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    かけはし2020年6月8日号

安倍政権任せこそ最大のリスク


景気対策・企業の救済ではなく

命のために無制限の財政支出を

「緊急事態宣言」弄ぶ安倍政権許さない

緩み? 緩んでいるのは安倍だ

 安倍政権は新型コロナウイルス感染への対応に遅れ、一連の珍奇な政策によって混乱を拡大し、失態を取り繕うために四月七日に唐突に「緊急事態宣言」を発令し、五月二五日に「世界的にも極めて厳しいレベルの解除基準を全国的にクリアした」として「緊急事態宣言」を解除した。
 五月二五日の記者会見で安倍は「私たちの身の回りにウイルスは確実に存在している。再び気を緩め、ウイルスへの警戒、感染予防を怠った途端、一気に感染が広がる。……二度目の緊急事態宣言発令もあり得る」と述べた。
 しかし、気が緩んでいるのは安倍自身である。日本では幸い、ヨーロッパや米国のような爆発的感染拡大が現時点では回避されているが、これは緊急事態宣言の効果でも何でもない。安倍政権の失策にも関わらず、医療現場をはじめとする労働者の頑張り、人々や企業・商店等が公衆衛生に関わる基本的な注意を実行し、「三密」回避のために自主的な努力を進めたこと、そしてさまざまな偶然的要素(文化と生活習慣、免疫力、遺伝的要因など)の組み合わせによるものと考えるべきだろう。われわれは依然としてグローバルなパンデミックの渦中にあるのであり、収拾の見通しが立っていないどころか、米国や南米では依然として拡大中である。アフリカ、南アジアの戦争や内戦、レイシズムの影響を受けている国や、世界各地の難民キャンプなど、実態不明の地域も少なくない。ウイルスが進化している可能性もあり、わかっていないことが多い。しかも気候危機や環境危機、格差拡大による社会の分裂、パンデミックの中でも続いている戦争や経済封鎖、難民危機との複合的なパンデミックが危惧される(現に始まっている!)。
 感染症の専門家の間でも、必ず第二波・第三波があり、治療法が開発されるか集団免疫に達す(ウイルスとの共生)までは感染の速度を抑制し、死者を増やさないようにしながら時間稼ぎをするしかないというのが共通の認識になっているように思われる。
 感染数の比較に一喜一憂して緊急事態宣言を弄んでいるような政権、いまだにオリンピックの開催やインバウンド観光頼みの経済成長を妄想しているような政権に自分や親しい人たちの命を託すことこそ最大のリスクである。

グローバルな対策阻むものは?

 武漢での感染の収拾と入れ替わるように感染の中心地となったヨーロッパと米国では、二カ月に及ぶ「ロックダウン」を経て、各国政府が「ロックダウン」解除・経済活動再開を急いでいる。
「ウイルスで死ぬか経済の停滞のために死ぬか」という強迫的な、あるいは自暴自棄的な二者択一が語られているが、これは罠である。われわれはどちらも拒否することができる。
二カ月に及ぶ「ロックダウン」は、この緊急事態を生き抜くために必要な経済活動が何なのかをあらためて教えてくれた。それは医療であり、ケアであり、食料や日用品の生産と流通であり、水光熱などの公共サービスである。その多くはこの数十年の新自由主義的経済政策によって無残なまでに切り刻まれ、不安定な雇用や低賃金での長時間労働によって維持されてきた。感染拡大の中で、この部門の多くの労働者が犠牲になった。「自己犠牲的」などと讃えてはならない。多くは労働者の安全を顧みない経営者の犠牲になったのだ。まずこの分野でまともな労働条件を整備し、必要な人員を雇用するべきであり、そのために財源を投入するべきである。
長期にわたるロックダウンで困窮する人々の命は、国家が一律に基本所得を保証することで最大限守ることができる。緊急事態だけでなく、これを一律基本所得(UBI)として制度化すれば、人々は感染が疑われるときは安心して休むことができ、重症化や爆発的感染の予防ともなる。
そうなれば「ウイルスで死ぬ」ことを選ばなくても「経済の停滞のために死ぬ」心配はない。アプリによる監視(各国政府が感染防止の切り札として導入しようとしており、活動家の間でも肯定的な意見が少なくないが、その危険性について十分な議論がなされているとは思えない)を拙速に受け入れる必要もない。
「ウイルス対策か経済か」という偽りの選択を迫ることで各国の政府が守ろうとしているのは人々の命ではなく、国家の威信と企業の利益である。
コロナウイルスに対する米国政府の対応は、それ自体がウイルス以上の脅威である。トランプの関心は一一月の大統領選挙での再選戦略だけであり、そのために中国をターゲットとした好戦的な政策を連発している。しかも「ウイルスはデマだ」と言い放ち、民主党知事の州政権に対してロックダウン解除を要求する右翼徒党の武装デモを擁護し、州政権の打倒を叫んでいる始末である。さらに、イラン、ベネズエラなどの「反米」政権への経済制裁や政府転覆工作を継続することによって、また中南米からの移住者を追い返すことによって多くの人々を生命の危機にさらしている。WHOへの攻撃と離脱の脅しは世界帝国としての米国の没落の新しい段階を示している。
中国政府も、この危機の中で東南アジアにおいて軍事的緊張を高める行動を取り、また、香港の自治に対する新たな攻撃を行っている。
新型コロナウイルスの感染の全容を理解し、適切な対策を講じる上で国際的な協力が不可欠であるが、現実にはこうした国家間の対立とグローバル企業の知的財産権が治療法の開発を阻害している。
この点で模範を示してきたのはキューバ政府である。アフリカへの医療支援の経験と実績をベースに、今回の新型コロナウイルス感染においても、いち早く国内の感染を抑え、各国に医療スタッフを派遣している。トランプの米国の威信への固執がキューバの優れたワクチン開発能力の活用を妨げているのは悲劇である。

「事業規模234兆円の対策」?


「緊急事態宣言解除」の発表のタイミングを待ちかねて、安倍は「事業規模一一七兆円」の第二次補正予算案を閣議決定した。四月の緊急対策と合わせて「事業規模」は二三四兆円に達し、国内総生産(GDP)の四割超、「世界最大の対策で一〇〇年に一度の危機から日本経済を守り抜く」。これが黒川スキャンダルで致命的なダメージを受けた安倍の起死回生のパフォーマンスである。さあ、これから企業への本格的なバラマキが始まる。
とはいえ、これは「二三
四兆円は財源を心配しなくても支出できる」という宣言でもある。どうせ自分のカネではなく税金なのだから、その使い道についてはわれわれで考えよう。
基本的な観点は前項で述べた。それに加えて、この間の経験を教訓化し、次に備えるために、企業への支援では最低限次のことを基準にするべきだ。
@この一〇年間(リーマン危機以降)に内部留保を増やした企業や、内部留保だけで持ちこたえられる企業は一切の救済を遠慮してもらおう。
Aタックスヘイブンを利用している、ないし資産や利益の少なくない部分を海外に移転している企業への救済を禁止しても誰も反対しないだろう。
B救済を求める企業には今年度および来年度に役員報酬・株主配当を行わないという確約を求めよう。
安倍政権が優先事項に設定している観光産業や航空関連産業については、慎重な議論が必要である。グローバル化に伴う人の移動、特に観光や航空機の利用は感染の爆発的拡大の大きな要因になった。これらの産業の成長はすでに過剰になっており、観光地の住民の生活を脅かし、文化的価値を毀損している。しかも優先的に支援してもパンデミック下でこれらの産業が元のレベルに回復することはない。
したがって、観光企業全体を救済するのではなく、事業継続が困難な小規模事業者と、雇用先の倒産や廃業によって失職する労働者を救済することが優先されるべきであり、地元に根差していない観光企業については地元業者の事業を圧迫しない程度に縮小するべきである。
航空産業も規制緩和以前の水準に戻し、格安航空を規制するべきだろう。そのために国有化・公有化やクリーンな産業への転換の支援、公共セクターでの雇用の確保、一時的な基本所得制度の導入などの措置を組み合わせることも検討されるべきだ。
「一〇〇年に一度の危機」だからこそ、平時では非現実的と思われるような大胆な要求や提案について議論が活性化される必要がある。
繰り返しになるが、次の危機が訪れた時、いまだにオリンピック開催が頭から離れないような権力者に再び自分や親しい人たちの命を託すことは最大のリスクである。
(小林秀史、五月二九日)

呼びかけ

三里塚 6.28東峰現地行動

追悼 石井紀子さん

飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港「第3滑走路」反対! 安倍政権打倒!反原発―再稼働やめろ! 沖縄・辺野古新基地建設反対!


命を軽視する安倍政権打倒!

 安倍自公政権は新型コロナウィルスの感染拡大に対して非常事態宣言を発して強力な権限を行使している。しかし、そもそもここまで感染が拡大したのは安倍政権のコロナ対策の遅れとデタラメさに原因があるのだ。
何よりも最優先しなければならなかった命をどう守るか、という問題をなおざりにして、オリンピックを開催するため全力を傾けた。許されないことは、この事態を利用して安倍の改憲―その中軸をなす緊急事態条項を成立させようと目論んでいることだ。
労働者・人民にとって安倍政権を打倒することは一刻の猶予もならない。全力で安倍を引きずり降ろさなければならない。
成田空港は新型コロナの世界的蔓延の影響で航空機の発着回数が大きく減少したとして、四月一二日から二本ある滑走路のうちの一本(B滑走路)を閉鎖した。成田国際空港会社は「回復までは相当程度の期間を要すると見込まれる」としている。感染症の流行によって滑走路の運用を止めるのは一九七八年の開港以来初めてである。
国交省―空港会社は空港機能の拡大と称して第3滑走路の建設と飛行時間の延長をセットにして打ち出した。
現行飛行時間でも騒音被害に苦しむ騒音地区住民、そして新たな騒音直下で被害を受けることになる地域住民は反発し、各地で反対の声を上げ、意志表示を行った。しかし、国交省・空港会社・千葉県・周辺自治体からなる四者協議会は反対する住民の意志を踏みにじって、地元振興策という金のばらまきにからめ取られ、計画に同意していった。

人権・環境破壊の成田空港機能拡大反対!

 国、資本の利益追求のために住民の生活、健康、環境を破壊してでも計画を推進するという構造がここでも再び繰り返されているのだ。
国土交通省は昨年一二月二四日、「公聴会」を開催し、賛成、反対双方の意見を聞くというアリバイ的な手続きを行った。それを受けて今年一月、航空法に基づき施設変更を許可した。空港会社は二〇二九年三月末の完成を目指し、用地買収に着手するとしている。
住民の生活を破壊して、資本の利潤を追求する第3滑走路建設、飛行時間延長計画を断じて許すことはできない。
用地内農民、騒音被害地区住民と連帯し、計画に反対して闘い抜こう!
二〇二〇・四・二〇

★ 石井紀子さんは、三月一一日午後六時四七分頃、成田市新田路上、軽トラックでご自宅に帰られる途中、軽乗用車と衝突する交通事故で急逝されました。
6・28東峰現地行動は、石井さんのご冥福をお祈りし、遺志を引き継いでいくことを確認していきたいと思います。

?日時:六月二八日(日)正午


?場所:旧東峰共同出荷場跡/集会後、開拓道路に向けてデモ


?デモ終了後、現地調査(第3滑走路計画予定地など)/共催・三里塚大地共有運動の会

?会場への行き方/京成東成田駅地上 11時00分集合 迎えの車待機/9:13発 京成上野特急 →10:22着 成田 乗り換え→10:32発 京成成田 →東成田10:37着


?主催:三里塚空港に反対する連絡会
連絡先:千葉県山武郡芝山町香山新田90―5/電話:FAX0479―78―8101

紹介

一般社団法人
三里塚大地共有運動の会ニュース第6号

特集/追悼 石井紀子さん

 一般社団法人三里塚大地共有運動の会ニュース第6号は「追悼 石井紀子さん」特集で、寄せられた追悼文が掲載されている。
 冒頭は、山口幸夫さん(一般社団法人三里塚大地共有運動の会・代表理事)の追悼文(本紙2610号掲載)。
 続いて、柳川秀夫さん(三里塚芝山連合空港反対同盟 代表世話人)は、反対同盟の歌の「土にうまれ、土に生きる」に触れながら、「三里塚の歴史は土を切り離しては何も語れない」と闘いの意義を再確認する。
 そのうえで「紀子さんも本人が知らぬうちにこの世から去ることになってしまった。それも仕方のないことだ。
 土にうまれ土に生きる、それは土と同調することであり、紀子さんはそういった生きざまを見つけて歩んだのだろう。
 土にうまれ、土に生き、先に去った人達の魂と共にあれ」と結び、新たな決意を表明する。
 加瀬 勉さん(元三里塚大地共有委員会〈U〉)は、「紀子さんの『死してなお胸中に在り火の柱』の意志は私の命の中に生き続けることとなった」と無念な現実を直視しつつも、「三里塚において、自然は破壊され田畑の黒々とした大地はコンクリートの下に埋もれ、空は騒音地獄、地上も地底も安楽場所は三里塚には存在しない。
 『泥土放光農魂不滅』生者、死者共に叫び合って闘い続けよう」とアピールする。
 さらに追悼文は、平野靖識さん(らっきょう工場)の「追悼 石井紀子さんの思い出」、鈴木弘子さん(田んぼくらぶ)が「紀子さん的「芋くらぶ」のわたしたち」、片岡万里子さん(労活評)の「女性解放へ、共に前進を」、高見圭司さん(スペース21)が「石井紀子さんを悼む」を掲載している。いずれもありし日の紀子さんの姿を思い出しつつ、遺志を引き継ぐために歩んでいこうとあらためてかみしめる。
 また、ニュースは、「移転登記した共有者から」のコーナーもある。
 事務局からは、「法人への登記変更の進捗状況」を報告。会は、二〇一八年一〇月に設立され、全国一三〇人以上の共有者・遺族から調査票・同意書の協力をえられている。二〇一九年は一八人、二〇二〇年四月は一一人分の登記変更を終了している。奮闘にもかかわらず必要書類の取り寄せ等によって当初計画よりも遅れているようだ。事務局は、「登記変更のためのカンパ、住所変更によってニュースが届いていない共有者との連絡を求めています」と訴えている。ニュースが必要な読者は事務局に連絡をとろう。入会もよろしく!(Y)

■連絡先/〒151―0061 東京都渋谷区初台1―50―4―103 一般社団法人三里塚大地共有運動の会 /電話 03―3372―9408 /FAX 03―3372―9402 /メールアドレス kyoyu@sanrizuka.net ■ブログ:https://kyouyu-undou-no-kai.blogspot.com/


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