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    かけはし2020年10月5日号

「コロナ禍」での生活と権利のために


資料

2020「宮城最低賃金の改正決定」(答申)への異議申出書

宮城全労協/2020年8月16日

コロナ時代」だからこそ
      最低賃金の大幅引き上げが必要
中小零細企業への手厚い支援は政府の責任!

 本紙前号(9月28日付)に掲載した「宮城全労協ニュース」の記事でふれたように、宮城県最賃答申に対する宮城全労協の異議申し出書を掲載します。(編集部)


 宮城地方最低賃金審議会の意見に関する公示(二〇二〇年八月三日)につき、宮城全労協は改正決定内容への異議を申し出ます。
中央審議会が「目安」を示さない異例の事態にあって、不十分な額であっても地方審議の場で「引き上げ」が打ち出されたのは、地域の低賃金労働者への影響を考慮し、また地方格差の拡大を憂えた結果であったと考えます。その点を述べ、異議の内容と理由を述べることとします。

 私たちは宮城地方審議会での意見陳述(七月二九日)、また労働局長への要請(六月一五日)により「時間一千円」の実現などを訴えてきました。審議会の答申は、宮城の最低賃金額を「一時間一円引き上げ八二五円」とする、というものです。この改定額では最低賃金水準で働く労働者の生活を向上させるにはあまりに低すぎ、また「新型コロナウイルス感染症」の拡大がもたらす生活不安の解消には遠く及びません。
私たちは「全国一律、どこでもだれでも一時間一五〇〇円」のステップとして「一時間一千円」の実現を求めます。

 以下、四点にわたり私たちの見解を記します。

(1)「一時間一円」の引き上げでは生活の改善は望めず、「コロナ格差」は拡大する
(2)「雇用か賃金か」は最賃抑制の口実、中小零細企業の支援は政府責任
(3)「最賃の地方格差」はいっこうに解消しない
(4)「エッセンシャルワーカー」に届けるべき最賃大幅引き上げ

(1)「一時間一円」の引き上げでは生活の改善は望めず、「コロナ格差」は拡大する

 「一円引き上げ」を報道した地元テレビ局のニュースサイトには「毎日八時間、月に二〇日として一三万円強」などの書き込みがありました。地域最賃への注目と落胆が読みとれます。
宮城は前年維持ではなく引上げたとはいえ、「引上げ率〇・一二%」は中小企業の今年の賃金上昇率一・二%(厚労省発表七月一〇日)に比して桁違いの低さです。生活改善が望めないことは言うまでもありません。近年、最賃影響率の上昇も報告されてきましたが、低賃金労働者への影響は多大です。
宮城合同労働組合は意見陳述で「最低賃金に張り付いている中小企業労働者の賃金実態」を訴えました。「賃金が最低賃金の引き上げによってしか改善できない組合員」にとって、影響は単年度の一過性にとどまりません。
しかも最賃抑制は「コロナ格差」の拡大に直結します。この数か月、生活保護申請の急増が報告されるなど、感染拡大の影響は低賃金労働者、不安定雇用労働者に広がっています。
「コロナ禍」は万人を等しく襲っているわけではありません。経済的にも富むものはより富み、貧しいものはより貧しくなると指摘されています。世界最大の感染確認が続いている米国で「豪華クルーズ船が飛ぶように売れている」と報じられていました(NHKWEB記事八月一二日)。日本がこうした現実と無縁であるわけはありません。「コロナが映し出す格差」を放置することはできません。社会的不公平の歯止めとして、最低賃金が機能すべきときです。最賃審議は「コロナ禍」のいま、歴史的な要請に応えるべきです。
「コロナ時代」だからこそ最低賃金の大幅引き上げが必要です。「一時間一千円」を実現し、「全国一律、どこでもだれでも一五〇〇円」へのステップとすべく再考を強く求めます。

(2)「雇用か賃金か」は最賃抑制の口実、中小零細企業の支援は政府責任

 安倍首相は「雇用か最賃か」の二者択一論を持ち出し、二〇二〇最賃抑制の流れを作り出しました。しかし「雇用最優先」と言いつつも、実際は雇用破壊が進み「リーマン危機を超える」との予測が現実味を帯びてきています。
「コロナ解雇・雇い止め」は厚労省発表(七月三〇日)でも全国で四万を超えました。宮城労働局によれば県内でも三月以降の累計で七四三人、増加が続いています。五月求人倍率は〇・一二ポイント悪化、下げ幅はオイルショックに次いで過去二番目となりました(厚労省六月三〇日)。
雇用情勢の悪化は「自粛解除」「経済再開」以降も止まらず、底が見えません。「二〇二〇年に休廃業や解散に追い込まれる企業は全国で五万件を超える可能性が高まってきた」とも報じられています。
「コロナ」と消費税増税の二重打撃の影響は、春段階ですでに地域に広がっていました。たとえば河北新報社説は三月、重ねて緊急経済対策を訴えていました(「新型肺炎と地域経済/手厚い支援で打撃の回避を」四日、「新型コロナと経済/中小・零細の窮状を救おう」二〇日)。
政府の対応が厳しく問われています。首相は世界に誇る経済対策とアピールしましたが、その仕組みと有効性には疑義がつきまとってきました。世論調査でも政策不信の高まりが続いています。この夏、右往左往の観光支援対策が混乱をまき散らしています。
このような経緯を振り返るなら、首相は「コロナ」を利用して、「一時間一千円」を明示した昨年の閣議決定をご破算にし、最賃抑制に踏み出したのではないかと疑わざるをえません。
日本弁護士連合会は「労働者の生活を守り、新型コロナウイルス感染症に向き合いながら経済を活性化させるためにも、最低賃金額の引き上げを後退させてはならない」と訴えました(六月三日、日弁連会長声明)。中小企業に対する「長期的継続的な支援」の強化を求め、「最低賃金引き上げが困難な中小企業のための社会保険料の減免や減税、補助金支給等」などに言及しています。政府はこのような提言を検討したのでしょうか。
政府は緊急経済対策として二度の大型補正予算を組みました。地方への援助も様々な名目で予算化されています。これらが最低賃金引き上げにおいて中小企業への支援にあてられているか、点検が必要です。「中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況」(「骨太方針」二〇二〇)を最賃抑制の理由とするわけにはいきません。中小企業への支援は政府の責任であるからです。

(3)「最賃の地方格差」はいっこうに解消しない

 最賃の地方格差の是正は早急に解決しなければならない重要課題です。ここ数年、知事や地方新聞による要望が繰り返されてきました。二〇二〇改定でも多くの県で一円ないし三円の引き上げ答申が続いており、「隣接する都市部との賃金格差を埋めたいという労働側の意見を重視した」(和歌山県の審議会関係者)などの声が伝えられています。しかし、最賃抑制の現状では、格差解消の流れにブレーキがかかることは否めません。この流れが止まることは「コロナ禍」による地方の疲弊にも拍車がかかるということです。
政府や経済界からは「地方創生」の大合唱です。「コロナ禍」が「東京一極から地方へ」の流れを必然化させるという主張がもてはやされています。政府は様々な仕掛けをつくり、企業の参入をうながしています。
首相の肝いりである「未来投資会議」(七月三〇日)では次のような提起がなされています。これまでは「一極・大都市集中」で、デジタル化が遅れているために「距離が意味を持つ経済社会」であった。「ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会」では「新しい働き方を定着させ(テレワーク・在宅勤務、時差出勤、兼業・副業等)、リモートワークにより地方創生を推進し、DXを進めることで、分散型居住を可能とする社会像」などが検討されねばならない、と。
ここにあるのは中央の視点です。あたかも大都市圏から地方へ「三密を散らす」かのような発想です。「リモートワーク」などは主要に大都市部の大企業のオンライン業務であり、しかも、これらの「働き方」を是として受け入れられるのは一部の労働者に限られます。その最たるものが「ワーケーション」なるものです。大企業がリゾートブームに乗って地方に進出したバブル期の再来のようです。
そもそも「地方創生」を掲げる安倍政権は、奇しくも二〇一五年度から五年をかけて人口移動を均衡させるとしましたが、計画が未達成のまま「コロナ事態」を迎えました。一四〇〇万人東京が最大の感染拡大地となったことは偶然ではありません。
地方が最賃格差の是正を求めたのは、地方から大都市圏への人口移動、とくに若者世代の流出をなんとしても防ぎたいということでした。地方経済、雇用、社会の活性化のために、ここで育った若者たちが生活できる賃金であるべきだというものでした。そのような政策こそが「ウイズコロナ」「ポストコロナ」の「新常態」でなければなりません。

(4)「エッセンシャルワーカー」に届けるべき最賃大幅引き上げ

 最低賃金が果たすべき役割が問われています。「エッセンシャルワーカーに報いる最賃大幅引上げを」という声は「コロナの時代」を象徴する要求です。
高まる感染リスクの不安をかかえてライフラインを維持するために働いている労働者の多くは、劣悪な労働条件、低賃金と不安定雇用のなかにいます。そのような労働者が正当な対価を受け、報われることが必要です。そこに背を向ける政治は厳しく批判されねばなりません。
安倍首相は緊急事態宣言から一〇日後、記者会見で次のように演説しました。

「この間、毎朝、店を開き、食料品など生活必需品を棚に並べてくださっている皆さんがいます。レジの対応をしてくださっている皆さん、そして、物の流れを絶やすことのないよう、昼夜分かたず配送に携わっている皆さんがおられます。緊急事態の中にあっても、私たちの生活を守るために事業を、営業を継続してくださっている皆様に心より感謝申し上げたいと思います。
高齢者の介護施設や、保育所などでは、多くの職員の皆さんが感染予防に細心の注意を払いながら、必要とする方々のため、事業を続けてくださっています。電力やガス、水道の供給、ごみの収集・焼却、鉄道の運行、こうした社会インフラがしっかりと維持されなければ、私たちの生活は成り立ちません。そのために日夜、頑張ってくださっている皆さん、こうした皆さんの存在なくして、私たちは長期にわたるこのウイルスとの闘いに打ち勝つことはできません。目に見えない恐ろしい敵との闘いを支えてくださっている、こうした全ての皆様に心より御礼を申し上げます」(四月一七日、安倍首相会見の冒頭発言)

 首相はこのように、当時話題になっていた「エッセンシャルワーカー」と総称される労働者たちに言及しました。これは人気取りにすぎなかったのか。その後の首相の最賃抑制の姿勢は、文字通り「恩を仇で返す」に等しいものです。
あらためて振り返ってみます。
二〇二〇年の最低賃金改定は「新型コロナウイルス」の感染拡大が社会に大きな影響を与える中で審議されました。様々な分野で「新常態」が議論されています。最低賃金審議にも当然、「ウイズコロナ」「ポストコロナ」の視点が問われたはずです。ところが安倍首相は「雇用を最優先」と発言(六月三日「全世代型社会保障検討会議」)、最賃引上げの「凍結」「抑制」を強く印象づけました。首相発言が中央審議会の審議に影響を与えたことは明らかです。中央審議の冒頭、審議会会長は首相発言をなぞり、これを追認しました。中央審議会は結果的に引き上げ額の「目安」を示さず、地方審議会に委ねることになりました。
二〇二〇最賃審議は「ウイズコロナ」「ポストコロナ」の新しい社会の入り口を示したと歴史に刻まれるでしょうか。地方の最低賃金審議での英断が強く期待されます。
(二〇二〇年八月一六日/宮城全労協)

投書

コロナを考える

SM

 私は考える。世界の核兵器は全廃すべきだ。日本を含む世界の軍事費はゼロにするべきだ。軍隊は「災害や病気と闘う組織」におきかえられるべきだ。思いやり予算も辺野古新基地も(米軍も)必要ない。カジノも、政治警察も、オリンピックも必要ない。お金は、すべてコロナ対策に使うべきだ。
 ただ「自粛しろ」「生活を変えろ」というのでは独裁体制と変わらない。何かをお願いするなら、すべての人に「満足出来る補償」がなければならないし、「集会・デモもひかえて下さい」というなら、「かわりにインターネットなどを利用して集会・デモをおこなって下さい。パソコン代やインターネット代(通信料)などはすべて無料にします」というのでなければならない。パソコン産業やインターネット産業(通信産業)などは公的サービスにおきかえられるべきだ。
 あと、「国立電子図書館のようなもの」も必要だ。ベーシック・インカムも必要だ。『ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える』(山森亮著、光文社新書)を読んでそう思った。その他に、医療の無料化、テレビの民主化、王制や天皇制の廃止、満員電車の廃止なども必要だ。
「全国の病院の整理統合」や「都立・公社病院の独立行政法人化」などもってのほかだ。
(2020年9月8日)



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