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    かけはし2020年4月20日号

われわれの生命は奴らの利益より価値がある


第四インターナショナル・ヨーロッパの声明

古い世界に終止符を打ち地球の破壊止める闘いへ

 ヨーロッパにおいて、とりわけ世界で二番目に巨大な経済ブロックであるヨーロッパ連合(EU)において、過去二〇年間以上にわたって続けられてきた公共政策が、新型コロナウイルスのようなパンデミックに対応できたはずの公的医療体系を破壊してきたことが日々証明されている。三月には、この地域はパンデミックの中心地となった。今ではパンデミックの中心地はアメリカ合衆国へと移っているが、明日にはアフリカやラテンアメリカ、アジアへと移り、貧弱な医療体系しかない国々で何百万人もの人々をますます危険にさらすだろう。

医療を破壊した論理くっきり

 この二〇年間、緊縮予算の原則や自由主義的資本主義の論理に合致させるために、つまりGDPに占める社会保障費の割合を減らすために、病院、医師や看護師、何万もの集中治療室や蘇生病室が削減されてきた。オーストリア、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルグは別として、他の諸国では一〇万人につき四〜一一床の集中治療室しかない。ポルトガルやギリシャではもっと少ない。この二カ国では、スペイン、フランス、イギリスと同じように、過去一〇年間に病院の病床を廃止する計画が継続されてきた。
こうした政策は近年つねに医療労働者によって非難されていたが、パンデミックに対応するためのリソースの破局的な不足を招いた。イタリアとフランスでは、すでに集中治療ユニットの最大能力に達したか、あるいはそれを超えてしまっている。他の諸国も今後数週間以内に、同じ状況に直面するだろう。
どこでも、政府は、防護用品(マスク、ジェルなど)や必要不可欠な設備(病床や人工呼吸器)の必要な供給、病院スタッフの緊急補充といったこの不足に対処するための対策を講じるのに時間をかけすぎている。ドイツにおいてさえ、何十万もの病床が過去二〇年間で削減され、患者に対する看護師の割合を見れば、少なくとも一一万人の看護師が不足している。
同時に、ヨーロッパの政府や雇用主がとらわれている最大の強迫観念は、不景気に対する不安であり、最大限の生産を維持することだった。人々を守るための緊急措置が課せられたとき、いくつかの政府は矛盾した命令を続けたし、今も続けている。
いくつかの国においては、ウイルスの拡散を遅らせ、減少させるために全国民の隔離を決定せざるを得なかったが、それでもなお、自動車生産や建設業、軍事産業、造船所といった部門においてさえ、労働者の健康を危険にさらして最大限の経済活動を維持しようと求め続けた。さらに、必要不可欠な部門(食料生産、配送、道路、公共交通、医療・在宅介護スタッフ)の労働者は十分な個人的防護設備を持っておらず、EUの安全(健康)法のガイドラインさえ幅広く無視されている。

資本は普段通りの経済活動追求


「不要不急な活動」を禁止する法令を出した国もあるが、つねに最大限の経済生産を維持しようという欲望を捨てたわけではない。フランスとイタリアは特定の労働者の解雇を禁止したが、こうした措置は対象範囲が限られている。スペインでは、すでに過去数週間で一五〇万人の解雇者(そのうち五〇万人はカタロニアにおいて)が出ているにもかかわらず、企業閉鎖によって影響を受けた労働者は、企業再開後に、働けなかった時間分を回復しなければならないだろう。
イタリアでは、雇用主の組織である「コンフィンダストリア」は、ほとんどの経済部門でいつも通りのビジネスを続けるよう強い圧力をかけたが、労働者と戦闘的労働組合が政府に操業続行を許可された部門の数を部分的に減らさせた。しかし、今のところ、もっとも打撃を被っている地域においてさえ、地方警察当局へのたった一つの布告によって、多くの工場が活動続行を認められている。
労働者の抵抗も続けられている。フランスで生産が停止したのは、しばしば部品不足や当面の販路不足によるものである。プジョー・シトロエンやルノーはいまでも活動を最大限再開しようとしている。フランスの労働大臣自らが建設業や公共労働部門に対して、活動を再開するように圧力をかけた。
何百万人もの労働者が直接に解雇されたり、無給の部分的失業状態に置かれたりした。不安定で一時的な契約は更新されなかった。被雇用者の資格を有していなかった何百万人ものフリーランスも、気がつくと仕事や収入がなくなっていた。
しかし誰にとっても、請求書やローン支払いが届けば支払わなければならないのだ。すべての労働者は自らの立場(賃金労働者、フリーランス、失業、短期雇用、季節雇用など)にかかわらず、収入は一〇〇%保障されなければならない。その国で生活する費用にもとづく最低限の収入が全員に保障されなければならない。利益や配当金はこの資金調達のために使わなければならない。

最も弱い立場の者に最大の苦難


不安定な条件の中で生活している労働者、ホームレス、そして女性が真っ先に新型コロナウイルスの拡散とそれによる隔離によって影響を受けることになる。倒れそうな住宅や狭く不健康な住居によって、貧困層にとっての隔離は富裕層にとっての隔離とは違うものになる。イタリアやフランスでは、裕福な人々はより危険の少ない地域で自己隔離するために、もっとも危険にさらされている地域を離れてしまった。
ロシア当局は弾圧的な手段へと転換し、隔離違反には高額の罰金を課すとともにビデオ監視や警察による管理を強化してきた。同時に、ロシア当局は収入や仕事を失った何百万人の中小企業労働者に対するいかなる支援も事実上拒否してきた。しかし、故郷に帰国できないまま、その多くが仕事を失った中央アジア出身の三百万人の移民労働者はもっとも弱い立場に置かれている。感染の拡大は、ロシア政府がこれまで実行してきた新自由主義的で容赦ない病院「最適化」プログラムを主な要因として、多数の被害者をもたらす恐れがある。
同様に、この状況の中で、ドメスティック・バイオレンスとフェミサイドがあらゆるところで増加している。
多くの国の刑務所では、囚人や職員が防護設備もないまま過密状態におかれている。
移民(とりわけギリシャとトルコの間で立ち往生している人々や収容所内にすし詰めにされた人々)は、不安定な健康条件のゆえにさらに大きな危険にさらされている。ほとんどの国において、彼らは国の支援やNGOの支援さえなく、食料支援もなく取り残されてきた。そして、防護手段のないセンターの中にすし詰めにされてきた。ポルトガルは国内にいる難民にたいして一時的に居住許可を出すことを決定した。しかし、これはすでに居住申請が出されたことを当局が確認した人々についてだけのものである。
他の誰にも増して、移民は収入、仕事、住居、食料の面でかつてなかった危機に直面している。国籍があろうとなかろうと、移民や難民も含めて、巨大で多様な不利な立場にいる人々のための「社会支援」部門は破綻している。
同時に、移民やもともと移民であった人々は、医療・介護、公共交通、食料生産、配送、清掃といった絶対不可欠(エッセンシャル)な部門の労働現場で多くが働いている。と同時にその多くが女性を中心とした職場でもある。
パンデミックは階級差別を悪化させている。そして民衆諸階級やもっとも不安定な人々はこのパンデミックの間、とりわけ死と向き合っているにもかかわらず、もっとも低い賃金しか支払われていないし、これからも支払われないだろう。

便乗的民主的・社会的権利制限


同時に、いくつかの政府は、イタリアやフランスに先導されて、好戦的な姿勢や国家主義的な構造に頼ることによって自らの怠慢を覆い隠そうとしてきた。軍隊や国歌を目立たせ、「聖なる連合」を呼びかけてきたが、その一方でこのパンデミックが始まってからほど階級差別が強まったことはかつてなかった。
同様に、いくつかの政府は、社会的・民主的権利を制限するためにこの状況を利用しようという誘惑に駆られて、非常事態宣言を出した(イタリア、フランス、ポルトガル、スペイン)。そのようにして、ドイツでは、新型コロナウイルス危機は、労働運動がかちとったさまざまな成果(たとえば、バイエルンにおける労働時間法やドイツ全域における介護部門の人員比率法)に異議を唱え、それを撤廃するために利用されている。
フランスでは、政府布告によって、企業が労働時間や休日の権利に関する規定から逸脱することが認められた。スペインやポルトガルでは、規定を逸脱して、医療部門や必要不可欠な生産部門におけるストライキ権を禁止し、雇用主にスト破りを認めた。ハンガリー議会は、すべての民主的規制を無視して、オルバン首相に全権を与えた。

EUの機能も政策も哀れな姿


このパンデミックの到来は、多くの科学者や他の者たちにとって驚きでもなんでもない。企業的農業の大規模な成長は、食肉産業や森林伐採、大都市におけるスラムの増大や世界的生産連鎖とともに、新たな未知のウイルスを培養し世界的に拡散するという時限爆弾を生み出した。
ヨーロッパ連合は、この危機に直面して哀れな様相を呈している。現在の状況は、長年にわたる緊縮政策の結果である。たとえば、過去一〇年間に少なくとも六三回にわたって、EUはさまざまな国における公的医療支出の削減を要求してきた。医療での協同のとりくみを準備したり、パンデミックと闘うためのリソースをプールしておいたりするどころか、政府は手始めに「感染国」との国境を閉鎖し、イタリアが求めた支援を拒絶し、混乱したやり方で矛盾した措置をとった。
数週間にわたって、イタリアはヨーロッパ諸国からよりも多くの支援を、中国やロシアから、そしてキューバからでさえ受け取った。マスク、検査キット、集中治療室の不足が、ほとんどの国において深刻なロックダウンを不可避としたが、今日においてさえヨーロッパレベルでの協力は(感染拡大に)追いついていないままである。
最近数週間以内に開かれたヨーロッパ・サミットで関心を集めたのは、株式市場の危機や金融危機から自らを救い出すために、予算規定を一時中断し、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が量的緩和をおこなうことだけだった。その一方で、この要求に直面して、EUはたとえばイタリアに対する低利の借款を供与しないために、ヨーロッパレベルで直接に保障されたコロナ債を発行することを拒否した。皮肉なことに、唯一の提案はESM(欧州安定メカニズム)を利用することだった。しかし、ESMによる支援は、現在の破局的な状況を生み出した緊縮策を条件としたものなのである。医療、産業資源、予想される医療人員という観点からの協力はまったくなかった。各国はみずからの自衛策を追求している。

緊急措置プログラム


ヨーロッパにおける第四インターナショナルの諸組織と活動家は、それぞれの組織とともに以下の緊急措置プログラムを支持する。

?スクリーニング検査キットを大規模に使えるように有効な手段を投入すること。蘇生病室と人工呼吸器を増やすこと。すべての人々に適切な防護マスクを配布し、生物学的検査を受けさせることが、隔離解禁の条件である。こうした手段を民主的に管理されたもとで生産すること、新型コロナウイルスに対する薬品やワクチンの非商業ベースの研究に直接的な支援をおこなうこと。
?人々の日常生活や医療保護にとって必要不可欠ではないすべての経済活動を停止すること。
?不安定雇用労働者、臨時雇いの労働者、家事労働者、フリーランス労働者、季節労働者を含む、活動を停止した労働者の賃金について、休暇を取ったり、あとで働かなかった時間を回復したりする義務なしに、企業・国が一〇〇%の責任を負うこと。雇用主が賃金を支払うことを拒否した被雇用者の賃金を国が支払う義務をもつこと。インフォーマルな部門で働く労働者、失業手当が支給されない失業者、学生、それを必要とするあらゆる人に対して、国は保障された最低限の収入を支給しなければならない。それはまともな生活を送るのに十分でなければならない。
?あらゆる解雇を禁止すること。パンデミックが始まって以降に解雇された被雇用者を復職させること。
?ストライキ権を含む社会的権利を一時的に停止する強権的・例外的措置を拒否すること。
?活動を続けているすべての被雇用者に対して防護手段(マスク、ジェル、ゴーグル、手袋)を供給すること。安全条件が尊重されないのであれば、彼らの保護と職場から離れる権利の即時行使を認めること。
?テナントからのあらゆる立ち退きを停止すること。家賃、個人ローン、水道料金・エネルギー料金の支払いを猶予すること。倒れそうな住居に住む人々や住居のない人々に対して適切な住居を提供すること。空き家を徴発すること。
?障がいを持つ人々、高齢者、ロックダウンによって社会的に孤立したすべての人々に対して適切な公的介護を提供すること。
?とりわけ隔離が決定された国々において、暴力の犠牲者となっている女性や子どもに対してただちに緊急保護の手段を確立すること。
?証明書を持たない移民や難民全員にただちに居住許可を与えること。あらゆる社会的保護システムへのアクセスを即時保障すること。すべての追放措置を停止すること。すでにコロナウイルスが移民キャンプに入り込んでいるため、きわめて過密となっている移民・難民キャンプ(とりわけレスボス島のモリア・キャンプ)をただちに閉鎖することは絶対に必要である。それとならんで、基本的で健康的な隔離条件を持っている必要なホテルやアパートの徴発も絶対に必要である。難民の安全な入国手続きのために、ヨーロッパの各国国境を開放しなければならない。

 情勢の求めに応じて、一連の緊急決定においては、民衆諸階級の利益が中心に置かれるべきである。

?民間医療部門全体を統合して、医療部門を公的に再組織すること。近年閉鎖された病室、サービス、病院を再開して、そのサービスを運営するために必要なすべての医療労働者をただちに雇用すること。必要なすべての医療組織をオープンすること。医療労働者の賃金を引き上げること。
?製薬業を公的管理へと移行させること。必要な薬品を特許権とは無関係に生産すること。
?主要なソーシャルメディアを公的所有へと移行させること。フェイスブック、ワッツアップ、アマゾン、ズームはロックダウンから多大な利益を得ており、未来の巨大な利益を生み出すデータを収集しているからである。それらは(すでに利益を集めすぎているのだから、補償なしで)支配権を移され、利益を追求しない透明な公的サービスとして運営されるべきである。
?あらゆる国で葬祭業を公的所有に移行すること。民間企業が死から利益を得て、売り上げを最大化しようとして人々の悲しみを操作することは認められるべきではない。
?持続可能な農業と世界的な食料正義(フード・ジャスティス)を目指すこと。
?適切な産業(自動車、航空機、武器など)を社会が医療危機を乗り越えるのに役立つ生産、たとえば換気装置、モニター装置、集中治療室、防護設備などの生産へと転換すること。労働者は自らの労働現場を調査して、医療当局と協力して転換のための手段を講じることができるだろう。
?主要株主への補償なしで民間銀行を接収すること。市民管理のもとで金融システムを社会化すること。個人口座への銀行からの請求をすべて一時停止すること。当面のニーズを満たすために勤労諸階級にゼロ金利の融資を提供すること。
?ただちに公的債務の支払いを一時停止すること。それによってパンデミック期間中の人々のニーズを満たすために十分な資金を動員するのを可能にしなければならない。債務支払いの一時停止は、不当な債務を確定させそれを帳消しにするために、市民による監査と結びつけなければならない。

 残念ながら、このパンデミックとそれに続いて起こる世界的危機は、グローバリゼーションと気候変動によって繰り返し生み出される危機の始まりなのである。資本主義は、人間社会を不安定化させ破壊する世界、気候災厄や医療惨事のリスクを増大させる世界を作り出した。われわれは、利益、パンデミック、気候変動という古い世界に終止符を打ち、地球の破壊を止めなければならない。
これまで以上に、われわれの生命は奴らの利益よりも価値があるのだ。

二〇二〇年四月八日


オーストリア:ソーシャリスト・オルタナティブ(SOAL)
ベルギー:社会主義労働者党(SAP)―反資本主義左翼
イギリス:ソーシャリスト・レジスタンス
デンマーク:社会主義労働者党(SAP)
フランス:SFQI―フランス・第四インターナショナリスト
ドイツ:国際主義社会主義組織(ISO)
ギリシャ:OKDE―スパルタクス
ギリシャ:TPT(第四インターナショナル綱領的傾向)
アイルランド:ソーシャリスト・デモクラシー
イタリア:コムニア・ネットワーク
イタリア:反資本主義左翼
オランダ:SAP―グレンゼロス
ポーランド:ズビグニエフ・マルチン・コワレフスキー
ポルトガル:SPQI―第四インターナショナル活動家集団
ロシア:ロシア社会主義運動(RSD)
スペイン:アンティキャピタリスタ
スウェーデン:ソーシャリスティスク・ポリティク
スイス:社会主義のための運動(BFS/MPS)
スイス:ソリダリテ(連帯)
トルコ:ソシアリスト・デモクラシ・イジン・イエニヨル(社会主義民主主義への新たな道)

(『インターナショナル・ビューポイント』四月九日)


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