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    かけはし2020年10月5日号

失うもののない人たちがよりたくさん失った


コロナ19災害状況がますます深刻化

セヨン(変革党・京畿道党代表)

 コロナ19災害状況がますます深刻になっている。伝染病は、人々の健康を脅かすことを超えて、基本的な日常を営むことすら不可能にした。しかし、すべての災難がそうであるよう、危機は平等ではない。7月20日、統計庁が発表した「家計動向調査」の今年第2四半期の所得の分析を見ると、下位20%の貧困層勤労所得が上位20%の富裕層の勤労所得より4・5倍減少した。コロナ19が基礎疾患を患っていた人にはるかに致命的であるように、経済的災難は女性、障害者、低所得層、中小・零細小商工人、不安定労働者のような社会的基礎疾患に苦しむ人々に、より致命的である。これらの人々にとってコロナ19よりももっと恐ろしいことは食べて生きる問題になった。工団の労働者が間違いなくその範ちゅうに含まれる。

 大資本の垂直的下請け構造下で最も底辺に位置する零細事業場が密集している工業団地の労働者にとって、雇用不安や低賃金はコロナ19以前にも日常的であった。しかし、コロナ19以降、工業団地労働者の状況がより悪くなったという事実は、各種指標でも確認される。
5月には、38カ所の国営産業団地の平均稼働率は70・4%で、昨年比で8%減少し、過去最低を記録した。京畿道安山にあるひとつの工業団地の状況はより悪い。韓国産業団地公団が発表した6月の産業動向によると、ひとつの工業団地の稼働率は67・4%でもうひとつの工業団地は64・1%に過ぎなかった。ふたつの工業団地の6月全体の雇用状況は、24万9693人で、今年1月と比較すると2071人減少した。職場を失った2071人の労働者たちは、どこで何をしているのか。

 統計数値が示す状況はこうだが、工業団地で働く労働者の話は、よく聞くことができなかった。コロナ19による被害相談や労働者の権利案内のための宣伝戦をしていくたびに、昼食時間、公団通りを通る労働者が確実に減っていることを体感することができたが、正確な実像を把握することは難しかった。それで〈両工業団地労働者の権利を求める集まり越談(以下、「越談」)〉は、6月17日から7月15日までの1カ月の間、115人の労働者に会って、コロナ19を前後に仕事にどのような変化が現れたのか、その実態を調査した。

片や仕事がなく、片や過労で倒れる


まず最初に確認されたことは、仕事も減り、賃金も減少したということだ。全回答者の62・1%が「コロナ19により仕事が減ったり休業・削減などを経験した」と答えた。「賃金が減った」と答えた割合は全体の31・3%だったが、先の質問と連動して「仕事が減ったり休業・人員削減をした」という回答者だけを別に分類して賃金の変化を注意してよく見てみると52・2%が賃金の減少を経験したという事実を知ることができた。コロナ19余波が工業団地内のすべての労働者に同じような影響を与えなかったが、仕事が減って、賃金保全がされず、経済的状況が悪化した労働者が相当いた。

 ここで、さらに深刻な問題は、最低賃金である。工業団地の労働者たちは、法定最低賃金の絶対的な影響を受けるのに、2021年の最低賃金は、過去最低の1・5%の引き上げで時給が130ウォン上がっただけだ。仕事が減り、賃金も減ったのに最低賃金までも上がらないので、これからの状況はさらに悪化することだろう。

 仕事が減っていないか(少数ではあるが)、むしろ増えた労働者の境遇も良くはない。週52時間の労働時間制限を回避することができる「特別延長勤労認可制度」は、今年の1月に「業務量が急増した場合」などにその許容事由が拡大された。もともとは1年に90日までの限定的適用とされたが、最近では下半期にさらに90日追加できるように規制を解いた。特に50人未満の小さな事業所に対して週52時間の上限労働時間制は、2021年7月に施行が予定されているが、実際に適用されるのかは未知数だ。経済状況が悪化の一途を辿っており、失業者と求職断念者の数が相次いで史上最高値を更新したが、その渦中で物流労働者や配信労働者たちは膨大な労働強度と業務量の増加で働いてケガをしたり、過労で倒れている。工業団地で働く労働者も同じだ。仕事を失っていない労働者も長時間労働を低賃金で耐えなければならない。

工場がなくなる


工業団地の労働者たちは、これからの仕事への不安も抱えている。雇用不安に関する質問に「非常に深刻だ」とか「深刻な方だ」と答えた割合は41・74%で、「不安を感じない」と答えた26・96%よりもはるかに高い。今は仕事をしているが、「いつやめるようになるか分からない」という不安感を抱いて生きていくのだろう。

 ここで、より注目すべきことは、企業規模別の回答である。仕事に不安を感じる労働者の割合は、50人未満の小さな事業所でより高かった。中小・零細事業場が密集する工団では比較的小さい規模の会社の休・廃業が多く、その日の朝に仕事を失う可能性が高い労働者の不安感がより大きいのは、当然のことである。災難は、これらの不安をさらに育てる。

 不安の理由をよく見てみると工業団地で働く労働者の状況をよりよく理解できるようになる。賃金の減少などで経済的困難のために不安を感じると答えた割合が26・03%であるが、「物量の減少と休・廃業などで仕事自体がなくなるかもしれない」という不安感があるとした割合は、54・79%で2倍以上高かった。労働者本人の経済的負担より会社自体の存立が難しくなるために、より不安を感じるのだろう。これは失業と雇用を繰り返して不安定な生活を生きていく工業団地労働者の特性を反映したものと思われる。賃金の減少よりも雇用自体が、何よりも切迫している現実を明らかにしている。

 一方、工団労働者が、政府や自治体の支援を経験した事例はごく少数であった。政府の雇用維持支援金を受けたのは、4・35%にとどまり、自治体の無給休職支援金を受けたのも1・75%に過ぎなかった。工業団地の労働者たちは、このような支援が存在するという事実そのものを最初から知らないか、案内を受けたことがなく、どのように申請するかさえ分からないと話してもいた。労働者の雇用を維持するために、政府の雇用維持支援金を受けても、少なくとも10%以上の人件費は、使用者側が支払う必要があり、これを支払う能力がないか、その意思がなく、すでに廃業を選択したケースも多数あるだろう。かりに会社が雇用維持支援金を受けたとしても、労働者たちは、それを確認しようがない。企業への支援では、労働者に実際に恩恵が回ってくるのは難しい。

 労働組合がほとんどない工団の条件で、労働者が雇用を維持できるように、自分の権利を行使する政府や自治体が支援の過程と結果を公開しなければならない。もちろん、より重要なことは労働者への直接的な支援で生計を保障することである。

苦痛の落水効果

 〈越談〉が、今回工団労働者の実態を調査したのは、6月中旬から7月中旬の間であった。この時期は、コロナ1次拡散の余波が一定落ち着いたとされ、8月中旬、首都圏を中心に2次拡散が急激に進行する前であった。私たちは、すでに休・廃業や人員削減で6月を前に工団を去った2071人の労働者、そして8月の2次拡散後、再び危機に直面した労働者の話を聞いていなかった。

 明らかに、「危機の時代」だ。1997年のIMF危機、2008年の世界経済危機で確認したように、今回も危機は上から下に転嫁されている。度外れな公的資金を財閥をはじめとする資本に注ぎながら「経済を生かす」とするが、生き残って、より多くの富を蓄積するのは資本だ。労働条件が悪くなり、賃金が減り、正規職雇用は非正規職で埋め合わされて、路上に追い出され崖から落ちるのは労働者・民衆である。サムスンのイ・ジェヨンが起訴されると「ただでさえ萎縮した経済がさらに悪化するだろう」と国がすぐにも滅びるかのように騒ぎ立てて、企業の危機を社会の危機として仕立て上げるのだが、いざ航空業界での大規模な構造調整に直面した労働者やうわささえなく仕事を失った多くの労働者のための政策は見えない。

 政府は、「コロナ19危機克服」という名分を掲げて財閥社個別支援を除外しても、資本救済のために総額230兆ウォンを使おうとしている。労働者と民衆のための直接支援は、1次緊急災難支援金13兆ウォンを含めても22兆ウォンに過ぎなかった。政府が強調する「韓国型ニューディール」の実像は、新産業基盤施設や財閥が要求する分野に対する研究開発投資という「財閥引き立てニューディール」である。危機の度に繰り返されてきた「損失の社会化、利益の私有化」が再び繰り返されている。

 この悪循環を断ち切らなければならない。公的資本を投入した企業と銀行を国有化して国家が雇用創出の主体となって労働者の雇用を保障しなければならない。持てる者に対して災難克服の社会的責任を問わなければならない。1千兆ウォンに近い財閥社内留保金と各種犯罪行為で稼いだ収益、そして不動産の不労所得を返還して、労働者のための基金を形成し、国家の責任で雇用をつくらなければならない。財閥と持てる者たちのための経済から労働者民衆のための経済に、このシステムを変革しよう!(社会変革労働者党「変革と政治」113号)

朝鮮半島通信

▲韓国国会の与野党幹部らは9月22日、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた商工業者、国民などを支援する第4次補正予算案に合意した。
▲行方不明であった韓国の海洋水産省職員が朝鮮の軍関係者に射殺されたとされる問題に関して韓国の徐薫国家安保室長は9月25日の記者会見で、朝鮮側が韓国大統領府にあてた謝罪の書簡について言及した。

コラム

熱中症と免疫力

 長梅雨が終わるのと同時に連日の猛暑が襲いかかった。夕暮れ時に自宅を出発して約六kmのウォーキングも連日、気温が下がらないこともあって断念する日が続いていた。八月一三日、この日は珍しく気温が午後五時に二七℃となっていたので、しばらくぶりに自宅を出発することにした。いつもならば、外に出たとたん気持ちの良い南風がス〜ッと吹き寄せてくるのだが、この日はほぼ無風であり、雨上がりだったために湿度も思っていたよりも高いなと感じた。
 案の定、四・五km地点での信号待ちでシャツを触ってみると、濡れ雑巾状態で、若干のめまいと後頭部の頭痛を感じていた。汗が乾かないために気化熱による体温調節ができなくなっているのだろう。これまでに熱中症を二度経験していたので、軽症であることはわかっていた。その後はペースを落としてどうにか帰宅した。しかし軽い頭痛に加えて全身の筋肉が硬直していて、食欲はまったく無しで、酒を飲む気も起らないのである。冷たい麦茶をがぶ飲みしたからか、やたらと小便がしたくはなるのだが、ほとんど出ないのである。
 翌朝は水下痢で、午前中だけでも五〜六回ほど便所に飛び込んだ。腸の吸収機能がほとんど働いていないのだろう。体温は三七・五℃だ。そして五日間ほどで回復したようだった。
 私は熱中症では最高四二℃まで体温が上がったことがあるのだが、インフルエンザにかかってもほとんど熱が出ないのである。三年前にも、のどと関節の痛みがあったので内科で診察してもらったのだが熱が出ていない。医者は「インフルではないでしょう」と言うのだが、事情を話して検査してもらった結果、流行性のインフルエンザであった。医者は「こんなケースは初めて」と言っていたが、自分でも不思議に思っていたのである。
 しかしこの謎を解明してくれたのかもしれないと思われる専門医へのインタビュー記事が、毎日新聞(九月一四日夕刊)に掲載されたのであった。免疫には生まれつき持っている「自然免疫」と、疾患で異物を記憶したことによって作られる「獲得免疫」がある。自然免疫の代表格がナチュラルキラー(NK)細胞で、体内を絶えずパトロールして、ガン細胞やウイルス感染細胞などをやっつける「警察」の役割をしている。この自然免疫だけで戦っている段階では、熱などの症状は出ないというのである。新型コロナの「無症状」はこれに該当するのだろう。
 だが加齢や慢性疾患やストレスなどによって、自然免疫力だけではどうにもならなくなると、「軍隊」の役割をする獲得免疫の出番になる。B細胞が抗体をバラまくミサイル部隊で、T細胞が細胞を攻撃する地上部隊で、これらは加齢などでも弱体化することはないようだ。新型コロナで肺炎などで重体化するのは、T細胞(地上部隊)の暴走(細胞に対する無差別攻撃)が原因のようだ。
 新型コロナ対策だけでなく、普段から自然免疫力を高めるように努力することが最大のポイントなのかもしれない。十分な睡眠をとるなどしてストレスをためないこと、体内の細胞を傷つける激しい運動は避けること、バランスのいい食事を心がけて腸内環境を整えることなどが重要なのだ。
(星)
 



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