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    かけはし2020年11月16日号

「守ろう外国人労働者のいのちと権利」


10.30

―外国人技能実習法3年を検証する―

人権侵害を許すな 共に社会をつくる仲間だ


 一〇月三〇日正午から、参議院議員会館講堂で、「守ろう!外国人労働者のいのちと権利」―外国人技能実習法3年を検証する!―集会が、主催:集会実行委員会/日本労働組合総連合会(連合)、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)、ものづくり産業労働組合JAM、外国人技能実習生問題弁護士連絡会、日本労働弁護団、外国人技能実習生権利ネットワークで開かれた。
 指宿昭一さん(外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表)が司会あいさつを行った。
 「外国人技能実習法ができて三年が経った。在留する外国人労働者は一六五万人と過去最高。そのうち技能実習生は四一万人。外国人技能実習機構が作られた。保護する政策ができたが、現場では解決していない。人権侵害も続いている。法律は五年後に見直しが付帯決議でなされている。特定技能実習制度が新たに二〇一九年四月から行われているが、四〇〇〇人未満にしかなっていない。送り出し機関・団体より中間搾取(年収の三〜四年分)が行われている。日本の管理団体の搾取もある」と問題点を指摘した。
 参加している議員連盟の衆参国会議員一〇人が紹介され、石橋みちひろ議員(立憲民主党、参院)が「三年前の法律ができる時、適正化なくして数の拡大をしてはならないと主張した。技能実習生は三年前の二〇数万人から四〇万人を超えた。現場での問題は悪化し、人権侵害が拡大している。現在の法律を原則廃止して、労働者・生活者として参画できるようにすべきだ。いっしょに未来をつくっていこう」と発言した。
 
ベトナム人技能
実習生の訴え


次に技能実習生の訴えと支援団体からの報告(オンラインも含む)が行われた。
ベトナム人技能実習生と岐阜一般労働組合。
ベトナム人技能実習生のKさんは五月二八日に解雇され、支援のシェルターで生活している。仕事は厳しく怒られた。会社は九回注意したが直さない、との理由で始末書を九枚書かせた。精神的に疲れてしまった。組合にかけこみ、労基署に相談したが解雇予告が通知されていれば合法だとの回答。会社は弁護士を立ててきているが話は進んでいない。次の技能実習先を探している。ベトナムの送り出し機関に五五〇〇ドル払っていてその借金が残っている。「悪い日本人だけではない。日本に来れてよかった」とKさんは発言した。
岐阜のシェルターで一二人が生活している。一〇人の実習生とその家族二人。ほとんどが解雇されている。「仕事ができない、真面目でない」などの理由だ。即戦力に役立つ労働者が欲しい、実習生としてきちんと育てていくという姿勢が経営者に足りない。それに労働条件だけではなく、寮での集団生活や保険制度、環境の問題もある。会社は「解雇していない、本人が逃げた」と言い訳する。

キノコ工場で
働き解雇処分


栗山町実習生解雇事件。Cキノコ工場にAとBファームから働きに行っていた実習生がC工場の突然の倒産により解雇された。一四人が組合に加入した。残された実習期間九カ月分の給料の支払い、解雇予告手当、寮の使用を認めよ、と要求した。前二つの要求は認められなかった。C工場は以前にも実習生受け入れ停止処分を受けた会社であり、ファームはダミー会社だった。管理団体が会社とグルになっていた。その後新たな会社で働くことができ、解雇も撤回させ解決金もとれた。この問題では機構も管理団体もダメで組合が介入して初めて解決した。

ミャンマー人
技能実習生


ミャンマー人技能実習生と在日ビルマ市民労働組合の報告。
二人の女性ミャンマー人技能実習生が実情を語った。
「一年間働いた。給料は多い時で一六万円、少ない時で八万円。電気代二万円、家賃で二万円取られた。スリッパで頭を叩かれるなど人権侵害がひどかった。管理団体におカネを取られた」。

パネル討論―
3年間の検証


続いてパネル討論が行われた。パネリスト。仁平章さん(日本労働組合総連合会[連合]総合政策推進局総合局長)、鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネットワーク[移住連]代表理事)、水野英樹さん(日本労働弁護団幹事長)、コーディネーター、小山正樹(JAM労働相談アドバイザー・在日ビルマ市民労働組合顧問)。
鳥井さん。「実習生はベトナム、中国、フィリピン、インドネシアという順に多い。技能実習生は特に地方のどこにでもいる。機構ができたが受け入れ企業の七割で労基法違反があることが分かっている。残業代、労災、暴力の問題。人身売買的構造が変わっていない。この制度を適正化することはできない、廃止するしかない」。
「コロナ問題で、実習生は困窮している。救済策にアクセスできない。この春キノコが不足した。それは収穫する人、集荷する人=実習生がいなくなったからだ。今後漁業がたいへんになる。この制度ではやりきれないことが明らかだ。帰れなくなった人に生活の保障をすべきだ。ブローカーを排しハローワークを使う。オーバーステイを合法化する。移民政策として受け入れる。いっしょに働き、いっしょに生活する政策を」。
仁平さん。「実習制度の法ができて三五年が経つ。それでもまともに働いても生活ができない。法に基づく監督指導できる機構ができたがその地方や人によって運用が変わり、違反が改善されていない。適正化が必要だ。労働市場をどう考えるか。共生社会へ抜本的改革が必要だ」。
水野さん。「問題点。@劣悪な労働条件、賃金未払い、長時間労働、ハラスメント。A搾取。送り出し機関へ手数料を払わなければならない。B人権侵害。パスポートを取り上げる、帰国の強制など。その原因は@実習制度の目的は技術移転。しかし、日本の企業は単純労働者を確保したい。技術を教えていない。A転職の自由がない。この制度は廃止すべきだ」。
「労働力としてではなく、人として受け入れる。除染作業を外国人労働者にさせることは違法だ。実習期間は柔軟に、転職は自由、日本人に認められている権利はすべて同じに、受け入れは公的機関にすべきだ」。
最後に、「外国人労働者は、地域における『生活者』であり、社会保障や行政サービス、子どもの教育、住宅保障といった共生のためのインフラ整備は待ったなしの課題だ。政府は共生社会の実現に向けて覚悟を示し、国民的議論を行うべきだ」とする集会アピールを採択した。   (M)

呼びかけ

12・6 第3回総会・記念集会

一般社団法人三里塚大地共有運動の会

一坪共有地を守りぬこう

第3回総会

★正会員の皆様 総会への参加お願いします

★事前に総会議案は郵送します。欠席の方は、委任状の返送お願いします。(事務局)
?日時:12月6日(日)
午前11時30分受付/12時総会開始
?会場:東京・文京区民センター2A(地下鉄三田線・大江戸線春日駅下車)
?主催:一般社団法人三里塚大地共有運動の会

12・6第3回総会記念集会

三里塚は、いま

主催:一般社団法人三里塚大地共有運動の会 
共催:三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人)
   三里塚空港に反対する連絡会

 二〇二〇年、世界を襲った新型コロナパンデミックによって航空需要は蒸発。成田空港でも、二〇年度上期の国際線旅客数は九七%減と激減。四月には開港後初のB滑走路閉鎖(〜七月)に追い込まれました。全日空が国際線再開時の羽田空港優先方針を打ち出すなど、成田離れが進んでいます。成田空港四者協議会(国・千葉県・9自治体・成田国際空港会社)が一八年三月に合意し、住民の騒音被害を無視して推進してきた第3滑走路(三五〇〇m)建設、B滑走路延伸などの成田空港機能強化計画の破産は明らかです。
 だが、成田空港会社社長田村は「C滑走路計画は確実に進める」(六月二九日)と、空港拡大計画を推進しています。
 一般社団法人三里塚大地共有運動の会は五〇年をこえる三里塚闘争の一坪共有運動を継承し発展させるために一八年に活動を開始。共有地の法人への登記移転、三里塚闘争支援を進めてきました、二〇二〇年の活動を踏まえ、二〇二一年の大地共有運動へ向けて第3回総会記念集会を開催します。

?日時:12月6日(日)
午後1時30分開場・午後2時開始/資料代 500円
?会場:東京・文京区民センター2A(地下鉄三田線・大江戸線春日駅下車)

主催:一般社団法人三里塚大地共有運動の会
共催:三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人) /三里塚空港に反対する連絡会
連絡先/〒151―0061 東京都渋谷区初台1―50―4―103 一般社団法人三里塚大地共有運動の会
電話 03―3372―9408 /FAX 03―3372―9402 /メールアドレス kyoyu@sanrizuka.net

コラム

冊子「TOKYO人権」

 偶然地下鉄駅で冊子「TOKYO人権」(2020Autumn、発行:[公財]東京都人権啓発センター)を見つけた。表紙には俳優の宇梶剛士さんの姿が大きく写され、「『違い』は『彩り』色の数は多いほど楽しい」と書かれていた。以前、宇梶さんがアイヌ民族であることを明らかにし、そのルーツを求めて蝦夷地・北海道を旅するテレビ番組を見たことがあったので、どんな内容なのか気になったので持ち帰った。
 三つの特集が組まれていた。その一つ。宇梶さんの子ども時代、俳優になった後二度にわたりアイヌ民族を扱った舞台の脚本を作ったこと、ウポポイ(民族共生象徴空間・国立アイヌ民族博物館)のPR大使を引き受けた理由、生い立ちやルーツに悩んでいる人へ、共生社会を作るには、などのインタビューに答えている。
 「アイヌ語で『イランカラプテ』とは、日本語の『こんにちは』。語源的には『あなたの心にそっと触れさせていただきます』との意味。この心で人と接することができたら、生きづらさを感じる人はいなくなるのではないか」。「違い」は「彩り」色の数は多いほど楽しい、と宇梶さんはアイヌ民族との共生社会を求めている。
 次に、「ハンセン病隔離政策による“家族の被害”とは〜社会はなぜ患者と家族を差別したのか〜」、黒坂愛衣さん(東北学院大准教授)へのインタビュー。
 ハンセン病とはどのような病気なのか、人権侵害の歴史、家族の被害救済と権利回復を求めて、今なお続く差別を解消するには、などに答えている。
 「昭和初期から第二次世界大戦後にかけて、官民一体となって患者を探し出し、療養所に送り込む『無らい県運動』が全国で推進され、住民同士の密告さえ奨励され、各県が収容者数を競う政策は病気への恐怖心をかきたて、恐ろしい病気という誤った考えを植え付けた」。  
 「差別や偏見をなくすには、当事者から話を聞くことが一番。国の過ちの歴史を正しく知ること、私たちにも責任があることに向き合うことが必要だ」。
 三つ目。特別企画「“新型コロナ”と人権 無自覚な差別に人権意識で立ち向かう」。
 外出自粛や休業要請に応じない人を非難・攻撃する「自粛警察」は自分を絶対的「正義」とし、他者を排除する行為だ。そして、それはハンセン病患者の強制隔離を支えた「無らい県運動」と非常に似て、無自覚な差別に基づいている。
 「新型コロナウイルス感染症対策は医療と経済が二大柱になったが、本来なら人権を加えて三大柱とすべき。人権を守る対策なしにはウイルスに立ち向かう社会は築けない」と提言している。コロナ禍で社会不安が増し、ヘイトがまん延する今日この頃、どのような視点でものごとを見ていくのか、そんなことのヒントを与えてくれる冊子であった。     (滝)



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