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    かけはし2020年6月8日号

債務帳消し「自由貿易」協定破棄


債務帳消し

北アフリカおよび中東/アラブ地域の人民、諸組織、ネットワークの呼びかけ

世銀、IMF、WTOとの決別を

 

自由、尊厳、社会的公正今こそ

 コロナパンデミックとその厳しい結果に取り組むためには、帝国主義による民衆支配のツール、つまり債務漬けと「自由貿易」協定、との決別が必要だ。
 コロナウイルスパンデミックが引き起こした世界的な衛生危機を考慮するとき、北アフリカと中東/アラブ地域の民衆は今、大きな厳しい試練に直面する最中にある。前者は、資本主義が人類と自然に加えた破壊の深さを暴き出した。支配階級は、労働者階級(その広い意味での)、さらに小規模生産者を犠牲にして、大企業と銀行にとっての利潤を保証しようと努め続けている。これらのことが、生産の車輪を動かし、搾取の最悪の条件において民衆の命を危険にさらしている、そうした前線で見出されている。
 隔離の要請は、何十年にもわたる新自由主義諸政策により空洞化されたこととして、まともな公共衛生部門の欠如からの人々の苦しみを強めている。特に女性が、職場であろうが家の中であろうが、この例外的情勢の矢面に立っている。
 この間、帝国主義の意志決定センターによってわれわれの国にある政治システムと政府の共謀と一体になってわれわれに押しつけられてきた、新植民地主義、依存性、そして不平等な交換条件に反対する民衆的諸闘争の経験の、四〇年以上にわたる蓄積が重ねられてきた。それが大衆的革命運動の形態で爆発した。
 その最初は、チュニジア、エジプト、イエメン、リビア、シリアの革命(二〇一〇年末から二〇一一年はじめ)で始まり、第二の局面がスーダン、アルジェリア、レバノン、イラクの革命(二〇一八年末から二〇一九年はじめ)だ。街頭と広場の大衆は、抑圧と専制から自由になるとの彼らの意志を表し、彼らは自由と社会的公正を求めた。
 労働者、女性、若者、被抑圧民族とマイノリティからなる抵抗グループのネットワーク、組織、運動としてのわれわれは、この革命運動の諸要求をあくまで固持し、その達成のために力を尽くす。われわれは、反革命をやり遂げわれわれの民主主義への熱望を根絶するために、コロナウイルスが利用されるのを許すつもりはない。また、貧困や失業を全般化し、社会的不平等の全体的枠組みを確定する、そうした新自由主義の緊縮諸方策継続を受け入れるつもりもない。
 現在の事態の総体的な連なりは、かつて以上に、また極めて差し迫った形で、わが民衆が長きにわたって要求してきた諸価値である、自由、尊厳、社会的公正、からなる一つの社会に基礎を据えるための協力と集団的思考を強める必要を際立たせている。

公的債務帳消しのための決起を


 公的債務は、われわれの富を略奪し、わが民衆を世界的な帝国主義システムに従わせる一つのシステムになっている。債務関連諸費用は毎年、われわれの国の社会財源を吸い取っている。公共衛生支出は、世界保健機構(WHO)が設定した最低レベルよりも相当に低くなっている。
 コロナパンデミックと社会的・経済的な危機の深まりに立ち向かうために必要な財政的流動性を提供する上では、公的債務返済を止めることが必要だ。同様に公共サービス私有化のあらゆる形態が停止されなければならない。優先度は、公的衛生部門を発展させること、そして無料で良質な保健・医療ケアシステムを発展させることに与えられなければならない。
 一九八〇年代早期に引き続いて起きた、債務危機と構造調整の諸計画以来、対外債務帳消しを求める要求は常に、民衆の諸要求に含まれてきた。チュニジアとエジプトは、革命が打倒した独裁者によって契約された悪どい債務を帳消しにする運動を起こした。先頃のレバノン民衆運動の中でも、債務返済を止め、民衆にとっての社会的保護、食料保護、また医療的保護を含んだ一つの計画を制定することを求めるイニシアチブが、諸々登場した。世界的レベルでのコロナ危機を背景に、諸国の公的債務返済取り止め、というグローバルサウスからの要求が高まった。
 したがってわれわれは、われわれの国の債務返済に関し、一方的で主権に基づく一時停止を強いるために、われわれの地域レベルで動員を続けなければならない。われわれの国は、コロナ爆発に対抗する諸条件を欠いているために、人道的破局で脅かされているのだ。
 返済停止によって解放される資金に対しては、民衆的統制も確立されなければならない。それはまずはじめに、医療の必要とコロナ危機によりもっとも脅かされている諸グループに対する支援、に支出されなければならない。
 返済一時停止は、公的債務監査の仕組みを確立することと組にされなければならない。その仕組みは、これらの債務の正統性がなく、悪どく不法な部分、を識別することに市民の多数が関与することを可能にすると思われるようなものになるべきであり、そして問題ある債務は、帳消しにされ、全体的に無効にされなければならない。
 解放された財源は、経済的、社会的、また環境保全の方策を実行するために割り当てられるだろう。そしてそれらの方策はそれを支える土台を、労働者階級、小規模生産者、全体としての周辺化されたグループの基礎的必要から引きだす。
 公的債務帳消しは不可避的に、世界銀行やIMFと決別する必要を伴うだろう。これら二つの機関は、帝国主義主要国とイスラエルのシオニストに自らの行動ををそろえつつ、わが地域で諸々の独裁体制を支えてきた。その目的こそ、革命運動を抑え込むことであり、こうしてこの二機関は、世界的に多国籍企業と主要な金融投機家に奉仕するよう、債務漬けを深め、わが経済を順応させ続けてきた。専制のくびきからのわが民衆の解放は、帝国主義者の決定策定センターからの上に見た決裂を生み出さない限り、完全にはならないだろう。

私的金融廃止し銀行の社会化へ


 公的債務は、労働者階級と民衆諸層多数の社会的条件を悪化させること、および彼らの低い年収、を犠牲として返済されている。次いでこの状況が彼らを、銀行、住宅金融、消費者金融、マイクロクレジットの諸機関から高利率で借り入れるよう強いている。コロナパンデミックの爆発が悪化させた経済危機という脈絡の中では、失業が高まり、生活費や医療費や教育費をまかなうこれらのグループの困難も強まるだろう。骨を折って働いている農民のような小規模生産者は彼ら自身の存在を脅かす貧困化という厳しい進展を生き抜いているが、彼らの債務漬けも悪化するだろう。
 こうして、さまざまな債務返済停止を求めること、あらゆる略奪形態と金融部門の諸機関が押しつけている不公正な諸条件を調査するための民衆的なキャンペーンを組織すること、そしてこれらの借り入れ返済を帳消しにするために正統性がなく不法な根拠を徹底的に調べること、が必要になっている。

 社会的かつ環境的な優先度を強調する限り、金融資本のための利潤を高める利子つき借り入れを勧めるよりもむしろ、利子のない公的な借り入れシステムを設立することが決定的だ。次いでこれは、銀行部門の社会化、つまり銀行大株主のいかなる補償もない没収、およびそれを民衆的統制下に置かれる公的部門に結合すること、を当然にも仮定する。
社会化には国有化をはるかに超える急進的な内容がある。国有化は、国家による高価格での大資本家株式買い取りに限定される可能性があるのだ。活動的な諸グループが銀行支配の打倒、寡頭支配の打倒、腐敗高官の糾弾、そして社会的公正に基づく経済の建設を要求した際に、先頃のレバノン民衆運動で強く反対を受けたものこそ、先の急進的な内容なのだ。

新版包括的「自由貿易」協定ノー


「自由貿易」協定は、わが民衆に押しつけられた新植民地主義の協定だ。それらは、世界の投機的市場からの食料輸入へのわれわれの依存を高めて、依存性と貿易赤字を深め、生産活動、生計、永続性のある雇用機会を破壊している。これらの協定は、有利な経済部門や保健や医療を含む公共サービスへの多国籍企業と当該国大資本の支配的優位性を全般化し、知的財産権と特許に関わる法を通して彼らの権利保護に保険をかけた。
自由貿易協定のいわゆる新世代は、経済的、社会的、文化的、環境的領域のあらゆる領域を含んでいる。その例が、モロッコやチュニジアにおける「深化した包括的自由貿易協定」(DCFTA、フランス語ではALECA)だ。そしてこの両国は今なお、差し迫った署名を阻止しようとのいくつかの決起に遭遇中だ。こうして「自由貿易」の諸協定は公的債務と並んで、われわれの諸国に対する帝国主義支配のツールになっている。
それらは廃止されなければならず、われわれは、民衆の必要に対応し、平等、公正、相互補完性を基礎とする貿易協力、をめぐるオルタナティブを前進させなければならない。これらのオルタナティブは、北と南の小規模で現地化された交換の水路に優位性を与え、生産者と消費者間の直接的関係を強化するだろう。これを達成するためには、食料主権を中心に置き、民主主義と連帯を基礎とした自立的現地産業経済の構築を必要とする。したがって、WTOを含む世界資本の諸機構との決裂を強化することが必要になる。

まとめ

 この呼びかけの署名者であり、わが地域の民主主義、自由、社会的公正を求める民衆蜂起の成果を支持しているわれわれは、以下を要求する。
▼公的債務返済の一方的かつ主権による停止、そして公衆衛生に対する、またコロナ危機で脅かされている脆弱なグループを支える資金の割り当て。
▼公的債務の正統性がなく悪どく違法な要素を確定するための公的債務市民監査、およびその帳消しの強要。
▼貧困な家族、小規模生産者、小農、日雇い労働者による私的債務返済の停止、および銀行、住宅金融機関、消費者金融機関、マイクロクレジット機関に反対する諸行動の組織化。
▼私的な借り入れ契約の中で金融部門の諸機関が押しつけている不公正な条件と略奪のあらゆる形態の検証、およびその帳消しのために違法かつ不法な根拠に光を当てること。
▼「自由貿易」協定とチュニジアとモロッコにおけるDCFTAの取り止め。
▼世界資本の三つ揃い、つまり世界銀行、IMF、WTOとの決裂を。

 われわれは次のことも要求する。
▼わが国々の債務を地域レベルで監査する大規模な民衆委員会の設立。この委員会には、市民団体、労組、諸々の市民ネットワーク、進歩的政党、若者、女性、失業者、などが含まれる。
▼チュニジアにおけるDCFTAを拒否するキャンペーンへの支持、そしてそれに地域的意味を与えよう。
▼自由貿易協定の植民地主義的内容および債務のメカニズムを通したわが民衆の富の略奪を糾弾するための、目標と時間表で統一した、強力な地域的キャンペーンの組織化。
▼債務と「自由貿易」協定に反対する闘争を拡大する目的で、論争を深め経験を交換するために、コロナ危機収束後に北アフリカと中東で開催される民衆フォーラムの組織化。
(以下に、チュニジア、モロッコ、エジプト、イラク、アルジェリア、モーリタニア、スーダン、レバノン、の四三組織が呼びかけ団体として署名)(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年五月号)

フランス

アンソニー・スミスに支援を

労働査察官業務の独立性守れ

労働省労組横断委員会

 Covid―19の関連で防護策を導入するようある企業に求めたことで一時職務停止にされたアンソニー・スミスを支持して、労働省職員一〇五二人が彼らの公共サービスの重要性を再確認した。彼らは、この懲戒手続きの撤回、および彼らの独立性の尊重を要求している。つまり「われわれは労働査察が破壊されるのを許すつもりはない」と。
 今年四月一五日、マルヌ県(パリ南東部:訳者)の労働査察官であるわれわれの同僚、アンソニー・スミスが、彼の労働査察調査実行との関連で、懲戒手続き開始をめざす即刻の効果を伴う形で、彼の職務から外された。
 彼の過ちとは何か? それは、Covid―19感染拡大との関連で、スタッフ代表からの訴えの後、ホームヘルプ部門の一企業に防護策を実施するよう求めたこと、そして雇用法で規定されたこととして、略式の法的手続きを始めたことだ。換言すれば、正規の条規を適用し、雇用査察に関してILO81号条約が規定する被雇用者防護という彼の使命を満たすことで、彼の仕事を行ったことだ。
 それは、雇用省および労働査察中央当局の好みではない使命だ。それらの当局は現在、この制度の麻痺を故意に仕掛けている最中なのだ。
 労働査察官は、職場への抜き打ち査察実行を禁じられ続けている。これらの取り締まりは、職制上部からの優先的権限行使、また企業との事前接触、が条件になっている。権限を与えられた取り締まりは、政府に必要要件を報告することに限定されている。彼らは、経済活動遂行のための要件と諸々の指令を政府に伝達する役割に限定されている。彼らの仕事を自立的に行おうとする者はあまりにしばしば上役から圧力を受けている。
 われわれの同僚の件では、当地の彼の管理者と雇用主間の信じ難いような談合という手間暇をかけて、さらに彼の調査を無視するよう部局長から勧告され、進行中の懲戒手続きについてはわが同僚自身より前に知らされて、これが行われたのだ! そして同時にあきれ果てたことにわれわれは、これがわれわれが確保している独立性を無視するという、マルヌ県議会議長からの政治的要求への応えだった、ということを知ることになった。
 この一時業務停止は不当であり、われわれに懸念を呼び起こしている。それは、当該省庁の危機状態を最高にしている。
 われわれは、雇用省職員としてもうたくさんだと言う!
 われわれはアンソニー・スミスを支え、彼に関する懲戒手続きを遅滞なく撤回すること、そして彼の復職を要求する。
 われわれは、労働省が事実上労働査察を切り離すことを許すこと、判事の監督の下に仮の略式方策を使ってその職務を行っているにすぎない係員を制裁し、あるいはその者に圧力をかけること、を拒否する。
 われわれは、ILO81号条約に規定されたものとしての全体においてわれわれの被雇用者保護の使命すべてを確実にするため、保護手段を今求めている。われわれは、労働査察が破壊されるままにするつもりはない。この国が通過中の医療危機は、査察官の発見に対し与えられるべき追跡調査の選択に関して、査察の独立性を攻撃する一手段であってはならない。またそれは、査察官の仕事を妨げる口実として利用されてもならない。査察官たちは日々、彼らができる最善を尽くして、公共サービスという彼らの使命を遂行しようと努めているのだ。(以下に一〇五二人の同僚が署名、労働省CGT、SUD、FSU、FO、CNT労組横断委員会呼びかけ) 


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