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    かけはし2020年6月8日号

性平等社会に!


女性差別・暴力・嫌悪を超えて

チ・ス(社会運動委員会女性事業チーム)


差別を受ける女性労働

 女性は、資本主義と家父長制が相互結合した構造の下、抑圧と差別を受けている。資本主義の性別労働分業構造は、女性の労働を「副次的」労働に転落させて差別を正当化し、賃金労働と家事労働の二重苦を維持させて、様々な形で、女性の差別を再生産している。
その結果、女性の職はほとんど低賃金・非正規職だ。多くの女性が家事・補助の延長線にある職に雇用された。彼女たちの労働は「単純労働」とみなされ、その結果は、最低賃金である。
女性の職はいつも危うかった。採用と昇進では排除され、差別は当たり前になった。経済危機を口実に「(既婚)女性優先解雇」が当然のことのように行われた。出産を経験した女性の労働は経験、教育の程度、熟練度のすべてが無視されたまま平均賃金の半分以下に低く評価された。いわゆる「家事」として貶められる家庭内での女性の労働は価値評価すらされなかった。

国の政策に統制される女性

 社会の再生産の責任を負うべき国家はその責任を無視して女性に押し付けたり、資本の利潤追求の領域に転落させた。2017年基準で、社会福祉施設6万カ所のうち、民間事業が72・5%を占め、特に民間委託保育園は99・8%、民間在宅療養機関は99・1%にのぼる。「現金支援」政策と市場化の方針は、保育をはじめとする社会の再生産の国家責任を回避して、結局民間市場だけ育てる方向で進められた。
それだけでなく、国は「人口政策」と「経済論理」を動員し、女性を道具化した。人口が急増して問題になった時は強制中絶と避妊で女性の体を統制するし、今少子化時代が到来するや「中絶の取り締まり」で、また、女性の体を統制する。国家は、異性愛中心の家族を強要して、婚姻外の女性の妊娠・出産の権利を剥奪している。労働力が足りないときは、女性を労働市場に送り出し、(資本の立場から)過剰とされれば、女性を再び家に追い出す。このように、女性は体と労働の両方を国家(社会)のために統制されている。

「二重の性規範」の強要と性的暴力の痛みに置かれた女性

 資本主義の下で家父長制は社会の性規範として「異性愛中心制度」と「常識的な家族イデオロギー」を前面に出して、女性の性的権利を統制し、排除する。未婚女性の性生活は「乱れている」とののしられ、特に同性の家族は、犯罪視された。「常識的な家族イデオロギー」は、女性・性少数者・人種などの問題と絡んで差別と排除の連鎖を作った。
特に女性にだけ強要されている「二重的性規範」は、性暴力の被害者である女性にだけ責任を問い、加害者らに免罪符を与えた。捜査と裁判の過程で「抵抗が不可能」だとするか、「著しく困難」だとするレベルの「暴行または脅迫」があったことを立証できれば強姦罪を成立させることができ、被害者が必死に抵抗したことを自ら立証しなければ、被害さえ認められなかった。
働く女性が出くわす性規範と性暴力も相変わらずだ。女性にだけ強要される感情労働、日常化されているセクハラなどは、女性の継続した抵抗にもかかわらず、簡単に消えてはいない。このために女性は性的暴力に起因する苦痛から抜け出せずにおり、さらに各種デジタル性犯罪事件で明らかなように、女性に対する暴力は、より残忍で巧妙に拡大している。

市民権が消えた女性

 女性の貧困を量産する一方、女性の性を対象化して搾取する社会システムは、女性を「性産業搾取の被害者」に転落させている。特に性売買流入女性の91%が18歳以下ということは、性産業の土台が経済的に最も脆弱な女性に基づいていることを物語っている。
働いても貧しい女性の生活を解決しないまま、女性を性的対象として道具化させる社会イデオロギーと文化が消えないまま成り立つ性産業への規制は何の効果も発揮できずにいる。むしろ、女性に対する暴力と排除を正当化するだけである。性売買女性は社会の構成員として享受できる市民権すら剥奪されたまま「厳然と存在するが、存在してはならない人」として規定されて排除される。

 「女性に対する差別と暴力が消える性平等社会」を実現するためには、社会変革労働者党は、次のように提案する。

提案1 制約と差別なく女性労働権を保証する社会を作っていく

 まず、女性と男性の間の賃金と雇用差別を撤廃する。これは性別分業による差別を超えて、女性労働の価値を認めて、真の平等を実現するための最小限の措置だ。第二に、性的な差を口実に女性労働権を制約しない労働環境を実現する。女性と男性の区別なく出産や育児休職などを拡大することで、出産するかどうかにかかわらず、欠かす所なく完全で、平等に労働する権利を保障する。第三に、低賃金・非正規職女性の職を「生活賃金と雇用の安定が保証される職」に変える大々的な運動と法制度改善を推進する。

提案2 再生産労働の価値を認めて家事・ケア労働の社会化を拡大する

 女性は、生産領域で賃金労働をするとともに、家族・生活の領域である再生産空間でも労働(家事、ケア、感情的労働など)をしている。賃金労働をしていない女性は、生殖労働をすべて個人の責任で抱えたまま生きている。
これを解決するためにまず、家事・ケア領域の社会化をさらに拡大することにより、家事・ケア労働が女性の責任ではなく、国(社会)の責任だという点を明確にする。第二に、家事・ケア労働をしている女性の労働に対してしっかりとした価値の認識を実現する。そのために、現在市場化されている家事・ケア労働者に対する国家の責任雇用、労働権保障と賃金引き上げを実現する。第三に、再生産労働の価値認識のための運動を本格化する。

提案3 差別のない再生産権は誰もが保障されるべき権利だ

 女性の「再生産の権利」は、自らの体に対する自己決定権、出産と性についての平等な権利、子育てに対する公的責任を要求し、支援を受ける権利だ。これを実現するために、まず、すべての女性の妊娠・出産と妊娠停止の権利を保障し、そのための避妊権と医療利用権を実現する。第二に、性の位相化、性的指向と性アイデンティティを理由にした差別と排除を取り除いていき、誰もが相互に合意と尊重がなされた性的権利を享受できるように社会を変えていく。

提案4 すべての性暴力を根絶し、加害者中心の性認識と司法体系を根本的に改革する

 社会全般に蔓延した性差別的構造が性暴行が発生する権力構造を生んだという点で、性差別構造全体を変革しなければならない。このような観点に基づいて第一に、「暴力と脅迫」を条件とした強姦罪成立要件を「同意」の可否に変える強姦罪改正を実現する。第二に、加害者中心の性認識と司法体系を、被害者(女性)の観点からの性認識とそれに基づく法体系に変えさせる。第三に、学校と職場などで、女性だけに強制されている性的役割をなくしていき、構成員を対象にした教育と議論の拡大を義務化する。

提案5 「異性愛中心の常識的な家族イデオロギー」を超えて、多様な家族形態と家族構成権を保証する

 異性愛中心の常識的な、家族イデオロギーとこれを裏付ける制度は性別位階化と女性に対する抑圧と搾取、多様な形で構成された家族への差別と排除を正当化する。これを克服するために、多様な家族構成の権利を保障し、様々な家族のためにすべての法制度的差別を撤廃する。

提案6 性売買女性に対する非犯罪化と権利保障を始め、性売買の根本的解決をめざす

 資本主義体制の撤廃なくして、性売買は消えない。女性と男性の間の平等な性的権利を保障していない限り、性売買は消えない。このような観点から第一に、性売買女性を法を犯した者として規定する現行の法・制度を改革する。第二に、性売買女性の医療権を保障して、暴力から保護できるような制度的装置を用意する。第三に、性産業事業主に対する強力な規制法案を用意する。第四に、性売買廃絶をめざして売買問題を根本的に解決するために、当事者といっしょに社会的議論を組織していく。(社会変革労働者党「変革と政治」第105号)

4・15総選挙、民主党圧勝と進歩政党の失敗

「社会主義政治が必要な理由」

チャン・ヒェギョン(政策委員長)

 21代総選挙は与党圧勝に終わった。民主党は選挙区だけで163議席を得て、すでに過半数を越え、ここに比例衛星政党である、市民党の17議席まで加えて、180議席を得た。全体議席の5分の3を占めるスーパー与党が誕生したのだ。一方、未来統合党は選挙地盤である嶺南(慶尚南・北道)を除くほとんどの地域で惨敗して選挙区84議席と衛星政党である韓国党の14議席を合わせて103議席しか得られなかった。大統領選候補であるファン・ギョアン、ナ・ギョンウォン、オ・セフンもすべて落選した。
 残りの政党の成績は良くない。選挙区で民生党は1議席も得られず、正義党は1議席(シム・サンジョン候補)にとどまった。比例投票では、正義党4議席(9・6%)と国民の党3席(6・7%)のほか、民生党、民衆党、労働党すべて最低得票率3%を超えなかった。その結果、20代総選挙の後に形成された多党制は両党構図に回帰した。また、当選結果だけを見ると、地域主義が再現された。

スーパー与党の誕生―両党構図の強化、原因は?

 民主党が圧勝した原因は、二つある。一つは、コロナ19が及ぼした影響である。他の国と比較されるコロナ19防疫対応による、民主党の「国政安定」の基調が統合党が掲げた「政権審判 - 牽制論」を無力化した。実際の選挙直前の世論調査の結果、ムン・ジェイン政府の支持率は59%で、1年半ぶりに60%に迫り、肯定的評価者の54%が「コロナの取り組みをよくやった」を理由に挙げた。外信も「コロナ19が与党に大勝をもたらした」と評価した。
第二は、統合党の無能である。統合党は、パク・クネ弾劾以降いかなる反省も革新も示さなかった。極右勢力の包容、さかんな色(反共・反北)論争攻勢、反動的公約などで、結局、多くの大衆は「野党審判」を選択した。「与党も問題だが、野党はもっと問題」だと判断した。
結果的に両党構図は強化された。コロナ19情勢の中で、「国政安定論」と「政権牽制論」が、両党支持で収れんされたのである。これは少数政党が独自的なビジョンと活動を示さなかったからでもある。民生党は「政権協力」と「イ・ナギョン湖南大統領」論を説いていたし、国民の党はアン・チョルス効果があった一方、両党の中間で、独自的なビジョンを提示していなかった。進歩政党運動勢力も同じだ。みみっちいやり方の衛星比例政党の効果も確認することができる。衛星政党がなければ、正義党は10議席、国民の党は7議席を得たと推定される。一方、結果的に統合党は4議席、民主党は11議席を得た。

進歩政治の躍進の失敗が示す?

 今回の総選挙で進歩政党は、躍進に失敗した。特に「嶺南進歩ベルト(いわゆる労働者政治1番地)」で敗北した。昌原城山(正義党ヨングク候補)と蔚山東区(民衆党キム・ジョンフン候補)でそれぞれ当選したのは民主党と統合党候補になった。過去の選挙とは異なり、両地域で民主党との候補一本化に失敗したが、注目すべき点は、これが「民主党の拒否」のためだったという事実だ。これは前回の20代総選挙で「嶺南進歩ベルト」の進歩政党候補の当選が「民主大連合」を当てにしたものであって労働者政治(進歩政治)の独自の実力で勝ち取ったことがなかったことを物語っている。
また、進歩政党躍進の失敗は、ムン・ジェイン政府発足以後、正義党と民衆党が見せてくれた政治的態度の結果でもある。両党は、現政府の最大のアキレス腱だったチョ・グク事態当時親与党の歩みを進めた。これらの情勢認識は過去の独裁政権時期の「保守vs民主」という対立構図の21世紀バージョンである「保守vs汎進歩改革勢力」という構図に縛られている。
進歩政党政治路線は依然として議会主義を抜け出せなかった。実際に正義党は、自身を「民主党政権の改革を左から主導する勢力」と規定し、核心的競争相手を統合党に設定した。民衆党も緑の党とともに、議会進出のために民主党の比例代表衛星政党に参与しようとしたが、民主党の反対で参与が霧散されるというハプニングまで起った。進歩政治が議会主義路線と「民主大連合」を反省し、克服するのではなく、むしろ今は民主党が進歩政党を見向きもしない状況が演出されたのである。選挙法改正の責任当事者である正義党は、少数政党内の既得権政党(?)らしい姿を見せてくれた。比例候補当選封鎖条項3%規定の現行維持に同意したからだ。

展望と課題

 21代総選挙で民主党は支配勢力内の主流分派に上りつめた。韓国政界の主流が保守勢力から自由主義勢力に完全に交換されたとまで言うことは難しくても、保守勢力が新しい戦列を整備しなければ、このすう勢は持続する余地が大きい。民主党は4つの権力(政府、国会、司法、地方政府)を掌握して、自身の政治を完全に試みることができたが、今は野党のせいにすることもできなくなった。
ところが、民主党に改革を期待するのは「骨折り損をしたウサギ」になるということだ。総選挙圧勝の後、市民党ウ・フィジョン代表が「国家保安法撤廃も可能ではないか」とフェイスブックに書き込みを上げてすぐに、民主党の代表団は、直ちに取り締まりに入った。執権以降、民主党の親資本―反労働の歩みが統合党の足を引っ張るためではなかったという点で、今回の総選挙の結果、民主党が親労働に旋回するものと期待することはできない。既にコロナ19終息で、政府は民生より資本に10倍を超える金を与えている。
過去の政権と同様に、われわれが何もしなければ、政府の「コロナ19経済危機克服」は、結局「損失の社会化―利益の私有化」に帰結する。しかし、自由主義勢力が政治地形の形成を主導する中で、正義党と民衆党は、民主党と真っ向勝負する独自の政治を広げていない。まさにそうだからこそ、総選挙が終わった今だからこそ、社会主義政治の勢力化が必要である。自由主義政治と正面対決する反資本――社会主義政治、議会主義政治と民主党の2中隊を拒否する真の進歩政治、政権と資本の危機転嫁に立ち向かう闘争の政治が必要だ。

(社会変革労働者党「変革と政治」第105号)

 

朝鮮半島通信

▲5月24日の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党中央軍事委員会の第7期第4次拡大会議が開催され、金正恩党委員長が参加した。
▲朝鮮人民軍が3日に非武装地帯の韓国側施設を銃撃、韓国軍が警告射撃を行った問題で、国連軍司令部は5月26日、南北双方とも休戦協定に違反したとの調査結果を発表した。
▲韓国日産は5月28日、今年12月末付で韓国市場から日産およびインフィニティブランドを撤退させることを発表した。
▲韓国産業通商資源部は5月28日、日本製空気圧バルブを巡る反ダンピング関税について、WTO判定に基づく勧告を全て履行したことを日本などに通知したと発表した。


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