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    かけはし2021年1月25日号

「軍歌の覇王」への批判は?


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NHK朝ドラ「エール」について

S・M



 NHKを始めとするマスコミが古関裕而(こせき・ゆうじ)を美化する大キャンペーンをやっている。NHKは古関裕而をモデルにしたドラマ(「エール」)を毎日テレビで放送していた(「エール」は2020年3月30日・月曜日から11月28日・土曜日まで放送された)。新聞もこれに「エール」を送っている。「毎朝の「エール」楽しみ」(「みんなの広場」、2020年11月5日『毎日新聞』朝刊10面)「古関裕而記念館を見学」(「フォトリポート」、2020年11月12日『神奈川新聞』12面)といった具合だ。私はこれに疑問を感じる。フィクションならヒトラーやヒロヒトを「平和主義者」のように描くことも許されるのだろうか。
 『産経新聞』は軍国主義を肯定する立場からNHKのウソを批判している。――「軍歌の覇王」と称された古関は、終戦後まもなくから活動を再開し、「鐘の鳴る丘」や「長崎の鐘」、「イヨマンテの夜」など戦時中と変わらぬ勢いでヒット曲を連発した。古関は自伝「鐘よ鳴り響け」で、一連の軍歌について「国民のために少しでも役に立てたことは良かったと思う」と書いている。ドラマ制作者は、「戦争協力への深い反省が、戦後の活躍につながった」という「物語」を紡ぎたかったために恩師の戦死という大?をついたのだろうが、歴史歪曲(わいきょく)が過ぎる。戦時中と同じく、また嘘を垂れ流すのですか、NHKさん(「NHKさん、大?はダメです」、2020年10月20日『産経新聞』9面)。
 『しんぶん赤旗』は、私の誤解でなければ、今まで「エール」に無批判的だったが、2020年10月29日の『しんぶん赤旗』は軍国主義を批判する立場から小さく「エール」を批判している。
 ――戦後、実際の古関が反省したかどうかは定かではありません。むしろ、自作の軍歌を「快心の作」と愛着を持って回想しています。自衛隊歌にも取りかかりました。ドラマはフィクションですから、人物像をそのままなぞる必要はないでしょう。しかし、軍歌には消してはならない重要な意味が含まれています。「エール」にも描かれた「人々を戦争に駆り立てた」という事実です。……NHKも古関にニュース歌謡、国民歌謡の名で作曲を依頼し戦意をあおりました。「音楽は軍需品」とされた時代。放送も軍国主義の宣伝機関だったのです(「潮流」、2020年10月29日『しんぶん赤旗』1面、句読点は修正した)。
 11月13日、文京区民センターにおいて、「今こそ中止だ 東京五輪!ごり押し五輪だ!Go To Hell!」(主催 オリンピック災害おことわり連絡会)と題した集会が開催された。その中で藍原寛子さん(ジャーナリスト、元福島県地方紙記者)は、NHKの「エール」放送と東京オリンピックの関連性について指摘していた。
 1月22日の『東京新聞』朝刊5面に「古関氏の多面性伝えて」という投書が掲載された。私は投書者の善意を理解するが投書者の意見には反対だ。「古関祐而にはいい面も悪い面もあった」というなら、「ヒトラーやヒロヒトにもいい面も悪い面もあった」というつもりだろうか。
 そもそもNHKの連続テレビ小説は「戦争や天皇制に賛成した人物」のことはドラマ化するが「戦争や天皇制に反対した人物」のことはドラマ化しない。金子文子や小林多喜二のことはドラマ化しない。そのことにも私は疑問を感じる。
 マスコミのいう「反戦平和」「反差別」は口先だけのデタラメだ。「天皇制に対する態度」や「古関裕而に関するドラマや報道」などがそのいい例だ。

 〈追伸〉NHKの連続テレビ小説は「死後の世界」を肯定している。宗教的だ。非科学的だ。ナンセンスだ。
(2020年12月18日。「エール」が終わる以前に書いたものを修正した)



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