もどる

    かけはし2020年6月1日号

財閥体制社会清算のために大衆運動を


経済危機 我々は犠牲を拒否する

ペク・ジョンソン(組織・闘争連帯委員長)

恐慌が来る

 サブプライムローン問題が触発した2008年の恐慌は量的緩和という非伝統的政策手段を介して縫合された。量的緩和(米国の中央銀行であるFRBの債券買い入れ、すなわち通貨供給)で、2008年に9000億ドル余り実施し、FRBの資産は2016年に4兆5千億ドルに急増した。言い換えると、FRBが刷った3兆6千億ドルが金融市場に流れ込み危機を縫合したのである。
 国家主導の危機縫合で恐慌の本来的機能、すなわち「過剰資本の清算」は行われなかった。2兆ドル規模に、FRB保有資産を縮小する(つまり、中央銀行保有債券を売却して通貨量を吸収する)2017年、FRBの計画も行き詰った。構造調整を乗り越えて景気を回復させるどころか、保護貿易主義の拡大に起因する世界経済の成長率の鈍化と米国経済の減速懸念が大きくなったからだ。2020年には、コロナ19が触発した危機に対して、FRBは無制限量的緩和を再宣言し、その結果、FRB保有資産は2020年4月8日現在、6兆ドル以上に膨張した。10兆ドル以上に膨張するのも時間の問題と思われる。
 3月の株式市場の暴落を短期で穏やかにさせたものの、危機はまだ始まったばかりだ。米国の3月第4週の新規失業保険申請件数は665万件で、史上最高値を記録した。従来の最高記録である66万5千件(2009年3月)を圧倒的に超える数値であり、1週間前の328万3千件の2倍に増えた数値だ。2週間だけで雇用が1千万件、3週間で1700万件消えた。
 韓国も同じだ。立ちどころに産業生産が急減している。3月31日、統計庁が発表した「2月の産業活動動向」によると、産業生産は前月比3・5%減少した。マイナス3・7%を記録した2011年2月以来の最大値だ。関連する産業の多い自動車生産が27・8%急減するなど、鉱工業生産は前月比で3・8%減少し、2008年12月(マイナス10・5%)以来、最大の減少幅を記録した。サービス業の生産も3・5%減少して2000年の集計以来、最も大きく減少した。航空旅客業(マイナス42・2%)、鉄道輸送(マイナス34・8% )、旅行業(マイナス45・6% )などをはじめ、宿泊・飲食店業の生産が18・1%、運輸・倉庫は9・1%減少した。
 失業も急増している。雇用労働部推算の新規失業給付申請者は、19万1千人で、これは2009年に関連統計を作成して以来の最高値だ。航空産業を筆頭に始まった希望退職も自動車産業など製造業に拡大している。学校非正規職など、事実上失業状態に置かれた労働者も急増している。再び恐慌が来ている。すでに資本は全面的な労働権抑圧と搾取の強化に乗り出している。

危機に策動する財閥体制

 3月23日経済人総連は「経済活力の向上と雇用・労働市場の先進化」のための40の要求を発表した。経総の要求は、財閥体制強化のためのすべての要求を網羅する。今こそ低賃金・長時間・非正規・無労組労働体制を強化する時だいというように、終わりのない労働改悪を注文している。
まず、経総はより容易な解雇と、より多くの非正規職、より多くの労働時間とより低い賃金を強要する。一般解雇制の導入、派遣業種の全面拡大と期間制使用期間の延長、不法派遣刑事罰の廃止、職務級制の導入、就業規則の不利益変更要件の緩和、弾力勤労制の拡大と特別延長勤労許可事由の拡大などがそれである。
第二に、労働三権無力化を目論んでいる。事業所での争議行為の禁止、代替勤労許可、不当労働行為の刑事処罰条項の削除、ロックアウトの合法化などで、最小限の労働権さえ剥奪しようとしている。これは「労組をなくす権利」を法制化するように要求しているようなものだ。
第三に、働いて死なない権利さえ踏みつけようとする。元請の安全保健措置義務の大幅縮小、行政義務違反処罰の緩和、新規化学物質の登録基準の緩和などが経総の要求である。より多くの利益のためなら、労働者は、消耗品に過ぎないと言っているようなものだ。
第四に、存在自体が罪である総帥一家の支配体制を永遠に維持しようとしている。総帥一家の支配体制強化のための差等議決権制度(最大株主や経営陣が保有する株式については、実際の保有株式よりも多くの議決権を付与すること)の導入と相続税の引き下げを注文している。さらに、特定経済犯罪加重処罰法違反で有罪判決を受けた経営者の就業制限を緩和し、商法上の特別背任罪の適用緩和まで注文している。国政独占の主犯イ・ジェヨンのように不法承継のための背任横領を犯しても、継続して経営権を掌握するという注文に過ぎない。

資本が強要する犠牲を拒否しよう

 コロナ19が触発した危機を機に、資本は労働者民衆に、より多くの犠牲を強要する。1998年のIMF救済金融時期でそうしたし、2008年の金融危機局面でもそうしたし、今も同じだ。そのすべての経済危機は、資本には救済金融を投入する理由となったが、労働者には解雇と賃金削減を強要する口実になった。去る3月24日、政府が発表した100兆ウォンの支援対策も、「企業救護緊急資金」という名前で示すよう経営支援金と金融市場の安定基金などの企業支援対策だけ列挙しているだけで、労働者民衆のための対策は、含まれていない。
経営難に陥ったトゥサン重工業に1兆6千億ウォンの資金を支援しながらも(満期到来債権6億千ウォンの融資の切り替えと、1兆ウォンを直接支援)、労働者の解雇の禁止をはじめとすることには、いかなる制約条件もつけなかった。結局、政府は、資本の損害を税金で埋めながらも、労働者民衆に対しては集会禁止など全体主義的統制を強化しているだけだ。就任後イ・ジェヨンとの面談だけでも9回、財閥体制と並んで立っているのがムン・ジェイン政府の現実だ。
労働者民衆への攻撃も本格化している。労働者民衆は解雇禁止と総雇用の維持、賃金カット禁止など当面する要求を掲げるのはもちろんのこと、社会の根本的改造を目標にしなければならない。1998年にも、2008年にも、これを成り立たせることができなかった結果が今日の韓国社会であるということを自覚しなければならない。コロナ19が触発した危機的状況に立ち向かう大衆運動が必要である。このような運動がなければ、現在の危機は再び労働者民衆の犠牲を通じた資本の利潤回復に帰結するだけだ。利益のための生産を社会的必要性のための生産に転換するための大衆運動として進めよう。

犯罪財閥に全面拒絶を!
財閥社会化のための大衆運動を始めよう
危機を迎えて、社会変革労働者党は次の運動を広げたい

 まず、「犯罪財閥の民衆仮差し押さえ運動」で財閥という巨大生産手段がもはや「総帥一家」という犯罪集団の支配下にあってはいけないという意識を拡大することである。変革党は資本が築いた利益、さらに資本そのものが労働者民衆に対する犯罪的搾取と収奪の結果なのだという意識を拡大することで、これを通して、総帥一家の支配体制の清算と労働者民衆主導の生産制御のための大衆運動を拡大することだ。その開始が4月23日(木)19時、サムスン瑞草(ソチョ)社屋前「サムスン財閥民衆仮差し押さえのための変革党集会」だ。これをはじめに民衆共同行動など各単位で連帯闘争と一緒に「サムスンをはじめとする財閥の本当の主人は、労働者民衆」であることを大衆的に宣言することである。

 第二に、「殺人財閥に全面拒絶運動」で利益のための企業殺人を暴露して糾弾する一方、重大災害企業処罰法発議運動を職場と地域で拡大することだ。4月22日、殺人財閥告発記者会見を始めに「重大災害企業処罰法制定連帯」、「危険の外注化を禁止対策委」などと一緒に利益のための殺人を大衆の力で厳しく処断する運動、労働者を犠牲にして得られた利益を社会に返還する闘争を繰り広げることである。

 第三に、5月末?6月初め、「財閥体制清算大行進」で、最低賃金闘争の局面で財閥社会化運動を拡大することである。5月初め、ソウルはもちろん、各地域での社内留保金発表記者会見を通して財閥の利益蓄積の実態を明らかにし、各地域の拠点財閥の労働弾圧の実態など主要犯罪を暴露するプロセスを介して「財閥体制清算民衆立法」発議者を大衆的に組織することである。
激突の幕が上がった。体制が強要するすべての犠牲を拒否し、社会を根本的に再編成するための闘いに乗り出そう。

(社会変革労働者党、「変革と政治」104号)

朝鮮半島通信

▲国政介入事件で収賄罪などに問われた韓国前大統領の朴槿恵氏の差し戻し審が5月20日、ソウル高裁で結審した。
▲韓国警察は5月20日、ソウル市内に設置された慰安婦問題を象徴する少女像を傷つけた男を逮捕した。
▲5月20日の労働新聞は、『「縮地法」の秘訣』と題する記事を掲載した。記事は「遊撃隊がその場にはあるように偽装」など、金正恩朝鮮労働党委員長の従来とは異なる抗日武装闘争当時の縮地法の解釈を紹介した。
▲韓国法務省は5月23日、外国人の出入国の管理について、韓国に長期滞在する外国人が、一度、出国し再入国する際には、新型コロナウイルスに関する症状についての診断書の提出を求めるなど新たな措置を発表した。

コラム

コロナとメディア

 新型ウイルスの感染拡大と安倍政権の対応をめぐる、テレビメディアの報道、特に各局のワイドショーの内容がひどい。
 価格が暴騰し客同士の暴力沙汰まで引き起こした「マスク不足」。やがてティッシュやトイレットペーパーまでもが店頭から消えた。キャスターは「品薄はデマです。買占めせずに冷静な行動を」などと呼びかける一方で、消費者の声や空の陳列棚の映像を繰り返し垂れ流した。まさにマッチポンプである。
 スタジオに画面越しに登場する「専門家」は、内閣の一挙一動に穏便な解説を加え、発言を受けるレギュラーは散漫なまとめで、明確な結論を避ける。冗長なコメントで時間を浪費したあげくに閑話休題。気象予報で幕を閉じる。「外出自粛」でストレスをためる視聴者の、「ガス抜き」にすらならない中身である。最後に司会者が真顔の説教で締めくくる。
 政府の御用学者一行は安倍の顔色をうかがいながら、深刻でも楽観でもない態度でやり過ごす。凄惨な外国の動画が茶の間の恐怖を煽り、ルールを守って営業している店に「自粛警察」が押しかけた。
 人々のストレスと苛立ちは、あろうことか懸命に治療にあたる医師や看護師、医療関係者とその家族にも向かった。慢性的な人手不足を抱える高齢者介護の現場は、感染防止のため家族の面会禁止を続けるしかなかった。
 番組はやがて、自宅でいかに快適に過ごすか、運動不足をいかに解消するかというハウツー物に移行した。芸能人著名人が歯の浮くようなメッセージを連発し、「欲しがりません、勝つまでは」的な精神主義が押し出された。
 大企業社員のテレワークが進む一方で、生き残りをかけた下請け中小零細企業は、説明が曖昧で申請が複雑な政府の給付金を当てにせず、旧態依然の営業活動を継続している。生産現場は消毒液一本を与えられ、より神経質な労働を強いられている。商店主・自営業者の倒産や廃業、それによる解雇やレイオフが増大した。
 支持率の低下を恐れる安倍政権と、その動きを無責任に代弁するメディアの連携は、労働者人民にとって最悪である。われわれには彼らの無策を糾弾するとともに、感染症と社会の歴史について、一から学習することが求められる。マスクはウイルスを完全に防げないこと。うがいや手洗いや消毒が何より重要なこと。環境衛生を推進することなどである。
 体調不良を訴える人に初期検査を無条件で行ない、感染者を安全に隔離し、症状に応じて入院治療を施し、患者の生活を保障するよう要求すること。むき出しの差別・排外主義と闘い、傲岸不遜、厚顔無恥の火事場泥棒たる自公改憲政権を追撃し、打倒すること。人民の命と健康を守るには、やはりこれしかないのだ。      (隆)



もどる

Back