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    かけはし2020年8月3日号

採択強行されても闘いは継続


ギリシャ

事実上の無効化めざす要求軸に

アンドレアス・サルツェキス

 

危険な法採択と
闘いが得たもの

 あやふやさはほとんどなかった。ギリシャ議会の右翼多数派が学校に関する反動的な法を六月一一日に採択したが、それはあらためて政府の危険な本性を確証した。この政府の唯一の意図は、私的部門に、むしろお友達に提供するものをさらに改善するために、公共サービスを破壊することなのだ。そしてそのことはまた、他の時ならばそうした政権を打倒するに一つだけで十分だったと思われる一連のスキャンダルによっても、近頃何度も証明されていた。
 ここでわれわれは、公立学校とその職員に対する右翼の攻撃に関し二つの軸を議論する。第一は、欠席生徒に授業を提供し続けるとして、また表向きは平等な機会という名目で、教室にカメラを導入する装置のぞっとするような義務化だ。教員と多くの生徒は、言われるところの遠隔教育の利点に関する左翼側の幻想にもかかわらず罠に落ちることなく、この装置の撤去を要求した。そして超保守派の教育相、ニキ・ケラメオスはこうして、デモの中でカメラオスとのあだ名をつけられた。
 結果として少なくとも言葉での一つの回れ右があったほどに怒りは強かった。つまりその結果、この装置は一定の特殊な条件の下でのみ提供されるだろう。そしてカメラは皆無となり、軽量級の装置だけになるだろう。
 これらの後退は、運動が獲得したものだ。そしてその運動は、教員の九一%が教程の録画と放送に反対と言い、その八一%がこの方策の目的は教員の支配と言い、六二%は、この方策は私的な利益に奉仕するものと確信している、という状況の中の運動なのだ。
 そうであったとしても、関連性のない法と関係させた修正として採択されたこの装置は今現に存在し、権力の座にある右翼の「オルバン的」スタイル(オルバンとは、現在一層独裁色を強めているハンガリーの首相:訳者)を前提としたとき、それは、データの利用を前にして、教育の自由に対し、また民主的諸権利に対しても一つの脅威を提起している。実際、「遠隔教育」の期間中に教員のデータは、当該省庁の部局により私企業に提供されたのだ。

社会的選抜に
永続的統制も


 教育の自由は攻撃の第二の軸においてより全体的に攻撃を受けている。その第二の軸になっているものは、ロックダウン期間中に急造され、ケラメオスが昨年の夏に公表していたことから見て教員たちには何の驚きでもないこととして現れた、一つの法だ。
 その非常に暴力的な諸特性を思い起こそう。つまり、工業学校生徒を短期の私企業訓練に押しやって大学入学を制限する狙い、諸教育機関間の競争の制度化、終局的には一定数の教育機関を閉鎖する目的(それゆえ「遠隔教育」に利益を与え)、また近い将来にもはやポストを見つけられないという、何万人もの代用教員にとっての脅迫、これらに基づいて社会的選抜を極めて深くまで進めるという内容だ。
 鍵になっているからくりは、教員と諸々の教育機関に対する評価であり、ギリシャブルジョアジーが何年も強要しようと挑んできた、しかしその度に職員からの抵抗にぶつかってきた方策だ。そして、コウリス(一つの仲間内的なやり方で機能している極度に右翼的な政治家の一味の一員である、首相のあだ名)下の資本主義の完全に反動的な実体の一象徴として、統制は、教員に対してだけではなく、生徒たちにも行使される。
 その手段は、永続的な詰め込み(全学級に対する諸々の試験)の制度化、しかしまた卒業証明書に記載されることになる態度の記録だ。これこそまさに、雇用主団体、SEVが要求してきた名高い「熟練」の美しい実例だ。

長い望みだった
雇用主天国実現


 雇用主はこうして、彼らが長いこと強く求めてきたものを獲得した。すなわち、秩序の下にある学校(そして批判精神がなく、大学入学試験に対しラテン語での置き換えに基づく、たとえば社会学を消失した)であり、それだけではなく、私立学校に優遇を与えることも伴われた。ちなみに、私立学校教員の諸労組が反ケラメオス決起に全面的に参加する中、私立学校オーナー団体は、この法案を支持した唯一の組織だ。
 しかし他の私有部門、たとえばこれまで長い間存在してきたヴァンパイヤのような夜間予備校も今利権をねらっている。そしてこの法は、自由な教育を保証している憲法一六条に疑問を突き付けることにも扉を開いている。こうして外国語の教科は今や、有料登録の下に、大学の下級生に対し許可されるだろう。

決起回避策動を
破綻させた若者


 この法が課するすべてのことをわれわれが見る時、われわれは右翼の大勝利について、そしてそれゆえ決起の失敗について話す気に誘われる。しかしながら幸運なことに、ものごとはもっと複雑だ。ケラメオスは彼女の法を上程するために、いかなる交渉もなしにロックダウンを利用したが、しかし幅広い諮問の成果としてそれを提出した。われわれはうすうす気付いているが、その目的は、中学校労組のOLME(のみ)を現在支配している傾向が右翼政権とつながっている中で、あらゆる決起を回避することだった。
 しかしながら全面的なロックダウンの中でさえ、決起は、OLME、DOE(小学校労組)OLELE(私立学校教員)、生徒の両親、そして高校生もが呼びかけた諸々のデモに基づいて、大きく発展した。五月一三日の大デモに続いて、同じ組織の呼びかけで他のデモがいくつも続き、アテネでは毎回六〇〇〇人から八〇〇〇人を結集した。また五月九日には中学校での二四時間ストライキも伴っていた。
 諸環境を前提とすれば、特にそれらが全体として全く戦闘的だった以上、われわれはそれらをただ成功を見た決起といって良い! ケラメオスからの二、三の譲歩(たとえば、カメラについて、また工業大学入学の年齢制限について)は、運動の力によって得られたのだ。そしてその運動を政権は予想したようには見えなかった。

戦略不在の
労組と左翼


 問題はしたがって他にあり、それは二重になっている。まず第一は、時期を条件に、運動は拡大に成功せず、この困難な局面では長期ストは確実性が非常に低いように見えた。そしてわれわれは突然、確かに幅広いが右翼を屈服させる強さはない、デモを代わりとして繰り返すことになった。
 そしてまた見える形で欠落していたものは、法の通過を阻止することも可能だという確信を高めることができる全体的な団結だった。改良主義者の組合指導部は(あるいは右翼とつながった者たちも)、最後までの抗議を呼びかける他の決起に同伴する以外大体において何もしなかった。それは、急進左翼を除く右翼からシリザまでのOLME全潮流が二〇一三年に行ったような、運動の公然たる裏切りとはならずに、労組全国指導部から期待できる最低限のものだった。
 KKE(共産党)の労組潮流であるPAMEは、多くの旗を携えて重きをなす一つの勢力のように見えるという目的をもっていたように見える。しかしそこには運動を推し進めるという意志はなかったように見える。一方共産党青年組織のDittoは戦闘的だったが、展望をもっていなかった。
 急進的かつ革命的左翼の諸潮流に関する限り、「古典的な」分断を別にすれば、われわれは、労組指導部、「DOEやOLMEの政権―雇用主御用組合多数派」の者たち、に対する告発を引き受ける一つの強力な傾向として見ることができた(注一)。ある者たちにとって目標は、基層の労組から発する自律的なイニシアチブだ。つまり「労働者の差し迫った問題と彼らの要求を押し出し、それらを、この国が労働者の利益に取り組まなければならないもう一つの道にしっかりと結びつける、そうした新しい戦闘的な労組を建設することが必要だ」(注二)。 
 これは、全国指導部に諸々のデモを呼びかけさせたのは自分たちの強さだということをわきまえつつ、DOEとOLME下部組合員の運動の中で多くが共有し実行した組織を活性化する取り組みというよりも、むしろ非常にセクト的なKKEが力を貸したPAMEの取り組みに密接に似ている。

決定的な鍵
若者の決起


 これは、ギリシャにおける闘争に向けた近い将来における非常に重要な論争だ! しかしすでにわれわれは、プリン紙六月一四日号でインタビューを受けたDOEの急進派潮流の一員、アルジリス・パパサナシオウに同意できるだけだ。つまり「今日から教育運動は、採択を終えた法を実践的に取り消すことに成功した過去における数知れない場合と同じに、この法の無効化を求めて闘う」と。そして中でも、一学級当たり生徒数の引き上げを阻止し、教職数の維持を確実にするために、生徒の学校移動を止めること、教育機関の自己評価の取り消し、さらに期限の定めのない教員職数と俸給の引き上げ、の優先度が高い。
 しかし今後の数ヵ月に決定的になることは、彼らにただ服従と失業しか与えないケラメオス法の主な犠牲者である、学校の若い人々の大規模な参加になるだろう。数では限られているとはいえデモに姿を見せ、また近年の反レイシズムデモにも姿がある、もっと暗くさえなる未来を拒否する彼らの決起は、ミス・カメラオスと政権を打ち破る点で決定的だ。

▼筆者は、ギリシャの第四インターナショナルメンバー。
(注一)NAR(新左翼潮流)機関紙のプリン紙六月七日号。
(注二)公共部門と私有部門の基層諸労組による、アテネにおける六月二三日のデモに向けた呼びかけからの抜粋。(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年七月号)   

米国

11月大統領選と左翼

民主党をめぐる議論あらためて

7月22日  ダン・ラ・ボッツ

候補者はいない
が極左派の認識

 現在七万人の党員を擁するアメリカ民主社会主義者(DSA)は、どの候補者も支持しないまま、二〇二〇年一一月の大統領選挙に向かうことになるだろう。前回のDSA大会では、もしバーニー・サンダースが候補者とならなかったなら、誰も支持しないと投票で決定された。しかしながら、この提案は、DSA党員が個人としてバイデンのために運動に参加したり、投票したりすることを妨げるものではない。そして、DSA党員でバイデンを実際に政治的に支持するという者は事実上いないにもかかわらず、彼のために活動する党員はいるだろうし、党員の多くが彼に投票すると予測できる。
 極左派、社会主義者、アナーキスト、反資本主義者―人口の一%未満でしかないが―にとって、バイデンには問題が多い。極左派は、ニューディール型のリベラル派で、「社会主義者」として「億万長者階級」に反対して出馬したバーニー・サンダース上院議員を支持して、進歩派陣営に加わった。しかし、サンダースが予備選挙から脱落し、バイデンを支持したため、極左派の多くは候補者がいないと感じている。
 バイデンはまさに新自由主義者であると見なされている。バイデンは上院議員として、社会福祉を削減し、黒人とラテン系の投獄を増加させる新刑法を策定するというビル・クリントンの反動的で人種差別的な政策を支持した。彼はまた支持にはそれほど影響を与えてはいないとしても、性的暴行の疑惑に直面している。
 バイデンはいま左傾化していると言う人がいるが、そうした人々はその理由を二つ挙げている。第一に、バイデンとサンダースが作った統一タスクフォースが政治綱領を書いたのだが、これは少なくとも言葉の上ではバイデンの歴史的な立場の左にある。第二に、コロナウイルス危機とそれにともなう経済危機によって、バイデンが大統領に選ばれた場合、大規模な政府による経済介入を採用することを余儀なくされる可能性がある。しかし、民主党の選挙綱領が当選後の大統領に大きな影響を与えることはこれまでほとんどなかった。とはいえ、広い意味での左翼の多くは、一一月にバイデンに投票するだろう。

DSAの多数は
緑の党に無関心


 緑の党は、大統領と副大統領の候補者として、引退したトラック運転手ハウイー・ホーキンスと労働者階級の活動家アンジェラ・ウォーカーを擁立している左翼政党だが、その緑の党の支持者はDSAの外側にいる。ラルフ・ネイダーは、緑の党の候補者として、二〇〇〇年の大統領選挙で二・七%という最高の票数を獲得した。そのときには、彼は民主党の票を奪うことによって、前副大統領アル・ゴアを大統領に当選できなくしたとして非難された。
 一一月の選挙において、民主党が勝つのが確実である「安全州」では、緑の党に投票する者もいるだろうが、競り合っている州では、緑の党への投票を多くの者は躊躇するだろう。大部分のDSA党員は、緑の党には無関心である。彼らは緑の党を的外れで、有効ではないとみなしているからである。

社会主義政党の
問題は棚上げ


 こうしたことはすべて、民主党に関するDSA内部でのより大きな議論の一部である。歴史的に見ても、一九八〇年代から二〇一〇年代まで、DSAは一般的に民主党の候補者を支持していた。
 DSAの創設者であり政治的指導者でもあるマイケル・ハリントンは、労働組合と黒人運動が民主党の支配権を握ることで、民主党を「再編」して社会主義政党へと変えることができると信じていた。DSA党員のうち二〇代から三〇代の新世代はバーニー・サンダースを支持していたが、全体としては民主党には反対であった。
 DSA内で支配的な見解は、DSAが民主党と袂を分かって社会主義政党を結成するという未来を期待しながら、民主党の投票ラインを利用して、社会主義者の候補者を立てたり、他の進歩的な候補者を支持したりすることが可能であるというものである。少数派は今すぐに社会主義政党を作りたいと考えており、一部の古参党員は民主党をより進歩的な政党にすることに集中したいと考えている。
 現時点では、サンダースが予備選から脱落し、バイデンが候補者となっているため、民主党の将来についての議論は抽象的なものになっているようだ。基本的には現実的対応として、ほとんどのDSA党員は、こっそりとバイデンに投票し、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員やその他の社会主義者あるいは進歩的な候補者の再選のために活動し、社会運動での活動を続けることになるだろう。
 社会主義政党を作るかどうかの問題は先送りされている。他の左翼は、緑の党に投票するか、あるいは選挙を無視して、運動の中で活動するだろう。



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