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    かけはし2020年6月22日号

急進主義フェミニズムが見せてくれた実践と矛盾


「社会主義・フェミニズム」の連載

チ・ス(社会運動委員会女性事業チーム)

 「変革政治」は、今後、「社会主義・フェミニズム」の連載を通じて、これまでのフェミニズム運動の軌跡を振り返って、今、私たちにどのようなフェミニズムが必要なのか、またどのような課題を通じた実践が必要なのか考察していく。

 女性嫌悪に基づいた女性殺害、Me Too運動をきっかけに全面可視化された性暴力、違法撮影デジタル性犯罪とN部屋の性搾取映像…。この間、女性たちが経験してきた不安と恐怖の実体が明らかになりながら、フェミニズムは今女性生存のための武器として浮上した。女性は、女性に対する抑圧と搾取を説明するために、1960〜70年代にアメリカで登場した「急進主義フェミニズム」を再召喚した。

 これまで韓国でセックス・ジェンダー・セクシュアリティの問題は、全面化したり、大衆運動として位置づけていなかった。そうするうちに、最近登場したTERF(トランスジェンダー排除的フェミニズム)を「急進主義フェミニズム一般」と同一視する間違いも出てきた。しかし、この間違いは、1968革命の機運の中で、女性の抑圧の根源を根こそぎ引っ繰り返す実践に苦悩し、女性の性的権利と性的リスクをめぐるさまざまな議論や実験の場として機能していた急進主義フェミニズム運動の意義を正しく評価していないからだ。
1960〜70年代のアメリカを中心に急進主義フェミニズムが出現した背景には、フランスの1968革命の影響を受けた「性革命」と「急進主義」の伝統、そして運動陣営の男性中心性に対する批判的問題意識があった。当時、米国では人種差別と不平等を批判し、新左派運動と市民権運動・反戦運動が急浮上したが、その中で性差別主義があらわれ、左派組織内の女性と女性関連の問題が周辺化されてもいた。これは運動を共にした女性を怒らせた。女性運動が全体運動で「動員される位置」にとどまっているという女性の覚醒は、女性の「共通された」政治・経済・社会・文化的抑圧を引っ繰り返すために「独自的」利害関係と目的を持った女性運動が必要だという認識を促進した。

 また、急進主義フェミニズムは自由主義フェミニズムの最大の課題であった「公的領域への進出(女性参政権の実現と高等教育の機会付与)」だけでは、女性の地位が大きく変わらなかったという点に着目した。当時、米国では、女性の政治的権利と教育の機会の均等、法的地位がある程度進展した状態だったが、日常に根深く染み込んだ女性抑圧は、政治・経済・社会・文化などすべての領域で持続していた。急進主義フェミニストは女性の抑圧が単に制度的改革や女性の主流社会への統合で解決することができない「家父長制」という構造的な根から発生することに注目しながら、これを変えさせる、女性主体の急進的理論と実践を要求した。

「家父長制」を召喚、女性を抑圧された「性階級」と規定

 急進主義フェミニズムは「家父長制」を女性に対する男性の制度化された支配システムであり、「内的植民化の装置」、「政治的制度」として概念化(ケイト・ミルレ)した。また、カースト制度と類似する、「性に基づく階級制度」で「典型的な男性と女性の役割を付与する」ことにより、これを正当化・永久化したと指摘(ファイアストーン)した。急進主義フェミニズムが、女性抑圧の根源として召喚した「家父長制」の概念は、超歴史的男性支配を想定しつつ、女性抑圧の単一性に基づいた姉妹愛を強調した。男性階級と女性階級間の支配と搾取という根本的・本質的抑圧の歴史的位置関係のなか、「女性抑圧の根源である家父長的システム」の中では、真の性平等は不可能であり、真の解放は「男性の抑圧を除去する急進的な秩序再編」を通してのみ可能であると主張した。
急進主義フェミニズムのこのような「性階級」概念は、階級敵対に関するマルクス主義の規定を女性―男性関係に対応させて「性間敵対」に再規定したもので、これは「男性一般」を抑圧の原因として位置づけて敵視する実践を生み、社会変革とフェミニズムの結合を制約する「分離主義」の観点につながった。また、「女性に対する普遍的・超歴史的抑圧システムとしての家父長制」の理論や「同一経験とアイデンティティに基盤を置く姉妹愛」は、社会主義フェミニズム・有色人種フェミニズム・クィア政治学の登場とともに、批判と再構築、あるいは解体の対象になった。

「性」を政治的闘争の領域に拡張


急進主義フェミニズムは「個人的なことが政治的なことだ」という新左派のスローガンを積極的に受け入れて、「性」と「再生産」など、個人の領域として恥ずべき部分としてきた問題を政治の領域に拡張した。これらは家族、結婚、愛、異性愛の規範、強姦、堕胎罪、女性に対する性的対象化などを問題化しながら、女性のセクシュアリティを公論の場に引き出した。急進主義フェミニズムは無性的に扱っていた「女性の性」に着目し、自由主義フェミニズムには見られなかった「私的領域での女性の不平等」、女性の「性的欲求」と「性的抑圧」の問題を明らかにした。急進主義フェミニズムは、女性に対する性的抑圧を引っ繰り返そうとする政治的行為を刺激して、その後、様々な実践の当事者になった。

 一方、個人的変化を強調する風土と保守主義の反撃で急進主義が退潮しながら、「女性的」価値を肯定し、それに力を入れる文化運動・女性共同体運動など「文化フェミニズム」が登場した。これに加え、「強制的異性愛が女性抑圧の根」という観点から、非性愛的にレズビアンを選択し「政治的レズビアニズム」が浮上した。これらは男性の権力と攻撃性に対する心理学的・生物学的説明を通して徐々に女性だけの本質的な特徴を強調する「本質主義」に進んだ。これらは男性性と攻撃性を等値させ、「性の間の敵対」を深化させて、性暴行とポルノの危険を強調しながら、「性的欲望」よりも「性的リスク」に重点を移動させた。フェミニズム運動は次第に社会構造の変化のための政治的行為よりも女性の意識の高揚を通じた「個人の文化的な変化」を強調、「自己解放の強調」を中心とした実践に移動することになる。

韓国の急進主義フェミニズム

 1990年代半ば、韓国で「ヤング(young)フェミニストグループ」の登場は、米国の急進主義フェミニズムと同じような背景、すなわち女性の問題を階級や民族運動に比べて「副次的なもの」であると考えている既存の運動に対する批判から出発した。これら既存の運動方式に対する批判の中で「水平的運動」の組織方式、「日常の政治」、「文化運動」、「反性暴力」と「性の欲望」などセクシュアリティ(性文化、性暴力、性アイデンティティなど)を中心とした「性の政治」を体現した。しかし、これらはセクシュアリティに着目しながらも、女性の間での違いとその中での権力の問題を提起し、これは米国の急進主義フェミニズムとは別の脈絡の中にあった(実際、これらの女性の間の多様性と違いは、少数者の女性に対する植民化の問題を提起しながら少数者運動、文化運動、平和運動などに進んだ)。

 しかし、最近自ら「ラジカルフェミニズム」を標榜し、登場したTERF(トランスジェンダー排除的フェミニズム)はこれとは異なり、米国の文化フェミニズムや政治的レズビアニズムと一定程度根を同じくしている。これは「性間の敵対」と「性的リスク」を強調し、何よりも「生物学的女性」を男性の暴力と異性愛秩序の「性的被害者」に位置させる立場を示す。これらには「女性」のアイデンティティを本質化し抵抗の主体として呼称する生物学的な「女性」規定が必要だった。しかし、これらは生物学的「女性」のカテゴリーを通して、結局は性別二分法を強化する方法に帰結される矛盾を抱えている。

女性の「共通的理解」よりも多くの「階級的差異」


急進主義フェミニズムは、女性の「共通的理解」に着目したが、女性が直面している現実は、より多くの「差異」を見せつけた。前の大韓航空副社長のチョ・ヒョナと乗務女性労働者、そしてフィリピン歌手労働者の理解は同じではなかった。搾取する位置の女性と搾取される女性には「女性」という共通の理解よりもより大きい「階級的差異」が存在した。資本主義社会は、徹底した階級社会で階級、人種、民族の違いを活用した搾取は、より多くの過剰利益を資本にもたらした。家父長制と資本主義の結合は、女性の無給家事労働、低賃金、出産に対する統制として資本を目覚ましく成長させた。その過程で、女性の貧困は、女性を隷属させる物質的土台として機能した。

 しかし、急進主義フェミニズムは、女性の間での差異は、他の階級と人種の女性がお互いに対して持つ支配と権力の問題を説明することができなかった。米国でも急進主義フェミニズムは西欧中産層の白人女性の理解を普遍化する傾向のために批判された。「女性の共通の理解」や「女性のアイデンティティ」のみに基づいては階級・人種・地域・セクシュアリティなど、さまざまな脈絡で女性の差異が構成され、作動している脈絡を突き止められないことを確認した。

 女性の共通とされた抑圧的な「性的暴力」もすべての女性に同じように発生していなかった。資源が少ない女性ほど、より多くの性的暴力にさらされた。「女性」というカテゴリーは、「性的抑圧と暴力」だけで規定することができない多くの差異を内包するカテゴリーであった。また、「強姦文化」を中心とした「性の政治」は「積極的な男性=加害者」、「受動的な女性=被害者」という構図を形成しながら、結局、生物学的決定論に、保守的性概念と、典型的な社会的通念に回帰した。女性の性的権利がもはや性保守主義に回帰してはならないという点で、「性」が単に「暴力」の問題だけで連結されていないようにする「解放のプラン」が必要である。

社会変革の見地と出会う
ダイナミックなフェミニズム運動

 米国の急進主義フェミニズムと90年代の韓国のヤングフェミニストの出現が、既存の運動の土壌から始まった一方、最近の韓国で浮上するフェミニズムは、既存勢力とは無関係に、これまで累積された個々人の被害経験が爆発する状態の中で登場した。これらの将来構想は、社会変革の展望の中になかったので、「個々人の実践」を通して家父長的秩序に挑戦すること以上に進むことが難しかった。少数の女性の成功神話を前に出した「能力主義」のなかで、資本主義の搾取と家父長制の抑圧から解放される「女性解放の想像力」は、力を失った。

 フェミニズムは、固定されたものではなく、政治的実践に基づいて変化・発展するダイナミックな運動である。社会変革の見地と出会うダイナミックなフェミニズム運動は変革運動陣営が女性解放のための実践をどのように作っていくかにかかっている。男性を敵対勢力だと規定して排除する「分離主義」を克服し、われわれの抵抗が家父長制と資本主義に内在した抑圧と搾取の根本的な原因を除去する闘争の中でともに立っていることを、女性と男性の共通のリスクに対抗するための闘争が「女性解放のための闘争」と分離することができないということを実践の中で、どのように表現されるのか一緒に考えなければならない。
(「社会変革労働者党「変革と政治」106号より)

朝鮮半島通信

▲朝鮮労働党中央委員会第7期第13回政治会議が6月7日に開催され、金正恩朝鮮労働党委員長が会議に参加した。
▲朝鮮中央通信は6月9日、南北朝鮮間のすべての通信連絡線の完全遮断についての金与正党第1副部長らの決定について報道した。
▲韓国統計庁は6月10日、先月5月の失業率4・5%を発表した。
▲韓国政府は6月12日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、6月14日までとしていたソウルなどの自粛強化の期間を無期限延長した。
▲朝鮮中央通信は13日、金与正党第1副部長の談話を発表した。談話は「北南(南北)共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」とし「南朝鮮(韓国)と決別する時がきた」と強調した。

 



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