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    かけはし2020年5月4日号

生命が私たちのオルタナティブ


ラテンアメリカ

先住諸民族、アフリカ出身者、民衆組織の呼びかけ

2020年4月3日

 新型コロナウイルスが世界中で引き起こした危機は、アブヤ・ヤラ(ラテンアメリカ)の人民を岐路に立たせている。大衆組織は腐敗したシステムの最悪の表現に反対する抵抗の最前線にいる。
 われわれは、あらゆる形態の生命を脅かすかつてない危機を経験しているところだ。新型コロナウイルスがパンデミックとなったのは、資本主義の危機が激化し、経済的影響力を持つ勢力が、企業の利益率を再構成する責任を労働者階級に繰り返し負わせようとしているときである。これは、新自由主義への移行の結果として起こった医療システムの弱体化、生活条件の低下、公共部門の破壊と同時並行で起きている。外国や国際機関からの債務およびわれわれの主権に対する帝国主義による永続的な抑圧によって、われわれに課せられている窒息状態は、非常に深刻な結果をともなうシナリオへと導いている。
 ラテンアメリカでは、われわれは構造調整政策や新たな帝国主義政策の重荷を受け入れることを拒否しているし、各国人民は最近数カ月の重要な大衆的反乱の経験を持っている。そのラテンアメリカにおいて、パンデミックが、われわれの居住地域に軍隊を駐留させることを正当化し、構造調整政策と労働者階級の生活条件悪化を実行する口実となっている。同様に、この危機はもう一度、女性や性的少数者に対する男性からの暴力の野蛮さを暴露した。それととともに、極端に脆弱な条件のもとでパンデミックに直面せざるを得ない先住民族やアフリカ出身の人々への歴史的な排除をも明らかにした。
 われわれは、人民の最良の伝統において、人民、労働者、小農民、先住民族、フェミニスト、アフリカ出身者、ピケテーロ(訳注:道路封鎖をおこなう人々)、住民の組織である。こうした人々は、自らの身体や頭や心を用いて直接的反応を示すとともに、資本主義的状態に戻る代わりによりよい社会へ向かおうとする道を通じて、この危機から抜け出す方法を考えている。もしわれわれが人民として全力を尽くせば、これは可能になるだろう。われわれがこの闘いの間に維持しているコミュニティの結びつきや大衆的で地域的な団結は、わがアブヤ・ヤラの変革の地平を築く基本構造の一部となるだろう。
 住宅不足に直面して、われわれは地域を占拠し、住居を建設する。仕事不足に直面して、われわれは協同組合を組織し、工場を復旧し、閉鎖やレイオフに立ち向かう。雇用主の攻撃に直面して、われわれはよりよい労働条件のために闘う。教育の不足に直面して、われわれは学校を創る。女性と性的少数者への抑圧に直面して、大衆的フェミニズムを構築する。搾取に直面して、われわれは草の根の労働組合組織を建設し、不安定雇用に反対して闘い、まともな賃金を求めて闘う。気候危機に直面して、われわれはエコロジー的な農業を発展させる。モノカルチャーや食料独占に直面して、われわれは食料主権と自律性を保障するために、小農民による食料生産のための農業地域を打ち立てる。軍国主義、準軍国主義、麻薬密貿易に直面して、われわれは文化を対置し、平和のために闘う。われわれに死をもたらす連中に対して、われわれのオルタナティブは生命である。
 国境封鎖・分断化政策および上から提起される外国人嫌悪やネオファシズムに直面して、われわれは大陸内の連帯と人民の団結という地平に立ち戻る。
 危機を構造調整の隠蔽に利用しようとする資本家の政策に直面して、地域や生命を守るための歴史的闘いを深め、再考しよう。大衆的な共同体の力を建設しよう。

 それゆえに、われわれは以下のことを各国政府に要求し、人民に呼びかける。

1.債務よりも生命を優先すること。対外債務の支払いではなく、対外債務の全面的な調査(十分な監査)と債務帳消しを。医療と諸権利への支出を減らして、IMFや他の債権者に返済することは犯罪的である。パンデミックに対処する医療・社会保護システムが優先されなければならない。われわれは、自らの戦略的な富を回復し、ラテンアメリカから永続的に富を流出させる銀行・海外貿易への統制を取り戻さなければならない。大衆的な力の発展にもとづく経済主権政策だけが、われわれが経験し始めている世界的な経済危機を緩和することができる。
2.格差と闘うこと。金持ちや銀行・大企業の利益、資本逃避を組織する人々への超過課税。政府が市場によって促進されている格差をなくす役割を果たすこと。緊急政策への必要な投資は、労働者の賃金を減らすことによってではなく、富の集中に立ち向かうことによって、資金調達されなければならない。コロナウイルスおよびわれわれが国の無関心の中で耐えている病気、たとえば栄養失調、デング熱、シャーガス病、結核と闘うための資材を生産するために大企業の生産網を再組織すること。
3.公的医療システムを緊急に強化すること。公的医療システムへの緊急で優先的な投資。民間医療の国有化。パンデミックを封じ込めるための国の施策の強化。パンデミックは、国民皆保険制度の必要性や国によるこうしたサービスの推進・強化の必要性を再度明らかにしている。危機にとりくむために必要とされるすべての品物の生産と承認を、労働者の参加とコントロールをふまえて国が管理すること。人道的問題を解決するための研究や科学的利用を発展させ、もとからある伝統的な薬の認可を促進するために、薬品の特許制度を撤廃すること。
4.あらゆる権利を保ったままの雇用。すべての人々に対するユニバーサル・インカムの保障。解雇や一時解雇の禁止。尊厳を持って監禁生活を送るためには、労働者の権利を承認することは不可欠である。この緊急事態を不安定雇用のさらなる推進や企業閉鎖の口実とさせない。国は労働者による企業の占拠や復興を支援しなければならない。
5.社会的権利としての住居や尊厳のある生活。自己隔離は、屋根の下で、基本的サービスが保障されたもとで、健康的な地域においてのみ達成できる。住居からの立ち退きや家賃・サービスの支払いは猶予されなければならない。住宅政策は、労働者世帯のすべてにきちんとした地域での住宅へのアクセスを保障する包括的都市改革を目指さなければならない。誰もが水・灯・ガスにアクセスできること。労働者地域の改善。すべての住民が住宅・地域・コミュニティの中で飲料水・ガス・電気にアクセスできてはじめて、パンデミックに対する闘いが可能となる。空き家や家のない人をなくす。ホームレスの人々や大衆的なシェルターのために空き家を徴発すること。
6.飢えとの闘いおよび食料へのアクセスの保障。住民・食堂・共同体キッチンへの食料供給において、協同組合・共同体・家族ベースのエコロジー的農業の役割を重視し、そこへの資金供与を優先すること。経済を回復させ、供給危機を起こさない手段として、食料へのアクセスを促すことを発展させることが必要である。規制された税金を免除された価格で基本的な食料セットを保障すること。スーパーマーケットや中間業者による価格引き上げや買占めに対する制裁を要求する。小農民の負債の帳消し。耕作地の再分配。国の資金による防護システムとエコロジー的農業共同体の構築。
7.自然の商品化反対。政府や企業と結託した経済的吸血鬼によって奪われた水・ガス・油・土地のような共有財(コモン・グッズ)や戦略的富を取り戻さなければならない。先住民居住地域への十分な敬意。資源収奪的な経済モデルの再検討。自然資源の利用には、マザーアースとそこに住む人々への敬意がなければならない。
8.先住民族やアフリカ出身者、とりわけ居住地がアマゾンのように重要なエコシステムとなっている人々の居住地域の主権を保障したうえでの医療保護と人道的援助の強化。先住民族やアフリカ出身者の生活の地域的・文化的存続のために、自己統治とそのためのシステムを強化すること。先住民族の主権を侵害する追い立てや行動の禁止。
9.男性の暴力に対応した本物の政策。社会的孤立政策にともなって、ドメスティック・バイオレンスや他の形態での暴力が増加している。シスジェンダーであってもトランスジェンダーであっても、女性にとっては情報技術の利用だけでは女性に対する暴力と闘うには不十分である。それは防止され、根絶されなければならない。男性による女性への殺人(フェミサイド)やトランスジェンダーの女性に対する殺人(トランス・フェミサイド)を防ぐための予算。暴力を受けている人々のためのシェルター。サバイバーに対する特別な経済的補助。女性や性的少数者に対する雇用と教育プラン。
10.弾圧ではなくもっと多くの予防措置。多くの政府はコロナウイルスという状況を、抑圧と監視の論理を強化し、もっとも貧しい人々やコミュニティの指導者、人権擁護活動家の投獄を増やすために利用してきた。公的医療の問題として、投獄されている人々を減らすときである。先祖伝来の地域を守っており、警察当局それ自身や生命を守るための効果的なコミュニティの機関であるコミュニティ・ガードを向上させる必要もある。
11.帝国主義による政治的・経済的・軍事的介入にノーを。われわれは断固として、ヤンキー帝国主義とその同調者によるベネズエラへの軍事介入、コロンビアにおける先住民指導者・民衆指導者の絶え間ない虐殺、ボリビアとホンジュラスのクーデター政権やチリのピネラ反人民政権による残虐な弾圧、先住民居住地域や小農民居住地域における資源収奪計画などを拡大する口実として危機を利用することを拒否する。われわれは、キューバやベネズエラに対する封鎖の撤回を要求する。
12.国際的な人道的援助。われわれは政府に対してキューバや他の国からの人道的な援助を求めるように呼びかける。それらの国はパンデミックに対する闘いでの技術的経験を持っているとともに、グアヤキルやサンパウロのようなもっともパンデミックが拡散した都市における新型コロナウイルス感染症のエピデミックを封じ込めるのを助けることができるからである。
少数者の富に反対し、人民の主権のために。
生命のために! IMFのためではなく!
ラテンアメリカ人民はこんなにも闘っている。
国際的連帯を!

(訳注)この声明には、メキシコ、ホンジュラス、グアテマラ、ドミニカ、ハイチ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドル、ペルー、ボリビア、ウルグアイ、チリ、パラグアイの先住民組織や社会運動団体、NGOなどのほかに、CADTMアブヤ・ヤラをはじめとしたラテンアメリカの国際組織も署名しており、署名団体は一三〇以上にのぼる。



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