持率が上がるのか。安倍後継政権に徹底批判の声を上げ続けよう」と強調した。
 福島原発かながわ訴訟原告団長の村田弘さんは、「被災者は希望のない孤立した生活を送っている。疲労感は極限にまで達している、避難者たちは『もう帰れない』という気持ちになっている。帰還政策から棄民政策への転換だ。汚染水の海洋投棄はその現われだ。ぜひ福島の現実に注目してほしい」と訴えた。
 
気候変えるな
原発なくせ! 


青森県の山田さんは六ケ所再処理工場に伴う莫大な費用(一四兆円)は、すべて利用者が支払うことになる、と批判した。東海第二原発再稼働に反対するアピールは相楽衛さん(茨城平和擁護県民会議事務局長)が行った。
「東海第二は二〇二二年に工事を終わらせ再稼働、という計画を立てている。日本原電には速やかな住民説明会を求めたが返答はない。計画によれば事故の際、九〇万人の避難が予定されているが、うち四〇万人が県内で五〇万人が県外だという。被ばくを前提とした計画そのものがおかしい」。
気候ネットの桃井貴子さんは「気候危機―温暖化の進行の中で山火事や洪水被害の深刻化を見過ごすことはできない。その中で石炭火力発電を進める日本は常識はずれだ」と批判した。
最後に鎌田慧さんが発言。「菅新内閣の陣容は、『同じ穴のムジナ内閣、オンブおばけ内閣』というべきだ。原発を一日も早くとめよう」と呼びかけた。さらに北海道・寿都への「核のゴミ捨て場」建設、六ケ所村再処理工場建設に反対するアピールも発せられた。
集会後、日比谷公園から東京駅までのデモを元気に行った。 (K)

 



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