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    かけはし2020年9月7日号

憲法9条改悪阻止の攻勢へ


安倍首相の辞任表明

「安倍応援団」の混乱と悲鳴

「絶望感」隠さぬ右派メディア

沖縄・東アジアの民衆と共に闘おう

危機感を深める
自公連立政権

 八月二八日、「大日本帝国憲法」時代を含めて、「首相在任最長記録」を更新していた安倍首相は、持病の「潰瘍性大腸炎」の悪化を理由に、「国民の負託に応えられない」との理由で、内閣総理大臣を辞任する、との意向を表明した。あらゆるメディア、評論家たちの予想を超えた安倍の「首相退任表明」は、衝撃を与えている。
 安倍は要旨、次のように述べている。
 「本年六月の定期検診で炎再発の兆候が見られる、との指摘を受けた。その後も、薬を使いながら全力で職務にあたってきたが、先月(七月)中ごろから体調に異変が生じ、体力を消耗する状況となった。八月上旬には潰瘍性大腸炎の再発が確認された。……病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはならない。国民の負託に自信をもって応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断した」。
 安倍首相の辞任表明は、「長期安定」を自負してきた自公政権の一時代が終焉する「予兆」となりうるし、われわれはそのために何をなしうるかを、あらためて論議し、行動に移していかなければならない。

失望吐露する
右翼ブロック


 「モリ・カケ(森友・加計)」問題、「桜を見る会」、参院広島選挙区での買収問題などで追い詰められた安倍の退任表明に「安倍応援団」を構成する「読売」「産経」などの右派メディアは失望を隠そうとしていない。もっともこの安倍退陣劇には、「モリ・カケ・桜」での安倍夫妻の傷がこれ以上広がるのをストップさせようとする意図も見て取れる。
 「首相は今月(8月)24日、連続の在職日数が佐藤栄作氏を抜いて歴代最長となったばかりだ。通算の在職日数も、憲政史上最長である。2012年末の第2次内閣発足後の政権運営は、7年8か月に及ぶ。/長期政権の最大の功績は、不安定だった政治を立て直したことである。民主党政権は、党内でもめ事が絶えず、『決められない政治』と揶揄された。/首相に返り咲いて以降、経済再生を最優先に掲げ、大胆な金融緩和や積極的な財政出動によって、景気を回復軌道に乗せた。/緊迫する安全保障環境の中で、日米同盟を基軸として政策を見直したことも評価されよう。/集団的自衛権の限定的な行使を容認し、安保関連法を成立させた。対日防衛義務を定めた日米安保条約の実効性を上げようとした首相の考え方は、理にかなう」(「読売新聞」8月29日 社説)。
 産経新聞8月29日の「主張」欄(「社説」にあたる)は安倍内閣が1次、2次を通じて「教育基本法を改正し、『わが国と郷土を愛する態度を養う』という理念を盛り込んだ。憲法改正の是非を決める国民投票法を成立させ、国民の権利を実質的に広げた」と評価しつつ、「『歴史的使命』と語ってきた憲法改正は、衆参両院で多くの改憲勢力を擁しても改正案の発議ができなかった。極めて残念だ」と、「本音」を語っている。
 産経の主張は同日の紙面(5面)に掲載された、阿比留瑠比(政治部編集委員 事実上の主筆格)の文章に最も鮮明に語られている。
 「……安倍首相辞任の衝撃はやはり大きい。長く下り坂にあった日本経済が息を吹き返し、国際社会で存在感と影響力を増した一つの幸福な時代が、終わりを告げた喪失感は否めない。今後の日本の針路は濃霧に覆われ見通せない」。
 「集団的自衛権を容認する憲法解釈変更、特定秘密保護法制定などマスコミの総攻撃を受ける不人気政策を断行する信念が、どれだけの政治家にあるか」「長年、歴史認識問題で日本を糾弾してきた中国の批判を静め、政治問題化し続けてきた慰安婦問題を韓国の国内問題化させ、米国の現職大統領の被爆地、広島訪問を実現させた、その手腕を、ポスト安倍候補に望めるのか…」。
 この極右ジャーナリストの「絶望感」には、安倍政権に託した思いがもはや実現されないのではないか、という危機感が表現されている。しかしこうした極右派の「安倍を失う」ことへの「絶望感」に「安心」することはできない。
 安倍政権の終焉は、もちろん「改憲阻止」の広範な世論や、とりわけ沖縄の島ぐるみの反基地闘争が安倍政権の改憲・軍拡攻勢に立ちはだかったことにも規定されている。しかし安倍の退陣は、労働者・民衆自身が、その闘いの広がりを通じて政権を打倒したわけではない、ということも歴然たる現実である。
 その意味で、安倍政権の「終焉」を新しい民衆運動の攻勢に転化していくための行動と一体化した議論の渦を創り出していくことが今こそ問われている。

改憲阻止へ!
反転攻勢の時

 安倍政権の終わりは、言うまでもなく労働者・市民が安倍政権の時代を通じて積み上げてきた反改憲、辺野古新基地建設反対などの一連の行動を、新たな局面の中で継続・拡大していくことが前提となる。安倍が悲願としてきた「9条改憲」を阻止する闘いは、これまで以上に切迫した課題になるだろう。
同時に、そこではこれまで以上に朝鮮半島、中国・香港をはじめとした東アジアの民衆連帯運動のダイナミックな連携が課題とならざるをえない。日本における改憲阻止の闘いは新しい「民衆のアジア」をめざす展望と結びつくことによって、より説得力のある運動の流れをつくり出す。
安倍長期政権の終焉を、東アジアの新しい民衆運動の飛躍に結び付けよう。           (純)

8.22

東京都総合防災訓練反対集会

「治安維持」は民衆弾圧

差別・排外主義宣伝許さない


「防災訓練」は
治安弾圧と直結


八月二二日、東京都総合防災訓練に反対する実行委員会は、滝野川西区民センターで一一月二二日の「北区・東京都防災総合訓練」強行に反対していく取り組みの一環として「考えよう!防災訓練の問題性・危険性」をテーマに集会を行った。
実行委員会は、一一月二二日の北区中央公園野球場などで行われる救出救助訓練と称する治安訓練に反対し、その柱を以下のように確認している。
@防災訓練は、「武力攻撃災害」の観点から「国民保護訓練」として位置づける。発動根拠として「緊急事態」を権力者が都合良く判断し、「大規模災害」だけではなく「戦争・内乱」「大規模テロ」「騒擾」(大規模デモ、ストライキなど)にわたって対処していくことにある。つまり、緊急事態条項追加改憲の先取りであり、緊急事態対処訓練である。
A防災訓練には自衛隊が参加し、その任務として宣撫工作、リクルート活動の場として展開する。そもそも「災害派遣」も「治安維持活動」の一種として位置づけており、テロリスト掃討などの戦闘、デモ隊を弾圧する「治安維持」が本質任務としてある。
大規模災害時に緊急事態を理由として軍事組織に秩序維持の活動を担わせることは、関東大震災時の戒厳令下における警察・軍隊・自警団が一体となった朝鮮人虐殺によってその危険性が示されている。再生を許してはならない。
B「新型コロナ災害」を契機に警察による威嚇などの「自粛」強制に呼応し「自粛警察」が横行し、ヘイトグループの活動も活発化している。加害の歴史を否認し、米軍・自衛隊との連携を前提とした緊急事態条項追加改憲を先取りした国民保護に通じる防災訓練に住民や児童・生徒を動員することは人権の否定につながる。
そのうえで防災訓練は、「新型コロナ災害」を踏まえ、来年開催予定の「東京オリンピック・パラリンピック2020」戒厳体制を見据え、緊急事態対処訓練として行おうとしている。実行委は、このような動向・性格全体と対峙し、支配者たちの野望を打ち砕いていくための反撃として取り組んでいく。ともにスクラムを広げていこう。

関東大震災と
朝鮮人大虐殺


実行委から開催あいさつが行われ、「差別・排外主義の動きが加速され、右翼らの関東大震災時の朝鮮人大虐殺は、デマだというキャンペーンを強めてきた。小池都知事も関東大震災時に虐殺された朝鮮人の追悼式へのあいさつ状を出すのをやめ、規制を強めている。都知事選での小池の圧勝、日本第一党の躍進、維新の暗躍など、徐々に右翼の浸透が広がっている。この流れの中で防災訓練の危険性、私たちの取り組みを探っていきたい」と発言した。
愼蒼宇(シンチャンウ)さんは、「関東大震災時の朝鮮人虐殺 官民一体のヘイトの歴史的源流をたどる」というテーマで講演した。 「石原都知事(二〇〇〇年)の『三国人』発言、『新型コロナ』も含めて緊急事態の中の差別主義の表出、暴力の連鎖が広がっている。自衛隊の出動は差別主義の表出、暴力の連鎖とは関係ないと見られているが、歴史的にみれば関東大震災時、日本軍隊は戒厳令下で率先して差別・排外主義の先頭に立った。事後処理の中で責任を自警団に押し付けた。官民一体による朝鮮人虐殺には歴史的背景がある。震災時、官民が一時的に興奮して虐殺を行ったのではなく、そこに至るまでの道のりがある」。
「戦争というと『一五年戦争』の枠組みでしか連続的にとらえてこなかった。日本近代史の戦争の不在を問いただしていかなければならない。朝鮮総督府・軍・警察は、常に朝鮮人を騒擾予備軍として予防的支配を実施していた。民族運動の弾圧をした。植民地支配とは、戦時と平時が常に隣り合わせだった。日本の植民地支配の責任についての議論は低調だ。植民地犯罪と向き合っていくこと、戦後七五年たった現在も問われている。植民地犯罪の根幹にたくさんの軍事暴力があり、その中に関東大震災時の朝鮮人虐殺がある」。
「朝鮮半島は、現在も南北に分断されたまま朝鮮戦争も終結していない。南北分断を背景に日本は、アメリカの冷戦政策に乗る形で植民地責任の問題を根本的に解決しないまま、被害者と歴史認識の克服をおきざりにしてきた。現在の対朝鮮人ヘイトが一〇〇年前の官民の朝鮮人に対するものとほぼ同様の蔑視と偏見、憎悪が時代を越えて表出している。植民地主義は、いまだに官民にへばりついている。日本の罪と加害責任を明確にし、近現代の日朝関係に向き合っていくしかない。だが、はてしなく遠く感じている」。

コロナ災害下で
命の選別進む


問題提起が三人から行われた。
片岡万里子さん(医療労働研究会)は、「新型コロナ災害下の命の選別とトリアージ」をテーマに「天皇制国家における医療の本質は、戦後も続く優性保護法体制のもとで、国家にとって有用か否かで選別し、排除することであり続けてきた。『コロナ』以前から医療は破綻状態であり、現場での日常的な選別・切り捨てで顕在化しないできた。すべての人に差別なく必要な検査・医療を無料化すべきだ。『臨時』ではなく、大幅増床、医療労働者の大幅増員が必要だ」と述べた。
伏見忠さん(都教委包囲ネット)は、「生徒動員・一斉休校・そして今」を取り上げ、「学校は防災教育と称して動員に応じてしまう。実態は、防災ショーに取り込まれているのが実態だ。生徒管理を強化して宿泊防災訓練というプログラムまである。コロナ下でこの訓練もなくなった。北区の防災訓練に対して都立高校の動員は、今年にかぎってない。ただ来年以降、どうなるかわからない。この間、高校生を地域に動員していく傾向は強まっている。つまり、災害時に高校生を使うことにある。自衛隊も宿泊訓練の時、介入してきてリクルート活動をやっている。ただ防災訓練に異議ありと言う教員が少なくなっている。警戒は続けていかなければならない」と報告した。
池田五律さん(有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会)は、「自衛隊の緊急事態と防災訓練」をテーマから@緊急事態対処と軍隊 A戦後から一九八〇年までの緊急事態をめぐる動き&災害派遣の法的根拠 Bビッグレスキューへの道 C東京都総合防災訓練と自衛隊統合防災訓練(二〇〇七) D二〇一九年の動向 E新型コロナ災害下の動き―について報告した。
最後に主催者から関東大震災朝鮮人虐殺追悼式をめぐる動き、東京都防災訓練の動向が報告され、参加が呼びかけられた。 (Y)

 



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