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    かけはし2020年4月13日号

被災者無視の「帰還政策」やめろ


いわき

「復興五輪」は破綻した

何よりも住民の声を聞け

形ばかりの公聴会ではダメ

コロナウィルス感染下の課題

 【いわき】JOCは二〇二〇年東京オリンピックの開催を中止し一年の延期を決定した。もともと今回のオリンピックは誘致の際福島原発事故について汚染水は「アンダーコントロール」と現状を偽る発言で開催が決定した。
 「復興オリンピック」と命名した目的は、福島原発事故の終息及び復興の順調な進展をアピールし、原発事故について、その記憶の後景化を図り住宅提供を打ち切り損害賠償を値切ることにあった。オリンピックの開催が、「名称変更なしの1年延期」になったその意味を考えるならば、福島原発事故の被害を矮小化し住民への犠牲の強要を図る国・東京電力による策動の継続である。
 それは、汚染水の海洋投棄を勧める提言の発表、帰還困難区域の再編(当該住民への避難指示解除)、常磐線不通区域の開通として表れている。

汚染水海洋投棄
促進提言に抗議
二月二七日、汚染水の海洋投棄を促す提言が、発表された。それは経済産業省の「廃炉・汚染水対策チーム事務局」による「多核種除去等処理水の取り扱いに関する小委員会報告書」として示された。
この小委員会は当初トリチウム水タスクフォースとして二〇一三年一二月から二〇一六年六月まで開催された。そして二〇一六年一一月からは、「多核種除去等処理水の取り扱いに関する小委員会」と改称され、二〇一八年七月には国内三カ所(福島県内二カ所・東京一カ所)で公聴会が開催された。
そこでは当初対象は「トリチウム水」とされたが、処理水中には他の放射性物質も存在することが(一部規制値を大幅に上回る核種も)暴露される事態が生じ、県内では地元漁民から「やっと一部の魚種は除かれているが操業を再開するまで漕ぎつけた」「ここで汚染水が流されたら大変なことになる」と悲痛な叫びが発せられ・公聴会の場は反対の意見を表明する住民の声が席巻した。また都内でも都民のほとんどが反対の意見を表明した。そしてすべての会場の多数が地上保管の対案を述べた。

形ばかりの公聴
会に相次ぐ異論
この声を受けて小委員会は仕切り直しとなった。しかし再開小委員会の場では、前回の住民説明会の場で提起された地上保管案はあらかじめ排除された。その理由を二つあげている。
第一は現在、汚染水保管タンクを設置する用地が一杯になり、新たに用地を確保するのは困難としている。第二は汚染水処理の期限は廃炉完了までが必至としている。これは双方とも全く理不尽なものである。
用地の確保問題はそもそも実行した経過が不透明であり、期限に至っては、廃炉工事は当初より大幅に遅れている。そして廃炉工事の最大の難関とされている燃料デブリ取り出しに関わる諸課題―工法・取り出した燃料の保管場所及び方法―は未だ研究中というのが現状なのである。
そして今年二月二七日、「多核種除去等処理水の取り扱いに関する小委員会」の報告書が発表された。同報告書は放流決定までの過程として、公聴会・住民説明会の開催を挙げ、海洋投棄を促すよう推奨する内容として発表された。この提言は、浪江町議会による全員一致の反対決議を典型として双葉郡各議会において反対の声で迎えられている。東京電力・国はこうした反対の世論を顧みることなく、海洋への放流強行を図っている。それは公聴会・住民説明会の開催の在り方として表れている。
現在までに知られている公聴会の開催地は福島市一会場のみである。しかも、開催の日は四月四日とされている。そればかりではなく、「新型コロナウィルス」の感染対策を理由に、一般参加はなし、意見発表七団体、参加四団体としている。まさしく公聴会を形ばかりの通過儀式にするつもりなのである。

一方的な帰還
攻撃の中止を
他方、帰還困難区域再編を見るならば、政府が帰還困難区域の避難指示を解除したのは、富岡町夜ノ森、大熊町大野地区、双葉町の一部である。しかし何れの地区も、解除された地域は僅か一部である。双葉町は除染工事真っ最中の海側及び、駅周辺であり、双葉駅が整備されたのは駅前だけであり、一本道を外れた所には地震によって崩れ落ちた家屋が散見するなど、原発震災事故直後の惨状がそのままになっている。また大野駅に至っては駅舎を出た途端に広がっているのは、鉄の柵により、立ち入りを禁止された、家屋、店舗の群れである。先に避難指示を解除した地区も含めて、住民が帰還しても生活が困難なのが現状なのである。しかし政府は、今春(三・三一)飯館村・葛尾村・浪江町・富岡町等の住民が居住する仮設住宅の提供終了を予定している。まさに棄民政策そのものである。
住民の声を聞け。コロナウィルス問題が解決するまで公聴会・説明会は延期せよ。密室説明会反対。汚染水海洋投棄を止めよ、国・東京電力は原発事故の被害者を路頭に迷わせてはならない。被災者の生活を保障せよ。帰還政策を中止せよ。(浜西)

3.17

ATTAC公共サービス研究会

つぶすな自治体病院

本田宏さんが講演

 世界中が新型コロナVパニックに陥っているなか、まさにそうした状況にどのように対処すべきなのかを真剣に考えるための講演学習会が、三月一七日、文京シビックセンターにおいてATTAC公共サービス研究会の主催で開かれた。「つぶすな自治体病院・日本の医療制度改革の処方せん」という題で講演したのは、元外科医で現在は日本の医療と社会保障を救うための地道な活動を行っている本田宏さんだ。

医師・医療ス
タッフの不在
本田さんはまず、新型コロナVの影響でこれまでに六カ所で自らの講演が中止になっていることを報告した。そして現在の最大の問題は、正しい情報が伝えられていないことだと、政府・感染研など医療関係者・マスコミを批判した。
本田さんが講演を通して主張した日本医療の中心的な問題は、医師と医療スタッフの絶対的な不足についてだった。世界一の超高齢化社会でありながら、一〇万人当たりの医師数はG7で最下位であり、OECD平均にするためにはあと一二万人増やさなければならないのである。こうして日本医療の現実は、医師と医療スタッフの長時間過労労働や院生の無給労働によってギリギリ維持されているのであり、そうした状態が医療ミスや医学部入試における女性差別の温床になっているのである。
また医師会を始めとした日本医学会も、敗戦前と変わらぬ封建主義的な官僚構造を維持しており、本来は公共的な社会サービスであるはずの医療を「利益を上げる企業」に仕立て上げようとしてきた。都立病院の独立法人化の動きも同様の論理によって推し進められようとしている。本田さんはそのことを「消防署や自衛隊が赤字だから問題だと言う人がいますか」と問いかける。
厚労省は二〇四〇年にピークを迎えようとしている日本の超高齢化社会を前にして、「医療費亡国論」を打ち出している。「医療費が増えるのは悪だ」と言っているのだ。軍事費が増えたり、辺野古や高速増殖炉建設で無駄に税金を使うのは悪ではないのか。国家が国民の健康と生活を保障することが悪なのだろうか。憲法第二五条の「生存権、国の社会的使命」で、それは国家として保障しなければならないことになっているのである。本田さんは「こうした厚労省の主張によって、医師と医療不足に拍車がかかっている。PCR検査もやれる人がいない。政府もPCRにお金を使いたくない。オリンピックのこともあるし」と厳しく批判した。保健所の現状も同様なのだ。

海外支援できる
スタッフの不在
新型コロナVの拡大がいつまで続くのかはわからないが、医療体制の脆弱な諸国では対処できないところも出てくるのであろう。しかし今の日本には、そこに支援派遣する医師や医療スタッフも皆無に等しいと言えるのだろう。また死亡率の高いイタリアと死亡率が圧倒的に低いドイツの医療制度比較なども検討してみる価値があるのかもしれない。 (R)


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