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    かけはし2020年4月13日号

労働運動が進むべき道 労働中心連帯社会


変革党が提供する韓国社会再編戦略:「韓国社会構造変革案」A

イ・スンチョル執行委員長

 

 変革党は、2月の5回総会で2022年まで続く「社会主義大衆化事業」を決議した。そのうちの一つが韓国社会を根本的に変える代案である「韓国社会構造変革案(以下、「構造変革案」)」である。「構造変革案」は、資本の所有と統制など巨視的な経済運営から労働、住宅・医療と教育、性差別と少数者排除、エコと安全性、平和体制と国家権力の問題に至るまで、10の領域を設定して現在の韓国社会の実態を分析し、総体的変革を主張している。
 「変革政治」は、先の100号から「構造変革案」の10種類の内容を順番に連載する。今回は、その2番目の項目である労働に関する変革の要求を提示する。「変革政治」紙面で掲載する「構造変革案」のリストは、次のとおりである。
1.資本のための経済から、万人のための経済に!
2.利益中心の競争社会から労働中心と連帯社会へ!
3.個人責任の福祉から社会(国家)の責任福祉へ!
4.競争教育から必要に応じた平等教育に!
5.女性差別・暴力・嫌気から性平等社会に!
6.「差別と排除」の生活から「平等と連帯」、「共存」の生活へ!
7.「利益」より「安全と命」を!
8.利益ではなく、自然との共存を!
9.戦争危機の朝鮮半島を平和の朝鮮半島に!
10.資本と少数者のための国家ではなく、労働者民衆の国家へ!

低賃金―不安定労働が作った不平等の泥沼


 低賃金―不安定労働の拡大は、韓国社会の不平等構造を悪化させる主犯である。
 400万人(2017年OECD基準22・3%)の労働者が低賃金(中位賃金の3分の2)で、「働いても貧しい貧困状態」を維持している。女性労働者のうち、低賃金の割合は35%(2017年OECD基準)であり、低賃金労働の大半を女性が占めている。最低賃金制度の改悪、短時間労働の拡大、小規模事業場と非正規職労働者の「労働組合の権利」の制約、性別分業に基づいた女性労働の価値縮小などは、低賃金構造を維持・強化させる原因である。
 低賃金構造は、不安定労働と結合して不平等な構造をさらに強化する。2018年基準、全労働者のうち、非正規職労働者の割合は半分に近い40・9%(821万人)であり、特に全体の非正規職の94・6%(777万人)が臨時労働を兼ねていることが明らかになっている。特に不安定労働は、女性と青年、高齢者に集中して固定されている傾向を見せている。女性は正規職より非正規職が多く、(非正規職50・7%)、年齢別では20代と50・60代で非正規職の割合が高い状況である。全般的な不安定労働の拡散の中で、女性―青年―高齢労働者の「非正規職固定化」が見えてくるわけだ。

長くつらい労働、崖っぷちに追い込まれた労働者の命と健康

 低賃金―不安定労働が拡散する中「OECD加盟国の中で、労働時間1位、産業災害死亡率1位」などの指標で明らかなように韓国資本の利潤システムは、労働者の健康と命の犠牲の上に成立している。2018年基準の韓国の労働時間は、1967時間で、OECD加盟国の中で1位だ。法定労働時間を40〜100時間も超える労働で労働者の生活がやっと維持されているのが実情であり、低賃金の状態に置かれた労働者は「絶縁体」を走るのが日常になった。
危険の外注化による非正規職労働者の死、過労死による労働者の死の行列が続いている。韓国は1994年から2016年まで2度を除いて、OECD加盟国の中で、労災死亡率1位という不名誉を脱したことがない。このように、資本の搾取構造は、低賃金―不安定―長時間労働をその動力としている。

労働者の権利を阻む盗人猛々しい労働法


大韓民国の法は、労働者の基本的権利を剥奪している。現行労組法は△複数労組交渉の単位強制単一化△労組専従者賃金支給禁止△労組活動に対する損害賠償請求許容△使用者団体の構成義務不備など、事実上「労働組合活動を制約する法律」として機能している。特に公共部門の場合は必須維持業務規定と公務員・教師のための労働三権不正によって労働者が生活を向上することができる最低限の権利まで剥奪している。
法と制度だけの問題ではない。100人以下の事業所の労働者の労働組合加入率0・2%、非正規職労働者の労働組合加入率2%という現実は、低賃金・不安定労働者ほど、法で保障された権利が、死文化された権利であることを物語っている。ここで労組嫌悪イデオロギーまで加わって、憲法で保障されている労働権すら保証されていないことが、今日の労働の現実である。

 

現代版身分制になった「競争の工程」

 △期間制教師正規職化についての全教組内部の異論△ソウル地下鉄非正規職の正規職化に対する青年正規職組合員の反対△教育公務職法制定の動きに対する世論の非難△トールゲート労働者の直接雇用の主張をめぐる非難など、非正規職問題の根本的解決策である正規職化に対して歪曲された「工程」概念が私たちの社会の中で激しく現れている。
不平等の深化にともなって保守政界でも「公正」概念を表面化させて議論を開始したが、その「工程」は、「手続きと方法の工程」のみにとどまっており、「内容と価値の平等」は無視されている。これと共に「試験を受けない正規職化」は「不公正」だと切り捨てて、労働の価値は、入試の努力に比べて軽いものだと歪曲された。保守政治と社会の主流の「工程」は、「現代版身分制」として汚染された。それは連帯と平等が消えて「競争の工程」物神化がもたらした結果だ。

労働の分断と傷つけられた階級の団結

 低賃金―不安定労働の拡散は、労働者の間の賃金格差も拡大させている。2018年基準の非正規職労働者の賃金は、正規職の50・7%に過ぎない。上位10%と下位10%の賃金総額の差は5・04倍に達する。性別賃金格差もOECD 1位だ。作業場内の労働者間の賃金格差も2倍を超える。これは、資本の労働分断政策による結果だ。
問題はこれだけではない。資本の労働分断に対抗する労働者の団結が無惨に崩れている。構造調整の時期「過剰人員」と非正規職をまず解雇、非正規職の正規職化に対する正規職労働者の反対、単位事業場の成果に基づいた賃金の引き上げなど企業別労組運動の誤った慣行が維持され、すべての労働者の生活の権利を保障する闘争は、過去と比べて弱体化されている。これにより、「社会改革と変革を推進する労働者運動」の位相は弱体化され、労働者は、雇用形態に応じて、事業所の規模に応じて、性別に応じて、さらに世代の違いで、理解と要求が分かれてアトム化された。
労働、そして労働運動が直面している今の現実を大胆に変えるために、変革党は、次の4つの要求を提案する。

変革党の提案1
低賃金―不安定―長時間労働を終わらせて人間らしい生活のための労働を!


まず、低賃金―不安定労働を打ち破るためには、非正規悪法撤廃、整理解雇制撤廃、元請の使用者性を認め、非正規職をまず解雇することの禁止、生活賃金争取を成し遂げる。これにより、低賃金―不安定労働に起因する労働者の不安と苦痛を終わらせる。加えて、低賃金構造を維持させる性別分業に基づく性差別的賃金―雇用を性平等な賃金―雇用に変えさせる。低賃金労働者の賃金引き上げ(最低賃金を生活賃金に!)運動を通して賃金不平等の構造を変えていく。
第二に、画期的な労働時間の短縮(週30時間)運動で長時間・超過労働を前提にして生活を維持するシステムを廃止する。これによって労働者の健康と命を守り、労働者の自由な時間を拡大する。

変革党の提案2
労組嫌悪と労働悪法を超え、すべての労働者の労働基本権争取を!


第一に、労働基本権の概念を既存の「労働三権」を越えて「労働する権利」と「正当な労働の価値が認められる権利」に拡張する。そのために必要なのが「排除と例外のない労働基本権」を勝ち取ることだ。「勤労基準法の例外規定の廃止および全面適用運動」でプラットフォーム労働を含む特殊雇用労働者、小さな事業場の労働者の労働基本権拡大を実現することが不可欠である。
第二に、すべての労働者の労働三権を実現する。そのために、△複数労組交渉単位の強制単一化△労組専従者賃金支給禁止△労組活動に対する損害賠償請求許容△使用者団体の構成義務不備などの労働悪法を撤廃する。また、公共部門必須維持業務制度を廃止し、教師・公務員労働者の労働三権保障のために法を改正する。

変革党の提案3
国家の責任基本雇用確保で、公正な競争を超えた平等連帯社会の実現!


「不平等の工程」を粉砕するためには、「資格の取得」ではなく「労働の価値」が中心的な言説にならなければならない。そのために、「社内留保金の返還・労働者基金の設置―国家責任基本職保障」を実現する。すなわち、労働者の血と汗の結果である財閥の利益(社内留保金)を返還して基金を作り、労働者がこの基金の運用主体になることで、国家が責任を負う安定した職場(国家責任基本雇用)を争取しなければならない。
財閥の利益を返還する運動は、労働の分断と階層化による階級的団結の損傷を克服しようとする闘争であり、階級的連帯を実現することにより、労働運動を革新する運動である。デジタル産業の発展に応じて自動化・機械化と雇用減少の問題が深刻な現実の問題として示されているだけに、労働者基金の設置に加えて、労働時間を大幅に短縮して国家責任基本雇用と労働時間短縮による完全雇用を達成するのだ。つまり失業と不安定労働層の量産を通じて危機を克服しようとする資本に対抗し、「生活賃金が保障される国家責任基本雇用」を実現する。

変革党の提案4
資本の統制を解体し、労働者統制に!


先の100号の「構造変革案」の最初の連載でも取り上げたように、「資本のための経済ではなく、万人のための経済」は、労働者民衆が経済の主人になるシステムである。それは、労働者民衆が産業と金融、国家政策の諸領域を制御することで始まる。労働者の現場統制は事業場単位で、この新しいシステムを実現する手段である。そのため、民間部門では、団体協約を再構成して、労働者の統制が拡張されるようにし、事業所の次元を超えて産別次元の統制を試みなければならない。公共部門は、団体協約の拡大とともに公共性の実現のための(仮称)「労働者民衆統制委員会」を構成して、労働主導の公共サービス拡大・強化が行われるようにする。
(社会変革労働者党「変革と政治」101号より)

コロナ事態と一緒に浮上した社会主義論争

社会主義じゃいけないのか?

キム・テヨン 代表

 コロナ19の確定者が増加して、マスク不足と売店売り惜しみが横行するなどの問題が大きくなると、政府が公的マスク供給と5枚制限の実施などで需給に介入した。すると保守言論などは「社会主義国家配給制(<世界日報>、<すっかり経済> )」、「社会主義式継ぎ接ぎ処方(<韓国経済> )」、「最悪の社会主義(<MBN> )」、「ムン・ジェイン社会主義(<東亜日報> )」云々し一斉に攻撃した。これらはマスク不足の原因がさながら社会主義政策のためのものだと報道した。<韓国経済>のように財閥を露骨に代弁するメディアは、企業などに誘因策を与えることを注文することによって、彼らの本音を隠さなかった。政府の公的マスク需給政策に対するこのような「社会主義」の烙印を押す攻撃は、過去に無償医療や無償教育など普遍的福祉政策、不動産投機抑制のための土地公概念政策などについても示されたことがある。
 しかし、今回は、このような攻撃に対応する他の声も聞こえ始めたという点で違いがある。ムン・ジェイン政権の防衛に熱心なユ・シミンが「現状況で配給制(5枚制限)以外に他の代案がない」と主張したが、最近彼と争っているチン・ジュングォンは「マスク5枚制限は、市場の失敗による社会主義的国家介入」と言った。政府関係者としてはキム・サンジョ大統領府政策室長が3月6日メディアのインタビューで、マスクの公的需給政策と関連して、「社会主義計画経済がなぜ成功するのが困難なのか痛感する」と言った。
 保守言論の「社会主義」攻撃に対応する与党陣営の関係者らの立場を要約すると、資本主義市場原理には、マスク需給の問題を解決することができないので、仕方なく国家が介入して、社会主義的な方法を使用してということだ。これらが社会主義を擁護するということは決してないが、マスクの公的需給政策に社会主義的性格が内包されていることを否定できず、その原因として、資本主義市場原理の限界を指摘している点は注目に値する。

今認めることは認めよ

 コロナ事態で資本主義市場原理をそのまま適用するとどうなるのか。資本主義は利益のために帰するシステムだ。利益のための行動がそのまま善になる社会だ。企業が利益のために価格を上げても、価格をさらに上げるために生産量を調節して、在庫を築いても、資本主義市場原理の下では問題になることはない。
しかし、コロナ事態のような危機局面で、社会の構成員の生命と安全が脅かされる状況では、利益中心の資本主義市場原理は、善ではなく、悪である。資本主義的価値と方式ではなく、社会主義的価値と方式が善である。
数年前のMERS事態でも、韓国社会は似たような経験をしている。MERS事態の前に韓国の医療部門は、営利化・市場化などの新自由主義攻撃を受けた。公共病院の砦である地方医療院が閉鎖されるところまでいった。しかし、MERS事態が勃発するや否や伝染病の拡散を防ぐことができる陰圧病室を備えていたのはサムスン医療院などの利益中心の民間大型病院ではなく、地方医療院であることが明らかになった。医療部門で社会主義の価値と方式の真価が確認されたのである。
資本主義原理が幅を利かせる韓国社会でも社会主義的原理と方式があちこちで作動している。ただ残念なのは、そのような社会主義的原理と方式が資本主義のシステムの補助的手段にとどまっているという点である。しかし、今、韓国社会でも認めることは認めていこう。社会主義的原理と解決策は、悪ではなく、善である。

社会主義的原理と方法が必要なのはコロナ事態だけか

 ムン・ジェイン政権のマスク5枚制限が施行された日の3月9日、韓国馬事会のムン・ジュンウォン烈士の葬儀が行われた。烈士の棺を運ぶ行列が釜山に到着すると馬事会は合意を覆す人面獣心(人でなし)の行動をもう一度表わした。ムン・ジュンウォン烈士が命を失った釜山競馬場は「先進競馬」という名前の資本主義市場の論理で7人の非正規労働者を殺したところである。コロナ事態が国民の命と健康を脅かすことと同様に、韓国馬事会事態は労働者を次々と死に追いやっている。労働者を殺す利益中心の「先進競馬」を廃棄し、公共性に基づく名実ともに公共機関に再編しなければならない。これが非正規労働者たちを死に追いやっている馬事会事態を解決するための社会主義的原理と方式である。
そもそもそれだけか?一日に7人、1年に2千人以上の労働者が働いて死んでいる。このような状況は、コロナ事態よりもはるかに深刻な事態だ。資本の利益のための外注化と非正規職化がこの事態の核心原因だ。利益のための資本主義の競争原理の下では根本的解決策を見つけることができない。危険の外注化の禁止と正規職化は資本主義的価値と方式ではなく、社会主義的価値と方式だけが解決することができる。社会主義大衆化を開始する社会変革労働者党は3月4日の声明を通して、「マスク社会主義」の正当性を主張した。今世の中の真の進歩を求めるのならば、一緒に声をあげよう。
社会主義じゃ、いけないのか?
Why Not Socialism?
(社会変革労働者党「変革と政治」102号より)

朝鮮半島通信

▲韓国の丁世均首相は3月29日午後の政府の対策会議で、国籍や地域に関係なく自国民を含むすべての入国者について、4月1日から2週間の隔離を義務づけると発表した。
▲3月29日の韓国合同参謀本部の発表によると、同日午前6時10分ごろ、朝鮮の元山一帯から北東の日本海上に短距離弾道ミサイルと推定される2発の飛翔体が発射された。
▲文在寅大統領は3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策を発表し、中・低所得層に1世帯当たり最大100万ウォンの支援金を支給すると発表した
▲4月3日の朝鮮中央通信によると、最高人民会議常任委員会が最近、伝染病予防法を修正補充して発表した。修正補充された伝染病予防法には、伝染病の摘発や隔離、感染経路遮断をはじめ、伝染病の予防に関する内容が盛り込まれた。
▲4月3日の朝鮮中央通信は、国家非常防疫事業総括会議が開催されたことを報じた。同通信はまた、平安北道、黄海南道、慈江道、江原道、咸鏡南道、開城市の医学的監視対象者はすべて隔離を解除された一方で、「現在、全土で500人余りが残っている」と伝えた。



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