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    かけはし2020年11月2日号

明るみに出る菅内閣の強権政治


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菅首相の学術会議6人拒否は、憲法改正、安保法制、共謀罪などへの批判研究への見せしめ弾圧だ

S・K

 菅内閣の民主主義破壊・強権政治は、「日本学術会議」新会員候補一〇五人のうち六人を排除したことで明るみに出ることになった。多くの批判にも関わらず菅は、妥協しようとはしていない。改憲戦略と一体化した「学術会議」排除問題の経過を暴き出し、撤回させよう。(編集部)

 

「法に基づいて適切対応」?


 菅政権が、学者の国会とも呼ばれる日本学術会議が新会員候補一〇五人を推薦したが、そのうち六人を外して、九九人を任命したことが、一〇月一日明らかになった。これまで、学術会議が推薦した候補を内閣総理大臣が任命するという学術会議法に従いこれまですべての新会員が決定されてきた。内閣総理大臣が、推薦された新会員候補のうちから任命を拒否したことが明らかにされたのは初めてだ。この拒否については、当初菅首相は、その理由について語らず、記者会見の場も作らず沈黙し、官邸を出る際、記者団の質問に「法に基づいて適切に対応した結果だ」と、一言答えただけだった。
 学術会議が推薦し、任命を拒否された六人は、次の学者である。
?岡田正則(早稲田大大学院法務研究科・行政法)安全保障関連法案の廃止求める早稲田大学有志の会呼びかけ人など。
?小沢隆一(東京慈恵会医科大教授・憲法学)安全保障関連法に反対する学者の会の賛同者。
?加藤陽子(東京大大学院人文社会系研究科教授・日本近現代史)立憲デモクラシーの会の呼びかけ人。改憲や特定秘密保護法などに反対。
?芦名定道(京都大学・キリスト教学)安全保障関連法に反対する学者の会の賛同者など。
?宇野重規(東京大社会科学研究所教授・政治思想史)憲法学者らで作る「立憲デモクラシーの会」の呼びかけ人。
?松宮孝明(立命館大大学院法務研究科教授・刑事法)「共謀罪」法案について、「自由が危機にさらされる戦後最悪の治安立法」と批判

 これを見れば、一目瞭然である。任命拒否された六人の学者は、二〇一二年一二月二六日第二次安倍政権成立の後行われて来た安保体制再編強化と治安維持強化にかかわる共謀罪などの法制の成立、そして何よりも戦争放棄と軍隊不保持を明記した九条の改正を中心とする憲法改正などの政策に対して、専門的研究に基づく、違法性などを表明して反対運動に反対した人たちである。安保体制再編強化は、二〇一三年軍備拡大に伴う軍事情報などを秘密とする秘密保護法に始まり、二〇一五年七月一六日、安保条約のもとで集団的自衛権を容認する安保法制を制定し、さらにこの過程で現れた国会包囲の民衆行動の弾圧のために刑法に共謀罪を導入した。

安倍内閣支えた菅の手法

 第二次安倍政権において、菅は官房長官として、内閣府のかなめにいて、人事を通して、昇進や左遷を操作しこれらの政策を推進する行政職員への管理統制を拡大した。この結果、二〇一七年、加計学園獣医学部新設を優遇した問題、二〇一六年から一七年森友学園の瑞穂の国記念小学校の設置や国有地払い下げに、行政職員に圧迫を加え優遇させた疑惑などを引き起こした。
その一方で、核心支持者に行政を通して、私的な便宜を図るためや政策をごり押しするため、内閣府を機能させ、会社組織のように、職務の内容などを記した記録=公文書の改ざんまで行ったことが明らかになった。そして、その後、核心支持者優遇は、二〇一九年桜を見る会優先招待となり、これらすべてが、安倍元首相追及として強まり、コロナ危機とともに、安倍内閣を追い込む力となった。この力によって安倍首相は、病気を理由に政権を投げだすことになり、安倍内閣の裏で、強引な政策推進の中心にいた菅官房長官が、安倍に代わり菅首相として、表に出てきたのだ。したがって今回行われた六人の任命拒否は、菅首相による憲法改正反対、安保法制反対、共謀罪反対など国会周辺の声を上げた人たちとともに反対運動の中にいた学者たちの狙い撃ち弾圧だったのだ。

「既得権」というデマ情報


六人任命拒否の理由を明らかにせよと国内外のマスコミ、学者、研究者の諸団体、憲法改正、安保法制制定に反対してきた運動団体が一斉に菅内閣批判、マスコミも一斉にこの点を批判し、朝日新聞は、「このままでは学者が萎縮し、自由な研究や発信ができなくなる」と警告。安倍政権が人事を通して、霞が関を抑え込んで忖度をはびこらせたとし、「政権の方向性に反対する官僚は異動」と公言する菅首相のもと、「その矛先が研究者にも向かってきているように見える」と報じている。日経は、安保法制や共謀罪に反対した学者らが任命を拒否されたとして、「時の政府の方針に従わなかったことが、理由だとすれば、学問の自由を侵害しかねない」と批判。また学術会議が、二〇一七年に大学の軍事研究に歯止めをかけたことへの意趣返しともみられると述べている。
そして、海外の新聞もフランスのルモンドは、「日本の首相が知的世界と戦争」という記事を載せ、イギリスのフィナンシャルタイムズも「日本学術会議スキャンダルが菅政権の蜜月時代を脅かす」という記事を掲載している。
これに対して菅は六人拒否の理由を全く語ることができず、それに対する批判をかわすため、自民党を通して、学術会議への攻撃を始める。これは、ほとんど根拠のない悪意に満ちたでたらめばかりである。
今まで、一九八三年国会答弁で学術会議の推薦に従い、首相は、形式的発令行為を行うとしてきたという政府見解を、二〇一八年一一月首相が学術会議の推薦通り、任命する義務はないと変更したという内部文書を公表した。これは、今まで全く公表されていない文書だった。
また学術会議が、一〇億円を超える税金を使いながら勧告や答申が出ていず活動が見えないなどと、下山政調会長は、述べたが、これは、政府が諮問しないためで今年だけで六八件の提言が出されていることが明らかになっている。またさまざまな既得権があるかのように宣伝したが、嘘の情報だった。
この中で、六人を拒否した理由を明らかにしろという闘いが、一〇月六日内閣官邸前に登場した。これまで安保法制制定阻止の闘いを国会を包囲して、闘う運動の中心を担ってきた戦争をさせない総がかり実行委員会が呼びかけた「日本学術会議への人事介入に抗議する10・6緊急行動」だ。国家介入は許さない。菅首相の独裁政治は許さないなどのボードを掲げ緊急であるにもかかわらず、七〇〇人が集まった。

怒りを叩きつけよう

 この中で、菅首相は、六人任命拒否の過程を言い訳のように語り始めた。インタビュー会見というマスコミを二、三社に限り、傍聴さえ制限する異例の会見場においてだ。発言の骨子は「最終的に会員になった人のリストは見た。(今回拒否した六人を含む)一〇五人の学術会議のリストは見ていない。広い視野、バランスの取れた活動を行っていることを念頭に判断した。任命手続きは終了した。変更は考えていない」。恐るべき回答である。任命拒否した人が誰であるか知らず、判断したという。菅首相は、官房長官の時は、鉄壁の防御で、切り捨てることを売り物にしていたが、説明責任が問われる首相の座にすわったことで墓穴を掘った。
六人の任命拒否は、内閣府、内調の資料を使い、行われた政治弾圧だ。安保法制、秘密保護法、共謀罪をセットにした自衛隊国軍化に対する反対の発言、研究を排除するための非合法的な措置だ。非合法な措置を行う政府は、労働者民衆の手で倒さなければならない。戦争をさせない総がかり行動実行委員会に結集し、労働者民衆の怒りをたたきつけよう。

10.12

関生労組への不当判決糾弾!

ストライキは「威力業務妨害」

報告集会で怒りの声


「連帯つぶし」
を許さないぞ


 一〇月一二日、連合会館で「不当判決を糾弾する! 関西生コン弾圧「大阪ストライキ第2次事件」大阪地裁判決報告集会が行われた。同事件は二〇一七年一二月、全日建関西生コン労組の組合員が、「中央大阪生コン社」の出荷業務を、生コン輸送車両を使って「妨害した」として威力業務妨害罪に問われた事件である。この事件の被告とされた二人の組合員は一〇月八日に大阪地裁で「懲役二年六月・執行猶予五年」の判決を受けた。
 この間、企業の側(広域協)は、労組と企業が合意した「運賃引き上げ」を無視してきた。そして労使協定での合意を踏みにじるとともに、「ストライキは威力業務妨害」として、正当な労働組合としての活動を刑事弾圧するよう求めたのである。
 大阪広域協はこの間、ストに理解を示した経営者会の会長の仕事を干し上げ、「ストは威力業務妨害」として「組織犯罪対策本部」を設置、連帯労組との個別面談・接触を禁止し、関生支部の日々雇用の就労拒否、「連帯」系輸送会社への一斉契約解除など、あらゆる手段で「連帯」つぶしに踏み込んだ。しかしこうした動きは二〇一八年六月段階で行き詰まりとなった。企業の側の「連帯」つぶしは失敗に終わったのである。
 そこから権力による弾圧が始まった。しかし支援の広がりの中で、大阪府労委でも相次ぐ勝利命令が出される、という事態になった。こうした動きに再度圧力をかけて巻き返そうという資本・権力の意向が、一〇月八日の大阪地裁判決で示されたということだ。

連帯の広がりで
弾圧はねかえせ


この日の集会では社民党参院議員で弁護士の福島みずほさんが「ひどい判決だ。どうしてこんなことになるのか」とアピール。全日建顧問の宮里邦雄さんは「産業別労働組合への無知・偏見があらわになった判決だ。裁判所に抜本的な認識是正を求めたい」と語った。全港湾中執の松永さん、平和フォーラムの藤本泰成さん、I女性会議からも連帯の意思表明が行われた。
弾圧を労働者・市民の力ではねかえし、菅政権に立ち向かう労働組合・労働者の力を発揮しよう。 (K)



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