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    かけはし2020年11月9日号

民衆がクーデター勢力を駆逐


ボリビア

MAS 大統領選で完勝

批判を糧に第2のチャンス活用を

クラウディア・コロル

一〇月一八日の選挙でのクーデター指導者と右翼に対するボリビア人民の勝利、その結果の強さ、そして今日の多民族国家の脱植民地化によって示される変化のプロセスを深める可能性は、全大陸の人民にとって途方もない刺激となっている[『ノー・ボーダー・ニュース』によるコメント]。
われわれの心は喜びに満たされているが、お祭り騒ぎに気を取られてはいけない。広く認知されている結果によって、ルイス・アルセ(訳注1)とダヴィッド・チョケフアンカ(訳注2)が第一回投票で大統領と副大統領に当選したことは明らかである。それにもかかわらず、この結果を右翼マフィアの行動から防衛しなければならないからだ。彼らはボリビアを不安定化させ、一年前のクーデターを正当化しようとした告発詐欺を中心とするレトリックが崩壊するのを防ぐ方法を模索するだろう。
 われわれはまた、気を緩めることもできない。文民・軍人・民兵からなるファシスト右翼は、彼らの守護者―アメリカ大使館、米州機構(OAS)、クーデター政府の支援を受けて経済力と政治的支配力を手に入れた多国籍企業―とともに、すでに犯罪的な対応を準備しているからである。
 社会主義運動(MAS)の大統領候補者は、ボリビア人民がクーデターを倒すために選んだ道であった。人民の候補者への投票を弾圧することを目的としたあらゆる策略―海外での投票を妨害すること、軍と警察が街頭に登場して恐怖を煽ること、速報値の公表を排除することで投票結果を操作すること―にもかかわらず、人民は自分たちの意志を押し付けたのである。アルセとチョケフアンカは投票の五三・四%以上を獲得した。それは三一・五%を獲得した二位の右翼カルロス・メサよりも二二ポイント多かった。また、わずか一四・一%に終わったファシストクーデターの指導者フェルナンド・カマーチョをほぼ四〇ポイント近く上回った。
 OASとその代弁者であるルイス・アルマグロ[事務局長]は、一年前には右翼がエボ・モラレスを解任した詐欺行為の考えを正当化したが、今日ではこっけいな立場にいる。同じことが、変革プロセスを中断させるために共謀した国内外の権力者に責任を負わせるのではなく、左翼やフェミニストの言説を通じて、クーデターを犠牲者のせいにした人々にも当てはまる。クーデター実行者が行動したのは、変革プロセスに内在する弱点や誤りのためではなく、そのプロセスが自分たち(資本家)の利益を脅かしたからである。
 モラレス政権がおこなった失敗は、モラレス周辺の人々や一年後のいま政権に復帰した諸組織によって分析され、評価されるだろう。しかし、その分析の中には、クーデター、文民・軍部・民兵・宗教による独裁、虐殺、人道に対する罪、政治的禁止令、政治・社会的指導者(特に先住民族)への迫害・投獄、国外追放、コミュニティメディアの閉鎖、クーデターに疑問を呈したジャーナリストへの迫害、[民族衣装の]ポレラを着た先住民族の女性への家父長的・人種差別的暴力、先住民族[アイマラ族の]のウィファラ旗やその他の多民族国家のシンボルへの敬意の欠如(訳注3)を正当化するものは何もないだろう。
 ボリビア人民こそが、センカタとサカバの虐殺[二〇一九年一一月]に責任のある犯罪者、そしてファシストに殺害されたアルゼンチン人ジャーナリストのセバスティアン・モロの死の責任者が裁判にかけられるように、正義に向かう道を築き、歴史的記憶への道を築くだろう。
 ボリビアの独裁者がチョンチョコロ刑務所で人質にしていたアルゼンチン人ジャーナリストのファクンド・モラレスの自由を要求し続けるのは人民であり、すべての政治犯の自由を求め続けるのも人民である。MASの勝利は、免責や忘却にもとづいてではなく、正義にもとづいてボリビアに平和をもたらす日々の行動によって守られなければならない。
 選挙結果は歓喜の根拠である。選挙結果は諸国人民すべての闘争を刺激するだろう。この選挙結果を受けて、この新しい瞬間に、選挙がもたらす力と正当性をもって変革プロセスを深化させることができるように、そして変革プロセスが多国籍企業の世界的な代弁者とその操り人形である諸政府によって条件をつけられた民主主義の制度的論理に巻き込まれることを避けることができるように、われわれはいままでにたどってきた道筋を批判的に見なければならない。
 血と火によって内在化された恐怖の文化の中で、ファシズムと人種差別で鍛えられた軍国主義と弾圧部隊を解体することは、人民の、人民のための民主主義を回復する可能性の不可分な要素である。
 民衆的・フェミニズム的・反植民地的な力は第二のチャンスを獲得した。それを無駄にしてはならない。街頭で独裁に抵抗した人民、政府が選挙を延期すると脅したときには――パンデミックにもかかわらず――道路を封鎖するために外に出た人民、(これが闘争の戦略であると決定されたときに)一票一票を動員した人民が、いますべての権力の源となるに値するものなのだ。
 今日、独裁政権の政治的敗北を祝っている人々の顔に浮かんでいる気高さは、われわれの集団的歴史に刻まれることになるだろう。ハヤヤ ポレラを着た女性たち!(訳注4) ボリビア人民万歳! ウィファラに敬意を! やった!
(クラウディア・コロルは、アルゼンチンのジャーナリストでフェミニスト活動家)
(訳注1)ルイス・アルセは、モラレス政権で経済・財務相を務めていた。社会主義運動の大統領候補として、今回の選挙で当選を果たした。
(訳注2)ダヴィッド・チョケフアンカは、モラレス政権において外務大臣を務めた。今回の大統領選挙で副大統領候補として立候補していた。
(訳注3)モラレス前大統領が亡命を余儀なくされて以降、警察官による先住民に対する暴力行為が繰り返されていたが、そうした警察官の中には、ボリビア警察の紋章に刻まれた先住民の旗を剥ぎ取るなどの侮蔑的な行為をおこなう者がいた。
(訳注4)ハヤヤ(JALLALLA)とはアンデス先住民のアイマラ族の言葉で、祝う気持ちを込めた希望や幸福の表現。夢が叶うことを信じ、パチャママ(母なる大地)に祈り、夢が叶うための努力をするという意味も含んでいる。(「東京大学アタカマ天文台計画」のサイトより引用)
(『インターナショナル・ビューポイント』一〇月二二日:この記事は、最初は『ジャコバン・アメリカ・ラティーナ』に掲載され、『ノーボーダー・ニュース』が許可を得て英語に翻訳したものを『インターナショナル・ビューポイント』が同意のもとに掲載した)。



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