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    かけはし2020年5月18日号

資本主義の危機の中で連帯と反撃を


5.1

第91回日比谷メーデー

コロナ感染を避けて闘いの再構築めざす


大不況の到来
をも見据えて


五月一日、日本ではじめてメーデーが開催されてから一〇〇周年を迎えたこの日、第91回日比谷メーデー式典とアピール行動が東京水道橋で行われた。例年の日比谷野外音楽堂での大集会と銀座デモとは異なる形だ。理由はもちろん、特に東京で急速に広がった新型コロナウィルス感染。仲間の感染抑制、さらに医療やライフラインを支える仲間への過重負担を避ける観点から、例年の行動は自制された。
しかしすでに派遣切りや内定取り消し、さらに賃金保証のない休業や解雇まで伝えられ始めていた。それらの声に労働相談で応える活動も各地で始まっていた。確実視される大不況の到来も見据えて、まさに労働者の連帯が痛切に必要とされている。ここに向けた新しい形の闘い方の模索を含めて、その出発点として何としても異なったメーデーをつくり出そう、これが今年のメーデー行動だった。第91回日比谷メーデー実行委員会の主催による。

安倍政権打倒
のために闘う


その第一弾が全水道会館を会場とするメーデー式典。感染抑制の観点から、参加人員は各労組代表に絞られたが、午前一〇時から開催された式典はインターネットで全国にリアルタイムで動画配信された(ウェブサイト上に保存された録画の視聴も可能)。
式典は平賀雄次郎中小民間労組懇談会代表による開会宣言で始まった。そして平賀さんはまず、日本のメーデーが一〇〇周年と言いつつ第九一回であることに注意を促し、その間には権利剥奪と多大な被害と苦痛を生んだ侵略戦争による中断があったと指摘、日本がアジアに作りだした被害への思いがなければアジアとの連帯は進まない、その思いを込めて連帯に挑むことが私たちの責任だと訴えた。そして、コロナ感染の中でこそ、社会的連帯は失われないことをはっきり示そう、と力強く呼びかけた。
次いで鎌田博一国労東京地本委員長が主催者あいさつに立ち、まず緊急事態宣言が強権的であってはならないと警戒を求めつつ、医療とライフラインを支えて献身する仲間への連帯、そして雇用と休業補償を中心に生活を守る闘い、を呼びかけた。その上で、改憲に固執し、軍拡予算、辺野古米軍基地建設、原発推進などの強行を一切あらためない安倍政権を絶対許すわけにはいかない、この政権の早期退陣を実現する壮大な闘いを必ず作り出そうと訴えた。
式典には、都労連西川晋司執行委員長、第91回中央メーデー実行委員会、韓国民主労総、第91回中之島メーデー実行委員会、第30回京都地域メーデー実行委員会、福島みずほ社民党党首、5・3憲法集会実行委員会の菱山南帆子さん、村松明典東京都産業労働局長からメッセージが届いていることが紹介された。そしてその中から、コロナ収束後の社会を世界的進歩に向かわせるために日韓労働者の団結が必要と訴え、「解雇禁止、総雇用保障、社会安全網の拡大という世界的労働者の要求を日韓労働者が連帯して叫びましょう」と呼びかけた民主労総のメッセージが読み上げられ、満場の拍手で連帯が確認された。
これらを受けて、「メーデー一〇〇年の年を迎え、今一度すべての労働者の幅広い結集と万国の労働者が一層の団結を深め闘いを進めてゆくことを確認」する、とする第91回日比谷メーデー・アピールが提案され、全体の拍手で採択、団結ガンバローを唱和して式典は終了した。

新自由主義反対
掲げて街頭宣伝


次いで行動は第二弾へ。JR水道橋駅前でのアピール行動だ。この場ではすでに式典終了を待たずに、式典参加者を優に上回る労働者が、組合旗やさまざまな横断幕を広げ、距離を取って大きく広がり、命と暮らしを守る社会的連帯を今こそ広げよう、と力強いアピールを繰り広げていた。式典参加者、また式典終了時間に合わせて駆け付けた労働者を加えて、水道橋駅周辺ではこうして、労働者民衆の幅広い連帯で命と暮らしを守ろう、命をないがしろにする新自由主義路線と安倍政権を打倒しよう、との力を増した声が約一時間響いた。
異例の状況の中での急ごしらえの挑戦だった。厳しい闘いが確実に待っている中でまだまだ多くのことが必要になるだろう。新しい連帯の表現、そしてそれを力に変える創意工夫が求められている。   (神谷)

5.1

日銀本店前でメーデー集会

金融街でデモ行進貫く

国際連帯を前面に

 五月一日のメーデー。労働者の団結で権利をかちとる記念日として歴史に刻まれてきた今年のメーデーは、コロナウィルス・パンデミックの影響で、主催者である労働組合ナショナルセンターの側が集会・デモを「自粛」する状況になってしまった
 この日、東京・日本橋の日銀本店前で三月二一日以後、毎週金曜日に金融危機と労働者・市民の権利剥奪、解雇、生活苦への責任を追及してきたATTACジャパン(首都圏)が呼びかけて、労働者の団結で生活と権利を防衛し、日銀や大資本、そして安倍政権に抗議と怒りの声を! と呼びかける行動が行われた。資本主義システムの危機の中でこそ労働者は団結して資本の責任を追及し、生活と権利をみずから守る闘いをつくり出していかなければならない。

コロナ危機の
本質をあばく


一二時から始まった日銀本店前集会には、三〇人以上の労働者・市民が集まった。主催者あいさつは、この日の行動を最初に呼びかけた桑原よもぎさん。桑原さんは「私たちの求める経済とは、人間のため、自然環境を守るためだ。いま医療の崩壊といえる深刻な事態が広がっているが、それを理由に街頭での行動を控えろ、というのは危険だ」と訴えた。
次に都庁職病院支部書記長の大利英昭さんが発言。大利さんは徹夜勤務明けでかけつけ、アピールした。「コロナ患者を受け入れている病院は、『医療崩壊』状況に陥ってしまった。都立墨東病院では、新規の患者をストップせざるを得なくなっている。こうした状況下で小池東京都知事は二〇二二年に都立病院の地方独立行政法人化を行う、としている。公立病院の整理・統合・縮小を推し進めるという。健康よりも効率、おカネだというのだ。新自由主義政策で医療・福祉が削られる。そのツケを労働者が命で払わなければならないのか!」と大利さんは訴えた。

資本主義中枢
で意気高く!


茨城不安定労働者組合の加藤さんは、「五月四日に茨城反貧困メーデー」を行うと訴えた。
加藤さんは「『引きこもり』問題を『労働力』の問題としか見ないあり方はおかしい。私たちは街頭に出て何かをするということを手放してはならない」とアピール。全関東単一労組病院支部の組合員で、松戸病院で働く仲間は、「医療の中心がコロナウィルス問題に直面する中で、『私たちのための医療』が問われている。危険にさらされているのは医療労働者だけではない。PCR検査が追い付かないのは誰の責任か」と訴えた。そしてこの日の午後三時からの松戸地区メーデーの呼びかけを行った。
「カトリック『働く青年の家』」からのメッセージが紹介された後、働く若者グループJOCから「どんな状況においても出勤せざるをえない現実」を訴える発言。
稲葉奈々子さん(上智大教員)は移住労働者の人たちの貧困対策プロジェクトについて語った。「すべての人たちに一人10万円を支給と言っているが、それは住民基本台帳に記録がある人のことで非正規滞在の外国人は資格外となる。テレワークを支える人は日本人だけではない。最初に感染問題の対象となったダイアモンド・プリンセス号の乗組員にはフィリピン人もいた。しかしそれは話題にならなかった」と稲葉さんは語った。
さらに大学非常勤講師の堀江ゆきさんなども発言した。そして「MAYDAY2020 日銀前メーデー宣言」(別掲)を採択した。
集会後、日銀前から日本の金融センターをかすめるデモを行い、グローバル資本主義の危機の深まりを撃ち、国際連帯に貫かれたオルタナティブな社会・経済をめざす意気込みを込めたアピールを行った(K)

MAYDAY2020
日銀前メーデー宣言

 私たちは2020年5月1日、「コロナショック」と呼ばれるようになったこの状況下において、「日銀前メーデー」を決行する。
今年は1890年の第1回国際メーデーから130年の年であり、また国内の労働団体によるメーデーが、1920年に初めて行われてから100年目でもある。

WHOのパンデミック(感染症の世界的大流行)宣言によって、それまでにも顕在化していた経済危機が「パンデミック恐慌」として、私たちの前に立ち現れている。
パンデミックはギリシャ語のパン(すべての)デモス(人々)が語源だ。パンデミック恐慌は、すべての人々、とりわけ不安定雇用や脆弱な社会基盤に依拠して生活せざるを得ないすべての人々に影響を与えている。

安倍首相は五輪延期の発表を行った3月24日の後、26日に「経済をV字回復させるため、思い切った強大な経済政策を大胆に練り上げて」いくと発言。その後落ち込んだ消費を促進するための「お肉券」「お魚券」といった商品券配布案の検討、二枚のマスク配布などを経るが、5月の今なお全住民一人一人に対する生活保障はなされていない。
人々への補償が遅れる一方で、日本銀行のパンデミック恐慌対策、金融機関や大企業の救済、金融市場の維持を目的とした資金供給の増加などの金融緩和策は3月はじめから行われ、4月27日の金融政策決定会合ではついに無制限の国債購入にも踏み切った。医療や福祉の切り捨てを進め、「経済成長」ばかりを追い続ける新自由主義経済を反省することもなく、これまで通りのシステムを救済するために。
さらにこのコロナ危機の最中に小池百合子東京都政は都立病院の削減(民営化=独法化)のための予算を議会で可決した。健康と命でもっとカネ儲けができるようにすることが目的だ。惨事便乗型資本主義(ショック・ドクトリン)の典型と言える。
株式市場や新自由主義の金融市場を通して人々の生活を救済するということは絶対できない。

カネは公的医療や公衆衛生の充実のため、それを維持するインフラ従事者、医療従事者の命と生活を最大限守るため、「自粛要請」による失業・休業、命を守る休業を余儀なくされる人々の生活のために。また、非常事態において一層孤立が深刻になる、普段から社会の中で抑圧されている人々に特に目を向けて使われるべきだ。

気候変動の危機を訴えるグレタ・トゥンベリさんの毎週金曜日の学校ストライキはFFF(Friday For Future=未来のための金曜)と呼ばれている。私たちもグレタさんに倣い、FFFF(Fridays For Fair Financial=公正な金融のための金曜日)を呼びかけ、毎週金曜日に日銀前で抗議を行ってきた。
個々の人間を犠牲にすることを是とする金融もそうだが、自然環境、気候を犠牲にし続けている金融というものも、また許すわけにはいかない。我々は人間だけが存在する社会に生きてはいない。自然環境、野生生物、そして我々人間にとって病原体となりうる様々なウイルスも普段から社会の中にあるものの一つだ。
ウイルスが人々にとって深刻な危機の引き金になるという脆弱なシステムから抜け出さなくてはならない。


危機を引き起こした張本人であるキャピタリストの責任を追及しよう。コロナは危機のきっかけにすぎない。
パンデミック恐慌下のメーデーの日。世界のオルタグローバリゼーション運動も様々な制限のなかで、怒りと連帯の声をあげている。新自由主義の社会変革に抗するパン(すべての)デモス(人々)の目指す社会のため、行動しよう。
物理的距離を取りながら、社会的距離を奪われてはいけない。
人々を分断しようとする切り捨て政策や排外主義に抗議し、連帯を取り戻そう!

 



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