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    かけはし2021年1月18日号

袴田巌さん再審請求、最高裁差戻決定


コラム「架橋」


 昨年12月22日、最高裁は死刑囚・袴田巌さんの再審請求に対して、東京高裁の棄却決定を破棄し、東京高裁に差し戻す決定を出した。23日昼のニュース速報として流された。昨年一年は毎日コロナ感染のニュースが続き、憂鬱な日々が続く中で「明るいニュース」で、「やった」と喜んだ。
 狭山事件で女子高生誘拐・殺人事件で無期懲役を下された石川一雄さんが無実を求めて再審請求を支援する23デー(石川さんが逮捕された5月23日)として、毎月総武線亀戸駅で支援を求めて宣伝活動を東京・部落解放共闘会議が石川さんの仮釈放の1994以来欠かさず行っている。私はこの日袴田さんの最高裁の決定を伝え、えん罪を晴らす闘いがいかに大事なことなのかを訴えた。
 いわゆる袴田事件は1966年静岡県清水市のみそ工場で一家4人が殺害された事件だ。袴田さんはみそ工場で働いていた。犯人を特定できなかった警察は元プロボクサーで、浜松(遠州出身)という偏見にもとづいて袴田さんにねらいをつけたようだ。『BOX 袴田事件 命とは』(高橋伴明監督・2010年)では、駿河の清水に対して、遠州出身者は「逆らう者・暴れ者」というような差別意識があったように紹介されていた。
 袴田さんの自白を強要し取り調べは1日平均12時間、最長17時間にも及んだ。さらに取り調べ室に便器を持ち込み、取調官の前で垂れ流しにさせるなどした。
 静岡地裁は自白調書45通のうち、44通を強制的・威圧的な影響下での取調べによるものなどの理由で任意性を認めず証拠から排除した。
 その時の裁判長は退官してから、自分は無罪とする判決を下そうとしたが陪席の二人が有罪としたので、仕方なく有罪・死刑判決を下したと衝撃の事実を明らかにした。
 犯行着衣とされるパジャマが1年2カ月後にみそ樽につかった状態で発見された。そこに赤い色の血液が付着していて、それが袴田さんの血液と一致したとして有罪判決の決定的証拠とされた。
 しかし、弁護団の再現実験によって、1カ月で血液は黒くなり血液かどうかまったく分からなくなった。検察官側も同じ実験を行い、同じ結果が出ている。犯行着衣とされたものが犯行着衣ではないことが明らかになったのだ。
 2014年、第二次再審請求に対して、静岡地裁はすべての証拠開示を検察に認めさせ、再審を決定し、逮捕から48年ぶり即日に袴田さんの釈放を認めた。これまでの再審請求では再審で無罪が確定してから、釈放が認められたのにくらべて異例であった。それだけ、死刑判決がいかにひどいものであったかを示している。静岡地裁は検察の出している犯人のシャツとするものなどを警察がねつ造したものとして怒りを露わにしている。
 2018年6月東京高裁は初めから有罪維持の逆転の再審決定を取り消す判断を下した。これに対して最高裁の決定は、3人が東京高裁への差戻、2人が再審決定だった。
 いずれも、東京高裁の再審決定取消しを誤りとするものだった。再審制度で一度再審決定が出された場合は検察の異議を認めない制度の確立を実現させなければならない。東京高裁に再審決定をおこなわせ、袴田さんの無実を勝ちとろう。 (滝)



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