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    かけはし2021年2月22日号

袴田巌さんに無罪判決を


東京高裁の再審開始決定取り消しは正義に反する

1日も早い勝利へ


 【静岡】1月31日、袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会(略称 袴田救援会)が主催して、昨年12月22日の最高裁第3小法廷の判決をうけて、事件のおきた静岡市清水区(旧清水市)で集会がもたれた。
 最高裁は、袴田巌さんに対する再審開始決定を取り消した東京高裁(大島隆明裁判長2018年6月11日)の判断を「著しく正義に反する」として取り消し、審理を東京高裁に差し戻す決定をした。5人の裁判官全員が、東京高裁の決定を違法として取り消すことで一致し、内3人は高裁へ審理を差し戻すべきだとし、内2人は直ちに再審開始をすべきだとした。意見が割れた中での多数決による決定だった。

問題の核心は
どこにあるか


集会は、救援する会の楳田代表のあいさつのあと事務局より昨年11月以降の経過報告がなされ続いて袴田事件弁護団の間光洋弁護士が最高裁による原決定(2018年6月11日東京高裁決定)取り消しと取消し決定の中身について報告、問題の核心は衣類に付着した「血の色」と述べ、最高裁は、事件から1年2カ月後に工場のみそタンクで見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕の色変化について「専門的知見を踏まえて審理を尽くすよう」東京高裁に求め、決定文では、「東京高裁原決定は、みそ漬けされた血液の色調に影響を及ぼす要因、とりわけみそによって生ずる血液のメイラード反応(醸造中のみその中で起こる褐変反応)に関する専門的知見について審理を尽くすことなく、メイラード反応の影響が小さいものと評価した誤りがある。このことは5点の衣類に付着した血痕に赤みが全く残らないはずであるとは認められないとの原決定の判断に影響を及ぼした可能性があり、審理不尽(審理を尽くしていない)の違法があるといわざるを得ない」と述べている。

1年以内に
高裁判断を


今後の進捗を問われた間弁護士は、東京高裁での差し戻し即時抗告審について検察の妨害による長期化も懸念されるが「スピーディーに審理を進め1年以内に高裁の判断を得たい」と述べ、「一刻も早く再審無罪をかち取るためにこれまでの主張も交えつつ粘り強く取り組んでいく」と結んだ。
間弁護士の報告の間に袴田巌さんと姉の秀子さんが浜松から駆けつけ、報告を中断してあいさつを受けた。姉の秀子さんは、「最高裁から決定通知書が送られてきた。開けてみたら主文に高裁に差し戻すと書いてあった。嬉しくて直ぐに弁護士の先生に電話を入れた。周りの人たちからは、これまで『ガンバッテネ!』と声を掛けられてきたが『よかったね!』になった。一歩も二歩も前に進んだと思う。……ふんどしを締めていかなくてはと思う。今後ともご支援よろしくお願いします」と述べた。

土屋源太郎
さんが講演


ゲストの砂川事件元被告の土屋源太郎さんが講演、1957年7月の事件で起訴されたが一審無罪判決(伊達判決)を得た。60年安保改定協議中であった政府は「駐留米軍は違憲」とする伊達判決が改定交渉の妨げになることを恐れ、高裁を超えて跳躍上告を行い、1959年、最高裁は田中耕太郎裁判長により「安保条約のような高度な政治性を有するものは、司法審査権の対象外」いわゆる統治行為論を適用し「原審破棄・差戻し」の判決を下した。差戻し審の結果有罪・罰金が確定。ところが2008年アメリカ公文書館で見つかった駐日大使の報告文書から田中裁判長が駐日大使に砂川事件裁判の情報を漏洩していたことが判明。
事件被告と遺族は、砂川事件を審理した最高裁大法廷は、憲法37条が定める「公平な裁判所」でなかったとして免訴再審請求を行った。1審東京地裁は米公文書の記載事実を黙殺・歪曲・ねつ造し棄却。東京高裁は米公文書には触れず免訴手続きを無視・否定し、即時抗告を棄却、最高裁は「憲法問題ではない単なる法律問題」として門前払いとした。公判を開けば、田中元最高裁長官の憲法違反行為が白日の下に晒され、安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定や砂川事件最高裁判決を安保法の強行成立の法的根拠としたことが再度問われることを恐れ、再審の道を閉ざした。憲法に違反した砂川事件裁判の国家賠償訴訟を2019年3月に提訴、田中最高裁長官による人権侵害の責任を追及し、元被告等の名誉を回復するとともに、司法の公平性・独立性を確立することを訴えて支援を要請した。
袴田救援会では早期の再審決定を実現するために全力を挙げるとともに新たなみそ漬け実験等も計画している。
(S)




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