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    かけはし2020年7月20日号

選挙に限定した取り組みでは限界


厚味ある住民運動・労働運動つくり上げ

都政奪還、新自由主義自治体転換へ

極右の潜在力にも警戒を



リベラル150万の壁

 都知事選は小池都知事の圧勝で終わった。公約達成率〇、学歴疑惑などが取りざたされていたが、投票率が下がったなか歴代二位の三三六万票(前回二九一万票)、得票率五九・七%(同四四・五%)だった。一方事実上の野党共闘候補となった宇都宮さんは前回より一二万票減らして次点の八四・四万票だった。宇都宮さんと票を分け合う形になった山本候補は三位の六五・七万票、維新の会が推薦する小野候補は六一・五万票だった。
東京のリベラル派(この呼称は適切ではないが)の力は一五〇万票。それに対して保守派は四〇〇万票。これがここ数年の都知事選の結果が示した事実である。今回宇都宮、山本の票を足し合わせると一五〇万票となる。前回鳥越候補は一三四・六万票だった。事実上の野党共闘候補となった宇都宮さんは都知事選において運動を前進させたという評価がある。市民選対が中心になって行われた宇都宮さんの選挙運動に接して「政治的に覚醒」した人もたくさんいただろうと思うが、その数は一一〇〇万有権者の中ではほんのわずかでしかなかったということだ。山本候補の「小池票を削る」思惑も外れてしまったということである。
山本候補の出馬表明に当たって両候補の一本化を願う声が多数上がった。しかし選挙結果は、たとえ一本化されたとしても勝つことは困難だったという現実である。また「TVでの討論会が開かれていれば」、「もっと早く野党統一候補として宇都宮さんが押し出されていれば」という声も上がっている。その声には深く共感するが、実現していたとしても選挙結果は変わらなかっただろう。保守四〇〇万を突き崩すような、リベラル一五〇万の壁を突破するような地殻変動は今回生じていなかった。

野党共闘と都知事選

 今回の宇都宮さんの野党共同候補は、従来の野党共闘候補の決定とは異なるプロセスで進んだ。宇都宮さんがまず出馬宣言を行い、市民選対が練り上げた選挙公約を各野党が追認するという形になった。つまり国政上の野党共闘は、今回の都知事選では全く機能しなかったということである。つまり宇都宮さんがいなければ、今回の野党共闘は成立しなかったわけである。「安倍政権での改憲を許さない」の一致点で小選挙区で自民党に対抗しようとするのが野党共闘である。この野党には共産党から国民民主までの幅がある。新自由主義的自治体改革路線の立憲や国民民主と自治体首長選を闘うことには無理がある。今回、宇都宮さんは「都立・公社病院の地方独立行政法人化の中止」を「三つの緊急課題」として掲げた。しかし大田区の都議会補選で立憲の野党統一候補は「中止」を掲げることに抵抗し「見直し」というレベルにとどまった。今回宇都宮選対が練り上げた公約は明確に新自由主義的自治体と一線を画すものだったが、それを立憲・国民民主が一定容認したのは候補者が宇都宮さんだったからであり、新型コロナウイルス感染拡大により都知事選を前に立憲の一部に新自由主義への懐疑が生じていたためだ。今回の小池圧勝により再度の右への動揺が走るだろう。しかし共産党の自治体首長選でも野党共闘路線を貫こうとする方針は変わらない。この路線は地域で住民・労働運動を基礎に首長選に臨む基礎体力を削る方針であり、共産党は自治体首長選に対する選挙方針を転換するべきである。

二極化の進行とレイシスト

 今回の都知事選の特徴としてレイシストである桜井が六万票を伸ばして一七万票になった。投票率が低下するなか票を伸ばしている。レイシスト・極右の支持が広がっているのだろうか。小池都知事も関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式の追悼文を三年連続で送らない極右政治家だが、それ以外の点で極右的主張を隠している。このような態度に飽き足らない極右勢力が桜井支持に回った可能性がある。また東京は一四年の都知事選で、同じく極右の田母神が六一万票を獲得している。いずれにしても東京には一七万以上の極右票があることは確実と考え警戒を怠らないようにするべきである。
今回第四位になった小野候補も六一・五万票を獲得した。この六一万票の支持がどのように広がっているのかも注意が必要である。東京は高所得である港区と低所得である足立区の間では平均余命に差が生じているような二極化が進行している。つまり東京においては地方より明確に新自由主義により利益を得る層が厚く集積しているということである。

都政奪還へ運動を継続しよう


今回の都知事選挙が明らかにしたのは、選挙一年前ほどから野党で調整に入り候補者を選定するような闘い方では都知事選は勝利できないということだ。各地域で闘われている住民運動や労働運動を細かく結んでいく運動体が恒常的に必要だということである。宇都宮さんも紹介していたが韓国ソウル市の朴市長を生み出した運動が参考になるだろう。
四〇〇万の岩盤を削り、一五〇万の壁を超えるために、今回の都知事選の分析とそこから得られた教訓を共有することから始めよう。宇都宮市民選対が練り上げた公約は非常に優れたものだ。この公約を、運動を通じて今後も豊かなものにしていく中で、あくまでも運動の中から次の候補者を選ぶ力を身に付けなければならない。小池都知事は当選後の会見で国政への復帰を否定しなかった。任期途中で都政を放り出す可能性は極めて高い。秋には衆議院選挙も予想されている。次の都知事選挙は思うほど遠くはない。(矢野薫)

6.19

第55回国会前総がかり行動

私利私欲政権葬り去ろう

1200人で責任放棄糾弾

 東京都知事選が始まる中で、六月一九日、国会前で「第55回」となる一九日行動が行われた。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と安倍9条改憲NO!全国市民アクションの共催だ。今回の名称は「安倍改憲発議を止めよう!モリ・カケ・桜は終わっていない 検察庁法改定案を廃案に!安倍内閣退陣を!6・19国会前行動」。
第201通常国会が六月一七日に閉会となり、六月一八日には東京都知事選が告示。そして同一八日には河井克行前法相、河井案里参院議員に公職選挙法違反の逮捕状が出て二人が逮捕・収監される、という情勢の急転の中で、国会前には一二〇〇人が集まった。
窮地に追い込まれた安倍自民党政権は、東京都知事選では小池現知事に対抗馬を立てず、世論の批判をかわそうと躍起になっている。「安倍9条改憲」を絶対に阻止しようとの気概で闘ってきた労働者・市民・学生たちは、こうした重大な局面であればこそ「安倍改憲を最終的に葬り去る」との意思を込めて、小雨の降る中、国会前に集まった。言うまでもなくコロナウイルス感染防止へ、最大限の注意を払いながら。

腐敗と政策破綻
鋭い批判が次々


国会議員からのあいさつは日本共産党の山添拓参院議員、「沖縄の風」高良鉄美参院議員、立憲民主党の岸まきこ参院議員、社民党の福島みずほ参院議員から。
山添議員は、河井克行前法相と河井案里参院議員の買収容疑での逮捕について「国会閉会中であっても説明責任を果たすべき。休会中審議が必要だ」と、選挙中並々ならぬ支援を行った安倍首相自身の関与を厳しく追及した。「なぜ国会を早々と、店じまいしてしまうのか。国会を開いて審議を尽くせ。自粛と一体の補償を」と山添さんは訴えた。
「沖縄の風」参院議員の高良鉄美さんは、「イージス・アショア」配備撤回とからめて「敵基地攻撃能力」を憲法の範囲と主張する安倍政権を厳しく批判した。立憲民主党の岸まきこ参院議員は「多くの人びとが苦しんでいるにもかかわらず安倍政権の対応は、全く後手後手だ」とコロナウイルス被害への対応を批判した。
社民党の福島みずほ党首は、河井克行、河井案里両議員の逮捕にふれ、「一億五〇〇〇万円ものカネはどこから来たのか」と安倍首相自身の責任を厳しく追及した。
さらに憲法学者の清水雅彦日体大教授が「法の支配」を否定する「大統領的首相」としての安倍のあり方を正面から糾弾。辺野古実は、沖縄県議選で辺野古新基地建設に反対する議員が過半数を占めたにもかかわらず工事を強行する政府を批判した。
ジャーナリストの志波玲さんは、欧米諸国と比べても極めて低い日本の難民認定率を批判し、とりわけ女性への人権侵害や、帰国しない難民への刑事罰を検討する動きに警戒するようアピールした。
七月の一九日行動は、七月一九日(日)午後三時から、衆院第二議員会館前を中心に行われる予定。(K)

6.29

イスラエルによるパレスチナ併合を許さない緊急行動

パレスチナの自治権抹殺ノー

 【大阪】イスラエル・ネタニヤフ首相が米国トランプ政権の後押しを受けてパレスチナ西岸地区のイスラエル入植地とその周辺、およびヨルダン渓谷地域の併合を進めようとしていることに対して、六月二九日、大阪・梅田のヨドバシカメラ前で緊急の抗議集会が開かれ、三〇数人が参加した。パレスチナ連帯運動のほか反戦・平和運動、労働組合、宗教者などの立場から次々に発言し、国際的連帯、日本の責任、アパルトヘイト体制への批判、イスラエルの非人道的行動について訴えた。

日本政府も
責任免れず


コロナウイルスのパンデミックの渦中で、米国の「ブラック・ライブズ・マター」運動に連帯する国際的動きが広がる中で、パレスチナ問題においてもイスラエルへのBDS(ボイコット・投資引き上げ・経済制裁)を求める運動が広がっており、西岸入植地併合の動きに対しては米国やイスラエルのユダヤ人の間でも批判が強まっている。
ネタニヤフとトランプによるパレスチナ問題の「最終解決」の動きは、九三年のオスロ合意に基づく和平プロセスの最終的な清算である。「国際社会は、イスラエルに対する『不処罰の伝統』を断ち切り、国連憲章第7章にもとづく制裁措置に向けた具体的な動きを進めるべきです。とりわけ日本は、ヨルダン渓谷を対象地とする『平和と繁栄の回廊』構想を通じた援助など、この地域の『和平プラン』に少なからず関与してきましたが、今回の併合はそのような努力をも無に帰す行為であり、日本政府は毅然とした態度を示すべきです」(緊急行動の呼びかけ)。
しかし、日本政府はイスラエルとの関係緊密化、とりわけ軍事・セキュリティ交流を進め、今回のあからさまな国際法違反にも沈黙している。
緊迫した状況が続く中、また、コロナ危機の下で医薬品や水の供給も断たれている危機的状況の中、パレスチナ連帯の行動の拡大は緊急の課題である。(KH)  




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