もどる

    かけはし2020年6月29日号

パンデミック下の抵抗を先導


ラテンアメリカ

注目すべき社会運動の性格と規模

レイン・ブルース

感染爆発の中
権力者は暴走

  社会的距離を取った街頭の抗議、大統領を告発する動き。ラテンアメリカは、コロナウイルス危機の重大さにおいてだけではなく、社会運動が準備中の抵抗の性格と規模の点でも先頭に立って進み始めた。
 ブラジルは先週、確認された感染者数、ほぼ三七万五〇〇〇人、をもってCovid19感染の世界順位では二位――ロシアより一万二〇〇〇人多く――へと進んだ。世界保健機関(WHO)は、ラテンアメリカがパンデミックの新しい中心として現れつつある、と語った。他の指標は、チリに最高の一人あたり感染件数を、エクアドルに最高の一人あたり死亡件数を与えている。ペルーとメキシコもまた、鋭い上昇曲線上にある。
 検査水準の不十分さと国毎の違いが基礎にあるため、われわれはこれらの比較すべてが完全ではないことを知っている。五月第三週に実行された検査とインタビューに基づいたブラジル南部のペロタス大学による研究は、国中の本当の感染者数はおそらく公式に確認された数の七倍、と示した。それでも、いくつかのラテンアメリカ諸国におけるコロナウイルスをめぐる対立の鋭さは、今並ぶものがない。
 政治的な話のいくつかは、もっと極端なものだとしても聞き慣れたものだ。ブラジルでは、わめき立てる右翼ポピュリストの指導者(ある人びとは彼をネオファシストと呼ぶだろう)は、極右、陰謀論者顧問、そして閣僚たちからなる彼の仲間と共に、保守派の既成エリートや伝統的なメディアから、ロックダウンの諸制限を公然と無視し掘り崩しているとして、また連邦警察トップに家族の友人を指名しようと試みているとして非難を受けている。後者の目的は、二〇一八年に急進左翼の市議会議員でありゲイの権利の擁護者のマリエレ・フランコの殺害に関与した可能性があるとして捜査されること、から彼の息子を守ることだ。週末、それはある種の反乱に近づいた。
 ジャイロ・ボルソナロ大統領の警護の任に着いている軍人、アウグスト・エレノ将軍は、最高裁がことを進め、大統領の携帯電話記録を調査することがあれば、特に明示はしないが重大な結果を招くとして最高裁を脅した。これに対抗して最高裁は、多くのコメントが加えられていたボルソナロと彼の教育相のビデオを公表した。それは、彼らが裁判所をののしり、判事が彼を捜査から外さないならば判事たちを刑務所に送り込む、と脅していた。

左翼からの抵抗
は勢いを持続中


 しかし、世界のメディアがほとんど伝えなかったもう一つの違ったことがある。つまり、左翼からの抵抗のレベルだ。ブラジルの伝統的な自由主義者や保守派の憤激にもかかわらず、ボルソナロ大統領弾劾を求める要求送り出しを先導したのは左翼議員たち(社会主義と自由党〈PSOL〉、および労働者党〈PT〉)だ。四〇〇の社会運動がこの動きを支援した。ブラジルの民主的な諸機関に対する追加的な脅迫を理由に、教育相とエレノ将軍に対しても、同様の行動が今取られようとしている。これらすべての行動は、パンデミックに対する政府の対応に反対して数万人のブラジル人が彼らの戸口、窓、バルコニーから行っている毎日の鍋叩きの勢いを引き上げている。
 チリとエクアドルという、昨年一〇月から新自由主義諸政策に反対する巨大なストライキと抗議行動に見舞われた二ヵ国では、社会運動が文字通りさらなる一歩を踏み出した。
 チリでの抵抗が完全に止まることはまったくなかった。近頃の日々ではそれらが、ロックダウンの結果として飢えに苦しんでいる人々に対するもっと多くの援助を求めて、サンチャゴの労働者階級街区で、再度勢いを増した。
 エクアドルの首都、キトでは、学生が五月五日、注意深く社会的距離を取って最初の行進を行った。それは、公立大学予算から一〇%あるいはそれ以上をカットするだろう、との政府発表を受けたものだった。その目的は明らかに、この国の対外債務への返済を続けることだった。さらなる抗議行動が続いた。つまり裁判所はこの予算カットを憲法違反と言明し、大統領のレニン・モレノは部分的に後退した。
 そうとはいえ、後日彼の政府は一連の緊縮策を提示した。労働時間と賃金の二五%切り下げを含む公的支出の大幅削減、数多くの雇用に関わる権利の廃絶、中でも郵便と鉄道を含む六つの公的企業の私有化、などだ。目的は再び、「エクアドルの国際的借り入れ利用を守ること」――換言すれば、IMFに約束を違えずに返済すること――だった。
 学生、諸労組、さらに主な先住民運動のコナイエを含む他の運動は、「もう一つの一〇月」が起き得るだろう、と警告した。そして五月二五日の一日行動を呼びかけた。前日のモレノ大統領の議会に対する施政方針演説は国中の鍋叩きの砲弾で迎えられた。その二五日、キトにまた他の都市に、再びマスクを付け、互いに距離に注意して、何千人という民衆が現れた。事実として、催涙ガスや警棒を使用して、キトの歴史的な中心部で行動参加者に突撃する中で、社会的距離を尊重しなかったのは警察だった。
 この運動の未来に対しては、エクアドルの先住民運動の役割が鍵になるだろう。そしてその運動は、隔離の時代に政府に抵抗するために世界中で闘っている人々に対し、いくつか教訓になるかもしれない。(二〇二〇年五月二七日)

▼筆者は、ジャーナリストで映像作家であると共にIVのラテンアメリカ通信員。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年六月号)   

ロシア

プーチン体制のデッチ上げ弾圧

社会主義・環境活動家を守れ

5月20日 ロシア社会主義運動(RSM)

 四月末以後、ウドムルト共和国首都、イジェフスク(ウラル山脈西方のイジ川河畔:訳者)のロシア社会主義運動支部指導者の一人であるドミトリー・ツァレンコ(アカ・モロゾフ)は、国家機構からの高まる一方の圧力――特に、しばしば政敵に向け当局がふるってきた、内務省の「対過激主義戦闘センター」からの、――下に置かれてきた。警察は五月一五日、ロシアの支配政党である統一ロシアの事務所に対する放火攻撃として、彼に嫌疑をかけようともくろみ、ドミトリーは同一八日、公式に起訴された。嫌疑は、三月の抗議行動で彼が行った演説と結びつけて、「テロを正当化している」とのとんでもない攻撃だ。その演説でモロゾフは、「ネットワーク事件」の一部として投獄された反ファシスト活動家の解放を求めたのだ。ちなみに問題の事件は、秘密警察がでっち上げたものだ。ロシア刑法の対象条項違反では、三年までの投獄が可能になる。
 ツァレンコに対するいかなる告発も、ロシア政権のその敵対者を打倒しようとする、まさにもう一つのぎょっとするような姿勢以外ではないだろう。それは、これらの政治犯を防衛する連帯キャンペーンに対するあらゆる支持者が同じ罪状で起訴されることを可能にする形で、高度に危険な前例を据えるだろう。ロシアでもっとも古い人権組織であるメモリアルは、「ネットワーク事件」で告発された人々を政治犯として記録している。
 われわれは、ドミトリーに対する刑事訴追は政治的動機に基づき、以下の点に結びつけられている、と確信している。そしてそれらの点とは、水道諸施設と境界を接する近くの町における有害なごみ処理施設建設に反対する数百の抗議行動の組織化における彼の活発な役割、ウドムルト共和国知事のアレクサンドル・ブレンチャロフに対する率直な批判、さらに今年の地方選に立候補するという彼の計画だ。
 モロゾフへのこの弾圧は、エピデミックの広がりを抑え込むこと、また国民に財政支援を与えることができない政府に対して、ロシア人の信頼レベルが急落する中で、前月われわれが見た抑圧の高まりの傾向と完全に一線にある。
 われわれは、みなさんがドミトリー・モロゾフ(ツァレンコ)との連帯に関する国際的キャンペーン発足に支援を与えるよう訴える。左翼の立場に立つ、環境活動を行っている、また人権活動を行っている、そうしたあなた方の協力者に訴えを届け、ハッシュタグ「♯HancsOffMorozov」「♯SolidarityNotaCrime」を使って彼の問題を公表し、起訴を取り下げるようあなた方の国のロシア大使館に、さらにウドムルト調査委員会やウドムルト共和国政府に手紙を送ろう。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年五月号) 


もどる

Back