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    かけはし2020年9月28日号

危機を乗り越える展望を打ち立てよう


解雇禁止?労働改悪阻止 社内留保金の返還?基幹産業国有化のための下半期共同闘争を

ペク・ジョンソン(変革党 組織?闘争連帯委員長)

構造調整の拡大

 6月にIMFは韓国経済成長率見通しを―1・2%から―2・1%に下げ、8月27日には、韓国銀行も、経済成長率の見通しを当初の―0・2%から―1・3%に下げた。世界経済の状況も同様だ。世界銀行は、2020年の世界経済成長率を―5・2%とし、IMFは―4・9%と予想するなど、すべてが第2次世界大戦後最悪の落ち込みを示している。コロナ19以降無制限の量的緩和を宣言した米国が6カ月の間に投入した資金は3兆ドルで、それは2008年の金融危機で「量的緩和」という言葉が、使われるようになってから、米国が10年間に投入した規模に匹敵するものだ。

 7月の、統計庁の発表によると、2020年6月、国内の失業者は122万8千人で、21年ぶりに最大値を記録した。製造業の就業者は、前年同月より6万5千人減少し、業種のうち減少幅が最も大きい。初期サービス業を中心に始まった解雇と契約解除がすでに製造業に拡大している。雇用減少のうち臨時的労働が93・8%を占め、非正規?不安定?未組織労働者が、最初に犠牲にされていることが再確認された。

 7月の雇用も前年同月比で27万7千人減少し、3月(―19万5千人)、4月(―47万6千人)、5月に(―39万2千人)、6月(―35万2千人)に続き、5カ月連続で減少した。2019年同月基準ではなく、伝達基準で見れば、今年5月以降7月までの雇用が小幅で改まっているように見えるが、雇用回復の見通しは暗い。非正規?不安定労働者が構造調整のいけにえになっているのはもちろんのこと、すでに組織労働者を対象とした高強度―低強度の構造調整も日常化している。7月3日、金属労組が集計した地域支部所属の構造調整事業場だけでも103件に達していることは、その有様は休業と廃業、解雇と契約解除、賃金返納、強制年次使用と各種手当の未払い、朝食・間食の廃止をはじめとする各種福祉縮小まですべての形態を包括する。危機の深化によってイースター航空、双竜車など基幹産業の主要な事業所での構造調整の危機が高まっている。

韓国版ニューディール、李明博のグリーン成長?朴槿恵の創造経済と変わらない


7月14日ムン・ジェインは、2025年までに160兆ウォン(国庫114兆ウォン、民間・自治体の投資46兆ウォン)を投入して、雇用190万件を創出するという「韓国版ニューディール」を発表した。これは△グリーンニューディール(73・4兆ウォン)△デジタルニューディール(58・2兆ウォン)△セーフティネットの強化(28・4兆ウォン)で構成され、外見上巨大に見える計画だが、いざニューディールの核心である大幅な労働権の伸長と社会安全網の強化措置は抜け落ちているとされた。政府が掲げる「全国民の雇用保険」すら特殊雇用労働者220万人のうち150万人を排除しているほどだ。結局韓国版ニューディールは、政府が「所得主導成長」の廃棄と一緒に前面に出した「革新成長」のコロナ局面での発現にすぎない。

 資本のための規制緩和が施された韓国版ニューディールは歴史の中ニューディールとの関連はない。1935年の米国の2次ニューディールの核心は「全国労働関係法」である(発議者であるワグナーの名前を取って「ワグナー法」とも呼ばれる)。ワグナー法は団結権・団体交渉権を保証して、御用労組を不法化し、不当労働行為を具体的に規定して禁止した。全国労働関係法のほかにも社会保障法で雇用保険と年金など国家的な社会安全網を確立し、金持ち増税も欠かせなかった。1944年、米国の最高所得税率は94%であった。もちろん、国はその対価として労働者階級に資本の人事・経営権の認定を要求した。「賃金と雇用条件」以外の対象は、争議行為の対象から除外された。経済?社会的地位の向上という融和措置を通じた労働運動の統制、これが米国で行われた「新しい契約(ニューディール)」だった。

 しかし、韓国版ニューディールには、これさえもない。それは徹頭徹尾、資本寄りだ。ムン・ジェイン政府は、米国の大恐慌当時の「フーバーダム建設」をまねているもので「データダム」で雇用を創出するという空手形を乱発しただけで、彼らの提出した計画には、画期的労働時間短縮で総雇用を保証する見通しも、不可逆的な労働基本権の拡大のための展望もない。韓国版ニューディールは新しい情報?通信?医療産業を形成するための措置であるだけで、その過程で創出される雇用は「人形の目を貼り付けるデジタル版」と呼ばれるデータラベリングなどの短期低賃金の仕事が大半である。

 結局、政府は大規模な財政投入を通じた利潤回復・資本を生かす政策を繰り広げる中、すでに進めていることや、推進するしかない短期雇用創出計画と社会安全網の補完措置を一部取り入れてこれを「ニューディール」と呼んでいるだけだ。結局、ムン・ジェイン政府が掲げたニューディールは、国家主導で新産業と市場を育てて資本に貢献するという約束にすぎない。公的資金の投入を通じた大々的な企業育成、労使政合意と資本に有利な環境作りを通じた階級闘争の管理を強化し、これに構造調整と労働改悪をはじめとする対労働攻勢が総合されているというものだ。

労働柔軟化と労働基本権の剥奪、今後労働改悪


下半期国会では、労働改悪が大挙推進される可能性が高い。全経連傘下の韓国経済研究院によると、コロナ流行以来、大企業の75%が柔軟勤務制を導入したり拡大し、そのうちの過半数(51・1% )は、コロナとは無関係に柔軟勤務制を拡大する計画である。資本は、労働柔軟化を注文しており、ソン・ギョンシク経済人総連会長が国会環境労働委員長に弾力勤労制の単位期間の拡大と選択労働制決済期間の拡大を強く要求したことは偶然ではない(7月21日)。政府が発表した下半期の経済政策の方向(6月1日)も「弾力勤労制の単位期間の拡大と職務給制の持続推進」を明示している。

 労組法改悪も推進されるだろう。ILO条約批准を口実にした労働基本権後退の試みが進められている。去る6月23日、政府は、△事業所争議行為の禁止△団体協約の有効期間を2年から3年に延長するなどの案を盛り込んだ労組法改悪案を国会に提出した。これは△失業者・解職者の労働組合加入許可(労組法)△退職教員労組加入の許可(教員労組法)△公務員労組加入条件での「6級以下制限」の削除(公務員労組法)など取引しようとする外観をとっていること、教師―公務員単位の対応も重要である。「こんな取引は必要ない」と断固として改悪反対闘争に乗り出さなければならない。

痛恨の過去を繰り返さないために、システムに立ち向かう政治闘争の展望が必要だ

 民主労総は「労働者の4大権利」を下半期中心議題に決めた。すぐに解雇禁止(働く権利)、重大災害企業処罰法の制定(働いて死なない権利)、労組法2条改正(特殊雇用労働者を含むすべての労働者の労働組合の権利)、勤労基準法11条改正(5人以下の事業所勤労基準法の適用:勤基法を保証の権利)などを中心的な要求として9月以降「全泰壹3法」発議運動に集中して、10月24日「チョン・テイル3法争奪非正規職撤廃」決意大会を開催する方針だ。

 全泰壹3法争奪運動はもちろん、必要なことである。しかし、問題はすでに行われている構造調整と労働改悪を突破する闘争計画が見えないという点である。その結果、全泰壹3法争奪運動は、その意図とは無関係に当面する戦いを迂回する経路になるということだ。民主労総は、労働改悪阻止闘争の計画として「国会常任委員会で労働改悪案審議の際ゼネスト」という既存の方針を再確認し、「常任委審議時の緊急中央執行委員会の開催を通じてゼネスト日程と戦術を確定する」と方針を決定しただけだ。下半期の民主労総、公共運輸労組、全教組、各地域本部などの主要な労働組合の選挙が行われることを勘案しても、過度に安易である。

 下から、戦いはすでに進行中である。生存権と労働基本権争奪のためのアシアナKO労働者、代理運転?建設機械などの非正規―特殊雇用労働者が戦っている。清算と廃業に立ち向かう大宇バス、現代ウィア、韓国ゲイツ労働者が戦っている。イースター航空ノディルと、大規模な構造調整案発表による9月の航空産業、大量解雇の危機、双竜車破産の危機も存在する。

 当面の課題は、下から広がる戦いを守り、束ねてひとつにすることだ。さらに、労働者の犠牲を強要する体制に立ち向かう政治闘争を組織することである。現在の危機はしばらくすれば止むにわか雨ではない。

解雇禁止、労働改悪阻止、社内留保金で総雇用保障、公的資金の投入企業と基幹産業の国有化のための共同闘争に乗り出そう

 現局面は、社会を根本的に再組織するための戦いを準備をする時であり、不可逆的体制転換のための戦いを準備する時だ。そのために、社会変革労働者党は当面する要求として△すべての解雇禁止△労働改悪阻止△社内留保金で総雇用保障、△公的資金の投入企業と基幹産業の国有化を要求する。
変革党をはじめとする社会主義?左派陣営は自らが展望を提示するための戦い、危機に対する資本の責任を問う戦いに乗り出さなければならない。労働改悪などの主要な情勢に先導的に対応することは、もちろん、根本的システム変革のための政治闘争を準備しなければならない。今、その力がいくら微弱であってもだ。
来る9月11日、変革党をはじめとする社会主義・左派運動勢力は「危機を社会の大転換に、下半期情勢と闘争課題」の討論会を開いて、下半期の闘争課題と計画をまとめて、共同闘争を本格化する予定である。9月18日の共同主催決意大会と地域巡回闘争を行い、10月には基幹産業国有化のための討論会との闘争など大衆的政治闘争の展望を戦う労働者と一緒に作っていきたいと考えている。すぐにも政治的展望と大衆闘争の結合が必要である。多くの仲間たちが共にすることを望む。(社会変革労働者党「変革と政治」112号より) 

朝鮮半島通信

▲「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の不正会計疑惑に関連して韓国検察は9月14日、正義連の前代表で「共に民主党」国会議員の尹美香氏を詐欺や業務上横領の罪で在宅起訴した。
▲韓国の秋美愛法務部長官の息子に対する軍服務休暇の特恵問題に関連して捜査中のソウル東部地検は9月15日、国防部を家宅捜索した。
▲韓国の李仁栄統一部長官は9月16日、就任後初めて板門店を訪問した。

コラム

戦争について

 八月のお盆はどこにも出掛けずに家でTVを見ることが多かった。毎年この時期は戦争にまつわる番組が多い。
 吉永小百合主演「あゝひめゆりの塔」(舛田利雄監督、1968年)を見た。米軍機がひめゆり隊の女高生たちの隊列に機銃掃射で撃ち殺す場面や川で体を洗ってはしゃいでいる所を機銃掃射で殺していく場面がある。怒りに震えた。
 米軍はなぜ非武装な住民たちを無差別に殺していったのだろうか。どうも頭の中に、ナチスや日本軍に比べて、米国は民主主義国家で民衆に「寛容」であるハズだという刷り込みがあったような気がする。
 その後、ヒロシマの原爆番組などを見て、米国は何をやってきたのかを考えた。米国は東京大空襲をはじめ、都市無差別爆撃を行い、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下。兵士との戦争だけでなく、「戦争遂行能力を破壊する」という名のもとに民衆を大量虐殺する戦争のやり方を導入した。
 大量殺戮の都市爆撃は日本軍の重慶爆撃から始まり、ナチスのスペイン・ゲルニカ、連合軍のドイツ・ドレスデン、そして米軍による沖縄・日本の都市へと続けられた。
 別の番組では日本兵のシベリア抑留について放送した。敗戦後、約六〇万人の日本兵がソ連によってシベリアに強制連行・強制労働を強いられ、五万二千人余りが死亡した。スターリンによる戦争捕虜を強制労働にかりだした、明確な国際条約違反であった。
 ソ連は第二次世界大戦で二〇〇〇万人以上の犠牲者を出す、最大の戦争被害国でもあった。きわめて困難な社会・経済再建が待っていた。スターリンは第二次世界大戦後、国内の自国民を「スパイ」として何百万人をも強制収容所・強制労働に駆り立てた。
 日露戦争の敗戦、日本のシベリア反革命出兵などの歴史的経緯もあり、スターリンは当然にも日本の捕虜を使う「強制労働」を考えたのだろう。大戦終了時に、ソ連にはドイツ兵二三八万人、ハンガリー五一万人などの戦争捕虜がいた。一九四九年まで長期の強制労働は日本兵のみだった。
 日本にも日本兵強制労働を受け入れる理由があった。それは自国兵に対して戦争捕虜となることを認めない「戦陣訓」があったからだ。ソ連軍に捕虜とされた日本兵は「捕虜」ではなかった。ソ連軍が「強制連行」するのを容認し、自らの戦争責任を回避しようと関東軍の総参謀長たちは画策した。
 また、日本は一九四五年七月に近衛文麿を団長に、日ソ中立条約のもとで、ソ連に終戦処理の仲介を頼もうとした。その条件が国体護持(天皇制の維持)、そのためには終戦後、賠償として日本の兵士などをソ連の再建のために労働力として扱ってもよいというものだ。しかし、すでにヤルタ協定によってソ連の対日参戦が密約されていたので、ソ連側がこれを拒否した。
 日本は泰麺鉄道の建設のために連合軍捕虜や現地人を強制労働させ、一〇万人を死亡させる犯罪を犯した。731細菌兵器部隊は捕虜や現地人を実験台として殺していった。
 第二次世界大戦が正義の民主主義国家と悪のファシズムという「神話」は成立しない。改めて第二次世界大戦はどのような戦争であったかを考えさせられた。    (滝)




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