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    かけはし2020年6月8日号

あらゆることがかかっている


フランス

ミネアポリスからパリまで

ドニ・ゴダール

 以下は、フランス政府のデモ禁止令を押しのけて実現された、未公認移民の正規化を求めた五月三〇日のデモの報告。その決意に満ちた行動がフランス民衆に闘いの再開に向け大きな刺激を与えたことを伝えている。それを示すように六月二日には、米国の警官によるアフリカ系米国人殺害に抗議する大デモがフランスでも同じくデモ禁止令を無視して行われたが、このデモは同時に、二〇一六年に起きたフランスでの憲兵隊による移民の子弟殺害に抗議する行動でもあった。(「かけはし」編集部)
 五月三〇日は転換点になった、と言うのはもちろん早過ぎる。しかしそこに諸々の成分はある。この日朝方、フランス北部のモブージェの通りを、ルノーでの業務カットと工場閉鎖の脅しの公表に反対して、数千人が行進した。そして午後パリでは、数千人の未公認移民が、彼らの正規化を求めてデモを行う権利を力づくで行使した。
 パリでは、公衆衛生の危機を口実にデモが禁止されてきた。しかし、未公認移民グループの圧力の下で、「連帯の行進」がこの禁令を無視すると決めた。

警察は人々に
圧倒された


 政府は、デモ阻止のためにさまざまな方策が取られるだろう、と警告した。そしてそれらの方策は問答無用に使われた。たとえば、警察により交通遮断されたパリ西部の二つの広場(マドレーヌ寺院とオペラ座)における最初に到着した者たちの逮捕、それにもかかわらず広場での行進を試みたグループへの突進と警棒を使った殴打、催涙ガスの大量使用、などだ。しかし警察は持ちこたえることができなかった。彼らが圧倒されたからだ。
 何よりもまず数で圧倒された。諸グループと行進がマドレーヌにもオペラにもあらゆるところから到着し、戦線の数を増やし、デモ隊を追い払おうと交通を遮断した警察をそこここで押し戻したからだ。加えて、パリの別の端にあるモントルーから出た一〇〇〇人の未公認移民と支持者の行進は、地下鉄を使うことができなかったため、デモが呼びかけられた広場に着こうと全市横断を決めた。警察の一部は彼らを阻止するために、急遽持ち場を離れなければならなかった。これらの警察部隊は、デモ参加者の決意にぶつかり、オペラ座とマドレーヌ寺院の街区に戻ることができなかった。
 彼らはまた、未公認移民の決意にも圧倒された。その隊列は、警察の一度や二度の攻撃でその場を離れるというよりもむしろ、集会場に達しようと挑み、急襲を再開するために、警察が撤退を迫られるまで再結集したからだ。こうして数千人の未公認移民と支持者が結集した。オペラ座を解放した後次の番がマドレーヌ寺院だった。そして、デモが予告通りに行われたこと、またパリを貫く紛れもない人間の波が生じたこと、をソーシャルネットワークを通して知った人々が加わって、巨大な行進が形作られた。

パリ以外でも
行動いくつも


 デモは禁止されてきたが、それは行われた。そして、移動する権利に対するあらゆる障壁の象徴であり、抑圧と搾取に面する前線にいる移民は、自由を求める闘争の先進的な先端になった。彼らは、二ヵ月以上のロックダウンの後、あらゆるリスクを引き受けながら、ルノーの労働者と並んで戦闘の道をあらためて開いた。
 これこそ疑いなく、左翼の者をも含んでほとんどの者が実現を信じなかったこのデモに、前例のない反応があった理由だ。もちろんメディアの報道、およびファシストと右翼全体からの怒りにかられた反応は、そこには猛烈にレイシズム的内容があったが、社会の全員にとっての諸課題を明確に示している。
 しかしまた、未公認移民の決意を示したこのデモが希望を与えたあらゆる人々からの、熱を帯びた反応もあった。「連帯の行進」ブログ上の、新聞発表に応答するコメントの一つが、その傾向を示している。「あなた方は知らないかもしれないが、しかしわれわれの画面の前では、首都に姿を見せることができないわれわれの多くが叫び声を上げていた。われわれはそれゆえそのあなた方を誇りに思っている」と。諸々のビデオ映像があらゆるソーシャルネットワーク上で拡散され続けている。
 集会とデモはまた、警察の圧力をはねのけて国中の多くの都市でも実現した。たとえば、リヨン、レンヌ、ルーアン、リール、ストラスブール、リモージュ、グルノーブル、ポワチエ、ニーム、ペルピニャン、オレルアン、ルアーヴル、などでの一〇〇人から四〇〇人のデモだ。しかしまたブリュッセルやボローニャでも行動があった。
 これからの数週間、新たな集会が行われるだろう。問題はデモの権利という一つだけではなく、未公認移民全員の正規化獲得、全員への助け、拘留センターの閉鎖でもあるからだ。そしてここで賭けられているものは、ミネアポリス同様、全体としての社会にとって決定的だ。
 そしてそれはまた、労組と共闘組織が呼びかけている六月一六日の病院に関する全国行動日にとっては、一つの跳躍台でもある。五月三〇日のこのデモに向けられたポスターには、「公衆衛生=平等+自由+連帯」とあった。
 五月三〇日が転換点であったかどうかは、来る日々がわれわれに語るだろう。これを実現するために今あらゆることが行われなければならない。次の世界は今ここからだ!

▼筆者はフランス反資本主義新党(NPA)の活動家。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年六月号)

香港

国家安全法上程のニュース

迎えたのは大規模抗議行動

區龍宇


 五月二四日午後一時、数千人の抗議行動参加者が銅鑼湾に集まった。それは再び、オンラインの匿名の人々により呼びかけられた。ちゃんとした組織者は一人もいなかった。それ以上にこれは非合法な行進だった。しかしそれにもかかわらず、数千人が街頭にやってきた。
 この種の光景は昨年、反送中法運動の中で数多くの回数起きた。しかし二〇〇二年の中国の新年以後この五カ月私は、こうしたことを一度も見なかった。
 キャリー・ラム政権は、今回のパンデミックの始まりを持って、ロックダウン法を課し、八人を超える公開集会を禁じた。
 しかしながら、北京が先のような法を香港に押しつけようとしているというニュースは、多くの人々、特に若者に怒りをもたらした。そして本日、彼らは抗議にやってきたのだ。
 警察は最初、何人かを逮捕することで人々が集まるのを阻止しようと試みた。しかしそれは失敗だった。
 午後一時過ぎしばらく、数千人の抗議行動参加者が主要な街頭を占拠した。彼らは主に若者だった。われわれの小さなグループも抗議のためにそこに加わった。しかし警察はすぐ、群集がさらに大きくなるのを止めようと催涙ガス弾発砲に出た。
 われわれ全員は走り、脇の通りに撤退した。抗議の人々はすぐに他の地域に広がり、そこで一時街頭を占拠した。香港島のにぎやかな商業地域では、一種の猫とネズミのゲームが何度も何度も繰り返された。結果的に一二〇人が逮捕された。この逮捕にもかかわらず、抗議参加者がこの日の終わりに満足感を覚えていたことを私は知っている。「あなたの禁令とあなたの悪法をわれわれは無視し続ける」と。
 家に戻り私の日記に取りかかったとき私は、一本のビデオがフェースブック上で信じられないような勢いでシェアされているのに気付いた。これは、一人の警官がコンビニ店のドアを大急ぎで駆け抜け、水のボトルを掴み、その直後支払いもせずに立ち去ったことを写していた。多くの人々が、「払え」あるいは「彼を逮捕しろ」の意見を付けてこの警官をあざ笑った。
 警察はこの後、彼らがこの警官に成り代わって店主に支払を終えた、と語る声明を投稿した。私は、警察が恥ずかしい思いをさせられたことに喜びを感じている。(二〇二〇年五月二四日)(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年六月号)

インド

LGポリマーの大産業災害への声明

安全無視の多国籍企業ノー

5月8日 ラディカル・ソーシャリスト


許可得ず操業し
住民に重大被害


 ラジカル・ソーシャリストは、今年五月七日の、ヴィシャーカパトナム(ベンガル湾に面する港湾都市:訳者)におけるLGポリマーの化学工場からスチレンガスが漏れた事故による、六歳の少女を含む一一人の死、および一〇〇〇人以上の人々が影響を受けたこと、に大きな警告を受けた。
 今も約三五〇人が入院している。このガス漏れ事故は、半径約三キロメートル以上の地域に直接影響を及ぼした。この半径内の少なくとも五つの村が深刻な汚染を受けた。専門家によれば、スチレンには神経毒性があり、それを吸い込めば動けなくなり、その後一〇分で死にいたる。
 問題の化学工場は、二一三エーカーの地域を占めるヴィシャーカパトナム市の人口集中地区にあった。はじめはヒンズースタン・ポリマーの名前だったこの会社は、一九九七年に韓国多国籍企業のLG化学に引き継がれた。それは、輸入されたスチレンからポリスチレンとそこからの派生ポリスチレンを製造し、原料プラスチックをエンジニヤリングプラスチック(工業製品用に特別な品質を付加したプラスチック:訳者)に再処理している。
 二〇一八年一月、汚染管理局はLGポリマーに、一定の追加費用で日量四一五トンから六五五トンまで生産を拡大する環境上の許可を与えた。これらには、双方とも製造に危険な薬剤を使用する、ポリスチレンと派生ポリスチレンが含まれている。この許可は二〇二一年一二月まで有効と見られている。
 しかしながらその後二〇一九年五月、州レベル環境影響評価局(SEIAA)は、LGポリマーはそこからの有効な環境許可命令を受けずに操業していた、と指摘した。この機関が述べたところでは、二〇〇六年の環境影響評価通報に沿ったスケジュールで進めることを基礎とした石油化学に関する許可を、この会社は全く得ていない。

モディ政権の
危険性は鮮明


ロックダウンの第一局面が四月一四日に終わった後CoviD19ロックダウンの余波の中で、この企業はまた、それは「不可欠の」工業であると主張して、操業許可を何とか得ることができた。この韓国企業は、Covid19ロックダウンの第一局面がちょうど終わった後に、「異議不在証明」も得ることができた。
LGポリマーのようなプラスチック製造事業が「不可欠」とは、どんなに想像をたくましくしようが、そのような類型化は不可能だ。これは明確に、政府高官との談合の中で起きた。環境許可をめぐる諸問題、またロックダウンをめぐるその後のできごとは、これが不慮の事故と呼ばれてはならず、利潤最大化のためにあらゆる安全基準を逃れた企業による、犯罪的な過失になるということを明確にしている。その上、進行中のパンデミックと組になったこのような産業災害は、はるかに広がる危険な結末になる可能性があるのだ。
ラディカル・ソーシャリストはまた、すべての社会主義者、労働者階級、環境意識のある人々、またその組織に、モディ政権が二〇一四年から、環境的に健全な政策をひっくり返すことに傾倒してきたということを理解するよう、強調し促したい。この政権は、権力の集中や労働法の逆転のような課題と共に、発展/経済復活を名目に、環境破壊的政策を強要するために、現在の危機を利用している最中なのだ。LGポリマー災害は、インド資本主義とモディ体制をこの問題で全く信用してはならず、継続的な抵抗のみがあらゆる前向きな発展を確実にできる、といういわば警告だ。

ラディカル・ソーシャリストは以下のことを要求する。
▼LGポリマー経営者は、犯罪的な過失と環境基準および安全基準無視を理由に逮捕されなければならない。
▼企業と談合し、環境基準と安全基準を緩めた高官たちは、警察の記録に残されなければならない。
▼化学物質と有害な物質を扱う工場を再開する前には、あらゆる安全警戒策がとられなければならない。▼この災害の犠牲者すべては十分に補償されなければならない。
▼現地の環境、大気、地下水資源は除染され、清浄化されなければならない。
▼工業における安全基準侵犯は、犯罪的な攻撃と認められなければならない。
▼こうした汚染産業から環境親和的産業に移行する努力が払われなければならない。

▼ラディカル・ソーシャリストは、インドの急進左翼組織であり、第四インターナショナルのパーマネントオブザーバー組織。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年五月号)

 



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