もどる

    かけはし2020年11月2日号

審議なしで再稼働反対を不採択


女川原発

宮城県議会へ請願と署名提出

10.22

わずか10分足らずで採択強行

市民は廃炉まで闘い続ける

私たちは絶対にあきらめない


 【宮城】九月二三日、宮城県内の五三市民団体は、「原発ゼロ」の希望ある未来のため、女川原発の再稼働をしないように求める請願」(以下、再稼働反対請願)を共同で宮城県議会議長に、署名二万九一九三筆(累計一五万七六三四筆)とともに提出した。
 女川町からは、三一〇〇筆の集約で、町の人口の半数の署名数であった。請願提出の際、議長に対して女川、石巻、岩沼等、各地、各団体から発言があり、住民投票を拒否した県議会の責任と民意をしっかり受け止める慎重審議を求めた。

避難道路整備に
すりかえるな


女川町議会は九月七日、石巻市議会は九月二四日、再稼働反対請願を不採択とし、再稼働推進請願を採択して、女川原発二号機の再稼働を容認した。
石巻市議会の再稼働推進請願への賛成討論は、「人口交流、地域経済に寄与し、共生、共存してきた」「CO2削減のためには、再稼働は必要」「避難計画の阻害要因調査を踏まえて、実効性を高めていくことが必要」「避難道路(県道)の確保と整備」「東電は、津波対策を立てていなかったが、東北電力はしっかり津波対策を立てていた」と東北電力への忖度発言まで飛び出す始末で、市民の避難計画に対する不安を避難道路整備になどにすり替える誤魔化しの内容になっている。
再稼働反対請願に賛成する討論は、「石巻市民八五%が再稼働に不安を持っていること」「福島原発事故を経験して、命と経済のどちらを選択するのか問われていること」「地域経済への貢献の実態は明らかではなく、効果も限定的で一時的であること」「放射能被ばくの分析が不十分であること」「避難計画に実効性がなく、二段階避難や屋内退避による被ばくリスクが高まること」など民意を表明する内容であった。
再稼働容認を受け、石巻市議会が宮城県知事に宛てた「意見書」提出時に、石巻市議会議長は、「再稼働して早く地元にお金を回してほしい」と市民の再稼働への不安をよそに「金目」発言。その本性に市民からは憤りが寄せられた。石巻市議会に再稼働反対請願を提出した一五の住民団体は、直ちに「抗議声明」を発して糾弾した。

石巻市・女川町
住民が訴える


宮城県議会の開催真只中の九月二六日、仙台市で「女川原発再稼働を止めよう!宮城県大集会」が開催され、県内から八〇〇人の県民が参加して、再稼働を許さない声を上げた。主催者代表は、「福島の避難者を見て見ぬふりをして、再稼働を強引に進めようとしている。皆さんの力で止めていこう!」と挨拶。
立地自治体の女川町と石巻市の住民からは、それぞれ議会が再稼働を容認したことが報告され、怯まず、「ふるさとを捨てて逃げなければならない原発こそ要らない」「九月県議会で脱原発県議の会とともに再稼働を止めていこう」と決意を表明し、脱原発を目指す宮城県議の会の佐々木功悦会長が「九月県議会で再稼働を止めるために皆さんの力を借りて全力で闘う」と表明、翌日発足総会を開いた「脱原発を目指すみやぎ女性議員有志の会」の仲間が決議文を読み上げ、市内アピール行進では「再稼働ストップ」を県民に訴えた。

責任を国に委ね
る宮城県知事


一〇月一日からの代表質問では、脱原発を目指す県議の会会長の佐々木功悦会長は、四〇分すべてを再稼働問題に充て、住民説明会や安全性検討会の問題点、女川原発の安全性、避難計画の実効性などについて知事を追及、二日からの一般質問でも、脱原発を目指す県議の会のそれぞれの議員が、医療機関の入院患者避難問題、「屋内退避」では被ばくを防げないこと、バス避難におけるバスと運転手の確保の問題やガソリン確保など様々な観点から知事を追及した。
村井知事は、相変わらず「原子力の推進は国の方針」「国策だから国に責任を持って対応するよう求めていく」「県は県民に伝えるだけで、国にものをいう立場にはない」「避難計画は原子力防災会議で了承されたので実効性は担保されている」などと国に責任を転嫁する答弁に終始した。

官僚が再稼働
弁護する答弁


宮城県議会環境福祉委員会は、一〇月一三日、審議なしのなかで女川原発2号機の再稼働反対請願を賛成少数で不採択、一〇月七日に女川商工会から提出されていた「再稼働にかかる早期理解表明に関する請願」(以下、再稼働賛成請願)を賛成多数で採択した。
当日の午前中は、内閣府、資源エネ庁を呼んで補足説明をさせ、若干の質疑を行ったが、特に資源エネルギー庁は、原発の停止で火力発電が増加し国費が海外へ出ていっている、将来にわたるエネルギー安定確保には再稼働が欠かせないと「再稼働弁護論」を展開していた。
再稼働反対請願を共同提出した県内の五三の住民団体は、九月六日に環境福祉委員会の委員長に、請願書提出団体の代表者による意見陳述の機会を与えること、東北電力と請願者双方の参考人招致を行うこと、多くの県民が傍聴できるように配慮することを求める要望書を手渡し、委員会前日の一二日にも口頭で申し入れたが、「委員間協議」で、請願者の意見陳述については「請願書を読めばわかる」。参考人質問は、「前例がない」。再稼働推進請願を出した「女川商工会が参加しないので公平さに欠ける」など納得性に欠ける理由ですべて拒否してきたのである。
傍聴への配慮については、委員会室に撮影環境なく、一〇人の傍聴に制限されているので、会場変更も含めて求めていた。(本会議場の一七〇席ある傍聴席は一八席に制限されている)。
自民党会派など再稼働推進派は、「国策」であるという主張のみで、堂々と原発の安全性や避難計画の実効性問題での論戦に入ると敗北するのが明らかなため、論議の封じ込めや回避に力を注ぎ、県民の民意と議員の意見との乖離を覆い隠してきた。
コロナ感染拡大防止を利用して傍聴制限を敷き、県民の傍聴する権利を妨害してきたといっても過言ではない。環境福祉委員会の推進側の委員は、自民党会派の会長や議長経験者などをあてて、事前から「再稼働シフト」を敷いてきたようであり、審議なしのなか一〇分足らずで賛成・反対請願それぞれの採決を強行し、数の力で押し切ったのである。(反対請願:賛成3、反対6で不採択。賛成請願:賛成6、反対3で採択)。再稼働反対請願に賛成する委員から「少数意見の留保」の提案があり、二人以上の賛成があり最終日一〇月二二日の本会議で反対の意見表明をすることになった。

県民の六割が
再稼働に反対


一〇月二二日、宮城県議会本会議が開催され、女川原発2号機再稼働に反対する請願を賛成少数で不採択とし、賛成する請願は、賛成多数で採択した。委員会審議も含めて、全く熟議もないなかでの採択であり、将来に禍根を残すものであり、弾劾するものである。
請願に対する討論は、「再稼働に反対する請願」に賛成する議員の「少数意見の表明」と議員四議員による賛成、反対討論が行われた。
「少数意見の意見表明」をした議員(社民党)は栗原市出身で、現在も福島第1原発事故に由来する放射能汚染廃棄物(稲わらなど)の処分で苦難を強いられているところであり、そこでの体験を話しながら、今議会のなかで、請願者の意見陳述や参考人招致も拒否されるような審議のあり方を強く批判し、被災した原発の安全性、避難計画の実効性が確立されていないこと、安全性に関する新知見(コアキャッチャーやフィルター付きベントの実績)にも対応されていないこと、特別重要施設(テロ対策)など、まだまだ解決すべき課題が残っており、拙速に再稼働を容認する必要ないと指摘して、「再稼働反対の請願」に賛同を訴えた。
再稼働反対請願に賛成する二議員は、原発稼働がゼロになっても電気が不足していないこと、未だに、福島では四万人近くの原発事故避難者がいること、「核のゴミ」の最終処分場がないこと、避難計画がなければ動かせない原発が本当に必要なのか、地域経済への効果や貢献は、一時的、限定的なものであり、逆に廃炉作業で三〇〜四〇年の雇用が確保されること、再生可能エネルギーなど新しい産業を創出して新たな街づくりをすべきであると訴えた。
自民党、公明党議員の再稼働推進に賛成する討論は、「再稼働は、社会的現実」と訳の分からないことを言い、エネルギーの安定的供給や二酸化炭素を排出させない温暖化対策など、政府の主張の繰り返しで、女川町議会や石巻市議会が再稼働容認を決めたことを「尊重」すべきだと酷い主張であり、傍聴席から抗議の声が上がった。
一一万筆の県民投票を求める声や世論調査で県民の六〇%を超える再稼働反対の声を無視し、県内五三団体の再稼働反対の請願に対して、女川商工会一カ所だけからの「請願」をなぜ採択できるのか!再稼働を容認した県議会と民意の乖離は明らかであり、県議会も含め政治の劣化が甚だしく、私たちは、これを「県民の総意」とは言わせない。

県議会の中で
抗議集会開催


本議会終了後、議会内で脱原発を目指す宮城県議の会と傍聴に集まった市民とで議会内抗議集会が開催され、佐々木功悦県議の会会長から「皆さんの期待に応えられず申し訳ない。これからも原発をなくしていく取り組みを進めていく」 と挨拶があり、市民からは、熟議しなかった県議会に対する抗議と脱原発県議の奮闘を称えた。
県議、市民それぞれから意見表明が行われ、二度にわたる県民投票条例案を不採択した際、「県議会で県民の声を聞いて熟議する」といっていたが、県議間の討論も行わず、請願団体の陳述も、参考人招致もさせなかったこと、さらに一七〇人定員傍聴席に一八人しか入れなかったのは、県民に聞かせたくないためであり、これは県民の総意ではない!と声を上げ、本会議での採決に抗議した。県議の会は、集会後、村井知事に拙速に再稼働同意しないように申し入れた。
翌日、県内五三の市民団体も村井知事に、県議会の委員会で請願者の意見を聞いていないことや一〇分足らずで終了したこと、県議会のなかで熟議されていないことなど「採択は県民の総意ではない」として、「地元同意を拙速にしないように求める要望書」を提出した。
村井知事は、一一月上旬に県内の市町村長会議を開催して「意見聴取」をして、総合的に判断するとしている。各首長へ地元住民から、再稼働に反対・慎重の姿勢を示すよう要望、申し入れをして、再稼働に同意しないように求める取り組みを継続していくことにしている。

同意差止め仮処分
即時抗告を棄却


宮城県議会が女川原発再稼働の容認を待っていたかのように、翌日の一〇月二三日、石巻市民一七人が宮城県知事と石巻市長に対し、実効性に欠ける避難計画のもとで女川原発再稼働に同意しないように求めた差止め仮処分の即時抗告を、仙台高裁は、「東北電力への事前協議への了解や再稼働への国の方針への理解の表明と、東北電力の再稼働は同一視できるものではない」として「再稼働の直接的原因ではないこれらの行為を差止めるほどの必要性は認められない」として棄却した。
再稼働は、東北電力の行為であり、地方公共団体の行為(事前協議への了解、国への理解の表明=地元同意)が、再稼働の直接的原因ではないと、「地元同意」と再稼働を切り離している。避難計画が不備で、原発事故が生じ、生命や身体に危険を及ぼし人権を侵害するのは、東北電力だからそちらと争うべきだということのようだが、「地元同意」は再稼働を容認することであり、この高裁棄却は納得できるものではない。
一方で、放射性物質放出事故を発生させる具体的危険性についての立証責任を、債権者側に求めていた仙台地裁決定を、仙台高裁はそれを取り消した。また、避難計画には「相当な課題が残されている」として実効性に問題があることも認めている。
「今後、再稼働までの間に実効性が確保されるかどうかチェックして、再稼働に対する次の手段を検討していく」と石巻市民と弁護団は、法的手段を含めて闘いを継続していくことを表明している。 (m)


もどる

Back