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    かけはし2020年8月10日号

原発汚染水を海に流すな


7.23

「海の日スタンディング」

あらゆる「対策」が破綻

健康被害無視する暴挙だ

 【いわき】七月二三日、「これ以上海を汚すな!市民会議」が呼びかけた「海の日スタンディング」が小名浜アクアマリンパークにおいて、三七人が参加し実行された。
 「スタンディング」は経済産業省が強行を図る「福島第一原子力発電所特定原子力施設」―旧福島第一原子力発電所は二〇一一年三月の事故発生後発電を停止しているので「特定原子力施設として規定されている―の汚染水の放流に反対し危険性をアピールする目的で行われた。
 東京電力・経済産業省は説明会を開催する等、「福島第一原発特定原子力施設」サイト内に保管されている処理水の放流に向けた策動を繰り返してきた。説明会は経済産業省の「汚染水対策小委員会」の提言を基調として開催された。
 それはスケジュール優先で、コロナ禍の渦中に住民が参加できない中で開催され、また、不公平、情報隠し等、民主主義の原則を幾重にも欠いたものであった。このこともあって、慎重・反対の見解を議決する等、処理水放出反対・慎重の声が福島県を席巻している。
 県内現業―福島県漁業協同組合連合会・福島県森林組合連合会・福島県農業協同組合―による反対の声明を背景に、反対・慎重の決議が相次ぎその数は福島県内二一市町村に広がっている。また小委員会が募集した国民の「パブリックコメント」の締め切り期限が延長を数度繰り返し五月末日から七月末日になったのはこれを如実に示している。
 
破綻を繰り返す
修復への「対策」 


現在福島第一原発事故は収束に至らず汚染水問題は事故収束の重大問題となっている。
福島第一原発は二〇一一年三月に発生した「東日本大震災」によりメルトダウンに至る重大事故を発生させた。当時第一原発は膨大な放射性物質をサイト外に吐き出し、その多くは汚染水となって海域に排出された。原子炉にヒビが入り取水口から炉水が海に流れ込んだのである。
ここからの炉水の流出は漸く止めることは出来た。しかし原子炉のヒビは修復出来ず、炉水の流出は続いた。そして、この流出を止めるために粘土壁の造成が企画されたが、東京電力は高額の出費のためこれを拒否した結果、炉水の流出問題への対策は遅れ、問題の深刻化に拍車をかけたのである。
その後東京電力は汚染水対策としてサブドレン(事故前から各炉に隣接して存在)、地下水バイパス(建屋山側に造成)から汚染水を汲み上げ敷地内に汚染水保管を目的にタンクを造設した。さらに汚染水の減量を図り、凍土遮水壁を増設した。
凍土遮水壁は当初からその効果について疑義が指摘されたが、東京電力は説明会の席などで「カチン、カチンに凍らせる」等と発言し増設を強行した。しかし炉心に流入する水の完全凍結はならず、結果汚染水対策の手段は汲み上げ保管の繰り返しとなったのである。

「健康への影響
確認されず」か?


現在敷地内には一二〇万トンの汚染水が林立するタンク内に保管されている。その七割が基準値を大幅に超える放射性物質を含んでいる。さらに第一原発の地下への貯留水も存在している。
「溜まり続ける汚染水をどうするのか?」この「福島第一原発特定原子力施設」廃炉に課された問題、「汚染水処理」(タンク内に保管されている処分方)を検討する論議は「トリチウム水小委員会」として二〇一三年から実施されて来た。小委員会は、「汚染水の処理について多様(安全性・経済性・前例)な角度から論議し、処分について結論を出すのではなく提言をする」とされてきた。
そして委員会の提起した処分方法は、海洋放流であった。しかしそこに至る論議の経過及び提言を見た時幾つかの問題点を指摘することが出来る。
それは、安全性、経済性、スケジュール優先主義、民主制についてである。
まず経済性についてだが、提言では、費用について比較対象としたのは「処分費用」のみであり健康・環境への障害が発生した時の「社会的費用」を考慮から除外したのは余りにも不当である。
次に安全性についてだが、提言はトリチウムのみを考慮の対象としているが「健康への影響は確認されていない」として否定する不当な見解を示している。しかし「影響は確認されていない」は安全性の証明にはならない。影響が確認されるのは健康被害が拡大し甚大となった時であり、その時の社会的な損害は膨大となる。

汚染水放流の
強行は許さぬ


必要なのは「慎重な回避」の立場である。また、報告書が記述する、処理水(この時検討の俎上に載せられたのは、トリチウムだが、後日タンク内の水にはトリチウム以外の基準値を大幅に超える核種の含有が暴露され、水の名称はトリチウム水から処理水と変更された)が含む基準値を大幅に超える放射性物質の放流前の処理は、「放射性物質除去装置による幾度かのろ過と希釈」でしかない。「アルプス」(放射性物質除去装置)を使用しても放射性物質の完全除去は不可能であり「最後に依拠するのは大幅な希釈」ということである。
そこには、海洋放出された放射性物質の総量を問題とする視点が欠けていると言わなければならない。そして提言中には放流水拡散シミュレーションの記述も存在した。しかし、複雑な潮流の変化(大潮・小潮・長潮等)の存在についての記述はなく信頼には値しないものである。
そして計画スケジュール主義についてだが。提言は、「廃炉工程が示す完了期限(30〜40年)までに貯蔵タンクの解体撤去完了」を既定とする。そして放流決定が遅れる程、処理量は増加する、として暗に早期の放流決定を迫っている。
しかし廃炉工事の進捗を診るならば「廃炉工程」が示すデブリ取り出し時期(2021年内2号基)の工事開始は未定など、廃炉完了時期にはその障害となる懸案が散見するのが現実である。廃炉工程の再検討は必至なのである。完了時期を既定として汚染水放流決定を迫る対応は糾弾されなければならない。
さらにコロナ感染症の脅威の渦中、住民の多数参加が困難な中、住民不参加で決定するのは到底「民主的決定」とは言えない。放流を図っている「処理水」の元は炉水だ!「処理水」の放射性物質の完全除去は出来ない!薄めても総量は同じだ!「廃炉工程」を見直せ!汚染水放流の強行は許さない!     (浜西)

7.24

「五輪中止、いますぐ決めろ」

来年開催? とんでもない

オリンピック・パラリンピック反対


 【大阪】七月二四日、オリンピック開幕が予定されていたこの日に、大阪でもオリパラ反対実(東京オリンピック・パラリンピック反対!実行委員会)の呼びかけで、さまざまな立場の運動団体や個人が「五輪中止、いますぐ決めろ」をメイン・スローガンに掲げてデモを行った。
 メディアの世論調査でも「東京五輪の二〇二一年七月開催は無理」という回答が六割を超え、五輪よりコロナ対策に集中するべきという声が広がっている。東京・大阪をはじめ全国で再びコロナウイルスの感染が拡大している中、IOC・JOC、東京都は中止の決定を引き延ばしており、政府も依然として五輪開催に固執している。醜悪でしかない! 誰も「アスリート・ファースト」という建前さえ語らなくなった。あるのは国家の威信とカネ勘定だけである。競技団体やスポンサーの間でも動揺は広がっている。まして、コロナ感染拡大への対策に忙殺されている他の諸国では、東京五輪の二〇二一年七月開催を待ち望んでいる者などいない。

東京五輪など
誰も望まない


この日のデモは雨の中、豊崎北公園から東梅田にかけて、普段はショッピングやデートの若者でにぎやかな通りを縦断する。午後六時半から始まった出発集会では、はじめに司会の「梅田解放区」の園良太さんが福島原発の被災者切り捨てと、コロナ問題での生活保障のない自粛要請、五輪や大阪都構想の強行に共通する問題に対して声を上げていかなければならないことを強調した。
同日に東京でデモを予定しているグループからのメッセージが紹介された後、コロナ生活保障を要求してきた「大阪市役所座り込み行動」、原発避難者を支援してきた「GOウェスト」、西成再開発に伴う釜ヶ崎のセンターからの退去強制に抵抗してきた「釜ヶ崎解放行動」、不当弾圧と闘う関西生コン支部の仲間などの報告と決意の表明。デモ出発の時点で参加者は約八〇人に増えている。若い人が目立つ。デモコースは普段より少ないが、歩道から手を振る人や話しかけてくる人もいる。
解散集会では、このような行動を中止決定まで継続すること、最終的には廃止を目指して運動を広げていくことが提起され、最後に、障がい者解放運動の仲間がオリンピック・パラリンピックが障がい者差別とつながっていることを訴えた。       (KH)

アジア連帯講座:9.11公開講座

入門 気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義

講師:寺本 勉さん(ATTAC関西グループ事務局員)

?日時:9月11日(金)午後6時30分
?会場:東京・全水道会館4階小会議室
    (JR水道橋駅)/資料代 500円

 世界中で「異常気象の日常化」の激発、新型コロナウイルスの感染が拡大しています。この現象は、どのように考えればいいのでしょうか。私たちは、グローバル資本主義システムが温室効果ガスを排出し続け、「開発と成長」と称して環境破壊、生態系破壊を繰り返し、生物多様性を減少させてきた結果として、今日の気候危機とコロナ危機があるのだと考えます。そのうえで根本的な社会―エコロジー的転換が必要だと考えます。
 日本の気候危機は、すでに冬の厳しい寒波に始まり、夏には記録的な猛暑・豪雨、そして巨大台風の上陸と立て続けに異常気象に見舞われました。さらに今年の7月も九州地域における大雨によって被害が拡大しています。やはりこの背景には、地球温暖化に伴う気温の上昇、日本周辺での海水温上昇による水蒸気量の増加があることは明らかです。
 世界的に見ても、北半球が記録的な高温となり、北極圏でも30℃を超えるかつてない高温を記録しました。各国で高温・乾燥による山火事も多発しています。
 COP25(国連気候変動枠組条約締約国会議/スペイン・マドリード/2019・12)では「国別の温室効果ガス削減目標を引き上げる機運の醸成」と「市場メカニズムによる排出量取引のルール作り(パリ協定第六条の具体化)」を獲得目標にしていました。パリ協定で目標とされた1・5℃の気温上昇にとどめるには、世界のCO2排出量を2030年までに45%削減(2010年比)し、2050年ごろまでに実質ゼロにする必要があると強調していました。
 だがCOP25は、「各国の事情に応じて」とか「可能な限り」とかの表現を用いて、削減目標の引き上げを事実上回避できる内容です。
 日本の小泉環境相は、COP25で脱石炭や削減目標引き上げを表明できず、環境NGOから「化石賞」を受賞するほどです。そもそも日本政府は、「第五次エネルギー基本計画」(2018年7月)で2030年における電源構成の中での原発の比率を20年22%、化石燃料の比率を56%にするという目標を掲げ、脱化石燃料にも、脱原発にも真剣にとりくむつもりがないことを明らかにしています。
 その現れとして安倍政権は、東京五輪と「復興」をリンクさせ、福島第一原発事故などなかったかのようにキャンペーンを繰り返しました。ところが新型コロナウイルスの感染拡大によって延期に追い込まれ、今度は「ウイルスとの闘いに打ち勝って五輪を成功させたい」などととんでもないことを言い出しました。環境破壊、カネの無駄遣い、コロナ感染拡大へと導く東京五輪は中止にし、気候とコロナ危機によるすべての被害者に援助を強化していくことが必要です。
 寺本さんは、「気候危機」に立ち向かうためにクライメート・ジャスティス(気候正義)運動、「システム・チェンジ」を目標としたエコ社会主義(社会主義とエコロジーを結合させた新たな社会の展望)の取り組みを提起しています。
 講座は、地球温暖化STOP、クライメート・ジャスティス運動、コロナ危機に立ち向かう入門編として設定しました。ぜひご参加ください。


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