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    かけはし2020年7月6日号

生態危機の主犯は資本主義


利益ではなく、自然との共存を!

社会変革労働者党政策委員会

 現在、地球は人類と生物の生存を脅かす生態危機に瀕している。そして、この生態系の危機は、資本主義経済システムと密接に関連している。まず、資本主義は利益のために、より多くの生産を必要とし、それによってはじめて、維持されているシステムである。第二に、利益を生むことができるので資本主義は、石炭や石油などの化石燃料の使用を中止していない。第三に、資本主義的生産の目的は、環境の保全と人類の生活の向上ではなく、利益そのものであるため、自然を略奪しながら、人類の生活を破綻させる。
 結局、資本主義の利潤追求と破壊的生産で今日の世界は、全地球的生態系の危機に瀕している。特に気候災害、生物絶滅、生態系の撹乱と核発電などは大きな危険である。

気候非常事態に直面する地球だが韓国は「気候悪党国家」

 IPCC(気候変動に関する政府間協議体)は、2018年に特別報告書を発刊して「2100年までに地球の温度上昇を1・5度に制限するには、二酸化炭素の排出量を2030年までに2010年比で少なくとも45%削減しなければならず、2050年までにゼロ排出を達成しなければならない」と勧告した。もしそれができなければ、温度上昇による猛暑、干ばつと洪水、海面上昇、生物種の減少と絶滅、基盤施設の破壊などで全地球的災害を生むことになると警告した。
しかし、韓国政府は、気候危機に無対策である。政府資料によると、国内大気中の二酸化炭素濃度は、2018年に平均415・2ppmを記録したが、これは地球の平均である407・4ppmより高い。最近10年間、国内の二酸化炭素濃度の増加量は年平均2・4ppmであるが、これも地球の平均(年間2・24ppm)より高い。二酸化炭素の排出量は、燃料の燃焼基準で世界7位だ。1990年以後、温室効果ガスの排出増加率は年平均3・3%で、世界最高水準である。温室効果ガスの排出量は、エネルギー分野が87%を占め、2017年の排出源基準で産業(55%)、建物(22%)、輸送(14%)の順で排出量が多い。

 韓国の気候変動への対応に対する、国際社会の評価は非常に厳しい。韓国は2016年に「気候行動追跡CAT」という研究機関によって、サウジアラビア・オーストラリア・ニュージーランドと共に「気候変動4大悪党国家」に選ばれた。「気候悪党国家」は、気候変動への対応に最も無責任で怠惰な国ということだ。韓国が選ばれた理由は、1人当たりの温室効果ガス排出量の急な増加と石炭火力発電所の輸出に対する財政支援のためだった。ドイツと欧州の気候対応機関が明らかにした気候変動への対応指数でも調査対象58カ国のうち54位を記録し、韓国は「天候不良国家」として留まっている。

人と生物の生存を脅かす核発電(原発)

 核は非常に危険である。核兵器も深刻だが、核発電も同様である。チェルノブイリ、スリーマイル、福島核発電所の事故を経験し、核発電は、人をはじめとする生物の生存を脅かす要因にあげられてきた。
それ故に世界的に核発電は減少傾向だが、韓国ではむしろ増え、現在6基が建設中である。ムン・ジェイン政府は脱原発政策を標榜したが、「公論化」という美名の下に、新古里5・6号基建設白紙化」公約を破棄し、核産業を輸出産業として承認する政策を押し広げている。2017年10月、政府は、脱核ロードマップを発表したが、2022年までに核発電所は28基増え過去最高を記録することになる。その後、自然減少が開始されるが、新規核発電所の設備容量が大きくなり、設備の総量はむしろ減らない見通しだ。
核発電は、建設・運営過程で産業界と政府官僚、政治家、核専門家らのいわゆる「核マフィア」と呼ばれる癒着関係の中で成長し、資本主義的産業システムを支える機能をはたしている。また、核発電の稼働過程で生じる核廃棄物は、その貯蔵と廃棄が不可能なゴミで放射能流出の危険性を恒常的に抱えている。
「利益のための社会」から「人間と自然が共存する生態社会」に転換するために、社会変革労働者党は、次のように提案する。

変革党の提案1
生態危機解決のために、他のシステムへの転換を

 生態社会への転換は、「成長第一主義」はもちろんのこと、「資本主義」に立ち向かい抵抗を通して、人間と自然が共生する社会への転換を追求する中で行われなければならない。「より多くの生産、より多くの労働」、「より多くの消費」という資本主義が生んだ環境破壊の生産システムと生活様式を「必要に応じて生産して消費する」社会、生態的な生産と生活様式が行われる社会として全面再編しなければならない。

変革党の提案2
再生可能エネルギー体制と消費・需要削減の生産システムに転換

 「温室効果ガスの排出ゼロ」を達成するために、石炭・石油などのエネルギーを太陽光・風力などの再生可能エネルギーに転換する。住宅建設とエネルギー生産および交通システムに利用する化石燃料を再生可能エネルギーに転換し、資源消費の大幅な削減を追求し、エネルギー消費と需要を減らす生産システムを目指す。そのためにエネルギーシステムの社会的統制が必要である。
再生可能エネルギーへの転換は、世界的な大勢だ。ヨーロッパでは、全体の発電設備の中で、再生可能エネルギーの割合が、2000年24%から2015年に44%に増え、新規発電で再生可能エネルギーが占める割合も、2000年22・4%から2015年には77%に増加した。一方、韓国は、再生可能エネルギーの割合が2017年7・6%に過ぎないほどわずかで、2018年に出された「第3次エネルギー基本計画」でさえ「2040年30・35%」を目標にする程度で世界のすう勢とはかけ離れた状態だ。2030年までには再生可能エネルギーの割合が50%を占めることができるよう、抜本的な転換が必要である。

?共に向かう経済の脱炭素・エネルギー・サービスの脱商品化

 何よりも経済を完全に脱炭素化する。化石燃料を利用した炭素資本主義経済から再生可能エネルギーを利用した経済システムに転換する。その時初めて災害的な気候非常事態を免れる機会が生まれ、温室効果ガスの排出もなくすことができる。すべての人に安全な気候を回復するために、大気中の過剰な炭素を除去する過程を拡大する。
経済の脱炭素化は、エネルギー・サービス脱商品化と結合しなければならない。炭素税や炭素排出権取引制度、民間企業による再生可能エネルギーの生産など、市場主義的な方法は、効果もなく、また、他の生態系破壊と不平等を生む。したがって、エネルギーシステムに対する労働者民衆の統制に基づいて国家が責任を持って医療・住宅・食品・エネルギー・大衆交通などの公共財を保障し、サービス・エネルギーの脱商品化を推進する。

?主要エネルギーシステムと資源に対する社会的統制

 まず、化石燃料の生産を必要に応じて迅速に段階的に廃止する。化石燃料依存の産業も規模を縮小したり、化石燃料のない工程に転換する。
第二に、地域住民と共同体が再生可能エネルギーへの転換過程に結合するようにすることにより、エネルギー転換に対する統制システムを構築する。そのために分配・教育・参与計画・民主的な意思決定拠点として「(仮称)地域社会転換委員会」を建設し、これらが積極的に役割を実行できるようにする。
?職の創出と連関させた再生可能エネルギーシステムへの転換

 再生可能エネルギー、生態農業、土壌や生態系復元、環境への影響と同様に重要な分野で脱炭素インフラを構築するために、数百万の公共部門の職を創出し、大規模な直接投資を支援することで、生活賃金と職を保障する。

?生態的な輸送・交通システムに再編

 交通システムは、より多く歩き、自転車や大衆交通機関を利用するシステムに変えていく。貨物輸送は、自動車よりも鉄道や船舶を主に利用するようにする。ここでは、様々な再生可能エネルギーを活用するようにし、環境を汚染させる有害ガスや廃棄物の排出がないようにする。内燃機関自動車の生産も持続的に減らしていき、最終的には中止する。

変革党の提案3
核発電の中止

 核発電は、事故による放射能流出と核廃棄物の問題だけでなく、経済的にも建設と運用、廃棄に至るまで、より多くの費用が無駄になる。「温室効果ガスの排出がない」という、一部の主張もまったく事実ではない。核発電拡大政策を即刻中断しなければならない。そのためまず、建設中または予定している核発電から中断する。第二に、稼働中の核発電所は、早期閉鎖を進める。

変革党の提案4
生態式農・畜産業に転換

 まず、人の健康権を害し動物を大量に殺させる工場式畜産業を取り除いていく。第2に、農薬や化学肥料に依存している農業を生態農業に変えていく。第3に、遺伝子操作GMOの農畜産物の生産と輸入を禁止して健康権の侵害を防ぎ、農業生態系の撹乱も阻止する。これにより、農・畜産業を生態式・生命的産業に転換する。

【訂正】かけはし前々号(6月22日号)8面、急進主義フェミニズムの写真とベトナム反戦の写真の写真説明が逆になっていました。訂正します。

朝鮮半島通信

▲第43回国連人権理事会は6月22日、朝鮮政権による人権侵害を批判し、改善を求める内容の北朝鮮人権決議を表決なしで合意採択した。
▲朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第5回会議予備会議が6月23日、ビデオ会議形式で行われた。金正恩委員長が会議の司会を行った。
▲朝鮮戦争中に家族が朝鮮側に連れ去られたと主張する韓国人13人が6月25日、朝鮮政府と金正恩朝鮮労働党委員長に、3億4000万ウォン余りの損害賠償を求める訴訟をソウルの裁判所に提起した。
▲韓国警察は6月26日、朝鮮の体制を批判するビラを散布した団体・自由北朝鮮運動連合のソウル事務所と同団体の朴相学代表の自宅の家宅捜索を行った。

コラム

「ひとり勝ちと異常気候」A

 花見という文化を伝えた中国で、今も愛されている花は桃と梅。欧米ではバラとユリ。日本では桜と梅だという。桜はともかく、次位を梅と決めつけるのはむずかしいらしい。桜の名所であり、りんごの産地でもある弘前市民は「桜と城、りんごの白い花と岩木山」は優劣つけ難いと語る。菊祭りで名高い福島県の二本松市民は「春の城と桜、秋は城と菊。どちらも故郷の花」と譲らない。「ひとり勝ちを桜とすれば、間口が広くなり過ぎ、手に負えない。花見の名所と呼ばれる場所だけでも全国に数百カ所、各地に残る一本桜を含めると一千カ所以上。それに祭だ、料理だ、器だとなると話題は限らない。ここは間口を絞って「ソメイヨシノ」に限定する。
 日本の桜の原種はヤマザクラとサトザクラと呼ばれるヒガンザクラの二種が基本で、あとにカンヒザクラやオオシマザクラなどが続く。「八重」はヤマザクラの変種で、ファンの多い「シダレ」はそれぞれの劣性遺伝子の突然変異で誕生したもの。
 ソメイヨシノは江戸時代に東京巣鴨の染井地区でオオシマザクラとヒガンザクラの交雑種として生まれた。それがあっという間に全国を制覇したのには、三つの要因が考えられる。
 第一はこの花の特徴。花が一斉に開き一挙に満開となり、一夜で花吹雪と化す。この特徴を日本軍国主義は、「同期の桜」として利用。戦後人々は後ろめたさと忌わしい記憶のため流行歌としても口ずさむことができなかった。この呪縛が溶けたのは森山直太朗の「桜」がヒットした以降だ。
 第二はソメイヨシノの苗木は値段が安く、育て易いという点である。それは一方の親であるオオシマザクラの強い繁殖力に起因している。今日急速に広がり始めているカワズザクラの一方の親は赤い花をつけるカンヒザクラだが。
 もう一方の親はやはり、オオシマザクラだ。ソメイヨシノは花が咲いても蜜はできない(花が退化?)花に多くの虫や鳥が集まって、突っついても受粉せず花を散らすだけに終わる。そのため実のらず種もできない。ソメイヨシノの苗木はすべて枝の挿し木から育てる。このため「ソメイヨシノは全部同じDNA(?)だ」という人がいる。また植物学者や有名な桜守の中には幹まわりが一メートルの大木になっても幹と呼ばず、幹を「枝」と呼ぶ人がいる。それもこれに由来する。種から育てたヤマザクラの苗木が花の蕾をつけるまで五年もかかるが、ソメイヨシノは翌年には蕾をつける。
 第三は第二の裏表の関係だが、明治以降この国は鉄道や国道、さらには運河や放水路を急速なスピードで整備・建設した。そしてその並木にかつての杉や松に替えて桜を植えた。また日清・日露の戦勝記念と称して各地に公園を造り桜を植樹させた。その多くがソメイヨシノであり、これが爆発的に広がった理由である。
 近頃、戦後植えられたソメイヨシノが枯れるのを見て、「寿命は六〇年」という説が流れている。植物学者や桜守は生物学的寿命はもっともっと長いと言う。これを証明するように弘前公園には「りんごのように」手入れされた百年を超すソメイヨシノが数多く存在している。「こけむし始めている」「皮がはがれる」という現象は、ソメイヨシノもまた猛暑や乾燥という異常気候に特別強くないだけだという。問題は保護であり、手入れが必要なのだ。毎年黙っていても花見の材料を提供するのではないのだ。
 われわれは、ソメイヨシノの一強時代が終えんし、新たな「転換期」の始まりを目撃しているのだ。江戸期には「花は桜木、人は武士」と騒ぎ、明治以降は「同期の桜」と利用した。人間の勝手な感情を花に移入したに過ぎない。平安初期の梅から桜への転換期に人々は庭や道路にヤマザクラを植えて花を愛でたという。西行は「春のはかなさ」には「梅」より「桜」だとうたい、小野小町も「花の色は うつりにけりな」と詠んだ。われわれの花を愛でる心もかくありたいものである。(武)


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