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    かけはし2020年9月7日号

震度1で護岸崩壊の危機が


8.23

STOP! 辺野古新基地建設

北上田毅さんが講演

 【大阪】Stop!辺野古新基地建設・大阪アクション主催の講演会が八月二三日、大阪市の福島区民センターで開かれ、人数制限のため八〇人の市民が参加し、さらに二〇人がズームを使って参加した。
 辺野古新基地建設のための大浦湾埋め立て工事は、当初の設計では無理であることが判明したにもかかわらず、沖縄県による設計変更の承認もなしに強引に続けられてきたが、四月二一日沖縄防衛局から設計変更承認申請書が提出された。それを受けて、沖縄県は九月初旬から三週間告示・縦覧を行い、県の海岸防災課のホームページにも公開する。
 利害関係者は縦覧期間中に、意見書(様式はHPからダウンロード)を提出できる。その後沖縄県は申請書の内容審査を行い、設計変更申請の可否判断をする。知事の判断には七カ月以上かかるとされ、結論は今年末以降になるとの見通しだ。現在沖縄は、Gotoトラベルキャンペーンと新型コロナ感染に無自覚な米軍により市中感染の被害を被っているというのに、国は感染を押さえるための努力はしない一方で、設計変更申請への対応に多大な労力を費やすことを強制している。あまりにも理不尽というほかない。
 北上田毅さん(沖縄平和市民連絡会)の講演は、政府の設計変更に対する市民の意見書提出を目的に開かれた。この意見書提出は、辺野古新基地をつくらせないオール沖縄会議が呼びかけて、全国に要請しているものである。全力でこれに応えよう。

設計変更申請
の概要とは?


北上田さんはズームにより、パワーポイントの図を示しながら説明した。
国の変更申請の内容は、@(海底)地盤改良工事の追加、辺野古漁港周辺の埋め立ての中止、A工法や工期の変更に伴う環境保全図書の変更、埋め立てに用いる土砂等の採取場所や採取量を記載した図書の変更である。

大規模埋立は
全く不可能だ


新たな地質調査を行ったわけでもないのに、地盤改良工事の範囲・規模が大幅に縮小された(なぜ?)。C2護岸・C3護岸が未設置の状態で、水深四二m〜七mまで土砂を投入する先行盛土が行われ、大浦湾に汚濁が一面に拡散する。先行盛土の上にケーソンを造成する計画だが、海中の盛土部分は全く締め固められず、工法的にも不可能な工事だ。
A護岸の施工期間が、当初の計画(九カ月)から三年一〇カ月に伸びている(なぜ?)。海面下七〇mまで作業できるSCP(サンドコンパクションパイル工法)作業船は日本に一隻しかない。SCP船の他トレミー船、リクレーマ船といった特殊な船を長期間辺野古に集中させることが可能なのか。
現地には軟弱地盤、活断層があり大規模埋立はそもそも不可能。ケーソンを支える地盤については、地震動による安定設計を行っていない。震度1〜2程度の地震で地盤は崩壊するとも指摘されている。防衛局は、海面下七〇m以下は非常に堅い粘土層だとして、それより下の地盤改良工事は必要ないとしている。ところが、大浦湾の軟弱地盤は海面下九〇mまでの深さがある。土質調査のデータの隠ぺいと虚偽説明がなされていると、立石新潟大教授らの専門家グループが指摘している。
B27地点のボーリング試験は実施していないとのことだったが、実際は実施していて、その不都合なデータは隠ぺいされていた。また、辺野古活断層は極めて危険と専門家グループは指摘している。米議会も軟弱地盤のことについては懸念を表明し、下院国防委員会は、国防長官に改善策を義務づける国防法案を可決した。

SCP工法は
絶対不可能だ


SCP工法とは、(マヨネーズ状の海底に)振動させながら砂を注入して、地盤の支持力を強化する工法。世界でも日本でも、海面下六五mまでの実施例しかない。このような地盤改良工事により海底地盤を一四mも盛り上げるというもの。
工法には、このほかサンドドレーン(SD)工法、ペーパードレーン(PD)工法が採用される。先行盛土では、海底部分の低いところに、護岸未設置のままその沖合に三〇mの厚さで土砂を投入する。しかし、海中の盛土は締め固められないから、その上に大きな重量のケーソンを設置できない。ケーソン護岸背部の盛土には軽量盛土も併用される。これには、建設残土に水と固化剤を混ぜて流動化させたものに、気泡(界面活性剤)を混合させたものを使う。現地に大きなプラントが必要で、大量の汚濁水が発生する。

ふくれあがる
一方の総工費


本体工事は九年三カ月、総工費は九三〇〇億円と言われているが、この枠に収まるはずがない。イージス・アショアはコストと期間を理由に中止された。地上イージスより莫大な費用がかかる辺野古基地建設については、自民党からも「辺野古」見直し論がでている。明らかに政府の対応に矛盾がある。辺野古も中止すべきだ。総工費の約二割(一七〇〇億円)を民間警備委託費に当てるとなっているが、これはあまりにも額が大きく、あり得ないことだ。巨額の公費は、コロナ対策に回すべきだ。
辺野古新基地建設の当初計画では、総工費二三一〇億円、工期八年(護岸造成と埋立工事五年、陸上施設建設三年)だったが、二〇一五年政府発表では三五〇〇億円に増額された。それがさらに二倍以上になったというわけだ。読売新聞記事(二〇二〇年一月二四日)によると、事務当局としては本体工事に一一〜一五年を見込んでいたが、官邸主導でより短くなった、という。

収まることの
ない地盤沈下


基地を米軍に提供した後も地盤沈下は続く。大浦湾の海底は起伏が激しく、不同沈下が深刻で、滑走路の平坦性に関する米国防総省の施設基準に合致しない。滑走路のジャッキアップ等の補修が必要となるが、過去に実施例がなく、かつこの部分は工事費(九三〇〇億円)には含まれていない。
第二回技術検討会では委員から次のような発言があった、「予想通りの沈下が生じるかどうかは、始めて見ないとわからない」。第三回検討会では、地盤改良をすることで残留沈下量は五二cmに軽減するが、六二年後の総沈下量は三三〇cmになるという。

余りにもずさん
な「耐震設計」


防衛局の工事計画では、耐震設計はレベル1でつくられているが、国土交通省は国内主要一三空港については、レベル2(巨大地震・津波発生を考慮した)の耐震性能を確保している。また、設計耐用年数は五〇年だが、重要構造物は一〇〇年とすべきだ。杜撰というしかない。

環境への影響
評価もズサン


これだけ大規模な地盤改良工事をしながら、環境への影響が当初計画と同程度か、それ以下ということはあり得ない。敷砂、砂杭打設に伴う汚濁の拡散、土砂に混ぜる固化剤、界面活性剤による汚濁は相当深刻になるはずだ。
埋立土砂は北部地区からだけではなく、宮城島や糸満など県全域から運ばれる。ダンプ公害、粉じん公害が全域に拡大する。石垣・宮古・南大東島からも大量の土砂が搬入される。県内の南部は沖縄戦で多くの人が死んだ地域だが、その地区の土砂で基地を造るのは許されないという声が上がっている。足りない部分は県外(九州四県)からも搬入するが、そのことで特定外来生物が侵入する。海砂採取による沿岸の海の環境破壊が危惧される。大量の土砂搬送は工程通りに可能なのか。
さらに問題は、防衛局は通常は二束三文の岩ズリを一立米あたり五三七〇円(後日四三六〇円に下げられた)で購入するという。埋立土砂の購入をめぐる利権争いが想像される。また、地盤改良工事には大量の海砂が必要だ。ちなみに、辺野古埋立土砂が採掘されている琉球セメント安和鉱山では、森林法に基づく森林開発許可を得ずに採掘が続いていた。
海砂採取には、総量規制が定められているが(広島・岡山・徳島・香川・愛媛・熊本は全面禁止、山口・高知・福岡・佐賀・長崎・鹿児島は総量規制)、沖縄には規制がない。早急に改善されるべき課題だ。

サンゴ移植と
ジュゴンの声


本年二月以降、大浦湾でジュゴンの鳴き声が確認された。工事がなければ、ジュゴンは戻ってくる。サンゴの移植のための特別採捕許可は知事の権限であり、国の関与は認められていないし、移植しても保全できるとは限らない。県が、慎重に審査するのは当然だ。工事予定地には、七万八四六〇群体の移植対象のサンゴがいる。農水省が移植許可をするよう県に是正指示を出しているが、この件については県が提訴するかもしれない。移植するとしても二年以上はかかる。地盤改良工事着手は、それからということになる。同時作業は許されない。

申請審査申も
工事は続く!


設計概要変更申請とは関係がなく着工できる工事(工事用仮設道路・N2護岸)は続ける模様だ。そのほか、名護市との協議が必要な工事(辺野古ダム上のベルトコンベア、美謝川の切替)もある。結論が出るまで、とにかく工事は中止をすべきだ。
沖縄防衛局の「設計変更申請」はココがオカシイと、全国から知事に意見書提出を!
質疑応答に続いて、ジュゴンキャンペン、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動、辺野古派遣サポートおおさか基金からアピールがあった。集会後は、「基地建設を止め、そのカネをコロナ感染防止に回せ」と呼びかけて梅田までデモを敢行した。   (T・T)

投稿

化石燃料ゼロ時代 C

どうしましょう? 精子のなくなる日

たじま よしお

(11)

 以上紹介しましたGQ JAPAN掲載の記事の多くは、ニルス・スキャケベク博士に取材したものですが、博士ははじめに紹介した「奪われし未来」に登場する主要な研究者で、この筆者はおそらく本書をよく読んでスキャケベク博士に白羽の矢を当てたものと思われます。しかし、本書を書き写すのではなく、最新の研究成果を報道するためにデンマークまで飛んだという。驚嘆に値するジャーナリスト魂です。
 「奪われし未来」とGQ JAPANの文章には重複する箇所もありますが、科学的根拠なき非難・困難を乗り越えてきた様子が描かれているp261〜を以下に掲載します。
 ホルモン撹乱物質がすでに人体に甚大な影響を及ぼしているという事実は、過去五○年間にもわたって精子数が激減しつづけているという現象に、劇的なかたちで現れている。もっとも、五○年など人類史上ではほんの一瞬に過ぎないのだが。ニルス・スキャケベク博士率いるデンマークの研究チームの研究成果はまず、一九九二年九月『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』誌に掲載された。この研究は、一九三八年以来、健常者を対象に実施されてきた精液分析に関する諸外国の科学文献を体系的に踏まえた上で、その六一件の研究の分析結果を基礎に据えたものである。被験者の男性は、合計約一万五○○○人。その地域は北米、ヨーロッパ、南米、アジア、アフリカ、オーストラリアなど二○カ国に及んでいた。なお、ここでは、極端に精子が少ないなど生殖能力に問題を抱えた男性は対象外とし、しかも光学顕微鏡を使ったデータに限って分析している。

(12)

 このデンマークの研究グループによれば、精子数の平均は、一九四○年に精液一ミリリットルあたり一億一三○○万個だったものが、一九九○年にはわずか六六○○万個にまで落ち込んだという。これは四五パーセントの減少である。同じく精子の量も二五パーセント減少していたことから、結果として精子の実質的な減少率は、五○パーセントまで落ち込んでいた。この間、精液一ミリリットルあたり二○○○万個といった極端に精子数の少ない男性が全体に占める割合は、六パーセントから一八パーセントへと三倍もの伸びを見せた。
……略…… 男性の生殖能力を専門に研究していたスキャケベク自身、この研究結果にはどこか腑に落ちないものを感じた。コペンハーゲン大学病院の発達生殖部門の主任だったスキャケベクは、若年層に増えている精巣がんを含め、男性の生殖系に見られる奇形が増加しつつあることには気づいていた。とはいえ、過去二○年間で精子が激減したなどという結果を、とても鵜呑みにするわけにはいかなかった。こんな結果になったのは、サンプルに偏りがあるのではないか? 例えば、子どもができないために産婦人科医に通院している男性がデータに紛れ込むなどして、健常な男性の精子数が正確に反映されていないのではないか? そうスキャケベクは考えたのである。
ところが、である。世界中からかき集めた一ダースあまりもの論文をつぶさに検討してみると、精子の減少が、ここ二世代で実際におこったというのは、紛れもない事実だったのだ。これはスキャケベクにいわせれば、「男性の生殖能力に悪影響」を及ぼしかねない重大な異変だった。これほどまでに急激な変化は、遺伝的要因によっては起こるまい。原因は、生活習慣の変化や環境要因にあるにちがいなかった。 (つづく)



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